メール暗号化ソフトとは?導入のメリットや比較のポイントも解説
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- メール暗号化ソフトにより、メール本文・添付ファイルなどを暗号化することが可能
- 効率的にセキュリティ対策ができ、受信者側ではソフト導入が不要であることもメリット
- 暗号化方式や暗号化技術の詳細を事前に確認してから導入することが重要
メール暗号化ソフトとは、メール内容を暗号化することで、大切なデータや情報を守るためのソフトです。この記事では、メール暗号化ソフトの種類や機能、導入のメリット・デメリット、ツールを選定する際の比較ポイントなどについても詳しく解説していきます。
目次
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メール暗号化ソフトとは
メール暗号化ソフトとは、メールの内容を暗号化して、重要なデータや情報を守るためのソフトです。メールの本文や添付ファイルを暗号化してやり取りすることで、個人情報や企業の機密情報、重要な資料などをセキュリティ上のリスクから守ることができます。
メールの暗号化自体はソフトを使わなくてもできますが、ソフトを導入することでより手軽かつ安全に、セキュリティ強化を実現させることができます。
メール暗号化とは
メール暗号化とは、メールの本文や添付ファイルなどの内容を、第三者に把握されないように加工し処理する仕組みのことです。暗号化は、メールに記載されている内容を、別の文字に置き換えて送信することを指します。
送信されたメールは、受け取り側で元の内容に戻して閲覧します。この作業を「復号」と言います。復号のための鍵を用いることで、メールの内容を確認できる仕組みになっています。
メール暗号化の必要性
メール暗号化が必要とされている理由のひとつは、メールによる情報漏洩などのトラブルが増加傾向にあり、会社の事業に影響を及ぼすリスクが高まっているためです。
悪意を持った第三者による不正アクセスは、メールも対象になります。メールの文面や添付ファイルが暗号化されていないと、アクセスさえ成功すれば容易にそれらを見たり、改ざんしたりといったことができてしまいます。
現代では多くの人がビジネスでメールを活用しますが、ビジネスメールには外部に漏れてはいけない機密情報や個人情報が含まれている場合も多いです。メールからの情報漏洩やメール内容の改ざんを防ぐため、メール暗号化は重要な対策と言えるでしょう。
メール暗号化ソフトの種類
メール暗号化には、送信者と受信者が異なる鍵を使用して、メールの内容を暗号化・復号する方式の公開鍵暗号方式と、送信者と受信者が同じ鍵を使用して、メールの内容を暗号化・復号する方式の秘密鍵暗号方式(共通鍵暗号方式)の2種類があります。
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公開鍵暗号方式
公開鍵暗号方式は、公開鍵と秘密鍵の2つの鍵によって暗号化と復号を行う方式です。まず、送信者は受信者から公開鍵を受け取ります。公開鍵は名前の通り公開されているため、誰でも取得が可能です。
送信者は、この公開鍵を使用してメールを暗号化します。そして、受信者は受信したメールを秘密鍵で復号し閲覧します。公開鍵では、メールの暗号化はできても復号はできず、公開鍵で暗号化した内容を復号できるのは秘密鍵のみです。
秘密鍵を所持しているのは受信側であるため、暗号化されたメールの内容を閲覧できるのは受信側のみとなります。
共通鍵暗号方式
共通鍵暗号方式は、暗号化と復号する際の鍵が同じである方式です。そのため、メールの送信者側と受信者側は、同じ鍵を持っておくことになります。この鍵に関する情報は送信側と受信側の間でのみ共有されるため、セキュリティに優れた方式と言えます。
この方式では公開鍵暗号方式に比べて暗号化の工程が少ないものの、暗号化と復号に同じ鍵を使うため、送信側と受信側で鍵を共有する際に、安全に鍵を送信する必要があります。また、複数人にメールを送信する際には、その人数分の鍵のセットを準備する必要もあります。
メール暗号化技術の種類
メール暗号化ソフトでは、公開鍵暗号方式・共通鍵暗号方式という種類の他に、使われている暗号化技術もソフトによって違いがあります。以下の暗号化技術はどちらの暗号化方式にも使われますが、違いは知っておく必要があります。
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SSL・TLS方式
SSL(Secure Sockets Layer)・TLS(Transport Layer Security)は、インターネット上におけるデータ通信を安全に行うための暗号化技術です。表記は異なりますが、どちらも同じ機能を持ちます。
この方式では、第三者機関が発行する証明書(サーバー証明)が必要となります。これにより、送信内容が通信途中で改ざんされていないか検出することができます。
SSL・TLS方式はWebサイトでも広く使われており、URLの始めが「http」ではなく「https」となっていれば通信が暗号化されている証拠です。
PGP・S/MIME方式
SSL・TLS方式では通信を暗号化するのに対し、PGP・S/MIME方式ではメールや添付ファイルのデータ自体を暗号化します。
PGP(Pretty Good Privacy)では、「Web of Trust(信用の輪)」という考え方に基づいて公開鍵の正当性が保証され、ユーザー自身が鍵を管理します。
一方、S/MIME(Secure/Multipurpose Internet Mail Extensions)では、第三者機関によって公開鍵の正当性が保障されています。
メール暗号化ソフトの機能
メール暗号化ソフトには、上記のような暗号化以外にも様々な機能が備わっています。よく見られる機能は以下の3つですが、ソフトによって使用できる機能が異なるため、事前にソフトごとの機能をよく確認しておきましょう。
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メール暗号化ソフトの主な機能
送信データの暗号化機能
メール暗号化ソフトのメイン機能である送信データの暗号化機能では、メールの内容を暗号化します。簡単な設定をすれば、あとはメールを普段通りに送信するだけで自動的に暗号化されるため、送信する際の手間はかかりません。
メールの暗号化は本文だけでなく、添付ファイルを自動で暗号化したり、Webダウンロード化したりすることも可能です。添付ファイルを閲覧するためのパスワードやダウンロード用URLは、自動発行・自動送信できます。
メール誤送信防止機能
メール誤送信防止機能を備えたサービスもあり、メールの送信前に送信先のアドレスや文章、添付画像などの確認のためのポップアップが表示されるソフトもあります。その際、誤送信に気がつくと、誤った内容のメールの送信を中止することが可能です。
ポップアップでの確認作業以外にも、上司の承認などによる二重のチェックや、一定時間保留にしてから送信することを可能としているソフトもあります。
既存メールソフトとの連携機能
既存メールソフトとの連携機能は、その名の通り、自社で使っているメールサービスと連携させて利用できる機能を指します。すでに使用しているメールシステムと連携ができれば、メール暗号化ソフト導入後も従来と変わらない使い勝手のまま使用できます。
GmailやOutlookなど、広く使われている代表的なメールサービスであれば対応可能なので、この連携機能を使って簡単にメール暗号化を導入することができます。
また、ファイル転送システムなどと連携可能なソフトもあるため、自社がどのシステムとの連携が必要なのかを事前に確認して、より適した連携機能が備わっているソフトを選びましょう。
メール暗号化ソフトのメリット
メール暗号化ソフトは、導入することで送信者側にも受信者側にもメリットがあります。送信者も受信者も負担なくセキュリティを強化することができます。
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メール暗号化ソフトのメリット
効率的にセキュリティ対策ができる
メールの内容を自動暗号化できるメール暗号化ソフトを用いれば、メール送信者側は効率的にセキュリティ対策ができます。特定の用語やクレジットカード番号などを認識し、暗号化を行うかどうか自動で判断してくれる機能が備わっているソフトもあります。
自動で暗号化ができるため、送信者側は通常の手順を変えずにセキュリティ性の高いメールを送信することができる魅力があります。
受信者側のソフト導入が不要
メール暗号化ソフトは、送信者側で導入をすれば、受信者側では特にソフトなどを導入する必要がありません。受信者側は通常のメールシステムを使用するのと変わらずに業務を行えます。そのため、受信者側に負担をかけることなくセキュリティ対策ができます。
電子署名が標準で含まれている
電子メールには、電子証明書を使って電子署名をつけることができます。この機能は、メールの送信者が誰であるか保証するもので、なりすましを防止でき、万が一メールの内容が改ざんされた場合も検知することができます。
しかし、電子署名を単体で導入する場合、月額制などで費用がかかるほか、証明書の管理などの手間がかかります。また、電子署名だけでは不正アクセスによるメールの盗聴は防げません。
その一方で、メール暗号化ソフトには電子署名が標準で含まれているため、不正アクセスの防止も実現しながら手軽に電子署名を導入することができます。
メール暗号化ソフトのデメリット
以上のように、メール暗号化ソフトには多くのメリットがありますが、その一方でデメリットが発生することもあります。メール暗号化ソフトを導入する際には、以下のデメリットになり得る点も把握しておきましょう。
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メール暗号化ソフトのデメリット
受信者側の手間が増えてしまう
受信者側は、メール暗号化ソフトの導入は必要ありませんが、添付ファイルを開く際などに、パスワードを入力して複合する必要があります。その際、パスワードを別のメールで受け取る必要があるため、メール閲覧のための手間が1つ増えてしまいます。
また、各企業によってセキュリティポリシーが異なるため、特別な要件を満たさなければならないこともあります。
そのため、事前にメール暗号化ソフトを用いてメールを送信する旨を受信者側の企業に伝達し、暗号化するメールの範囲を決めたり、その他に取り決めておくべき事項がないか確認したりしておくと良いでしょう。
セキュリティに対する意識の低下に繋がる
メールの暗号化は、セキュリティ対策に優れたサービスと言えますが、暗号化ソフトが自動で処理を行うため、暗号化処理を意識することなくメールを作成・送信することになります。
そのため、メールの作成者は自分でセキュリティ対策を行うといった意識が低くなります。暗号化ソフトが自動で処理を行うことから、大きな手間をかけることなく効率的にセキュリティを強化できるのは大きなメリットと言えます。
しかし、メールにおけるセキュリティリスクをソフトだけですべてカバーできるわけではありません。ソフトの機能だけに頼らず、送信者も常に高いセキュリティ意識を持って利用することが大切です。
メール暗号化ソフトを選ぶ際の比較ポイント
メール暗号化ソフトを選ぶ際、方式や技術、機能面など確認すべき点があります。具体的にどのようなポイントを注視してメール暗号化ソフトを選ぶのが良いか、解説します。
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メール暗号化ソフトを選ぶ際の比較ポイント
暗号化方式を選択できるか
メールを暗号化する際の方式は、前述のように公開鍵暗号方式と共通鍵暗号方式の2種類の方式があります。メール暗号化ソフトには、このどちらかを搭載したソフトと、両方に対応したソフトがあるため、事前に確認しましょう。
公開鍵暗号方式は処理速度が遅いのがデメリットですが、鍵の管理が簡単な点はメリットと言えます。一方共通鍵暗号方式は各送信先に鍵を用意する必要があり、管理が煩雑になる点がデメリットですが、セキュリティの高度が高いのがメリットです。
また、共通鍵暗号方式は処理の速度が速いため、メールでのやり取りにスピードを求める企業にとっては特に有効的です。また、暗号化や復号をする際にサーバーに大きな負荷をかけずに行えるため、大容量のデータを効率的に扱えるのも利点です。
セキュリティ面や管理方法などそれぞれ特徴が異なるため、どのような点を重要視するかによって、どちらの方式を導入するか選びましょう。
どのような暗号化技術を採用しているか
暗号化の技術も、SSL・TLS方式とPGP・S/MIME方式の2種類があります。一般的には、メールや添付ファイルのデータそのものを暗号化するPGP・S/MIME方式の方がより高いセキュリティ効果が期待できるとされています。
ただし、PGPとS/MIMEのどちらを選択するかも重要です。第三者機関による証明書が発行されるS/MINEの方が信頼度は高いと言えますが、コストがかかります。自社が求めるセキュリティの強度などを基準にして選択しましょう。
他ソフトとの連携機能はあるか
導入するメール暗号化ソフトが、自社ですでに使っているメールシステムと連携できれば、そのシステムを使い続けることが可能です。多くの暗号化ソフトが有名なメールシステムと連携できますが、念のため自社が使っているメールシステムと連携可能か確認しましょう。
また、自社で使っているメールシステム以外にも、多くのシステムに対応した暗号化ソフトを選ぶのが理想的です。多くのメールシステムに対応した暗号化ソフトを選択すれば、自社が使うメールシステムを変更した際にも同じ暗号化ソフトを継続して使えるためです。
そうすることにより、新しい暗号化ソフトの導入費用がかからないだけでなく、使い勝手が変わらないため、新しい機能や使用方法を覚える必要がないのもメリットと言えます。
無料のソフトもあるが注意が必要
メール暗号化ソフトには、無料のものもあります。しかし、有料版と比べて制限が課される場合が多いため、注意が必要です。
無料ソフトには個人が開発したものも多く、サポートやトラブルへの対応などが手薄になる傾向があります。その点、企業が開発している有料ソフトは、広範囲で迅速なサポートが期待できます。
また、無料版では使用できる機能が制限されることも多いです。充実した機能を求める場合は、有料ソフトの導入を検討しましょう。機能のアップデートなども有料ソフトであれば定期的に行われるため、安全性も高いです。
まとめ
メール暗号化ソフトは、企業にとって大切な内容をメールで送る際に暗号化できるため、第三者に重要な内容を閲覧されてしまうリスクを軽減できます。また、宛先や本文の内容を間違えた際などの誤送信を未然に防ぐ機能もあるため、トラブルの回避にも有効的です。
ただし、暗号化ソフトによって搭載されている機能は異なります。どのようなことを重視するかを事前に明確にして、適したメール暗号化ソフトを選択することが重要です。
また、メール暗号化ソフトが自動でメールの内容を暗号化してくれることから、個人のセキュリティ対策への意識が低下する傾向にあります。セキュリティ意識の低下を防ぐために、事前に送信者自身が確認する項目を社内で取り決めておくと良いでしょう。