コンピテンシーとは?人事評価に活用するメリットや方法も解説
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- コンピテンシーとは、企業においてハイパフォーマーに共通して見られる行動特性のこと
- コンピテンシーを人事評価に活用することで、公平な人事評価や生産性向上につながる
- コンピテンシーを効果的に活用するためには、人事評価システムの導入もおすすめである
コンピテンシーには「能力」「技能」「力量」「適性」といった意味があり、企業におけるハイパフォーマーに共通して見られる、行動特性や高い成果をもたらす行動特性を指します。本記事では、コンピテンシーを人事評価に活用するメリットや方法、ポイントなどを解説します。
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コンピテンシーとは
コンピテンシーは、ビジネスにおいて高いパフォーマンスと成果を生み出すための重要な概念です。英語の「Competency」は「能力・資格」を意味しますが、ビジネスコンテキストでは、個人が職務において優れたパフォーマンスを発揮するための行動特性を示します。
コンピテンシーの評価には具体的な行動やスキルだけでなく、価値観・思考・性格などの要素も含まれ、人事活動やキャリア開発で効果を発揮します。簡単に言うと、コンピテンシーとは個人や組織の成長に貢献し、長期的な成功に向けた基盤となるものです。
コンピテンシーが注目される理由
コンピテンシーは、1950年代に心理学の分野で生まれ、1970年代に人事用語として確立されました。長年の調査・研究により、学歴や知能と業績の高さには関連性がなく、高い業績を上げる者には共通の行動特性があることが明らかになりました。
現代では、成果主義への転換や少子高齢化といった社会的変化に伴い、組織の生産性向上と人材育成の必要性が高まっています。その中で、コンピテンシーは従業員の行動特性に焦点を当て、組織の業績向上や人材の育成に有効なツールとして再評価されています。
コンピテンシーの類語
コンピテンシーに類似する用語として「コア・コンピタンス」「スキル」「アビリティ」「ケイパビリティ」などの言葉が存在します。これらの用語は、組織や個人の能力・スキルを表現する際に使われますが、違いについてはしっかりと認識しておく必要があります。
類語 | 意味 |
---|---|
コンピテンシー | 高いパフォーマンスを発揮する個人に共通した行動特性や能力 |
コア・コンピタンス | 企業や組織が持つ独自の技術・特性・能力 |
スキル | 個人が専門的な能力や技能のこと |
アビリティ | 個人が持つ能力や力量のことで、スキルほどの高度ではない能力 |
ケイパビリティ | 企業全体の組織的な能力や力量のこと |
コンピテンシーの活用方法
コンピテンシーは、さまざまな場面で活用できる概念です。能力評価・キャリア開発・リーダーシップ育成・採用選考など、多岐にわたる分野でコンピテンシーの考え方は役立ちます。ここでは、コンピテンシーの活用方法について解説します。
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コンピテンシーの活用方法
人事評価に活用する
コンピテンシーは人事評価において広く活用されており、一般的な方法として確立されています。まず、コンピテンシーを明確に定義し、評価基準として設定します。これにより、評価者は従業員の行動特性やスキルを客観的に評価することができます。
次に、目標設定では各従業員に対してコンピテンシーに関連する目標を設定し、成長を促進します。また、評価面談ではコンピテンシーに焦点を当てた議論が行われ、従業員の強みや改善点が明らかになります。
採用活動に活用する
採用の際にコンピテンシーを考慮に入れることで、適切な候補者を選別し、優れた従業員を採用するプロセスを強化できます。まず、求人広告や仕事の説明において、必要なコンピテンシーを明確に示します。
そして、応募者は自身のスキルと経験を自己評価して応募します。次に、面接プロセスでコンピテンシーに焦点を当てた質問を行います。過去の行動や経験に基づいて、候補者が必要なコンピテンシーを実際に示した例を詳細に聞き取ります。
また、候補者のレジュメや職務経歴書を分析し、コンピテンシーと一致する要素を特定することも重要です。このようなアプローチによって、採用プロセスは客観的で効果的になり、最適な候補者を選び出すのに役立ちます。
社員の能力開発に活用する
コンピテンシーは、社員の能力開発においても重要な役割を果たします。まず、各社員のコンピテンシーを評価し、強化すべき領域を特定します。これは、個別のトレーニングプランの策定に役立ちます。
次に、社員に対してコンピテンシー強化のトレーニングや研修を提供します。例えば、特定のコンピテンシーに不足がある場合、関連するスキルを磨くためのトレーニングを行います。この際には、外部の専門家や内部のメンターを活用して行うことができます。
さらに、コンピテンシーを目標とするパフォーマンス評価を行い、成果を測定します。その結果、社員は自身の成長を確認し、モチベーションを高めることができます。
人事評価にコンピテンシーを導入するメリット
コンピテンシーを人事評価に導入するメリットは多岐にわたります。具体的には、公平性の高い評価の実現と効果的な人材育成による生産性の向上です。以下で、それぞれ詳しく解説します。
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- 公平性の高い評価の実現とミスマッチの軽減
- 効果的な人材育成による持続的な生産性の向上
公平性の高い評価の実現とミスマッチの軽減
従来までの人事評価にコンピテンシーを導入することで、公平な評価が可能になり、主観的な偏りを軽減できます。つまり、具体的な行動特性に基づいた評価基準は従業員自身が評価内容を理解しやすく、評価への納得感が高まります。
これにより、仕事に対するモチベーションが向上し、エンゲージメントが高まります。また、採用におけるミスマッチが発生しづらくなり、自社が求める人物像に基づいた採用を実現することができます。
効果的な人材育成による持続的な生産性の向上
コンピテンシー評価は、個人のスキルや行動の強化に焦点を当てるため、従業員の成長とキャリアパスの明確化を支援します。成果につながる具体的な行動を示すことにより、従業員は自己改善に集中しやすく、高いパフォーマンスを発揮しやすくなります。
つまり、コンピテンシーを人事評価に導入することで、組織は教育コストを抑えながら優秀な人材を育てることができます。その結果、企業の競争力を強化し、持続的な生産性向上・企業成長に期待できます。
人事評価にコンピテンシーを導入するデメリット
コンピテンシーを導入する際のデメリットとして、まず評価項目の設定に時間がかかる点が挙げられます。独自のコンピテンシー基準を作成し、それを明確に従業員に伝えるには時間と労力が必要です。
また、主観性の排除が難しい側面もあり、評価者の個人的な意見や人間関係が評価に影響する可能性があります。さらに、環境変化に適応しにくいという課題も存在します。
コンピテンシー評価は評価項目が具体的で詳細ですが、ビジネス環境や戦略が変化するたびに評価基準を更新・調整する必要があるため、メンテナンスコストが高まる傾向にあります。
人事評価にコンピテンシーを導入するステップ
コンピテンシーを導入することで、より客観的で効果的な人事評価を実現できます。しかし、その過程には慎重な計画と準備が必要です。以下では、コンピテンシーを人事評価に導入するステップを詳しく解説していきます。
従業員の能力やパフォーマンスを客観的に評価し、組織全体の成果に貢献するために、正しい導入プロセスを把握しておきましょう。
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人事評価にコンピテンシーを導入するステップ
ハイパフォーマーにヒアリングする
コンピテンシーを導入する際は、ハイパフォーマーにヒアリングすることが重要です。ハイパフォーマーは組織内で成功を収めているため、彼らの行動や特性を理解することが重要です。なお、ヒアリングに際してはいくつかの注意点があります。
まず、ヒアリングは具体的で明確な質問を通じて行います。成功の鍵・要因や、彼らが成功に向けてどのような行動を取っているのかを深堀りします。そして、ハイパフォーマーとの対話を通じて、開かれたフィードバック文化を促進しましょう。
また、ハイパフォーマーの意見を尊重し、建設的な対話を重視します。個人情報のプライバシーを保護し、機密性を守りながらヒアリングを行います。可能な限り複数のハイパフォーマーとの対話を通じて、包括的かつ公平な評価基準を構築します。
その後、ハイパフォーマーからのフィードバックを収集し、評価基準を洗練させることで、コンピテンシー導入の成功に近づけます。
コンピテンシーモデルを作成する
ハイパフォーマーに対するインタビューやフィードバックを通じて、成功要因や行動特性を抽出し、それを基に評価基準となるコンピテンシーモデルを設計します。このモデルは「理想型モデル」「実在型モデル」「ハイブリッド型モデル」の3つのタイプに分けられます。
理想型モデルは企業の理想的な社員像に基づいて構築され、実在型モデルは実際の成功事例を軸に作成されます。理想型は理想を追求しやすいことから実現性に難があり、実在型は具体的で現実的ですが他の従業員との違い・差が問題になることがあります。
そして、ハイブリッド型は両者を組み合わせ、実現可能な理想像を形成します。従業員全体に適用可能で、ハイパフォーマーと他の従業員の双方に利益をもたらします。こういったモデル作成により、評価基準がより現実的で効果的になります。
タイプ | 詳細 |
---|---|
理想型モデル | 企業の理想的な社員像に基づいて作成されるモデル |
実在型モデル | 実際に成果を上げている従業員に基づいて作成されるモデル |
ハイブリッド型モデル | 理想型と実在型を組み合わせたモデル |
評価項目を作成する
コンピテンシーモデルが決まったら、評価項目を作成します。評価項目は、従業員のパフォーマンスを客観的に評価するための基準となります。決められたフォーマットは存在しませんが、「コンピテンシーディクショナリー」というツールは非常に役立ちます。
このツールには一般的なコンピテンシーの定義や説明が含まれており、それらを基に評価項目をカスタマイズできます。評価項目は組織の特定のニーズや職務に合わせて設計され、具体的で測定可能な行動やスキルを反映するように工夫されます。
柔軟性があり絶えず改善されるため、組織の成長や変化にも適応しやすいです。そして、適切な評価項目を設定することで、従業員の評価が公平かつ効果的に行え、組織の成長にも貢献します。
項目ごとにレベルを設定する
評価の明確さと一貫性を確保するために、各評価項目に対して評価基準を設けます。これにより、従業員のパフォーマンスを評価する際に基準が明確になり、一貫性のある評価が可能となります。
一般的に、評価レベルは5段階に分けられます。以下の表は、5段階の評価基準について解説したものです。
レベル | 基準内容 |
---|---|
レベル1:受動行動 | 指示待ちの段階で、他者の指示を待たないと行動しない |
レベル2:通常行動 | 必要な業務を適切に遂行する基本的なレベル |
レベル3:能動行動 | 目的を持ちスキル向上や創意工夫を行う |
レベル4:創造行動 | 自主的に課題を見つけ、成果向上に努力する |
レベル5:パラダイム変換行動 | 新発想で良い変化をもたらす行動 |
導入・評価・改善を行う
コンピテンシーモデルを実務に導入したら、まずはモデルを評価基準として従業員の評価を実施します。この評価を通じて、従業員の強みや課題を把握し、必要に応じてフィードバックとキャリアプランを提供します。
その後、評価結果からトレーニングや開発プログラムを設計し、従業員のスキル向上を支援します。また、定期的な評価サイクルを通じてモデルの有効性を検証し、必要に応じて改善を行います。
人事評価でコンピテンシーを活用する際のポイント
人事評価でコンピテンシーを活用する際には、いくつかのポイントがあります。ポイントを考慮しながらコンピテンシーを活用することで、評価プロセスの効果と公平性の向上につながります。
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人事評価でコンピテンシーを活用する際のポイント
PDCAサイクルを速く回す
人事評価でコンピテンシーを活用する際の重要なポイントは、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを速く回すことです。これは、計画を立てて(Plan)実行し(Do)、評価をしてから(Check)必要ならば改善を加える(Act)プロセスを指します。
迅速なPDCAサイクルを実行することで、従業員は素早くフィードバックを受け取り、成長の機会を得ることができます。また、組織も変化に適応しやすくなり、戦略の適時調整が可能です。
そして、評価プロセスは継続的な改善を通じてより効果的で公平なものとなり、組織全体のパフォーマンス向上に貢献します。
人事評価システムを活用する
人事評価システムは、組織内で従業員の業績や能力を評価・管理するツールです。中にはコンピテンシー評価に対応するシステムも存在しているため、従業員をコンピテンシーに基づいて評価することができます。
コンピテンシー評価をサポートするシステムは、評価基準の設定やデータの収集、評価プロセスの迅速化などに役立ち、公平かつ効果的な評価を実現します。
このようなシステムを活用することで、コンピテンシー評価を自動化しながら円滑かつ効率的に行うことができます。
人事評価システムとは?機能やメリット・デメリット、選び方を解説
人事評価システムとは、人事評価業務に関するデータ管理や評価シートの作成を自動化できるシステムです。本記事では、人事評価システムをよく知らない方や導入を検討している方のために、人事評価システムの機能や選び方、メリット・デメリットを解説しています。
まとめ
コンピテンシーは、従業員のスキル・知識・行動パターンを示す重要な要素であり、人事評価や採用・能力開発に活用されます。人事評価にコンピテンシーを導入するメリットとしては、公平な評価、明確な目標設定、成長の促進などが挙げられます。
しかし、導入には時間とリソースが必要で、導入コストと運用の複雑さがあるといったデメリットも存在します。なお、人事評価システムでコンピテンシーを活用することでプロセスを効率化し、従業員のスキル向上を支援することが可能です。
コンピテンシーは組織の成長と従業員の発展に有益な概念であり、適切に活用することで効果的な人事評価や組織全体の生産性向上につながります。
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