受注とは?発注との違いや受注管理の流れ、効率化のポイントも解説

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  • 受注とは顧客から商品やサービスの注文を受けることを指し、発注の対義語でもある
  • 受注管理には見積もりから納品までの基本的な流れがあり、有形商品と無形商品で異なる
  • 受注管理における人的ミスなどの課題解決には、受発注管理システムの導入がおすすめ

受注とは、顧客から商品の注文やサービス提供の依頼を受けることです。正確かつ効率的な受注管理は企業利益に直結します。本記事では、受注と発注の違いや見積もりから納品までの流れ、受注管理でありがちな課題、効率化させるためのポイントなどを解説します。

目次

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  1. 受注とは
  2. 受注管理の流れ
  3. 受注管理の課題
  4. 正確な受注管理が必要とされる理由
  5. 受注管理を効率化させるポイント
  6. まとめ

受注とは

受注とは、商品やサービスなどの注文を受けることです。また、注文に応じて商品やサービスを提供するプロセス全体を指す場合もあります。

受注のプロセスは、注文の受け入れ、注文の確認、注文の処理、顧客対応、納品までが一般的とされ、その後は請求のプロセスに移行します。さらに、データ分析してビジネス戦略の決定までを受注プロセスに含めることもあります。

ここでは、まず受注に関連する基本的な言葉の意味を解説します。受注との関連性が高い代表的な言葉は以下の通りです

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発注との違い

受注が注文を受けることであるのに対し、注文を行うことを発注と言います。ビジネスでは、注文する側、注文される側が企業か個人かは問わず、これらの言葉が常用されます。そして、受注者は発注した企業・個人のことを「顧客」または「取引先」と呼びます。

また、受注と同じく発注も、注文の発送、詳細な指示や確認、商品やサービスの受け取り、請求書の確認・支払いといったプロセス全体を指す場合があります。

特に、受注管理・発注管理などの経営的な視点では、受注や発注などの言葉はプロセス全体を含む意味合いで使われることも多いです。

受注と発注は反対の意味を持つ言葉のように思えますが、経営上の関連性は高く、在庫管理や財務管理上の収益の計上などに影響を与えます。受注に応じて発注業務を行うこともあることから、受注業務について知るためには発注業務を把握しておくことも大切です。

受注生産とは

受注に関連する言葉に「受注生産」がありますが、これは注文に応じて製品を製造する方法を指し、製造部門(生産部門)や製造業との関連性が高い言葉です。なお、受注生産とは逆で、受注より先に生産することを「見込生産」と言い、需要の予測に基づき生産されます。

受注生産は、自社で顧客に提供する製品を製造している場合に重要な言葉ですが、自社で製造していない場合(小売業やサービス業など)も無関係ではありません。それは、受注生産の場合、製品そのものや商品・サービスを提供し、必要な資材の発注先があるからです。

受注生産は、余剰在庫が出にくい、在庫管理のコストを抑えやすい、顧客満足度を向上させやすいなどのメリットがあります。一方、受注してから作られた商品が顧客に提供されるまでには時間がかかるデメリットもあります。

これらのメリット・デメリットは、自社で製品を製造しているか否かに関わらず、受注業務を始め、在庫管理や顧客管理など、企業経営のさまざまな要素に影響を与えます。

受注販売とは

受注販売は、商品が注文されてから販売が行われることを指します。似た言葉である受注生産との違いは、生産に焦点があてられているか、販売に焦点があてられているかの違いです。受注してから顧客へ商品が提供されるまでのプロセス全体はほぼ共通しています。

販売に焦点があてられている受注販売は、小売業や卸売業などとの関連が深いです。具体的には、店内に商品を並べた状態にするのではなく、顧客の注文に応じて取り寄せたり、製造を依頼したりすることを指します。

受注販売は、顧客ニーズを優先させる効果的な販売方法として採用されることがあり、大量の在庫を抱える必要がない点や需要変動に柔軟に対応できる点がメリットです。

受注管理の流れ

受注に関わる一連のプロセスを行うことを受注業務と言い、受注業務を管理することを受注管理と言います。ここでは、受注業務がどのように行われているのか、商材のケース別に受注管理の流れを解説します。

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有形商材のケース

有形商材とは、具体物として個数で数えられる商材や、物理的な質量単位で表現できる商材を指し、衣類・食品・家具・薬品・電化製品・機械部品・建築資材・燃料などが代表的です。ここでは有形商材における受注管理の流れを解説します。

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見積書の作成

顧客から注文を受けて内容を確認したら、必要に応じて見積書を作成します。見積書は、価格情報や商品の詳細な情報を提供するための文書です。

見積書はビジネス契約の商習慣として、価格交渉が一般的である場合に作成されます。なお、個人が小売店で買い物をする時のように、商品価格が明示されている場合には見積もりの必要がないため、通常使用されません。

見積書に記載される内容は、商品の内容・単価・数量・合計金額・納期・支払い条件などです。その他の記載すべき事項は特記事項として記載します。顧客からの金額交渉に応じて内容や条件を調整しながら、時には複数回にわたって見積書の作成が必要な場合もあります。

契約の締結

見積書の内容・条件に取引先が合意した場合、両者の間で条件の詳細が確認された後、契約書を取り交わします。契約書は取引の詳細を文書化し、双方の権利と義務を明確にします。見積書に記載した内容の他、品質基準・保証・違約時の対処などを記載します。

契約書を取り交わす際には、契約書の内容に間違いや不明点はないか、再度確認を行うようにします。

納品予定日の連絡

契約が締結したら納品予定日を設定しますが、その際に在庫状況を確認します。在庫不足が確認された場合には、商品の生産や取り寄せなどの対応が必要になり、それらに必要な時間も考慮した上で納品予定日を設定する必要があります。

納品予定日確定後は顧客へ連絡しますが、単に納品予定日を知らせるだけではなく、なぜその日なのかについて、在庫状況や生産に要する時間などの詳細を伝えるようにします。また、納品予定日に変更が生じた場合は早めに知らせることが大切です。

受注伝票の作成

在庫と納期が確認できたら、受注伝票を作成します。受注伝票とは、受注情報を整理するための記録で、顧客情報・商品情報・納品先情報・注文条件などの情報を記載します。

受注伝票は社内で保管する記録ですが、顧客に対して正式な注文の確認と詳細情報の提供を行うために、注文請書が作成される場合もあります。注文請書は注文伝票に基づいて作られますが、法的な義務はありません。しかし、納品ミスの防止には大いに役立ちます。

出荷・納品

受注確定後、在庫が確保されると商品の出荷プロセスが開始されます。倉庫や保管施設から商品が取り出された後、梱包や出荷ラベルの貼り付けが行われ、運送業者によって配送されます。

この際、必要に応じて倉庫作業員や運送業者に詳細情報を提供するための出荷指示書を作成します。記載する情報は、出荷日・出荷先の住所・出荷数量・商品情報などです。

顧客に注文された商品を届けることを納品と言いますが、商品と一緒に納品書も送付するのが基本です。納品書は、顧客が実際に受け取った商品と取引内容を確認できるようにするための文章であり、取引の透明性を確保するために大切です。

無形商材のケース

無形商材とは、物理的な形状や質量を持たない商品やサービスのことです。教育・美容・コンサルティング・レジャー体験などのサービスや、システム・データ・電子書籍・金融商品・広告なども該当します。ここでは、無形商材における受注管理の流れを解説します。

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無形商材における受注管理の流れ

  1. 見積書の作成
  2. 契約の締結
  3. 納品・サービスの提供

見積書の作成

無形商材における受注管理は、顧客からの引き合い(注文を想定した問い合わせ)を受ける段階から始まります。顧客の要求やニーズを明確化し、注文内容を正確に確認するためにはコミュニケーションが重要です。誤解や不明点がないように情報提供を行いましょう。

見積書の記載内容は、商品やサービスの詳細・価格・納期など有形商材のケースと共通しています。しかし、提供する商品やサービスの性質に合わせて、利用可能回数やキャンセルポリシーなどの項目を設ける場合もあります。

見積もりにおいて、次の「契約の締結」へと進めるには競合他社を意識し、競争力のある価格や自社にしかない付加価値を提供するなど、いくつかの戦略を検討することが重要です。なお、顧客からの交渉に応じて見積書を作成し直す場合もあります。

契約の締結

見積書の条件に顧客が合意した後に、契約の取り交わしが行われる点は有形商材のケースと同じです。ただし、無形商材の場合は契約前にそのサービスを提供することでどのような効果に期待できるかや、契約期間・提供スケジュールの明示なども重要になります。

なお、契約は両者の合意によって口頭でも成立しますが、誤解や記憶違いなどによる将来的な紛争を予防するためにも、文書化するのが一般的です。

納品・サービスの提供

見積書・契約書に記載した納品方法に従い、納品やサービスの提供を行います。商品やサービスの性質によってはオンライン上で提供したり、顧客のいる場所を訪ねてサービス提供したりする場合もありますが、いずれも契約内容に基づいたものであることが大切です。

契約の条件を満たさないサービスは当然問題になりますが、条件以上の過剰なサービスも潜在的なリスクを伴います。具体的には、コストが増大したり、顧客へのサービス提供の一貫性が損なわれたりすることで、結果的に顧客の信頼を失う可能性があります。

受注管理の課題

ここまで受注管理の一般的な流れを解説しましたが、実際には企業によって詳細な管理方法は異なります。管理方法に課題がある場合、円滑な受注管理を阻害する可能性があります。

以下では、受注管理にありがちな課題を取り上げ、問題点と対処法を解説します。受注管理を適切に行うために参考にしてください。

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人材不足・業務の属人化

近年は電話・メール・ECサイトなど、受注手段が多様化しており、各手段に対応するスタッフやチームが不足するケースが多くなっています。また、販売手段ごとに業務プロセスが異なると、業務内容が複雑になって標準化させることも困難です。

そのため、特定のスタッフが特定の販売手段に対応することが常態化し、業務の属人化が起こりやすくなります。こうした問題への対策として、販売手段ごとの業務プロセスにおいて標準化が本当にできないのかどうか、定期的に見直しを検討することが大切です。

また、受注管理システムを導入して受注プロセスを自動化することも、スタッフの業務負担を軽減し、人材不足や属人化の課題の解決を支援します。

人的ミスが発生している

受注管理の方法として、Excelを始めとした手入力による管理方法を採用している場合、入力ミスのリスクがあります。注文が大量になるほどリスクは増大し、ミスを防ぐための多重チェックによって業務の遅延や混乱を招くことにもなります。

未処理の注文が積み重なると納期が遅れ、顧客満足度の低下にもつながるため、大量の注文を扱う受注管理では、正確かつ迅速に管理できる対策が求められます。

具体的には、従業員の教育や納期ごとの優先順位を管理する方法などが対策として挙げられますが、注文が多い場合には限界があります。その場合は、手作業に依存しない管理方法として、受注管理システムによる自動化を検討することも視野に入れましょう。

正確な受注管理が必要とされる理由

受注管理においては、有形商材・無形商材ごとの流れに沿って適切な管理を行う必要があります。そして、何より正確な受注管理を行うことで、企業に対していくつものメリットをもたらします。例えば、以下のようなメリットです。

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人的なミスを減らして満足度を向上させる

受注管理には多くのプロセスが存在し、そのプロセスごとに複数の人材が関わっています。そのため、ヒューマンエラーが発生しやすくなっており、1つのミスが受注管理に関わるすべての工程に影響します

したがって、なるべく人的なミスを減らして、業務を滞らせることなく遂行させる必要があります。そして、ミスのない受注管理によって納期を厳守した対応を続けることにより、顧客満足度を向上させることができます。

企業としての信頼性を高めて収益につなげる

顧客満足度を向上させ、企業としての信頼性を高めていくことで、企業の利益にも大きく影響します。特に、近年は顧客の口コミが大きな影響力を持っており、1つの不良・ミスが企業の将来的な収益性に深く関係していきます。

よって、間違いや急な変更が発生しないような受注管理を実現することで、既存顧客と合わせて新規顧客の獲得にもつながります。その結果、長期的な売上・収益の向上に期待できます。

納品までのリードタイムを短縮させる

リードタイムとは工程の始めから終わりまでにかかる所要時間のことであり、正確な受注管理により、受注から納品までのリードタイムを短縮できます。基本的にリードタイムが長引く要因は、在庫不足や関連する部門間での連携・共有不足などです。

正確な受注管理が行われていれば、在庫のない商品の受注を未然に防ぎ、部門間で連携してスムーズに納品できるため、リードタイムが短縮します。リードタイムの短縮は、企業の信頼や顧客満足度の向上にも直結する重要なメリットです。

受注管理を効率化させるポイント

受注管理には正確さが求められるとともに、納期までに遂行する迅速さも重要です。また、業務に携わる従業員の負担軽減を図る事も必要になります。そのため、ここでは受注管理を効率化させるためのポイントを解説します。

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業務フローを可視化する

受注管理は企業にとって重要かつ基本的な業務の1つですが、漫然と業務を行うのではなく、受注〜納品までを可視化したフローに基づいて行うことが大切です。そのためには業務内容を明確にし、担当者を把握することから始めましょう。

担当者が抱えている課題から、改善できる部分はあるかを検討し、問題解決に向けた計画を立てます。無駄な業務の排除や作業分担、業務の統合、プロセスの見直しを行い、業務フローを設計します。

業務フローを可視化することで、どの従業員も業務の手順を遵守しやすくなります。また、進捗状況も把握しやすく、業務フロー上のどこで時間がかかっているのかなどの新たな課題発見にもつながります。

そして、業務フローの可視化に合わせて業務マニュアルの作成・更新も行いましょう。

受発注管理システムを利用する

大量の注文に対して正確かつ迅速に業務を行うためには、システムを活用することが推奨されます。受発注システムは受注管理と発注管理を含め、業務を自動化して人的な手間を大幅に削減し、業務効率化とともに人手不足の課題解決に寄与するツ―ルです。

受注管理においては、見積書の作成や注文の受付と登録、出荷指示などが自動的に処理され、誤記や書き損じによる人的ミスも飛躍的に減少させます。受注処理の自動化により、顧客からの注文に迅速に対応でき、顧客満足度の向上にも寄与します。

さらに、顧客管理システムや在庫管理システムなどの一部のシステムと連携すれば、情報を一元管理しながら業務上の混乱が起こるリスクを抑制します。なお、受発注システムの導入を視野に入れる場合は、導入の目的を明確にして費用対効果を検討しましょう。

受発注管理システムとは?メリット・デメリット、機能も解説

受発注管理システムとは、受注システムと発注システムの機能を併せ持ったもので、受発注に関する一連の業務をデジタルで行えるシステムです。この記事では、受発注管理システムのメリット・デメリットのほか、導入が推奨される企業や選び方も解説します。

アウトソーシングを活用する

受注管理を効率化させる方法として、アウトソーシングを活用するのも選択肢です。アウトソーシングでは、自社の受注管理業務を社外の代行会社に委託するため、自社の人員不足やリソース不足に対応できます。

また、受注管理における知識と経験を持ったプロに委託できるため、より効率的な営業力強化や業務効率化が図れるのもメリットです。

ただし、アウトソーシングは外部委託であるため、情報漏洩などセキュリティ上のリスクが伴うほか、自社に受注管理のノウハウが蓄積されず代行会社に依存しやすくなるといったデメリットがあります。

アウトソーシングを活用するには一定の委託費用が必要であり、価格は委託する業務内容やアウトソーシング先によって異なるため、複数の代行会社から見積もりを取得して比較検討することが望ましいです。

まとめ

受注管理は、ビジネスにおいて主要な業務の1つであり、顧客からの注文に対して適切な商品やサービスを提供することは、売上だけでなく企業の信頼性や新たなビジネス戦略の策定においても重要です。

そのため、業務には正確性と効率性が求められます。注文から納品に至るまでの業務の中で、人員不足や人的ミスなどの課題がある場合には、業務フローの可視化や受発注システムの導入などで効率化を図りましょう。本記事を参考に、円滑な受注管理を行ってください。

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