受注生産とは?見込み生産との違いやメリット・デメリットも解説
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- 受注生産とは、顧客から注文を受けたあとに製品を生産する方式のこと
- 受注生産は、過剰在庫のリスクがなく顧客の満足度を向上できるのがメリット
- 受注生産は、発注から納品までに時間がかかり、手戻りが発生しやすいのがデメリット
受注生産とは、顧客から注文を受けたあとに製品を生産する方式のことです。注文住宅・機械・船舶・家具といった原価の高い製品の生産で用いられています。この記事では、受注生産のメリット・デメリット、見込み生産との違いなどについて解説します。
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受注生産とは
受注生産とは、顧客からの発注があった際に、発注した数や量だけを個別に生産し、納品する生産形態を意味します。受注生産は製造業で取り入れられている生産方式で、建築・造船・家具等の業界で利用されることが多いです。
顧客からの要望に合わせて、必要なタイミングで必要な分だけ商品を生産することになるになるため、在庫リスクの管理にかかるコストや商品の売れ残りリスクを低減することができます。
また、顧客の要望に合わせて生産することができるため、カスタマイズ性が高く顧客のニーズを満たすことができるでしょう。
見込み生産との違い
受注生産が顧客からの要望に合わせて個別に生産するのに対し、見込み生産はあらかじめ販売計画を立て、見立てに基づいて生産します。
見込み生産と受注生産の主な違いは、受注した後に生産するか受注前に生産するかという点です。受注生産は、日用品等の大量生産ができる商品に用いられることが多く、事前に決められた量を生産するロット生産方式等があります。
見込み生産は事前に立てた計画に基づいて生産するため、受注してから納品するまでのリードタイムが短いというメリットがあります。一方、在庫が売れ残ってしまうリスクもあります。
受注生産に向いている製品
受注生産は、生産数が少ない製品や高単価な製品の生産に向いています。受注生産であれば、在庫を持たなくて済み、顧客の要望してカスタマイズすることができるため、高単価で生産数が少ない製品に適しています。
例えば、注文住宅や船舶のような製品が受注生産に向いています。また、家具・寝具やオーダーメイドスーツ等の顧客の好みに合わせた製品も受注生産に向いているでしょう。
受注生産の生産方式
受注生産には、大きく分けて4つの生産方式があります。生産方式にはそれぞれ特徴があり、向き・不向きもあります。次の章では、受注生産の生産方式について解説していきます。
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個別受注生産
個別受注生産は、顧客からの発注の度に、設計からおこなっていく生産方式です。設計からおこなうため、顧客の要望に柔軟に対応することができるメリットがあります。また、顧客からの発注があってから生産し始めるため、在庫を持つ必要がありません。
そのため、多品種少量生産の場合に採用されることが多いです。一方、個別受注生産は顧客から発注されてから設計・生産に入るため、納品までのリードタイムが長くなりやすい点がデメリットと言えます。
繰返受注生産
繰返受注生産とは、同じ製造プロセスで受注の都度に繰り返し製造する生産方式です。定番品等、製造に使用する図面がすでに設計されており、顧客から発注があれば同じ図面で製品の生産を行っていきます。
設計済みの製品を生産するため、生産コストを抑え、効率的に生産することができます。長く売れている商品等、同じ生産サイクルで製造することができるので、納期や生産スケジュールの見通しが立てやすいというメリットもあります。
また、小種多量生産に向いていて、食料品・医薬品・家電等の需要が予測しやすい製品の生産に適しています。一方、同じ図面で製造し続けるため仕様変更への対応が難しく、カスタマイズ性が低いというデメリットもあります。
ロット生産
ロット生産は、特定の数量毎に製品を生産する方式です。ロットは数量の単位を意味する言葉で、ロット生産では一つの製品を決められた単位毎に生産します。
例えば、家電製品を生産する際、1ロットを100個と決めた場合、1回の生産で100個の家電製品を作るといった仕組みです。ロットの数量は製品毎に決められています。
また、ロット生産は様々な製品や生産量に対応することができ、受注生産と見込み生産の両方の側面を持っています。1回の生産で大量生産することができるため、利益率や生産効率を高めることができます。
ただし、ロットの数量を大きくしてしまうと、在庫が余ってしまうリスクもあるため注意が必要です。
ライン生産
ライン生産は、工場のベルトコンベアに製品を流し、部門別に製品加工と検査を行う方式です。単一製品の大量生産に長けているため、事前に需要予測を行って、製品を生産し在庫を確保する「見込み生産」に向いています。
特に、自動車業界や製薬業界など、1種類の製品を長期的に製造し続けなければならない現場において、積極的に活用されています。
しかし、大量生産に適している反面、1つのトラブルで生産プロセス全体に影響を及ぼしてします点がデメリットといえます。各部門が流れ作業で製造作業を行うため、ラインが停止すると、リードタイムが大幅に増大したり、納期遅延を引き起こしたりしてしまいます。
受注生産のメリット
受注生産方式を用いることで、過剰在庫のリスクを減らすことができます。また、顧客のニーズを満たす製品を製造することにより、顧客の満足度向上にもつながります。ここからは、受注生産をするメリットについて詳しく解説していきます。
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受注生産のメリット
過剰在庫のリスクがない
受注生産は、顧客から発注があって初めて生産工程に移るため、余剰在庫を抱えるリスクがありません。見込み生産のように事前の需要予測に基づいて生産する訳ではないため、在庫管理コストや余剰在庫の廃棄リスクもない点が大きなメリットです。
見込み生産の場合、在庫が余ると値引きをして売り捌くか在庫を破棄する必要があり、利益率が低くなってしまいます。受注生産では利益率が低減するリスクも低い点が特徴です。
また、在庫を抱えなくて良いため、在庫を管理する倉庫や管理者の人件費もかかりません。在庫管理コストの観点からも利益率向上効果に期待ができます。
顧客満足度が向上する
受注生産は、顧客の要望に合わせて設計・生産することができるため、顧客のニーズを満たす製品を作ることができます。顧客の細かい要望に合わせた製品を作ることで、顧客の満足度向上にもつながります。
見込み生産方式で大量生産する場合、効率的に生産することができる一方で、顧客ごとの細かいニーズに対応し切ることが難しいでしょう。そこで、受注生産方式を取ることで、顧客ニーズを満たし、競合との差別化を図ることもできます。
受注生産のデメリット
受注生産は在庫リスクを抑え、顧客の満足度を高められるというメリットがある一方、デメリットもあります。リードタイムやコスト、手戻りの面でデメリットがある点には注意が必要です。次の章からは、受注生産のデメリットを解説します。
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受注生産のデメリット
納品までに時間がかかる
受注生産は、顧客から発注があってから生産を開始するため、納期が長くなりがちです。受注生産方式をとる製品には、必要な部品の希少性が高かったり、生産工程に特殊な技術が必要な場合もあります。
リードタイムが長くなってしまうと、生産をおこなう工場の稼働コストが増えてしまうというデメリットにもつながります。
また、受注生産では、納品してから顧客が支払いをするケースが一般的です。リードタイムが長くなってしまうと、代金の回収が遅れてしまい、キャッシュフローにも影響が出てしまいます。
手戻りが発生しやすい
受注生産では、顧客の要望に合わせて仕様を決めて生産していくため、手戻りが発生するリスクがあります。生産開始直前や生産開始直後に顧客から仕様を変更してほしいと要望されるケースも多々あります。
生産開始後に手戻りが発生してしまうと、それまでの工程に使った部品や資材が無駄になってしまいます。また、手戻り発生段階までの稼働した分のコストが損失になるため、利益が減ってしまうリスクもあります。
コストがかかる
受注生産は、顧客からの依頼に沿って製品仕様を決めてから部品を調達して生産を行います。そのため、部品や材料にこだわるケースが多く、見込み生産と比較すると大幅にコストがかかります。
また、製造の途中で仕様や部品などの変更を要求され、さらにコストが上がってしまうこともあります。見込み生産のような在庫管理や保管コストは不要になりますが、生産コストの削減は難しいケースが多いと言えます。
受注生産の管理には生産管理システムがおすすめ
受注生産は、在庫を適正化したり顧客のニーズを満たす製品を生産できるというメリットがある一方、顧客からの発注の都度個別対応が必要になるため、生産管理が煩雑になりがちです。
そこで、受注から生産までの一連の工程を管理できる生産管理システムを活用することで、煩雑な受注生産の管理業務を効率化することができます。
生産管理システムには、仕入先管理・工程管理・原価計算機能等の機能が搭載されています。とくに受注生産では、製品によって部品や生産工程が異なるため、管理が煩雑になりがちですが、生産管理システムを活用することで管理工数を減らすことができるでしょう。
生産管理システムとは、生産・販売・原価など製造に関する情報を一元管理でき、課題を解決できるシステムです。業務の効率化や生産性の向上に期待でき、中小製造業でも導入している企業は多いです。本記事では、生産管理システムの主な機能やメリット、選び方のポイントを解説します。
まとめ
受注生産は顧客からの発注ごとに製品を生産する生産方式です。受注生産方式を採用することで、在庫を抱えリスクを抑えつつ、顧客の細かいニーズを満たす製品を生産することが可能になります。
大量生産が得意な見込み生産とは異なり、多種少量生産やカスタマイズ性の高い製品の生産に向いています。
一方、受注生産には、納品までのリードタイムが長くなったり、手戻りが発生しやすいというリスクがあります。本記事で紹介したように、受注生産には、メリット・デメリットがそれぞれあることを認識しておきましょう。
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