ロケーション管理とは?管理方法やメリット・効率化する方法を解説
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- ロケーション管理とは、倉庫内の商品や材料に数字などを割り振って管理する方法である
- ロケーション管理を行うことで、モノを探し回る必要がなくなり、ピッキングミスも減る
- ロケーション管理を効率化するなら、作業の自動化に繋がる在庫管理システムがおすすめ
ロケーション管理とは、倉庫内の商品や材料に数字などを割り振って、どこに何があるかを分かりやすく管理する方法のことです。ロケーション管理を行うことで、作業効率の向上に繋がります。本記事では、ロケーション管理の概要やメリット・注意点などを解説しています。
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ロケーション管理とは
ロケーションとは、倉庫内の商品や材料を保管する場所のことです。その場所に対してロケーションと呼ばれるコードを割り振ることで倉庫内の商品の保管場所をデータ化でき、管理の容易化が実現します。
そして、倉庫内の商品の保管場所を管理することをロケーション管理と言います。ロケーション管理をすると商品の保管場所が明確になり、ピッキング業務が効率化されて作業時間の短縮やコスト削減につながります。
本記事では、ロケーション管理の概要やメリット、注意点、ロケーション管理を効率化するための方法などについて詳しく解説します。
ロケーションの付け方
ロケーションは、倉庫内における商品の所在地を示す住所のようなものです。商品ロケーションの付け方は、ラック・平置きなど保管方法により異なります。以下では、ロケーションの付け方について解説します。
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ラック
ラックは空間を立体的に使って商品を保管できるので平置きよりも保管スペースの効率が良い点が特徴です。また、ピックアップのための導線も短くて済むため、多くの企業で用いられています。
ラックのロケーションでは一般的に「列・連・段」を使用し、A列・2連・3段にある商品は「A-2-3」などと表記します。倉庫が複数ある場合には、「列・連・段」の前に倉庫番号を記載すると良いでしょう。
このように、ロケーションを付けると、探している商品がどこにあるかを見付けやすくなり、ピッキング作業の効率が上がるとともにミスを軽減できます。また、表記が統一されるためデータ管理がしやすくなるメリットもあります。
平置き
平置きは、商品を床もしくはパレットと呼ばれる荷台の上に置いて保管する方法です。平置きでロケーションを付ける場合は、床に直接線を引いてロケーション番号を割り当てます。
平置きは、ラックでは入りきらないサイズが大きく重量のある商品を保管でき、パレットごとフォークリフトで運べるのがメリットです。しかし、在庫の保管に広大なスペースを要するため、ラックに比べて保管・作業効率に劣るというデメリットもあります。
ロケーション管理の方法
ロケーション管理の方法には、固定ロケーション・フリーロケーション・ダブルトランザクションの3つがあります。以下で、それぞれの方法について解説します。
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ロケーション管理の方法
固定ロケーション
固定ロケーションとは、商品ごとに固定の保管場所を割り振る方法です。商品の種類・サイズ・出荷頻度などを考慮してロケーションを割り振り、この商品はA-1-2に置くと決めたらその商品は毎回必ずA-1-2に保管します。
ロケーションの付け方がシンプルでわかりやすく、何がどの場所に保管されているかを明確に把握できるため、管理するアイテム数が少ない企業や、システム化が進んでいない企業で採用されるケースが多い管理方法です。
固定ロケーションのメリット
固定ロケーションでは、各在庫の保管場所が固定しているため、何がどの場所に保管されているかを従業員が把握しやすいメリットがあります。
複数の商品が同じ場所に保管されていると、ピッキングの際に商品を探す手間と時間がかかりますが、固定ロケーションでは1ロケーションに1種類の商品を保管するため、商品を探しやすくピッキング作業が容易です。
また、在庫が減っていることが見た目ですぐにわかるので、在庫補充のタイミングを把握しやすく、欠品リスクを減らせます。在庫管理をシステム上で行っていない企業は、固定ロケーションで管理するとピッキングや欠品などのミスを減らせます。
固定ロケーションのデメリット
固定ロケーションは、在庫を置く場所が固定されているため、Aの在庫が減ったからといってAのスペースに他の商品の在庫を置くことはできません。このように、管理方法の柔軟性に欠け、空いているスペースの有効活用ができないというデメリットがあります。
また、新商品を導入する場合や既存商品を廃止する場合はロケーション割り振りの変更が必要になり、そのための変更作業に手間や運用コストが発生する点もデメリットです。
しかし、ロケーション管理システムを導入することで、ロケーションの割り振りや変更を効率化することが可能になります。
フリーロケーション
フリーロケーションとは、商品の入出庫状況に合わせて保管場所を柔軟に変更できる管理方法です。出荷頻度の高い商品はピッキングしやすい手前側に保管するなど、需要に合わせてロケーションを割り振れます。
保管効率が上がり、限られた倉庫面積でより多くの在庫を保管できる利点があります。
フリーロケーションのメリット
フリーロケーションは、商品の種類・サイズ・出荷の頻度が変わっても、常に最適なロケーションで保管できます。そのため、ピッキングの効率が向上し、作業時間が短縮できるのがメリットです。
空いたスペースを活用しながら在庫を管理するので、倉庫のスペースを無駄なく有効に使えます。また、新商品を導入する場合や既存商品を廃止する場合でも、ロケーションの割り振りを変更する必要がありません。そのため、運用コストの削減が可能です。
フリーロケーションのデメリット
フリーロケーションは、以前はA-1-2にあった商品の場所が現在はA-3-4に変更されているなど、在庫の保管場所が流動的です。
そのため、以前の記憶を頼りに在庫を探しに行くと、ロケーションが変更されていて無駄足を踏む可能性があるため注意が必要です。フリーロケーションは在庫の場所がわかりにくく、固定ロケーションと比べてピッキングのミスが起こりやすいデメリットがあります。
また、在庫管理システムを導入していない企業ではロケーション管理が複雑になる可能性があります。
ダブルトランザクション
ダブルトランザクションとは、倉庫をピッキングエリア・ストックエリアの2つのゾーンに分けて商品を保管する、固定ロケーションとフリーロケーションの利点を掛け合わせた在庫管理方法です。
ピッキングエリアとは商品をピッキングする場所で、出荷頻度の高い商品や頻繁にピッキングする商品を保管しておきます。ストックエリアは商品を保管する場所で、出荷頻度の低い商品や大量に保管する商品を保管しておきます。
ダブルトランザクションのメリット
前述の通り、固定ロケーションでは空いたスペースの有効活用ができず、フリーロケーションでは在庫の保管場所が流動的で管理しづらいというデメリットがあります。それらのデメリットを解消できるのが、ダブルトランザクションです。
固定ロケーションで運用するピッキングエリアの在庫が少なくなったら、フリーロケーションで運用するストックエリアから商品を補充します。ピッキングエリアではあまり在庫を置かずに済むため、限られた倉庫スペースを有効活用できます。
また、ストックエリアから在庫が補充されるため、ピッキング導線を短縮できて効率的なピッキング作業が可能になります。
ダブルトランザクションのデメリット
ダブルトランザクションでは、ピッキングエリアとストックエリアを分割しているため、ストックエリアからピッキングエリアへの商品補充が必要になります。
商品補充のための人員がある程度確保できていて、補充の手順がしっかり確率されている分には問題ありませんが、商品補充に不備があれば余計な作業負担が発生してしまうでしょう。また、エリアを分割して運用するため運用コストもかかります。
さらに、商品の種類・サイズ・出荷頻度が多ければ、それだけ在庫のロケーション管理は複雑になって生産性が低下します。在庫管理システムを導入するなどして、効率的な在庫管理体制を整えるようにしましょう。
ロケーション管理を行うメリット
ロケーション管理には、作業効率の向上やピッキングミスの削減、顧客満足度の向上、棚卸し作業の効率化などのメリットがあります。以下では、ロケーション管理を行うメリットについて詳しく解説します。
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ロケーション管理を行うメリット
作業効率の向上
ロケーション管理が適切に行われていない場合、商品在庫を探すのに余分な時間がかかって作業効率が低下します。そうなれば、1日に発送可能な商品数が少なくなり、なかなか利益も上がりません。
ロケーション管理が適切に行われていれば、目的の商品がどこに置かれているか在庫の所在地が一目瞭然になり、商品在庫を探す時間が短縮されてピッキング効率を向上できます。
また、ピッキング作業が効率化されることにより、従業員が商品を探し回るためにかかる時間や距離を短縮できます。従業員の作業負担を減らすと同時に、人的コストの削減にも貢献します。
ピッキングミスの削減
ロケーション管理を行わないと、商品の所在地が不明瞭で商品を探すのに手間がかかってしまいます。作業負担が増えると従業員の集中力が低下し、ピッキングミスが発生する可能性が高まります。
しかし、ロケーション管理を行っていれば、商品の所在地が明確になり在庫管理の精度が向上するため、従業員がピッキングを行う際の正確性が上がります。これにより、人的なピッキングミス防止が可能になります。
顧客満足度の向上
ロケーション管理を行うことで在庫管理の精度が上がれば、顧客からの注文を受注して発送するまでに要するリードタイムを短縮できます。
顧客が納品を急いでいるケースもあるため、注文をスピーディーかつ正確に発送できる体勢が整っていることは、顧客満足度の向上に繋がります。
棚卸し作業の効率化
棚卸し作業は、倉庫管理において定期的に発生する業務であり、倉庫内の全ての在庫の数量を数えるため、非常に多くの時間や手間・人的コストがかかります。ロケーション管理は、このような棚卸し作業の効率化にも有効です。
ロケーション管理により、商品の保管場所が明確になっているため、探す手間がなく、効率的に数をカウントできます。また、複数拠点の倉庫の棚卸し作業をまとめて行う場合にも、各拠点のロケーションが管理されているため、無駄のない作業が可能です。
ロケーション管理を行う際の注意点
ロケーション管理を行う際には一定のコストが必要です。また、在庫管理システムを効果的に運用するためには従業員への周知・研修が必要であり、慣れるまでに時間を要します。ここでは、ロケーション管理を行う際の注意点について解説します。
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ロケーション管理を行う際の注意点
コストがかかる
ロケーション管理を導入する際は、商品を保管するためのオリコン・パレットなどの設備が必要です。オリコン・パレットは、商品の種類やサイズに合わせて揃える必要があるため、オリコン・パレットの種類や数が多ければ、その分コストも増加します。
また、ロケーション管理を導入するにはシステム化の検討も重要です。在庫管理システムを導入すれば、ロケーション管理を効率化できますが、システムの導入や運用にかかるコストが高額になります。
無駄なコストを避けるには、費用対効果を考慮して自社に合ったロケーション管理を行うことが大切です。
従業員への研修が必要
従業員がロケーション管理の目的や仕組みを理解していなければ、システムを導入しても効果的に運用できません。そのため、在庫管理システムを導入する際には、従業員にロケーション管理の重要性や在庫管理システムの操作方法について研修を行う必要があります。
研修では、従業員に以下の内容について理解してもらうことが大切です。
- ロケーション管理の目的
- ロケーション管理の仕組み
- ロケーション管理の運用方法
- 在庫管理システムの操作方法
在庫管理システムをスムーズに導入するためには、できるだけ早い段階でマニュアルを作成して研修を行うようにします。また、導入後しばらくは従業員が作業に慣れるまでに時間がかかることを念頭に置いておきましょう。
ロケーション管理を効率化するための方法
ロケーション管理を効率化するための方法には、主にExcelを使用する方法と在庫管理システムを使用する方法、在庫管理アプリを活用する方法の3通りがあります。以下では、それぞれの方法について解説します。
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Excel
Excel(エクセル)でのロケーション管理は、ロケーション管理のルールを定め、ロケーション管理表を作成して行います。一般的には、「担当者」「商品コード」「入庫数」「出庫数」「在庫数」「ロケーション先」などを表に入力して管理します。
Excelは既に導入されている企業も多く、その場合、導入コストがかかりません。また、在庫管理表はインターネット上で無償で提供されているものもあるため、自社で作成する手間もありません。Excelでの在庫管理は、費用をかけず手軽に利用できる点がメリットです。
一方、商品の入・出庫のたびにデータを手入力で管理しなければならないため、作業負担が増えます。そのため、作業効率が思うほど上がらなかったり、手入力が増えることで人為的なミスが起こったりする可能性があります。
在庫管理システム
在庫管理システムは、在庫の入出庫や在庫状況を自動で管理します。入庫時にハンディターミナルを使用してロケーションおよび商品のバーコードを読み取ると、入庫数やロケーションのデータが自動で登録・集計されます。
そのため、「どの商品が、どこにいくつ保管されているか」を正確かつリアルタイムに把握することが可能です。また、Excelのように手入力をする必要がないため、ヒューマンエラーが起こりにくく、在庫管理の精度も向上します。
Excelに比べてコストはかかるものの、コストに見合った費用対効果が期待でき、導入メリットは大きいと言えます。Excelでの管理に行き詰まっている場合は、在庫管理システムの導入も検討してみましょう。
在庫管理システムは大きく3つの種類に分けられます。それぞれメリット・デメリットを確認して自社に合うものを選びましょう。
パッケージ型
パッケージ型は、ソフトウェアを購入してPCにインストールする在庫管理システムです。比較的低価格なものが多いため、小規模企業におすすめです。ただし、複数のPCでは管理できないため注意しましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
・手間やコストを抑えられる ・ネットワーク環境が整っていなくても使用可能 ・自社内で完結するため情報が漏れるリスクが低い | ・1つのPCでのみ管理できることが多い ・スマホやタブレットで使用できない |
オンプレミス型
オンプレミス型は、自社のサーバーにシステムを構築する在庫管理システムです。導入コストはかかりますが、自社にとって最適な機能をカスタマイズでき、既存のシステムとの連携もしやすいです。
メリット | デメリット |
---|---|
・自由にカスタマイズできる ・既存のシステムと連携しやすい ・サーバーへの接続が早い | ・初期費用、維持費用がかかる ・障害は自社で対応しなければならない ・導入までに期間を要する |
クラウド型
クラウド型は、インターネット上に構築されたシステムを利用する在庫管理システムです。クラウド型のサービスを利用している企業は多く、カスタマイズ性はサービスやプランに依存しますが、コストや手間を抑えたい中小企業にもおすすめです。
メリット | デメリット |
---|---|
・導入費用、維持費用を抑えられる ・導入の手間がかからない ・障害発生時はサービス提供会社が対応 | ・カスタマイズ性はサービスに依存する ・既存のシステムに連携できない場合がある |
在庫管理アプリ
在庫管理アプリとは、スマートフォンにダウンロードして活用でき、カメラでQRコードやバーコードを読み込むなどして、在庫管理業務を効率化・自動化できるツールのことです。
スマートフォンで活用できる手軽さや、ハンディターミナルなどの機器への投資が必要ないことからコストを抑えて導入でき、近年利用する企業が増加しています。また、前述した在庫管理システムとの違いは、主に活用できる機能の範囲です。
在庫管理アプリは在庫管理システムに比べて、シンプルな機能で構成されており、コストを抑えて導入したい小売店やECサイトなどに適しています。在庫管理システムのような販売管理・生産管理などの幅広い機能は備わっていないケースも多いため注意が必要です。
また、中には、在庫管理アプリを合わせて提供している在庫管理システムもあります。自社の予算や導入目的、求める機能性を明確にした上で、比較検討して選定しましょう。
まとめ
ロケーション管理は、倉庫内の商品に記号や数字を割り振り、どこに何があるかを分かりやすくする管理方法です。ロケーション管理を行うことで、作業効率の向上やピッキングのミス防止、顧客満足度の向上が期待できます。
ロケーション管理を効率化するには、Excelや在庫管理システム・アプリを利用する方法がありますが、Excelでの管理は手間がかかりヒューマンエラーも起こりやすいため、在庫管理業務を自動化・効率化できる在庫管理システム・アプリの導入がおすすめです。
システム導入には多額のコストがかかりますが、倉庫管理業務を効率化できれば運用コストの削減が見込めます。本記事を参考にロケーション管理についての理解を深め、システムを導入して在庫管理の効率化を目指しましょう。
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