発注管理とは?納品の注意点や受発注管理システムについても解説

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  • 発注管理では、在庫数の確認が容易にできる状態を保つ必要がある
  • 納品の際は、納品書と発注内容が合っているか確認し、品質検査をしっかり行う
  • 発注管理を効率的に行うなら、受発注管理システムの導入がおすすめである

発注管理とは、商品の発注から仕入れまでの一連の流れを管理することです。部品や商品の欠品などを防ぎますが、それぞれ異なるフローが用いられており、発注管理業務は複雑化しやすいといった課題があります。本記事では、発注管理の概要や受発注管理システムについて解説します。

目次

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  1. 発注管理とは
  2. 発注管理業務の流れ
  3. 発注管理における納品時の注意点
  4. 発注管理を効率的に行う方法
  5. 受発注管理システムで発注管理を行うメリット
  6. 受発注管理システムを選ぶ際のポイント
  7. まとめ

発注管理とは

発注管理とは、商品の発注から仕入れまでの一連の流れを管理することです。製造業では製品を作るのに必要な材料や部品の発注を管理し、小売業は販売する商品の発注を管理します。

発注管理では、在庫数の確認が容易にできる状態を保つこと、発注タイミングや発注数を分かりやすくしておくこと、自社の利益を拡大できる発注先を選定しやすくしておくことなどが重要です。

以下では、発注とはどのような業務なのか、企業において発注管理を行うことの重要性について解説します。

発注とは

一般的な発注は「注文を出すこと」を意味しますが、ビジネスにおいては品物などを仕入れる場合のほかに、清掃業務や警備業務のような仕事を依頼する場合にも発注という言葉を使います。したがって、発注の業務範囲は広範囲に及びます。

そのうえ、発注業務はただ単純に物品や仕事を依頼するだけの業務ではなく、何を・いつ・どこで・どれだけ発注するかを決定する作業も含まれ、納入管理も発注担当者の業務になっている場合も多いです。

また、発注先や在庫管理担当者・納入担当者・製造担当者などとのコミュニケーションも重要です。

発注管理の重要性

発注フローの手順は多く、加えて仕入れる原料や部品によって異なるフローが用いられる場合もあり、手順は複雑です。しかし、発注業務の停滞やミスは企業全体の業務進行の妨げとなることも多く、慎重かつスピード感を持って正確に行うことが求められます。

また、発注ミスが起こると再発注や返品作業などの余分な業務が増え、企業の減収につながります。発注管理が確実にできていれば、製造計画に沿った製造を行えるうえに商品の欠品を防げ、企業にとって大きな収益につながります

発注管理業務の流れ

発注管理業務には、主に下記の4ステップがあります。ただし、ここで解説する内容は基本的なものであり、企業の特質や発注する物品によっても違いがあります。以下を参考に、独自の細かなフローを作成しましょう。

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購買依頼書の作成

購買依頼書とは、補充が必要な材料や部品・商品などの購入を、発注担当者に依頼する書類のことです。一般的には、それぞれの部門長の承認を得た後に発注担当者まで届きます。発注担当は、購買依頼書を受け取ってから発注作業に取りかかります。

購買依頼書を紙媒体で行う場合には、あらかじめ依頼日・依頼番号・商品名・購入目的・必要量・希望納期・納入場所などを記入する申請書の準備が必要です。また、受発注管理システム上で申請できるようにしておけば、回覧せずに部門長の承認が得られて便利です。

発注方式の選定

各企業が発注する品目は大変多く、それぞれの品目に合わせた発注方式を選ぶ必要があります。たとえば、清掃業務や点検業務・リース契約などは、何年間かをまとめて一括契約する場合が多いですが、備品購入などは必要な時に必要なだけ発注します。

また、製品の製造や販売に必要な原材料や部品・商品などは、在庫管理と連携を取りながらの発注となります。在庫量が多いと保管のために大きな倉庫が必要となり、不必要なコストがかかってしまいます。 反対に、在庫量が少な過ぎると欠品が生じます。

発注方式は、原材料や部品・商品などの必要量・保存可能期間・現在在庫量・在庫保管場所などあらゆる要素を考慮して行わなくてはなりません。発注方式にはいろいろありますが、最も使われる「定量発注方式」と「定期発注方式」について、以下で解説します。

定量発注方式

定量発注方式は、在庫が決められた量を下回った場合に、決められた量だけ発注する方法です。たとえば、「在庫が20個以下になったら50個仕入れる」など、あらかじめ決めておいたルールにしたがって発注します。

仕入れの時期や量を毎回検討する必要がなく、手間のかからない方法です。しかし、常に一定量消費する物品には有効ですが、時期によって販売量や生産量が大きく変化する場合は、欠品や過剰在庫が生じる恐れがあります

定期発注方式

定期発注方式は、発注を決められた間隔で定期的に行う方法です。たとえば、この商品は「毎月第1火曜日に発注する」と決めて発注業務を行います。発注量は毎回検討して必要量を発注するため、定量発注方式に比べると欠品のリスクは下がります。

定期発注方式では発注業務の発生日が事前に分かり、発注や支払業務の効率化が期待できます。しかし、発注量の間違いが過剰在庫や在庫不足の原因となり、ほかの業務に支障が出る場合があるため、発注量の判断は正確に行う必要があります。

発注先の選定

次に行うのは、発注先の選定です。原材料や部品・商品など頻繁に仕入れている物品は、これまでの取引に問題がなければ、従来の取引先に再度発注する場合が多いです。発注先を固定することで、品質検査等を軽く済ませることも可能です。

新規の物品の仕入れや発注先変更の場合は、新しい発注先選定のための期間が必要なため、購買依頼書を早めに提出してもらう必要があります。そして、いくつかの仕入先の商品の品質検査や、相見積りを取って最も条件がよい発注先を見つけます

ただし、発注先の選定は品質や価格ばかりでなく、自社の発注意図への理解や発注先の業務遂行能力、コミュニケーション方法なども選定の基準となります。企業によっては高品質な物品であっても、必要なロット数が決められた納期で納入できない場合もあります。

注文書の作成・送付

発注先が決まったら、正式に発注するための発注書を作成して発注先に送付します。発注書には、発注日・商品名・単価・数量・納期・支払条件・有効期限などを記入します。事前に見積書を取った場合は見積り通りかを確認し、見積書ナンバーも記入します。

発注書はなくても、電話や口頭などでも取引は成立しますが、受注側とのトラブルを防ぐためにも発注書を発行しておいた方が安全です。ただし、下請法では親会社は発注書の発行が義務付けられています。

発注書の送付は、受注側との合意があれば郵送・メール・FAXなど、どのような方法でも問題ありません。先にFAXやメールで内容を送り、後から原本を郵送するとより丁寧であり、トラブルの防止にもつながります。

発注管理における納品時の注意点

発注した後は、確実に納品されているかの確認が必要です。ここでは、発注管理における納品時に注意すべき4つのポイントについて解説します。

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納品書と発注内容が合っているか確認する

納品書は、受注先が納品したことを証明するために発行する書類で、出荷日・商品名・数量・単価・小計金額・消費税・納品物・出荷者情報・インボイス制度にかかわる必要事項が記載されています。納品書の発行は義務ではないものの、多くの業者が発行しています。

納品書を必ず発行してほしい場合は、事前に確認した上で発注する必要があります。納品時に重要なのは、発注内容と納品書または納品物が一致しているか確認することです。発注内容と納品物が一致している場合は、受領書を発行するのが一般的な流れです。

なお、発行された納品書には保管義務があり、原則として法人は7年間、個人事業主は5年間の保管が必要です。また、納品書を電子データとして受け取った場合は、電子データで保管しなければなりません。

品質検査を正確に行う

納入された物品が受注先に要求した品質基準を満たしているかを調べることは、自社製品の品質を守るために大変重要な業務です。特に、初めての発注業者や品質基準に変更があった場合は慎重に行う必要があります。

また、発注・契約前に求める品質基準・検査方法・検査スケジュール・品質基準を満たさなかった場合の対応などを両者でよく話し合って契約書に記載しておくと、スムーズな納品ができます。納品物によっては、外観検査のみで品質検査の必要がないものもあります。

損傷・損失があった際は速やかに記録と報告を行う

納品前の損傷・損失の責任は原則受注側にあり、納品後の損傷・損失の責任は原則発注側にあります。損傷や損失があった際は、速やかにどこにどのような損傷や損失があるかを記録し、報告しましょう。

報告は、納入前であれば受注者に、納入後であれば社内ルールにしたがって行います。したがって、どの時点で納入完了とするかを事前に明確にしておかなくてはなりません

納品された商品の在庫管理も適切に行う

発注管理と在庫管理は関連して行う必要があります。商品の在庫数や消費スピードが適切に管理されていなければ、最適なタイミングで発注を行えず、在庫不足や過剰在庫になる可能性があるためです。

そのため、受発注管理システムには在庫管理機能を搭載したものも多くあります。自社に適した方法で正確な在庫管理を行い、必要なタイミングで商品が納品されるように発注を行いましょう。

発注管理を効率的に行う方法

発注管理を効率的に行うために用いられる代表的なツールが、「Excel」と「発注管理システム」です。ここでは、この2つの方法の概要について解説します。

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発注管理を効率的に行う方法

  1. Excel
  2. 受発注管理システム

Excel

発注管理を表計算ソフトのExcelで行うことも可能で、関数を利用して自動計算できるようにしておけば、手作業で行うより楽な処理ができます。Excelを利用した発注管理は、コストを抑えられる方法として根強い人気があります。

しかし、導入当初には関数を用いた発注管理表の作成が必要です。また、誰でも使えるようにさまざまな作業を自動化しようとするとVBAの知識も必要になります。さらに、複数の人が1つのExcelを同時に入力できないなどのデメリットもあります。

Excelのようによく使用されるスプレッドシートは同時に複数人で使用できますが、関数などの高度な知識が必要な点はExcelでの管理と同じです。

受発注管理システム

受発注システムとは、受注や発注の業務をデジタル化して効率的に行うシステムです。システムには、購買計画・仕入先管理・取引契約・価格管理・品質管理・在庫管理・出荷管理・請求管理などさまざまな機能が搭載され、幅広い範囲で活用できます。

また、受発注管理システムはデータが一元管理され、許可された人であれば誰でもリアルタイムのデータが閲覧・利用でき、業務の属人化の解消にも役立ちます。さらに、過去の取引データも必要に応じて引き出せるため、発注先の選定も楽になります。

発注書や納品書を電子データでやり取りする場合、電子データでの保管が義務付けられています。しかし、受発注システム内でやり取りすれば、そのまま電子データとして保管できるため、別途ファイリングする手間とコストが省けます

受発注管理システムで発注管理を行うメリット

発注管理を効率的に行う方法を2つ紹介しましたが、受発注管理システムによる発注管理には、Excelでの発注管理では得られないメリットがあります。ここでは、受発注管理システムで発注管理を行うメリットについて解説します。

大幅な効率化が期待できる

発注管理はExcelでも効率化できますが、それは手作業と比較したらであり、Excelと受発注管理システムを比較した場合はシステムを利用した方が効率化を図れます。

Excelは同時に複数人で使用できない点が大きなネックであり、Excelでの発注管理業務の効率化に限界があるのはこれが大きく影響しています。受発注管理システムは同時に複数人で使用できる上に、自動化できる作業もあるため、大幅な効率化が可能です。

発注ミスを減らせる

受発注管理システムは、在庫数が一定以下になったタイミングで自動で発注してくれるため、発注漏れや発注の重複、発注数の入力ミスなどを防げます

システムを使わない場合、発注は手作業で行わなければならず、発注漏れや発注数の入力ミスを完全に防ぐことはできません。食品を発注する際に10と入力すべきところを間違えて100と入力した場合、消費期限の兼ね合いで多くのロスが出る可能性もあります。
受発注管理システムによって発注ミスを減らせれば、ミスによる無駄なコストの発生も防げます

受発注管理システムを選ぶ際のポイント

受発注管理システムは、発注・受注から納品までの業務を一括管理できるITシステムです。しかし、受発注管理システムの種類は多く、自社にとって最も効果的なシステムを選択しなければなりません。ここでは、自社に適したシステムを選ぶポイントを解説します。

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自社に必要な機能が揃っているか

受発注管理システムにはさまざま機能が搭載されており、多機能なほど導入コストや月々の利用料が高額になります。中には、自社では利用しない機能が搭載されていたり、自社に必要な機能がなく業務の効率化を阻害してしまったりする場合もあります。

したがって、導入する際には自社に必要な機能を精査し、必要機能だけを搭載したシステムを選ぶのがおすすめです。ただし、オンプレミス型で導入する場合は、将来の事業拡張も考慮した機能選択が必要になります。

使いやすい操作性か

受発注管理システムのメリットの1つに、受発注業務の属人化防止があります。このメリットを最大限活かすには、操作性が優れた使いやすいシステムを選び、誰もが使える環境を作ることが大切です。

最近のクラウド型システムでは、タブレットやスマホを利用して外出先で受発注業務が可能なものも増えてきました。外出先から受発注ができれば、購買依頼書や発注書を作るためだけに自社に戻る必要がなくなり、働き方改革の一環にもなります。

自社と同じ業種・業界への導入実績があるか

受発注のフローや方法は製造業や小売業・ECサイト運営など業種によって異なり、それぞれの業種に独特の方法を用いている場合も少なくありません。したがって、自社と同じ業種・業界への導入実績があるベンダーが提供するシステムがおすすめです。

ベンダーは、導入した企業からさまざまな声を聞き、常にシステムの改善に努めています。自社と同じ業種への導入実績の多いベンダーは、その業種の受発注の仕方などに精通し、その業種に使いやすいシステムとなっている場合が多いです。

サポート体制は充実しているか

企業に導入する業務システムは、導入して終わりではありません。それらのシステムが自社の業務になじみ、業務の効率化が図れて初めてシステム導入が成功したといえます。そこに至るまでは、導入したベンダーからのさまざまなサポートが必要です。

しかし、ベンダーのサポート体制には差があるのが実態です。したがって、サポート体制の充実はシステム選定の1つのポイントになります。無料サポートと有料サポートの範囲の確認や、問い合わせ方法・サポート対応時間などの確認は必須です。

費用対効果が見合っているか

費用対効果とは投じたコストに対して得られた効果のことであり、受発注管理システムを選定する際の重要なポイントです。費用は選定するシステムによって異なり、機能性や提供形態、サポート体制などにより変動します。

また、システムによって提供されるプランもさまざまで、月額固定料金のシステムもあれば、受発注の件数によって費用が変動するシステムもあります。受発注管理システムは導入したら長期的に運用を続けていくシステムであるため、無理のないコスト管理が必要です。

そのため、まずは自社の導入目的や求める要件、予算を明確化し、それらを満たした費用対効果の高いシステムを選定しましょう。

まとめ

発注管理とは、商品の発注から仕入れまでの一連の流れを管理することです。不適切な発注管理は、過剰在庫や欠品などのリスクがあり、企業の収益と信用に悪影響を及ぼすこともあります。発注管理は企業の根幹を支える重要な業務です。

発注業務フローには多くのステップがあり、その中でも適切な発注方式や発注先の選定は慎重に行う必要があります。また、発注した商品が自社の求めた品質基準以上であるか確認する品質検査は、自社製品の品質を保つためには欠かせない業務です。

業務が多岐にわたり複雑化している発注管理の業務の効率化には、受発注管理システムの導入がおすすめです。受発注管理システムの導入は、業務の効率化以外にも企業のDXの推進や働き方改革、ペーパーレス化にも貢献します。

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