中小企業が受発注システムを導入するメリットとは?選び方も解説

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  • 中小企業共通EDIを利用すると、さまざまな手間を削減して企業間電子取引を実現できる
  • 深刻な人員不足によって、中小企業は受発注業務にリソースを割くのが難しくなっている
  • 受発注システムの導入により、業務効率化・売上向上・コスト削減などの効果が望める

中小企業の人員不足が深刻化する中、政府は2023年を目途に、受発注業務のデジタル化導入率約5割の達成を目指すと発表しており、中小企業全体でDX化が進んでいます。本記事では、中小企業が受発注システムを導入するメリットや選ぶ際のポイントなどについて解説します。

目次

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  1. 中小企業が抱える受発注業務に関する課題
  2. 政府が目指している中小企業の受発注デジタル化
  3. 中小企業が受発注システムを導入するメリット
  4. 中小企業が受発注システムを選ぶ際のポイント
  5. まとめ

中小企業が抱える受発注業務に関する課題

中小企業の中には、電話・FAX・メールといった従来の手法での受発注を続けている企業も少なくありません。受発注のデジタル化の重要性を理解するためにも、まずは中小企業が抱える受発注業務の課題を知っておきましょう。

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人手不足で受発注業務にリソースが割けない

中小企業には、人手不足でそもそも業務に人手を割けないという課題があります。電話やメールでの受発注の際は、受注内容を目視で確認して別システムに手動で入力、さらに発注先への連絡といったさまざまな工程が必要です。

このようなアナログな受発注業務には時間と手間がかかります。そのため、人手が少ない企業ではスムーズに受発注業務を遂行できない場合も多いです。

また、受発注業務に人手を割かれてしまい、本来のコア業務に注力できないことにより、売上や利益を逃しているケースもみられます。

システム導入のハードルが高い

アナログな手法での受発注を続けていると、システム導入のハードルが高くなる点も課題です。

アナログな受発注に慣れている企業の多くは、ITツールに不慣れであり、ITリテラシーが高い人材も不足しています。そのため、ITツールの導入に漠然とした不安を抱く企業は少なくありません。

また、受発注システムの導入の際には、時間・手間・金銭的なコストもかかります。こういったハードルの高さに加え、アナログな受発注も未だに通用するという現実から、デジタル化に舵を切れないという企業も数多くみられます。

アナログな手法にこだわり続けるほど、ITツール導入へのハードルはますます高くなります。その結果、さらにデジタル化が遅れるといった悪循環につながります。

ヒューマンエラーが起こりやすい

アナログな受発注業務には、連絡ミス入力ミスといったヒューマンエラーのリスクがあります。特に、紙やExcel(エクセル)を使った受発注管理は、数値を間違えて記入する・枠が一段ズレたまま入力する・ファイルを取り違えるといったミスが起こりやすいです。

些細なヒューマンエラーが積み重なることで、部品不足や在庫切れなどを引き起こし、ひいては大きな売上の損失を招くこともあります。

政府が目指している中小企業の受発注デジタル化

中小企業の中には、電話・FAXなどのアナログな手法で受発注を続けている企業も少なくありません。この状況から、政府は2023年を目処に中小企業での電子受発注システムの導入率を約5割に引き上げるという方針を示しました。

代表的な施策としては、中小企業共通EDIの活用が挙げられます。こういった取り組みにより、中小企業での受発注業務のデジタル化が加速しています。

参考:中小企業の受発注デジタル化|中小企業庁

中小企業共通EDIとは

中小企業共通EDIとは、簡単・便利・低コストに受発注業務のIT化を実現できる仕組みです。汎用性が高く、ITツールに不慣れな企業でも導入しやすいのが大きな特徴です。

なお、EDIとは「電子データ交換」のことで、企業間で発生する契約書や各種の帳票を、電子データとして通信回線でやり取りする仕組みです。EDI規格は企業によって異なることもあり、その場合は取引データの項目・フォーマットの共通化といった作業が必要です。

一方、中小企業共通EDIを利用すれば、こういった手間をかけることなく、共通のEDI規格の下で企業間の電子取引を実行できます。

その結果、ITツールに不慣れな企業や電子取引についての知識が少ない中小企業でも、スムーズな電子取引が可能になります。自社内で時間・手間をかけずに受発注をデジタル化できるため、生産性の向上や企業の成長が見込めるでしょう。

参考:中小企業共通EDI – 中小企業庁 – 経済産業省

EDIは受発注システムの一種

EDIは、受発注業務をWeb上で処理する「受発注システム」の一種と言えます。受発注システムは大きく定義すると、専用のシステムで受発注をシステム化するもの、ECタイプのもの、企業間を専用回線でつなぐEDIの3つに分類することができます

一般的には専用のシステムのことを指しますが、受発注をデジタル化するという意味ではEDIも受発注システムの1つと言えるでしょう。受発注システムを導入したい場合には、この3つの中からいずれかの方法を選ぶことになります。

受発注管理システムとは?メリット・デメリット、機能も解説

受発注管理システムとは、受注システムと発注システムの機能を併せ持ったもので、受発注に関する一連の業務をデジタルで行えるシステムです。この記事では、受発注管理システムのメリット・デメリットのほか、導入が推奨される企業や選び方も解説します。

中小企業が受発注システムを導入するメリット

受発注システムとは、一連の受発注関連業務をWeb上で完結できるツールです。製造業、卸売業などさまざまな業界で導入が進んでいます。上記で解説したように大きく定義すると3つの種類がありますが、どのタイプでも中小企業間の受発注を効率化できます。

ここからは、受発注システムによって、受発注をデジタル化するメリットをご紹介します。

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受発注業務の効率化による生産性向上

受発注システムでは、受注・発注業務をある程度自動化できます。例えば、従来は手動で行っていた注文内容の確認や転記などが不要になるため、受発注業務を大きく効率化できるでしょう。

また、受発注システムの多くは在庫管理機能を備えています。素材や商品の在庫状況をリアルタイムで可視化できることで、的確な受発注が可能となります。機能を活用して在庫切れや部品不足といったトラブルを低減し、生産性の向上や売上の拡大を狙えるでしょう。

コスト削減と人材不足の解消

受発注システムの導入により、受発注にかかるコストを削減できます。例えば、FAXでの受発注を行っていた場合は、紙代・印刷代といった金銭的コストが削減できます。

また、受発注状況を一元管理することにより、無駄な仕入れを防止できます。この点もコストの削減につながります。

そして、受発注システムで受発注業務を自動化することにより、人手不足に対応できるメリットもあります。受発注が増加する繁忙期においても、人員を増員せず効率的に業務を遂行できるため、売上の向上が見込めるだけでなく人件費の節約にも貢献します。

ヒューマンエラーの防止

受発注システムの導入により、入力ミスなどのヒューマンエラーを防止できます。受発注システムでは受注データと発注データの連携が可能です。簡潔にいえば、受注データがそのまま発注データに反映されるため、従来のような手入力が必要ありません。

受注から発注までを一貫してデジタル化することで、人手による介入を最低限に減らせるため、さまざまなリスクを回避しやすくなります。

テレワーク・DXの推進

政府が推進するDXにおいても、受発注システムを活用することによって対応することができます。

受発注業務に関わるフローは多岐にわたり、製造元と取引先との間には多くのやり取りが発生します。受発注システムにより双方がDX化を推進していることにより、業務負担を減らしながら、テレワークにも対応した柔軟な業務の遂行を行うことが可能です。

インボイス制度・電子帳簿保存法に対応

近年制定されたインボイス制度・電子帳簿保存法に関して、中小企業も例外ではなく対応を求められています。

専用の受発注システムやECシステムの中には、これらに対応したものもあります。そのような発注システムを利用すればこうした新しい法制度にも対応しやすくなります

また、システムを活用することで、法制度への対応に伴う業務フローの変更や管理の負担増加に関しても、経理担当者のミスや負担を減らし、請求書などの効率的な保存が行えるようになります。

参考:インボイス制度の概要|国税庁

参考:電子帳簿保存法の概要|国税庁

受発注管理システムとは?メリット・デメリット、機能も解説

受発注管理システムとは、受注システムと発注システムの機能を併せ持ったもので、受発注に関する一連の業務をデジタルで行えるシステムです。この記事では、受発注管理システムのメリット・デメリットのほか、導入が推奨される企業や選び方も解説します。

中小企業が受発注システムを選ぶ際のポイント

人手不足が深刻な中小企業こそ、受発注業務を効率化・自動化できる受発注システムの導入がおすすめです。なお、受発注システムは、自社にとって使いやすいものを選ぶ必要があります。

ここからは、中小企業が受発注システムを選ぶ際のポイントをご紹介していきます。

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クラウド型でコストを抑える

受発注システムには、スクラッチ型とクラウド型があります。中小企業におすすめなのは、クラウド型です。

クラウド型とは、インターネット上でサービスを利用する形態です。自社でのサーバーの設置やシステムの構築が不要なため、導入コストが小さい点が特徴です。

また、クラウド型受発注システムの多くは、ユーザー数に応じて料金が変動する月額従量制を採用しています。ユーザー数が少ないほど月々の利用料金を抑えられるため、比較的規模の小さな中小企業におすすめです。

受発注システムの費用相場は?スクラッチ型とクラウド型に分けて解説

受注・発注の管理を効率化させる受発注システムは、製造業や卸売業・商社など多岐に渡る業界で採用されていますが、システムの導入や維持にはコストがかかります。この記事では、スクラッチ型とクラウド型それぞれの受発注システムの費用相場と、導入時の注意点を解説します。

誰でも簡単に操作できるか確認する

受発注システムは、誰でも簡単に操作できるかに注目して選びましょう。人手が不足している中小企業では、ITツールの操作方法や利用方法の研修・教育に時間を割けないことが多いです。

そのため、マニュアルが無くても直感的に操作できる、あるいは、マニュアルを見ればすぐに操作方法が分かるツールの導入が望ましいです。例えば、画面レイアウトがシンプルなもの・ボタン配置が見やすいものは、比較的誰でも直感的な操作が可能でしょう。

併せて、導入・利用方法のサポート体制が充実しているかも要チェックポイントです。利用方法を気軽に相談できる環境が整っていれば、初めてのITツールでも安心して運用できるでしょう。

受発注システムの中には、無料トライアルが可能なものもあります。操作性や機能性を含めて、自社で問題なく運用できるのか確認するためにも、無料トライアルは積極的に活用しましょう。

ベンダーのサポート体制も確認する

併せて、利用方法のレクチャーといった導入支援など、サポート体制が充実しているかも要チェックポイントです。利用方法を気軽に相談できる環境が整っていれば、初めてのITツールでも安心して運用できます。

サポート内容、メール・電話・チャットなどの問い合わせ方法、対応時間・曜日などをシステム選定の時点で確認しておきましょう。人手が少なくノウハウに乏しい中小企業でも、ベンダーによる十分なサポートがあればスムーズにシステム運用を開始できます。

まとめ

中小企業は、アナログな手法での受発注業務を続けている場合も多く、これは業務の非効率性やヒューマンエラーの原因となっています。これを受け政府は、中小企業の受発注業務のデジタル化を推進しています。

中小企業の受発注業務のデジタル化には、受発注システムの導入がおすすめです。受発注業務をデジタル上で一元管理できるため、業務の効率化やヒューマンエラーの低減、コストの削減が期待できます。

中小企業には、導入コストを抑えられるクラウド型の受発注システムが適しています。ITツールに不慣れな企業は、操作性が優れたもの・サポート体制が充実したツールに的を絞るのがおすすめです。

受発注システムの導入により、アナログな手法での受発注業務を脱却し、業務の効率化や生産性の向上を狙いましょう。

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