SoE・SoR・SoIとは|関係性や活用方法・重要性を解説
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- SoE・SoR・SoIはITシステムの設計概念で、それぞれ異なる役割を持っている
- DXにおいても、SoE・SoR・SoIの3つの概念がいずれも重要である
- SoE・SoR・SoIのITシステムの設計概念を実現するシステムに、CRMやERPがある
SoE・SoR・SoIとは、システムを区分する際の1つの手法で、システムを構築する目的に違いがあります。本記事では、SoE・SoR・SoIそれぞれの特徴と関係性を解説し、SoE・SoR・SoIのDXにおける重要性や、それらを実現するシステムについて解説します。
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SoEとは
SoEは「System of Engagement」を略したもので、ここで示すエンゲージメント(Engagement)とは、企業と顧客との関係性のことです。つまり、SoEとは企業と顧客が相互に情報を交換し、より高い関係性を保つためのシステムとなります。
SoEの考え方は、2011年にアメリカのマーケティングコンサルタントが提唱した考え方で、今では世界中の企業で取り入れられている考え方です。SoEの代表的なものには顧客管理システムがありますが、電子メールや・SNS・メッセージアプリなどもSoEに該当します。
SoRとは
SoR(System of Records)は、英語の文字通り「記録のためのシステム」で、データの記録を目的とするITシステムです。ERP(基幹システム)と呼ばれるもの全般がSoRに該当し、ERPと連携を図っている各システムのデータも記録されます。
SoRに保存されるデータは、正確かつ構造的に記録されることで利用しやすいデータとなり、業務の効率化に貢献します。SoRのデータ重視の考え方は、SoEの考え方が生まれる以前から重視されてきた考え方です。
SoIとは
SoIは「System of Insight」の略で、インサイトを理解するためのシステムです。インサイトとはマーケティングで使う場合、消費者が気付いていない購買意識や行動のことを指し、SoIは顧客が無意識の内に行っている購買行動を把握するためのシステムといえます。
バブルの崩壊で「良い物を作れば売れる」という時代は終焉し、顧客のニーズに合った物を作らなければ買ってもらえない時代となりました。その結果、各企業は顧客の購買行動を調査し、顧客のニーズに合った企業戦略の策定が必須になりました。
SoIは、時代に則した企業戦略の策定のために、さまざまなデータを分析するシステムです。現代の変化の激しい社会では顧客のニーズの変化も早く、その時々に合った戦略が必要とされています。
SoIの重要度が高まっている
個人がスマートフォンやタブレット端末を利用し、インターネット環境が普及した現代では、新型感染症の影響と合わせてECサイトを活用した集客が注目されています。消費者は手元で簡単に購買を決定できるため、店舗型経営の需要が薄れているのが現状です。
そのような実際の顧客層・ニーズが把握しづらい中では、SoIを活用した動線の把握やデータの正しい分析が重要視されます。特に、市場のトレンド・動きは日々目まぐるしく変化を続けているため、迅速かつリアルタイムな対応と改善が必要です。
SoE SoR SoIの関係性
SoE・SoR・SoIはITシステムの設計概念で、それぞれ異なる目的を持っています。しかし、3つは独立した概念でなく、強い関連性を持ち合わせています。ここでは、SoE・SoR・SoIの関係性について解説します。
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SoE SoR SoIの関係性
SoEとSoRは相互補完にある
顧客とのつながりを重視するSoEでは、顧客からの生の声を情報として得ることができます。その情報を構造化して蓄積しているのがSoRです。SoRで構造化された情報は、他の情報と組み合わせて顧客との関係性の強化に活用されます。
このように、SoEとSoRは相互補完の関係にあり、2つのシステム間で行う双方向のデータ活用は、顧客ニーズに応える現代マーケティングには必要不可欠といえます。
SoIはSoEとSoRを組み合わせたもの
SoIはSoEとSoRを組み合わせた発展形と考えると、3つの関係が捉えやすくなります。SoEで顧客から直接集めたデータはSoRに蓄積され、その蓄積されたデータをSoIで分析することで、顧客インサイトの正しい把握ができるようになります。
つまり、SoEとSoRを組み合わせて利用することで、顧客の真のニーズに沿った新しいマーケティングを展開するのがSoIとなります。SoE・SoR・SoI、3つのシステムのより良い連携が、新しいビジネス展開の基盤です。
SoI SoR SoEの活用
SoI・SoR・SoEの活用は、PDCAサイクルでの概念で捉えることができます。PDCAサイクルとは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルを指し、この流れを繰り返すことで、常に業務の改善を図っていくという考え方です。
SoI・SoR・SoEの3つを、顧客に視点を置いたマーケティングのPDCAサイクルに当てはめると、Plan・Check・Actionを担っているのがSoIで、DoをSoEとSoRが担っています。
すなわち、SoIでは1つ前のDoで収集したデータの分析結果から施策を立案します(Plan)。その施策をSoEで顧客に対して実行し、得られたデータをSoRに蓄積します(Do)。そして、そのデータを基にSoIで分析・評価し(Check)、改善策を考えます(Action)。
SoI・SoR・SoEを活用したPDCAサイクルを素早く確実に回すことで、顧客の変化に素早く対応したマーケティングが可能になります。
DXにおける重要性
2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」で、デジタル技術を利用してビジネスの仕組みに変革を起こすDXの必要性が指摘されて以来、各企業では盛んにDXの推進が行われています。
DXの目的は、従来の価値観や枠組みにとらわれない革新的な製品やサービスを生み出すことです。SoRやSoEは、データのデジタル化と業務プロセスのデジタル化で、DXの第1段階であるデジタイゼーションや、第2段階デジタライゼーションを実現します。
そして、SoIは、DXの最終段階である顧客視点の新しい価値を持った革新的な製品やサービスを生み出し、デジタルトランスフォーメーションを実現します。したがって、SoE・SoR・SoIはいずれもDXに必要なシステムといえます。
SoI SoR SoEを実現するシステム
SoI・SoR・SoEを実現するシステムとしては、顧客関係管理システムとも呼ばれるCRM(Customer Relationship Management)や、企業の4大資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を管理する基幹システムであるERP(Enterprise Resource Planning)などがあります。
どちらもDXの実現には、データ分析における多くの作業が自動化できるBIを連携させる必要がありますが、ERPにはBIを標準搭載している製品が多く、同じシステム内ある各種データをスムーズに分析できるため、SoI・SoR・SoEの実現におすすめです。
CRMのメリット
CRMを導入することにより、顧客情報の一元管理が可能になります。例えば、営業担当者の引き継ぎやチーム内での情報共有が容易となり、顧客との円滑なコミュニケーションにつなげることができます。
また、CRMの導入後は顧客情報の可視化が行われるため、成約率向上に向けた分析に役立てられます。さらに、利益増加のために既存顧客の情報から、多くの洞察を得られるという点もメリットです。
ERPのメリット
ERPを導入することにより、経営情報をリアルタイムに可視化できます。経営情報の確認の際、各組織から受け取る情報を集計する必要がなく、リアルタイムな情報確認が可能です。その結果、素早い経営判断が実行されます。
また、組織全体で業務効率が向上します。例えば、他部署のデータが必要な場合、他部署の担当者に依頼せずとも簡単に入手が可能です。他部署とのデータ連携やデータ解析ツールとの連携など、多くの業務が効率化できるようになります。
ERPシステムとは、ヒト・モノ・カネといった企業資源を一元管理し、経営活動に活用するためのシステムのことを言います。本記事では、ERPシステムの導入を検討している方に向けて、おすすめのERPシステムやその選び方、導入時の注意点を詳しく解説しています。
ERPの選び方
SoI・SoR・SoEの実現を目指してERPを選ぶ際には、以下のような比較ポイントを考慮して選択しましょう。
- クラウド型かオンプレミス型か
- 必要とする機能
- セキュリティ対策
- 使いやすい操作性か
- 長期的な運用が可能か
複数の部署間での連携や業務効率化を行う場合、使いやすい操作性であることが求められます。そして、ERPには機密情報が多く含まれるため、情報漏洩や不正アクセスなどを防止できる強固なセキュリティ対策が重要です。
提携形態を含め、費用対効果を考慮しながら自社に合ったシステムの比較検討がおすすめです。
まとめ
SoR・SoE・SoIはITシステムの設計概念で、SoRはデータ記録、SoEは顧客との情報交換、SoIはデータ分析と、それぞれが異なった役割を担っています。しかし、3つの設計概念は独立したものでなく、関連性を持った運用によって企業のDXに貢献します。
SoR・SoE・SoIを実現しているシステムがCRMやERPです。特に、ERPはデータ分析のための作業を自動化するBIを標準搭載するものが多く、おすすめのシステムです。BIを標準搭載したERPの導入は、企業のDX推進とともに企業競争力の強化にもつながります。
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