ファイル暗号化ソフトとは?導入のメリットや比較のポイントも解説

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  • 機密情報や個人情報が入ったファイルをやりとりする際、ファイル暗号化ソフトは必須
  • データの持ち出し時やメールの誤送信時に起こってしまう情報流出を防止できる
  • ソフトの操作性や必要な機能の有無など、実際の使用を想定した選び方が重要

ファイル暗号化ソフトとは、ファイルやデータを第三者が読み取れなくするために暗号化するソフトです。この記事では、ファイル暗号化ソフトの機能や導入のメリット、無料ソフトと有料ソフトの違いやツールを選定する際の比較ポイントなどについて詳しく解説します。

目次

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  1. ファイル暗号化ソフトとは
  2. ファイル暗号化ソフトの機能
  3. ファイル暗号化ソフトのメリット
  4. フリー(無料)のファイル暗号化ソフトの注意点
  5. ファイル暗号化ソフトを選ぶ際の比較ポイント
  6. まとめ

ファイル暗号化ソフトとは

ファイル暗号化ソフトは、第三者に内容を読み取られないようファイル形式を変換して暗号化するソフトです。暗号化されたファイルは、復号しない限り閲覧や編集ができません。復号には、パスワードや生体認証などの方法があります。

現在では、自衛隊など国家安全保障にかかわる組織から、自治体や一般企業でもファイル暗号化ソフトが導入されています。現在では情報の扱いが重要になり、重要情報が漏えいすることは社会的信頼の低下はもちろん、組織などの危機につながります

ファイル暗号化ソフトを導入すると、ファイルが漏えいしても開くことができず、被害を軽減できます。また、暗号化したファイルがウイルスに感染していても、復号の仕方を知っているユーザー以外開けないため、感染拡大を防げます。

ファイル暗号化とは

ファイル暗号化とは、そのままの状態だと誰でも判読または使用可能なデータ形式のファイルに処理(暗号化)を加え、判読・使用できないデータ形式に変換する技術のことです。

暗号化されたファイルを元に戻す(復号化)には、パスワードや復号化の技術が必要なため、その手段を知らない第三者にはファイルの内容が見られません。

しかし、復号化のための手段を忘れてしまうと、暗号化した本人ですら元に戻せなくなるため、注意が必要です。また、復号化のための手段が漏れると、誰でも解除が可能になってしまいます。

ファイル暗号化の仕組み

ファイル暗号化に使われているのは、「暗号化アルゴリズム」という処理方式です。この方式には種類がいくつかあり、安全性や処理時間の長さなどが異なっています。暗号化したファイルを元に戻す(復号化)するには、「鍵」が必要です。

復号化するための「鍵」には、秘密鍵暗号方式と公開鍵暗号方式の2種類があります。秘密鍵暗号方式は暗号化と復号化の「鍵」が同一で、ファイル暗号化は一般的にこの秘密鍵が用いられています。

なお、暗号化できるのは「ファイル」だけではありません。ファイルを納めたフォルダ単位はもちろん、フォルダが入ったドライブごとまたはドライブを納めたハードディスク全体を暗号化することもできます。

ファイル暗号化の必要性

毎日やり取りされる情報の中には、組織にとって重要なデータや秘匿性の高いデータも存在します。もし、データを保管している端末やサーバなどがサイバー攻撃を受けると、データが流出して中身が見られたり改ざんされたりする恐れがあります。

また、現在ではスマホやタブレットなど、持ち運びできるデバイスを社外で使う機会も多くなっています。これらに重要なデータを入れていた場合、紛失や盗難で悪意ある人物に渡ってしまい、情報を盗まれる可能性もあります。

ファイルを暗号化しておくと、もしデータが流出したとしても暗号化で読めなくなっているため、簡単に情報の抜き取りや改ざんがされるのを防げます。企業にとっての重要情報を簡単に盗られないためにも、ファイル暗号化は必要なことです。

ファイル暗号化のセキュリティ強度

ファイル暗号化によりセキュリティを高めることはできますが、十分とは言えません。高いセキュリティ対策が行えるよう技術が発展していると同時に、ハッキングなどの解読技術も進展しています。

そのため、ファイルの暗号化だけに頼らず、複数のセキュリティ対策を講じる必要があります。近年ではサイバー攻撃も過激化しているため、自社の重要な情報を守るには複数の対策を実施しましょう。

ファイル暗号化の方法

ファイル暗号化を行う方法は1つだけではありません。安全性や暗号化する手間などがそれぞれ異なっているため、目的に合ったファイル暗号化の方法を選びましょう。

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Zip形式+パスワード保護

「PPAP」とも呼ばれる方法で、ファイルをzip形式に圧縮し、その際にパスワードでロックします。厳密には暗号化ではありませんが、簡単にできるためよく使用されています。zip以外の圧縮形式でも、パスワード設定に対応していることが多いです。

メールにファイルを添付する場合は、圧縮したファイルと解凍用のパスワードを別にして送信するようにしましょう。

しかし、このPPAPはセキュリティの強度が高いとは言えません。ファイルがマルウェアに感染している可能性があるからです。そのため、送信先によってはセキュリティ対策上、パスワード付き圧縮ファイルを自動で削除する設定になっている場合もあります。

WindowsのEFS機能

WindowsのEPS(Encrypting File System)機能は、ファイルだけでなくフォルダも暗号化できます。EPSで暗号化したファイルはアクセス許可のあるユーザーのみが開封できます。

このEPSで暗号化されたファイルは、許可があるユーザーなら自動で復号化されるのが特徴です。そのため、毎回復号化しなくてもファイルが閲覧編集できます。また、アクセス許可をWindowsのユーザーごとに設定できるため、パスワードも不要です。

しかし、このEPS機能はWindows10および11の場合、Home Editionでは使用できません。Education・EnterpriseまたはProにアップグレードする必要があります。

WindowsのIRM機能

IRM(Information Rights Management )機能は、Microsoft WordなどOffice製品のファイルを暗号化できる機能で、WordやExcelなどOfficeソフトがあれば使用可能です。

IRM機能はファイルへのアクセス制限ができるほかコピーや転送なども防止できるため、権限のないユーザーによる操作を防げます。

また、ファイルを共有する場合は、ユーザーごとにアクセス許可のレベルが設定できます。ユーザーごとにアクセス許可設定ができることで、文書を誤編集するなどの人為的なミスも防げます。

ファイル暗号化ソフトを利用する

専用のソフトを使う方法です。これまでの方法より、セキュリティ強度がさらに高いファイル暗号化を施せます。ファイル暗号化ソフトには、パスワードの設定のほか二段階認証やマルウェア対策などの機能を搭載しているものもあります。

ファイル暗号化ソフトは有料から無料で利用できるものまで多く出回っており、それぞれ機能や操作性が異なります。しかし、特に無料のものはセキュリティやサポートが不十分なものも多いため、選択の際は注意しましょう。

ファイル暗号化ソフトの機能

ファイル暗号化ソフトには、ファイルを暗号化するだけでなく多くの機能があります。これらはソフトによって搭載されていないこともありますが、情報の漏えいなどを防ぐには重要な機能です。

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暗号化・復号化機能

暗号化・復号化機能は、ファイル暗号化ソフトの中では基本の機能です。ファイルを暗号化・復号化することで、情報漏えいなどからデータを守ります。

ソフトに主に使われる秘密鍵暗号方式には、いくつかのアルゴリズムがあります。代表的なものは「DES」「RC4」「AES」ですが、DESとRC4は脆弱性が見つかったため、最近では主にAESが使われています。

また、製品によっては公開鍵暗号化方式と組み合わせて、よりセキュリティ性を上げているものもあります。

パスワード設定機能

ファイルを暗号化する際に、復号に必要なパスワードを設定できる機能です。固有の暗号化パスワードを設定できます。また、ファイルを閲覧・編集する際のパスワードも個別に設定できます。

全ファイルに同じパスワードを設定することは、セキュリティの観点からすると避けるべきです。多くのファイルを扱う場合は管理がやや困難ですが、セキュリティ強化には効果的なため、パスワード設定は重要な対策と言えます。

元ファイル削除機能

ファイルを暗号化しても、手元に残ったオリジナルデータが漏れてしまっては、暗号化した意味がありません。そのため、ファイルを暗号化すると同時に元のデータを削除する機能が、多くの製品に搭載されています。

削除方法も、単にファイルをゴミ箱へ移動するものや、復元不可能な状態にするものまであります。必要なセキュリティの強度に合わせて選択しましょう。

USBメモリを通じた外部持ち出し機能

情報漏えいは、サイバー攻撃など外からやって来るものだけではありません。内部からの不正な持ち出しはもちろんですが、USBメモリやHDDなどのデバイスを紛失、または盗難されて漏えいする場合もあります。

ファイル暗号化ソフトには、USBメモリに保存できるファイルを暗号化したファイルのみに限定したり、書き込みする際に自動でファイルを暗号化したりする機能が搭載された製品があります。

社外へのデータの持ち出しが多い場合は、このような機能が搭載された製品を選ぶとUSBメモリの紛失や盗難による情報漏えい防止にもなります。

ファイル暗号化ソフトのメリット

ファイル暗号化ソフトの導入によって、サイバー攻撃や人為的なミスなどで起きるセキュリティ上のリスクを減らすことができます。

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データ持ち出しのリスクを回避できる

出張や営業、テレワークなど社外で仕事をする場合、USBメモリなどのデバイスにファイルを入れて持ち歩くことが多いです。この移動中に、もしデバイスを紛失もしくは盗難があると、重要なデータが外部に流出する可能性があります。

しかし、ファイルを暗号化しておけば、紛失や盗難があっても第三者がファイルを閲覧できないため、情報流出を防げます。

ウイルス感染時のリスクを軽減できる

もし、あるファイルがウイルス感染していた場合、第三者が知らずにそれを開いてしまうと別の場所にまで被害が拡大します。

ファイルを暗号化しておくことで、パスワードを知っているユーザーしか開けないため、第三者が感染したファイルを開けることがなく被害が出るのを防げます。

メール誤送信時の情報流出を防止できる

仕事でメールを使うことは日常的なため、ときに違う宛先へ送信してしまうこともあり得ます。もし添付ファイルを暗号化していなかった場合、誤送信された相手が読めるため、情報を不正利用される可能性があります。

ファイルを暗号化しておくと、もし誤送信してしまってもパスワードがないため閲覧できません。起こりえる人為的ミスにも備えられるのも大きなメリットです。

取引先に安心感を与えられる

暗号化していないファイルを取引先に送ることで、セキュリティ意識が低いと判断され、今後の関係に悪影響を及ぼす可能性があります。

暗号化されていないファイルは不正アクセスや改ざんのリスクがあるため、重要な機密情報などを含んでいる場合は受け取った側は不安を感じます。

取引先と今後も良好な関係を続けていくためには、ファイルを暗号化し、安心して取引できる企業を目指しましょう

フリー(無料)のファイル暗号化ソフトの注意点

ファイル暗号化ソフトには無料のフリーソフトもあります。しかし、フリーソフトにはセキュリティ上のリスクがあるものも存在します。また、機能に制限やサポートがないのも多いため、特に使い慣れていない場合は有料版がおすすめです。

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サポート体制がない

フリーソフトには使用している暗号化アルゴリズムなどが有料版並みの性能を持つものもありますが、基本的にサポートがないのが短所です。

有料版のサポートは導入の際のサポートだけではありません。パスワードの紛失や動作不具合などでデータを復元できなくなり、業務に支障が出た場合の対応や補償も含まれています。

フリーソフトは、トラブルが起きた場合もすべて自力で解決しなければなりません。解決できる技術がある部門や人材がなく自社で対処ができない場合は、有料版のソフトをおすすめします。

セキュリティリスクがある

有料ソフトと比べてフリーソフトはセキュリティ対策が不十分で脆弱性を持つものもあります。また、ソフト自体にマルウェアなどが仕組まれた悪意のものである場合があり得ます。

いずれにせよ、フリーソフトにより情報漏えいが起こった場合、基本的に自己責任になります。企業で利用する場合は大きなリスクになるため、注意しましょう。

使える機能に制限がある

フリーソフトは有料のソフトと比べると機能の数が少なく、利用できるユーザー数が限られているなど制限がかかっていることが多いです。

ただし、必要最低限の機能だけでいい場合や、ファイル暗号化ソフト自体を試したい場合ならフリーソフトから初めてみるのもいいでしょう。

ファイル暗号化ソフトを選ぶ際の比較ポイント

ファイル暗号化ソフトには多くの製品があり、搭載されている機能や操作の仕方などが異なります。導入する前に、必ず確認しておきましょう。

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ファイル暗号化ソフトを選ぶ際の比較ポイント

  1. 誰でも使える操作性か
  2. ソフトへの信頼度はどうか
  3. 必要な機能はあるか

誰でも使える操作性か

ファイル暗号化ソフトを使うユーザーは、全員が暗号化についての高いスキルを持っているわけではありません。中には機械が苦手なユーザーもいます。操作が難しいソフトでは使いづらく、やがては使われなくなる恐れがあります。

また、操作が簡単かどうかだけでなく、操作ミスを起こしにくい設計かも確認しましょう。操作を間違えやすい設計の場合、操作ミスで外部に情報漏えいをしてしまったり、データを復号できなくなったりするトラブルが起きやすいからです。

ソフトへの信頼度はどうか

ファイル暗号化は、重要な情報を悪意ある第三者に漏らさないのが主な目的です。そのため、ソフト自体が信頼できるものでなくてはいけません。

ファイル暗号化ソフトは数多く出ていますが、中には情報を盗むためにマルウェアなどを仕込んだ危険なものも存在します。作成者や提供業者の実績を確認し、信頼できる製品を選ぶようにしましょう。

必要な機能はあるか

ファイル暗号化ソフトを導入しても、必要な機能が搭載されていなければ使い道がありません。製品ごとに搭載される機能はもちろん、機能自体の性能も異なるため、事前に確認しましょう。

どのような場合にファイル暗号化ソフトを使いたいのか、事前に社内で検討し必要な機能を選定しておくのをおすすめします。

まとめ

ファイル暗号化ソフトは、ファイルを読み取れない形式に暗号化する専用のソフトです。ファイル暗号化の方法は複数ありますが、ソフトには元ファイル削除やデータの外部持ち出しを保護する機能なども搭載されています。

ファイルを暗号化すると読めなくなるため、外からのサイバー攻撃による情報の盗み見や改ざんを防ぐことができます。また、万が一データが入ったデバイスの紛失・盗難があっても、第三者に情報を見られるのを防げます

ファイル暗号化ソフトを導入する際には、事前に必要な機能を確認するのをおすすめします。また、マルウェアなどを仕込んだ悪意あるソフトも存在するため、必ず作成者や提供業者が明確な信頼できる製品を選びましょう。

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