自治体向け人事評価システムとは?導入メリットや選び方を解説
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- 人事評価の課題には、公平な評価の難しさ・Excelによる管理の負担などが挙げられる
- 自治体向け人事評価システムの導入で、職員が納得しやすい人事評価が可能になる
- 人事評価システム導入の際は、行政として信頼できる仕組みに対応しているか確認する
自治体における人事評価には、評価基準が設定しにくく、評価と成績にズレが生じるといった課題があります。そのような課題解決には、人事評価システムの導入がおすすめです。本記事では、自治体向け人事評価システムで解決できる課題や導入メリットなどを解説しています。
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自治体における人事評価の課題
人事評価制度は多くの企業で導入されていますが、自治体においても適切な人事評価が必要です。自治体における人事評価の課題として、評価が偏りやすく成績との乖離が生じやすいという点が挙げられます。
また、評価における公平性や透明性の確保が難しく、人事評価が担当者の負担となることも課題となっています。ここでは、自治体が抱える課題について詳しく解説します。
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自治体における人事評価の課題
評価が偏りやすく成績とのズレが生じる
自治体における人事評価は企業とは異なり、営業成績や売上高などの定量的な基準に基づいた評価ができません。また、自治体では担当する職務の内容が多様であり、責任の範囲や職務の難易度にばらつきがあります。
そのため、評価基準の統一が難しく、その人の業務にとって適切な基準はないために、実際の成績とのズレが生じてしまうという課題を抱えています。
公平性・透明性のある評価が難しい
自治体においては一人の職員が複数の職務を兼任しており、人事部の設置がない場合が多いです。そのため、人事評価を専門的に行う複数のスタッフによる評価が難しく、属人的な評価が発生してしまいがちです。
評価担当者の主観によって人事評価が行われると、評価における公平性・透明性が失われます。これにより、人員配置における判断の誤りや、私情による人事評価の横行にも繋がります。
Excelや紙による人事評価は担当者に負担がかかる
自治体によっては、人事評価の作業をExcelや紙などで行なっている場合があります。これらの方法では評価内容を手作業で入力する必要があり、入力後の見直しや集計作業などにも多くの手間と時間を要します。
手作業を用いた業務には、ヒューマンエラーのリスクがつきまといます。入力ミスや集計ミスによって誤った人事評価を行うことは許されないため、ダブルチェックや修正などの作業にも負担がかかります。
また、自治体では一部の職員が担当部署の職務と人事評価を兼任している場合もあり、年度末などの業務が集中する時期には人事評価の作業が大きな負担となってしまいます。時間的に余裕がない状態は判断ミスにも繋がりやすく、大きな課題であると言えます。
人事評価の課題解決には人事評価システムが有効
自治体における人事評価の課題を解決するには、人事評価システムの導入が有効です。人事評価システムには人事評価業務の効率化に必要なさまざまな機能が備わっていますが、自治体向け人事評価システムは自治体での運用に特化しているのが特徴です。
自治体向け人事評価システムでは、自治体における人事評価基準に則した運用やセキュリティ面・コンプライアンス面での対策がなされたサービスも多く展開しています。評価の公平性や透明性を確保するためには、システムによる運用が望ましいと言えます。
自治体向け人事評価システムの導入によって、多くのメリットが得られます。次章では、導入によるメリットをいくつか取り上げ、詳しく解説していきます。
人事評価システムとは?機能やメリット・デメリット、選び方を解説
人事評価システムとは、人事評価業務に関するデータ管理や評価シートの作成を自動化できるシステムです。本記事では、人事評価システムをよく知らない方や導入を検討している方のために、人事評価システムの機能や選び方、メリット・デメリットを解説しています。
自治体に人事評価システムを導入するメリット
自治体に人事評価システムを導入すると、人材情報を迅速に把握でき、人事評価業務の効率化が実現します。また、評価制度の整備により適切な人材配置が可能になり、職員の納得を得られやすくなります。ここでは、これらのメリットについて解説します。
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自治体に人事評価システムを導入するメリット
人材情報を迅速に把握できる
人事評価システムでは、人事評価に関連するさまざまな人材情報を一元管理できます。これにより、人材情報の検索やデータ確認などの作業がスムーズになり、情報を迅速に把握できます。
人材情報の迅速な把握によって人事評価にかかる業務時間が短縮され、時間的なコストを削減できるというメリットが得られます。また、情報の管理を簡単に行えるため、管理コストも軽減できます。
人事評価業務の効率化
Excelや紙によって人事評価を行なっている場合、情報の入力・ダブルチェックによる内容の確認・印刷などの作業が必要でした。人事評価システムの導入によってこれらの作業が不要となり、人事評価業務を大幅に効率化できます。
人事評価システムでは、評価シートの配布や入力の効率化に加え、回収や集計などの作業を自動化することができます。これらを手作業で行っていた場合と比べて大幅な時間短縮が実現するため、人事評価業務全体の効率化が期待できます。
人事評価制度の整備を進められる
人事評価システムの導入によって人事評価業務の効率化が実現すると、作業時間が短縮され業務に余裕が生まれます。そのため、これまでデータの入力や評価シートの印刷にかかっていた時間を評価制度の整備や見直しなどに充てられます。
また、人事評価システムを導入するにあたって評価制度の見直しが行われることが多く、こうした観点からも制度の整備が進むと考えられます。
適切な人材配置や育成ができる
人事評価システムによって内容をデータ化できるため、前回の評価との比較や評価結果の推移などを可視化しやすくなります。これにより、正確な人材情報を把握でき、適切な人材配置や育成方法の判断に繋げることができます。
人事評価業務が効率的になり時間に余裕が生まれることも、これらの取り組みに力を入れる体制づくりに寄与するでしょう。
職員が納得しやすい評価を行える
自治体向け人事評価システムでは、自治体特有のルールに則した管理が可能です。また、客観的なデータが記録されるため、自身の評価内容を把握しやすくなります。これにより、従来の属人化した評価体制を脱却し、公平性の高い人事評価を実現できます。
人事評価の公平性が保たれると、職員が自らの評価に納得しやすくなるという効果が得られます。評価に対する納得感はモチベーションに大きな影響をもたらすため、業務の質や生産性の向上につながります。
ペーパーレスが促進される
人事評価システムは、従来の紙を使った評価フローとは大きく異なったプロセスで人事評価を行えるため、ペーパーレスが促進されます。評価をする、結果を通知する際に紙ではなくデータが使用され、人事評価のために紙を使用する必要がなくなります。
自治体ごとの評価方法や規模によって必要な紙の枚数が異なりますが、システムを使用すれば1枚も紙を使わずに人事評価を行えます。それにより、ペーパーレスが促進され、自治体としてのイメージアップとともにコスト削減も期待できます。
自治体に人事評価システムを導入する際の注意点
自治体に人事評価システムを導入する際は、人事評価制度の目的を明確化することが重要です。また、システムの運用について職員への周知を行い、運用体制を整えておきましょう。ここでは、導入にかかるこれらの注意点について解説します。
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自治体に人事評価システムを導入する際の注意点
人事評価制度の目的を明確にする
人事評価システムの導入を検討する際は、まず人事評価制度の目的を明確に定めておきましょう。人事評価制度が不確定な場合はシステムを選定することができないため、目的の設定は重要なポイントです。
既存の評価制度をそのまま使用するか、システムの導入を機に新たな人事評価制度を設定するのかによってもシステムの選び方が変わってきます。導入後の体制を想定し、総合的に判断しましょう。
システムの運用体制を整える
新たな人事評価システムを導入する際は、システムの運用に必要となるマニュアルの作成や操作方法の研修を行い、運用体制を整えておきましょう。運用体制の整備が不十分な状態だと職員が新システムに対応できず、機能を使いこなせない場合があります。
また、新しいシステムの導入によって業務フローの変更などが必要になり、一時的な業務負荷の増加が予想されます。できるだけ早い段階で研修などを実施し、職員の負担軽減に努めましょう。
システムの運用について周知する
人事評価システムの運用について職員へ周知を行うことも重要です。自治体においては定期的に業務の配置転換が行われる場合が多く、今の担当者以外の職員も将来的に人事評価に携わる可能性があります。
そのため、人事評価システムの運用開始時期や導入の目的に加え、導入のメリットや今後の方針なども共有しておきましょう。周知によって職員の理解を得やすくなり、今後の運用をスムーズにする効果が見込めます。
自治体向け人事評価システムを選ぶ際のポイント
自治体向け人事評価システムを選ぶ際には、選び方のポイントがあります。LGWANやISMAPなどのシステムに対応しているか・法改正への対応が可能かどうかについて確認しておきましょう。また、導入する自治体の評価方法に合っているかも重要なポイントです。
加えて、システムの提供形態・セキュリティ対策・サポート体制についても確認しておくのが望ましいです。ここでは、これらのポイントを取り上げ、それぞれについて解説していきます。
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自治体向け人事評価システムを選ぶ際のポイント
LGWANやISMAPに対応しているか
LGWANやISMAPに対応している人事評価システムは、行政機関での使用に適切なセキュリティレベルを保持していると判断されます。自治体での使用においては信頼性やセキュリティ性の高さが重要視されるため、これらの基準に対応したものを選びましょう。
LGWANとは
LGWANとは「Local Government Wide Area Network」を略した言葉で、総合行政ネットワークとも呼ばれます。全国の地方公共団体間および地方公共団体と政府機関とを結ぶネットワークを意味し、インターネットから分離されているのが特徴です。
LGWANは行政専用の独立したネットワークを使用しているため、高いセキュリティ性を備えています。マイナンバーや個人情報など機密性の高い情報を取り扱う上で欠かせないシステムであると言えます。
ISMAPとは
ISMAPとは「Information system Security Management and Assessment Program」を略した言葉で、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度の名称です。
ISMAPでは政府が求めるセキュリティ管理の基準や運用基準が定められており、監査の結果一定の基準を満たしていると認められたクラウドサービス事業者はISMAPクラウドサービスリストに登録されます。
自治体等がクラウドサービスを導入する際は原則としてISMAPクラウドサービスリスト内に含まれる事業者のサービスを導入することが定められています。つまり、ISMAPに対応しているサービスは、自治体に適したセキュリティレベルを有していると言えます。
法改正に対応できるか
公務員の評価制度は法改正に伴う変更が発生する場合があります。法改正への対応が可能な人事評価システムなら、改正内容を自動的にシステムに反映することができるため、手作業での対応が不要になるというメリットがあります。
法改正への対応誤りは自治体にとって大きなリスクとなります。コンプライアンス違反にかかるリスクを回避し、常に最新の法改正を遵守するにはシステムによる自動対応が望ましいでしょう。
簡単に操作できるか
人事評価システムは評価する側はもちろん、される側も結果確認のために使用することが想定されるため、誰にとっても使いやすいシステムである必要があります。パソコンに不慣れな職員がいることも考慮し、直感的に使用できる操作性に優れたシステムを選びましょう。
特に評価をする側の職員はされる側と比較するとシステムを使用する頻度が高いため、パソコンに不慣れでも評価作業をスムーズに行えるかといった点を重点的に確認するのがおすすめです。
提供形態を確認
人事評価システムには、クラウド型やオンプレミス型などの提供形態があります。提供形態によって特徴・メリット・デメリットが異なるため、導入目的に合った形態を選びましょう。ここでは、それぞれの提供形態について解説します。
クラウド型
クラウド型とは、インターネット接続によってシステムにアクセスし、サービスを利用するタイプの形態です。データはクラウド上で管理されるため、インターネット環境があれば場所や時間を選ばず使用できるというメリットがあります。
クラウド型ではシステムベンダーが提供するサーバーを利用するため、導入時の設備投資が不要です。月額費用制のサービスが多く、ランニングコストがかかりますが、初期投資を抑えたい場合に適しています。
一方で、ベンダーによって既に完成されたシステムを利用するため、大幅な機能追加が難しく、カスタマイズの範囲が限定されるというデメリットがあります。また、動作はインターネット接続に依存するため、接続障害などで業務が停止するリスクもあります。
さらに、インターネットを経由して第三者からの不正アクセスが起こる可能性があるため、十分なセキュリティ対策がなされているシステムを選ぶことが重要です。
オンプレミス型
オンプレミス型とは、サービス利用者が準備したサーバー上にシステムを構築する提供形態です。一からシステムを構築するため、自治体が求める機能や条件を柔軟に設定できるというメリットがあります。
オンプレミス型はインターネット接続を使用しないため、第三者による不正アクセスのリスクが少なく、インターネット回線の有無に関わらず使用できます。そのため、リモートワークには対応できませんが、セキュリティ面でのリスクを回避します。
オンプレミス型のデメリットは導入費用が高額なことです。サーバーの設置やシステムの構築には多くの時間と費用がかかり、運用中の保守やメンテナンスなども必要になります。
オンプレミス型人事評価システムとは|クラウド型との違いを解説
人事評価に付随する業務を自動化できる人事評価システムには、オンプレミス型とクラウド型があります。どちらにも利点と難点があり、自社に適しているか見極めなければなりません。本記事では、オンプレミス型とクラウド型の違いや、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
評価方法を確認
人事評価システムを選ぶ際は、導入する自治体の評価方法に合ったものを選ぶことが重要です。民間企業でも多く取り入れられている360度評価やMBOなどの手法による評価を行いたい場合は、システムがそれらの手法に対応しているかどうかを確認しましょう。
人事評価システムには多くの商品が展開されていますが、対応可能な評価方法はさまざまです。評価方法に注目して比較検討を行うことで、自治体に合ったサービスを絞り込みやすくなるでしょう。
セキュリティ対策は万全か
人事評価システムには多くの個人情報が集約されるため、セキュリティ対策が万全なシステムを選ばなければなりません。特に、自治体における情報漏洩は社会問題にも繋がりかねず、大きなリスクとなります。
クラウド型のシステムを検討している場合は、第三者による不正アクセスのリスクを考慮し、IPアドレスの制限や2段階認証などのセキュリティ対策がなされているものを選びましょう。また、前述したようにISMAPに対応しているかどうかを確認するのも有効な対策になります。
サポート体制は充実しているか
人事評価システムのサポート体制はサービスによって異なります。導入時や運用中のサポート範囲に加え、問い合わせの方法や受付時間などを確認しておきましょう。
自治体における人事評価システムの運用経験が少ない場合は、電話によるサポートが受けられるものがおすすめです。また、システムによっては一定範囲以上のサポートが有料なものもあるため、無料サポートの範囲を確認しておくのも重要です。
まとめ
自治体での人事評価における課題として、評価基準が属人的になりやすく公平性や透明性に欠けるという点が挙げられます。また、Excelや紙などを用いた人事評価によって職員の業務負荷が上がり、本来の業務を圧迫してしまうケースも見られます。
このような課題を解決するためには、自治体向け人事評価システムの導入がおすすめです。自治体に人事評価システムを導入することで評価の透明性が向上し、効率的な人事評価が実現します。
人事評価システムを選ぶ際は、LGWANやISMAPなどのセキュリティ対策に注目し、自治体が求める評価制度に対応可能なものを選ぶことが重要です。本記事の内容を参考に、自治体に合った人事評価システムを導入し、人事評価の適正化に取り組みましょう。
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