データセンターとは?メリットなどを初心者にもわかりやすく解説

Check!
- データセンターとは、サーバーを安全に保管するための施設・建物である
- データセンターでは、自社にサーバーを設置するより低コストでデータの保護ができる
- データセンターを選ぶ際は、データセンターの立地や空きスペースがあるか確認する
データセンターとは、サーバーを安全に保管するための施設・建物です。災害・セキュリティ対策を厳重に行っているため、自社にサーバーを設置するよりも魅力的な場合があります。本記事では、データセンターのサービス内容やメリット・デメリット、選び方を解説します。
データセンターとは

データセンターとは、IT機器を安全に保管・運用する施設のことで、簡単にいえばレンタル倉庫のようなものです。災害やセキュリティに関する対策も行われており、自社に機器を設置するより利点が多いことから、注目を集めています。
企業におけるITの利用は日々拡大し、業務を効率的に処理するための技術として広く使われています。さらに、最近では業務処理に加えて企業戦略立案などでの活用も増えており、ITへのニーズは増々多様化しています。
自然災害などに対するBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の観点から、外部のデータセンターに機器を設置し、管理・運用する企業が増えています。
また、データセンターの誘致により、雇用創出や地域産業の発展などが見込まれるなど、多方面からの期待や注目が集まっています。
データセンターとクラウドの違い
データセンターは、サーバーなどのハードウェア機器をセンター内に物理的に設置し、運用する施設です。また、電源やインターネット接続などを提供するとともに、それらの機器が安定して稼動するための空調設備や自然災害への充分な対策が講じられています。
一方、データセンターが物理的な場所を提供するのに対して、クラウドでは、インターネット経由で仮想的に利用環境を提供します。そのため、ユーザー側でサーバーなどの機器を用意する必要がありません。
なお、クラウドサービスの多くは、サーバーなどの機器をデータセンターに用意し、保管されているケースがほとんどで、クラウドサービスも間接的にデータセンターを利用しています。
データセンターの種類
データセンターには、主に企業が独自にデータセンターを保有する「オンプレミス」、自社が用意したサーバーをデータセンターに置く「ハウジング」、センター側のサーバーを借りる「ホスティング」の3つの種類があります。
以下では、それぞれの内容について解説します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
オンプレミス
オンプレミスは自社内でITインフラを完全にコントロールできるため、銀行や政府機関のシステムとして活用されています。外部に依存することなく、自社ポリシーに基づいた管理が可能であり、企業ごとのニーズに応じて自由なカスタマイズができます。
ただし、サーバー・ストレージ、ネットワーク機器、電源設備など、すべてを1から構築しなければならないため、膨大な初期投資が必要です。そして、強固なセキュリティ体制を整えるには、継続的な安定稼働と適切なメンテナンス・人材配置が求められます。
ハウジング
ハウジングとは、データセンター内にある収納ラックや機器の設置場所を借り、自社で用意したサーバーを収納できるサービスです。自社内のサーバーの占拠場所を空けたい場合や、強固なセキュリティが確保された設備を利用したい場合などによく利用されます。
メリットとしては、自社内のサーバールームを縮小または撤去でき、運用中のサーバーを引き継いで使用できる点です。また、サーバーの機種やストレージ容量・CPUなども自由に決められます。複数サーバーの連動や、インターネット回線も自由に引き込めます。
デメリットとしては、サーバー構築や運用保守の知識・経験のある人材の確保が必要な点です。障害対応などの保守管理・運用は基本的に自社の責任となります。また、サーバー設置や回線敷設の導入時に手間や時間がかかり、初期・月額費用が割高になります。
ホスティング
ホスティングとは、ベンダーがセンター内で運用するサーバーを、インターネット経由で利用するサービスです。契約時に利用するサーバーの種別やストレージ容量・セキュリティレベルなどを決め、専用の管理コンソールを通じて遠隔で運用します。
初期費用や月額費用が、ハウジングと比べて安価になるのが利点です。また、メールサーバーやWebサーバーの運用を手軽に始められます。セキュリティ対策サービスも利用でき、障害対応やリプレースなどの保守・運用管理が不要です。
一方、サーバーの構成や仕様・インターネット回線速度などが限定されるのがデメリットです。特に、共用サーバーの場合には、他のユーザーの処理で影響を受け応答時間が不安定になりやすく、障害発生時に自社では対応できず、復旧まで待つことになります。
データセンターが提供する主なサービス・機能

データセンターが提供するサービスにはいくつかの種類があります。ここからは、主なサービスの種類・内容の詳細に関して解説します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
サービス | 主な内容 |
---|---|
場所の提供 | サーバーやネットワーク機器を設置する場所を提供 |
電源の提供 | 電源や電力を常時供給 |
インターネット接続 | インターネット網に接続するための通信回線を提供 |
空調管理 | 常時温度や湿度を監視し、空調設備を正常稼働させる |
セキュリティ対策 | 物理的・情報的なセキュリティの対策を実施 |
災害対策 | 地震や火災・停電などへの対策を実施 |
その他 | 休憩スペースの提供やスタッフの常駐など |
場所の提供
データセンターでは、サーバーなどのIT機器を設置するラックや設置スペースを装備し、提供します。また、IT機器の設置場所に加えて、IT機器を導入する際の組み立てスペースや修理場所の確保、休憩スペースの提供もサービスの一環となります。
電源の提供
サーバーをはじめ、IT機器を稼働させるためには電源が必要となります。データセンターでは、常時電源を用意して電力の供給を行います。停電などが発生した場合には電力の供給が停止し、センター全体の業務処理に支障が起きてしまいます。
このような状況に対処するために、データセンター側では一般的に自家発電や大容量蓄電池を利用したUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)などの装備が設置され待機しており、常に停電へ備えながら、電力の常時供給を実現しています。
インターネット接続
データセンターでは、サーバーや通信機器をインターネット網に接続するための通信回線を提供します。一般的に、いくつかの帯域や通信速度に対処している、高品質かつ大容量の通信回線が提供されることが多いです。
空調管理
IT機器は、それ自体で熱を発生させます。データセンターのように、IT機器が大量に集結・設置されるようなケースでは、全体で大量の熱が発生することになるため、機器を安定して稼働させるには、設置場所の温度や湿度の空調管理が非常に重要です。
データセンター側では、設置された多くのIT機器が正常に稼働して機能し続けられるように、充分な空調設備を装備しています。常に温度や湿度を監視しながら空調設備を管理し、正常稼働するように運用されています。
セキュリティ対策
セキュリティ対策として、施設周辺に設置されたカメラや警備員によって24時間体制で管理しています。また、ドアを通過する際には、鍵やIDカード、セキュリティデバイス、指紋認証を含めた生体認証システムで厳重に管理しています。
来訪者の場合は、施設への到着時と退出時にログが記録され、来訪者であることを表示する名札の装着が義務付けられます。さらに、センター内の機器へのアクセスが制限され、アクセスする場所によっては、センター要員がエスコートするケースもあります。
センターでは、一般的なマルウェアやインターネット上からの仮想攻撃を防ぐために、厳格な監視や監査ルールを設定・遵守しています。さらに、インフラにアプリを導入・配備する前には、徹底的に侵入テストを行い、脆弱性がないかコードをチェックします。
災害対策
データセンターでは、想定される地震・火災・停電・浸水などへの災害対策も非常に重要です。地震に対しては、センターの多くは免震構造になっていて倒壊しにくく、施設内のサーバーの保管ラックなども、地震の揺れに強く倒れないような対策が講じられています。
また、センター内の火災では水による消火で火は消せますが、設置されているIT機器などが水による2次被害を受けてしまいます。そのため、二酸化炭素やフロンガスによる消火を行い、最近では人体への影響が少ない窒素の利用も勧められています。
停電に対しては、自家発電装置やUPS(無停電電源装置)などが設置されています。そして、浸水対策では建物の構造もポイントとなり、大雨や津波の被害が起きにくい立地に建設されていることも、災害対策として考慮すべき点です。
その他
データセンターでは、万が一の障害対策や緊急時対処のために、24時間センタースタッフが常駐しています。また、施設内で働く人が快適に作業できるように休憩スペースの提供や自動販売機の設置などもされています。
データセンターのメリット

ここからは、データセンターを利用する際のメリットとして、自社サーバールームを設置し利用する場合や、クラウドサービスを利用する場合と比較しながら、解説します。
自社サーバールームと比較したデータセンターのメリット
最初に、自社サーバールームを利用した場合と比較したデータセンターのメリットを解説します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
自社サーバールームと比較した場合
IT機器の運用に適した環境
近年のサーバーの処理能力の増強や小型化により、1ラックに設置されたサーバー機器に必要な電力は増加の一途を辿っていますが、データセンターを利用する場合には、大容量の電源が確保・供給されるため、余裕を持った構成が組めます。
また、停電時に備えた非常用電源装置やUPSなどが装備されている点も安心です。さらに、データセンターでは、サーバー内部の温度上昇を抑えて一定に保持するために、独自設計の空調設備によって効率的で効果的な排熱処理なども行われています。
データセンターの中には、サーバーの電源のオン・オフや稼働状況などをチェックして、故障などへの対応を代行する「マネージド・サービス」を提供しているところもあります。
災害からデータを守れる
データセンターの建物の多くは、大規模な地震が発生した場合に備えて、耐震構造や免震構造で設計・建設されています。そのため、施設内に設置されているIT機器の落下・倒壊などの被害を最小限に抑える対策が講じられています。
また、火災発生時に備えて、データセンターの内装には不燃素材が多く使われ、施設内のIT機器を守るために水による消火ではなく、二酸化炭素などのガスの利用や人体への影響が少ない窒素による化学消火が行われています。
データセンターでは、想定される多くの災害に備えてさまざまな対策が行われ、IT機器などを守りつつ被害を最少に抑えて早期に事業復旧ができます。そのため、BCP策定の観点からも、注目されています。
強固なセキュリティ対策が可能
データセンターでは、その性格上、非常に強固なセキュリティ対策が立てられています。住所や詳細な位置の公表を極力控え、建物の外部にデータセンターであることを示す表示をしないなどの対策が講じられています。
入館・退館時にICカードや生体認証に加えて、「共連れ」などによる不正侵入を防ぐために、駅の改札などでも採用されているフラッパーゲートの設置によるセキュリティ対策を実施し、不法侵入を許さない体制を構築しているデータセンターもあります。
また、データセンターでは、内部で運用しているデータの定期的なバックアップ作成なども行われており、万一の障害に対しても、データを速急に復元し運用が停滞しない対策も実施されています。
コスト・手間を抑えられる
自社内にIT機器を設置する場合には、専用のルームを用意する必要があり、温度や湿度調整をする空調設備や停電用の自家発電装置などに多額のコストがかかります。データセンターを利用することにより、自社で発生するコストを削減できます。
また、社内のIT機器設置ルームが不要となり、新規の社内スペースが増えて別の用途への転用が可能です。さらに、データセンターの「ホスティングサービス」や「マネージドサービス」を利用することにより、サーバーの運用・管理コストも低減できます。
データセンターを利用することにより、災害などのトラブル発生時にも、施設内に設置されているIT機器などの被害を最小限に抑えることができ、業務を継続しやすくなります。
社内スペースを有効的に使える
社内にIT機器を設置する必要がないため、限られたオフィススペースを有効的に活用できます。IT機器がなくなるだけでも、新しい機材の導入や休憩スペースの確保など、快適なオフィス作りが可能です。
故障対応の代行
データセンターには、専門の管理スタッフが常駐しており、24時間365日体制でセンターに設置されているIT機器を監視・管理しています。万一、深夜にトラブルが発生したケースでも、データセンターの管理スタッフが対応するため運用面での安全性が保障されます。
クラウドサービスと比較したデータセンターのメリット
以下では、クラウドサービスと比較した場合のデータセンターの4つのメリットを解説します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
クラウドサービスと比較した場合
IT機器やネットワークを自社に合わせられる
クラウドサービスは、基本的にサービス提供者側が用意したハードウェアやソフトウェア環境をそのまま利用します。そのため自社にとって、その使用環境が必ずしも適切な性能を備えているとは限りません。
しかし、データセンターを利用することで、自社に最適なIT機器やソフトウェア・ネットワークを選定することができます。また、自社の使用に合わせて市場にリリースされている革新的な新規サーバーやソフトの導入・更新が可能となります。
専用回線で高速通信の維持が可能
クラウドサービスでは一般回線を利用するため、不特定多数のユーザーにより、大量に発生したデータやトラフィックの処理を行うことになります。その結果、応答時間が遅くなるなど、処理効率に影響が出ることがあります。
一方、データセンター利用の場合は、自社の業務のデータやトラフィック量に対応した大容量の高速通信が可能な専用回線を選択して採用することができるため、業務の円滑な処理が可能です。
障害などへの迅速な対応が可能
クラウドサービス側で障害が発生した際には、多くのケースで復旧するまで待たされることになります。一方、データセンター利用の場合は、自社の要員がすぐに駆けつけて、早急に復旧作業を行うことができます。
さらに、データセンターが用意する「ホスティングサービス」を利用することにより、センターのスタッフに直接復旧作業を依頼することも可能です。また、本社から遠く離れた場所のデータセンターを選んで契約し、バックアップ機器を設置して危険の分散ができます。
地震や水害といった広域自然災害が発生した場合でも、データセンターのバックアップ機能を利用して、自社のBCP(事業継続計画)の一環として有効に活用可能です。
クラウドでは保管できないデータも管理可能
クラウドサービスは、インターネット上で不特定多数の利用を前提としたシステムのため、自社の機密性の高い企業情報や顧客・個人情報などのセキュリティ管理の面において、必ずしも安全性が高いとはいえず、情報漏えいなどのリスクが発生する危険性があります。
このようなクラウドサービスにおけるセキュリティの状況は、自社の機密情報を保存・管理する場合に、企業のコンプライアンスと必ずしも合致しないことにもなります。そのため、クラウド上でのデータの保存・管理は、事前に充分なチェックが必要となります。
一方、データセンターを利用する際には、自社内におけるオンプレミスサーバーと同様に、閉鎖的なセキュリティレベルを保持することができます。その結果、情報漏洩などのリスクも少なくなり、コンプライアンス遵守の方針から逸れずに済みます。
データセンターのデメリット

データセンターの利用には、メリットだけでなくデメリットも存在します。ここでは、データセンターのデメリットについて解説します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
データセンターのデメリット
レンタルサーバーに比べてコストがかかる
データセンターを利用する際には、当然利用料金が発生します。一般的なレンタルサーバーと比較して、施設料や管理料などが含まれるため高額になりがちです。また、設置するサーバー数やデータ量に応じて利用料金は高くなります。
さらに、センターに設置した機器を使うためには、自社とセンターを接続する必要があり、回線料が発生します。データセンターでは最低利用期間などが設定されているため、設置機器数や利用期間など総合的な観点で利用の判断をすることが重要です。
自社内にIT機器を設置して使用する場合でも、人件費や保守・運用費用などのコストが発生し、自社とデータセンター双方の管理コストを比較・検討する必要があります。設置機器が少ない場合は、自社内に設置・管理した方が安く済むケースも多いです。
事業成長や負荷増大に合わせた対応が難しい
オンプレミスやハウジングのデータセンターでは、機器を設置できるラックやフロアのスペースに限りがあります。サーバーを追加したい場合などには、新たなスペースの確保が必要ですが、上限が設けられていると事業成長や突発的な負荷増大に対応しにくいです。
一般的に、新規機器の調達・設置には1ヶ月以上かかるケースがほとんどであり、ハウジングの場合、契約した上限を超えると高額な追加費用が発生します。その他、地理的な制約もあるなど柔軟性が低いことから、クラウドとの併用や負荷分散を検討する必要があります。
データセンターまで出向かなければならない
データセンターに設置した機器にトラブルが発生した場合や、サーバーの増設・ケーブルの敷設などの際には、センターに出向く必要があります。その際、センターが自社から遠方にある場合には、多くのコストや移動時間がかかってしまいます。
海外のデータセンターの方が安価なケースが多いですが、日本に拠点を置いている企業は実際に出向くことを考慮してデータセンターを選びましょう。
また、データセンターへの出入りはチェックが厳しいという特殊性があります。IT機器を守るセキュリティ面での厳重な管理ですが、利用する側にとっては不便な点ともいえます。
データセンターの市場規模は拡大している

デメリットも持ち合わせているデータセンターですが、市場動向を確かめるとデータセンター業界は需要が伸びていることがわかります。
総務省が発表している令和6年版の情報通信白書によると、日本のデータセンターの市場規模(売上高)は2022年では2兆938億円、そこから順調に伸びを続け、2027年には4兆1,862億円にまで拡大すると予想されています。
クラウドサービスへの移行が活発になっていることから「データセンターの需要はなくなるのではないか」と懸念されることもありますが、クラウドサービスの運用もデータセンターを介して行われています。
政府はデータセンターの地方分散を進めるなど、より強固なインフラ構築を目指した政策も進めています。情報社会である現代において、データセンターの役割はますます重要になっているといえるでしょう。
参考:令和6年版 情報通信白書 第Ⅱ部|第1章 ICT市場の動向 第8節 データセンター市場及びクラウドサービス市場の動向
参考:デジタル田園都市国家インフラ整備計画(改訂版)の全体像|総務省
データセンターの選び方

データセンターを選ぶ際には、立地条件や災害対策、利用料金、セキュリティなど、いくつかの考慮すべきポイントがあります。ここでは、データセンターの選び方について解説します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
データセンターの選び方
データセンターの立地を確認
データセンターを利用する際には、日常的な機器の管理などを委託できたとしても、定期的に自社のスタッフが運用・管理面で出向く必要があります。ただし、利便性だけを考慮しすぎても、BCPの観点からは災害時に危険分散が充分にできません。
データセンターの多くは、関東や関西の都市部周辺に建設されている傾向があります。そのため、東京の場合は関東周辺から、大阪の場合は関西周辺から、自社との距離を勘案して選ぶのがおすすめです。
具体的には、交通機関を利用して2時間以内でアクセス可能なデータセンターを選択することが1つの目安となります。
災害対策を確認
災害に対して、具体的にどのような対策を取っているかも大きなチェックポイントです。地震対策として、建物自体が耐震や免震構造となっているか、内部のサーバーラックなども、揺れた際に倒れない対策が取られているかが大事です。
火災に対しては、IT機器は水に弱いことから、二酸化炭素やフロンガスなどの消火に強い化学物質を使った消火方法かどうかがポイントです。また、建物の内装に火災で有毒ガスを発生しない素材を使っているかも確認しましょう。
停電に対しては、自家発電装置やUPSなどが装備されているか、電力の常時供給への対策が重要です。災害規模によっては完全な回避策はとれませんが、データセンターの災害対策への取り組みや姿勢がポイントになります。
利用料金を確認
データセンターの初期費用としては、サーバー機器の購入費用やネットワーク機器のレンタル料などがあります。また、センターによってはラックの確保も初期費用として発生します。
そして、月額料金としては、月毎の基本料金や電力使用料金、ラック/ユニットのサイズ別使用料金などが挙げられます。その他、回線利用料金が加算されるため、事前に発生する費用を考慮しましょう。
セキュリティ対策を確認
多くのセンターでは、施設内・外にカメラが設置され監視員が常駐しています。特に入口では、監視員やカメラにより厳重にチェックされ、来訪者は到着・退出時にログで記録されることがほとんどです。
施設内部に入るためには、物理的なキーやIDカード、指紋や目の虹彩による生体認証システムなどでチェックされます。敷地内では人物を特定するネームタグの表示が義務付けられ、アクセスする場所によっては、センタースタッフが同行するケースもあります。
また、ネットワークを介して行われるマルウェアや、サイバー攻撃に対する情報系のセキュリティ対策も重要です。センターのインフラにアプリを導入する前に、徹底的に侵入テストを行い、脆弱性がないかコード確認を行っているかなどもチェックポイントになります。
ラックやスペースに空きがあるか確認
データセンターを選ぶ際には、どの位の物理的な空きスペースやラックの個数があるか確認しましょう。一般的に、企業では新規業務をシステム化する際に、データセンターへの新たなサーバーの追加導入・設置を検討します。
その際、現在利用しているデータセンターに新規サーバー導入の空きスペースがなければ、他のデータセンターを探して利用することになります。1つの会社で複数のセンターを利用することになると、運用が複雑化し無駄なコストも発生してしまいます。
しかし、現在利用しているデータセンターに空きスペースやラックの余裕があれば、サーバーの新規導入も可能となり、1つのデータセンターで業務を完結させ円滑な運用につなげられます。
回線の種類や通信速度を確認
データセンターによって利用できる回線やネットワークの種類が異なるため、どのような速度の回線やネットワークを採用しているかが重要です。自社のシステムが稼働する際、高速で低遅延なネットワークが提供されるかどうか確認しましょう。
また、大規模ネットワークを効率的に処理する「国内インターネットエクスチェンジ(IX)」に接続しているかも確認ポイントです。
データセンターは不特定多数のユーザーが利用するため、大規模な回線設備や通信速度が十分に確保されていることがほとんどです。ただし、アクセスが集中した際などにも安定した通信処理速度・処理効率が提供されるのか、可能な限り確かめるのがおすすめです。
実績を確認
データセンターを決める際は、過去の実績も確認しましょう。データセンター自体は今後もなくなる可能性は低いとされていますが、契約するデータセンターが将来的に閉鎖するリスクはあります。
未来のことは予測しにくいですが、少しでもリスクを減らすために、大手企業が利用しているか、導入実績数なども確認して信頼できるかを見極めましょう。
現地を見学できるか確認
データセンターはセキュリティ上の観点から気軽に見学できる場所ではありませんが、契約前には一度現地を見学するのがおすすめです。これにより、実際に機器を搬入したり、管理作業を行ったりする場合を想定できます。
その他、入館時のセキュリティ対策、休憩室を含めた現地作業員向けの設備、機器の搬入ルートなど、実際に確認すべき項目もいくつかあるため、現地の見学が可能なデータセンターを選ぶのも1つのポイントです。
まとめ

データセンターには、IT機器を設置するスペースや高速回線・空調・大容量電源などの設備が整っています。多くは耐震・免震構造となっており、火災に対しても化学物質による消火が行われていることから、セキュリティ面でも安心です。
一方、利用料や回線料といったコストが高額になる傾向があり、トラブル発生時や機器の増設の際にはセンターに出向くことも考慮しなければなりません。
最近では、自然災害の発生時などに、企業のBCP・事業継続計画を立てる際の有効な手段としてデータセンターが注目されています。今後、センターを選定する際には、クラウドサービスとの違いや選び方を確かめながら、業務効率化やデジタルの推進を図りましょう。
この記事に興味を持った方におすすめ
あなたへのおすすめ記事