出荷管理とは?目的や業務フロー、効率化のためのポイントを解説

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  • 出荷管理とは、取引先から受注した商品の出荷・納品までのプロセスを管理する業務
  • 出荷管理には、書類作成・出荷・納品・伝票作成・帳簿の記帳といった業務がある
  • 出荷管理を効率化させるには、倉庫内の在庫整頓や分散した在庫の一括管理が推奨される

出荷管理とは、取引先から受注した商品の出荷・納品までのプロセスを管理する業務です。出荷管理を適切に行うことは、販売における企業の機会損失を防ぐことにも繋がります。本記事では、出荷管理の目的や業務フロー、管理を効率化させるためのポイントなどを解説します。

目次

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  1. 出荷管理とは
  2. 出荷管理の目的
  3. 出荷管理の業務フロー
  4. 出荷管理でよくある課題
  5. 出荷管理を適切かつ効率的に行うためのポイント
  6. まとめ

出荷管理とは

出荷管理は、製品や商品が生産施設から顧客や販売先に出荷される過程が正しく行われているかを管理することを指します。出荷管理は製造業、小売業、物流業、販売業など、さまざまな業界で重要な役割を果たしています。

商品を受注してから出荷するまでが適切に管理されていないと、顧客に正しく商品が届きません。出荷管理を適切に行うことは、販売の機会損失を防ぐことにも繋がります。

受注管理や発送管理との違い

出荷管理と類似の業務に、受注管理や発送管理もあります。受注管理・発送管理はそれぞれ出荷管理の一部となる業務です

受注管理は発送管理のスタートとなる業務で、注文を受けてから注文内容や在庫の確認、納期の連絡などを行います。見積りや契約締結が必要な場合は、それらも受注管理に含まれます。受注管理は、販売管理の一部として括られることもあります。

発送管理は配送管理とほぼ同義で、商品が出荷された後、顧客のもとに届けられるまでの工程を管理します。配送計画を立て、配送状況などを把握して確実に顧客が商品を受け取れるよう管理します。

出荷管理の目的

出荷管理の目的は、顧客への迅速で正確な製品の配送だけではありません。さまざまな側面から見て、その重要性は高いと言えます。ここでは、出荷管理の主な目的について解説します。

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正確な売上予測を立てるため

出荷管理の目的の1つは、在庫の監視と管理を適切に行い、正確な売上予測を立てることです。正確な売上予測や経営戦略を立てるためには、出荷管理を行って売上を正しく計上する必要があります。

正確な出荷情報が得られることで、現時点でどのくらいの売上があるかを把握することができます。そこから売上予測を出し、次年度の予算目標や事業コストを精度高く算出することができます。

スムーズな出荷と顧客対応を行うため

納期に合わせたスムーズな出荷を行うことも、出荷管理の大きな目的の1つです。近年では、顧客ニーズが多様化し、出荷元に求められる納期も厳しくなっているのが現状です。

そのため、納期を早めるためのスムーズな出荷・顧客対応を行うためにも、正確な出荷管理を行う必要があります。そして、納期の厳守は出荷元の信頼性向上にも繋がります。

機会損失や顧客とのトラブルを防ぐため

製品の欠品は、企業にとって大きな機会損失とトラブルの元となります。需要を満たせないと売上機会を失う可能性が高まり、競争の激しい市場では顧客が他社の製品に切り替えてしまうことがあります。

このような状況を避けるためには、適切な出荷管理が不可欠です。つまり、欠品リスクを最小限に抑え、競争優位性を維持するために、効果的な出荷管理プロセスを確立することが重要です。

出荷管理の業務フロー

出荷業務の各段階やプロセス、それらがどのように連動しているかを理解することで、出荷プロセスの最適化と効率化を行うことができます。ここからは、出荷管理の業務フローについて詳しく解説します。

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必要書類の作成

出荷プロセスの出発点は、必要な書類を作成することから始まります。主要な書類には、出荷指示書納品書などがあります。これらの書類は、出荷と納品の正確性と透明性を確保し、法的および会計上の要件を遵守するために極めて重要です。

出荷指示書には、出荷する商品の詳細情報、数量、価格、出荷先などが記載されます。納品書には、実際に出荷された商品の詳細が含まれ、受け取りの確認が行われます。

出荷・納品

書類が準備されたら、実際の出荷と納品作業に移ります。出荷担当者は、出荷指示書に基づいて倉庫内で商品をピッキングし、適切な包装とラベリングを行います。そして、商品の梱包が完了したら、運送手段を選択して出荷先に商品を迅速かつ安全に届けます。

出荷と納品は、商品が正確に到着し、受け取りが確認されるまでの過程を指します。到着後、受取人は納品書を確認し、商品が正しい数量かつ品質であることを確認することで、双方の間で取引内容が正確に記録され、後の支払いやクレームの処理に役立ちます。

なお、一部の業界では受け取り時に署名などの証拠が必要となる場合もあります。

伝票作成・帳簿の記帳

出荷と納品が完了したら、売上伝票作成と帳簿の記帳が行われます。伝票には、出荷および納品の詳細がまとめられ、会計処理のための情報が提供されます。

帳簿への記帳は、財務記録の更新と在庫のトラッキングをサポートします。このような業務フローによって、取引の正確な記録が維持され、会計上の透明性が確保されます。欠品や誤出荷のリスクを最小限に抑え、ビジネスの信頼性を高めるのに役立ちます。

出荷管理でよくある課題

出荷管理は、多くの企業にとって極めて重要な業務ですが、同時にさまざまな課題を抱えることがあります。ここからは、出荷管理におけるよくある課題や問題点に焦点を当て、それらの課題がビジネスに及ぼす影響について解説します。

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在庫状況を正しく把握できていない

出荷管理においてよくある課題の1つは、在庫状況を正しく把握できていないことです。在庫状況は常に変動するもので、商品の入出庫や販売があるごとに変化します。

特に、Excelなどの表計算ソフトで在庫を管理している場合、情報が手動で更新されるため、誤った情報が蓄積されやすくなります。この問題は、いくつかの面で深刻な影響を及ぼします。

例えば、正確な在庫情報がないと、出荷計画を適切に立てることが難しくなり、欠品や過剰在庫のリスクが高まります。また、顧客に対して正確な納期情報を提供できなくなり、カスタマーサービスの品質が低下する可能性があります。

追加・取り消しなどの情報が反映されない

注文の確定後、顧客の注文に変更が生じ、追加や取り消しなどの情報が迅速に反映されないことがあります。そして、これらの変更がデータとして正確に関連する部門やスタッフに迅速に共有されない場合、問題が発生します。

例えば、追加注文が適切に処理されないと、商品の供給が不足する可能性があり、顧客に商品を出荷する際に遅延が生じるか、欠品が発生するかもしれません。また、取り消し注文が反映されない場合、不要な商品を誤って出荷してしまう可能性が高まります。

適切な業務フローやルールが確立されていない

適切な業務フローとルールが確立されていない状態では、さまざまな問題が生じる可能性が高まります。まず、業務フローが定まっていない場合、現場での業務が混乱しやすくなります。

例えば、特定のスタッフが業務フローを担当していると業務の属人化が進み、そのスタッフが欠席したり退職したりすることで業務が滞ってしまうことがあります。その結果、出荷や納品の遅延が起こり、タイムロスが発生しやすくなります。

このような問題が生じると、出荷プロセス全体が効率的に運用されず、トラブルが多発する可能性があります。

顧客からの問い合わせに対応できない

倉庫内での在庫管理の正確性は、顧客からの商品在庫に関する問い合わせへの迅速な対応に直結します。倉庫内での在庫状況が正確に把握できていない場合、顧客に「在庫あり」と回答したにもかかわらず、実際には在庫がないといった問題が生じる可能性があります。

さらに、倉庫内の商品配置やラベリングが不適切であると、特定の商品を迅速に見つけ出すことが難しくなります。これにより、顧客からの問い合わせにスピーディーに対応できず、サービス品質が低下し、結果として機会損失が生じる可能性が高まります。

出荷管理を適切かつ効率的に行うためのポイント

出荷管理を適切かつ効率的に行うためには、いくつかのポイントに抑えることが重要です。ここからは、出荷管理を適切かつ効率的に行うためのポイントを解説します。

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現在の問題点をすべて洗い出す

まずは、現在の出荷業務における自社の課題・問題点をすべて洗い出すことから始めましょう。具体的には、納期に対して頻繁に遅れが生じてしまう、記載されているデータが出荷時などと正しく照合できない、納品ミスが多発しているなどです。

これらの問題点をすべて把握し、どのような出荷管理を行っていきたいのかを明確化します。そして、問題が起こりやすい場所を特定し、根本的な業務フローの改善が必要であれば、一から業務改善をしていく必要性も視野に入れます。

倉庫のロケーション管理を徹底する

倉庫のロケーション管理を徹底することで、在庫の追跡が容易になります。具体的には、倉庫内のすべてのアイテムを明確に分類し、ラベル付けを行います。

商品のカテゴリーやサイズ別、賞味期限別など、適切な基準で分類し、ラベルにはバーコードなどを利用してアイテムの識別を容易にしましょう。また、倉庫内の各アイテムの収納場所を示した、ロケーションマップを作成するのもおすすめです。

分散している在庫を一元管理する

各拠点に分散している在庫を一元管理すれば、全体の在庫状況をリアルタイムで確認でき、在庫の正確な数量と場所を常に把握できます。

在庫がどこにあるのか、いくつあるのかといった情報は常に正確である必要があり、特に注文処理や製品の供給において欠かせません。また、在庫を一元管理することで、不必要な在庫を削減し、需要に応じた効率的な対応が可能となります。

業務フローや業務状況を可視化する

業務フローやルールをきちんと定め、それを従業員がいつでも確認できるよう可視化しておくことも大切です。受注から出荷までのフローチャートを作成するなど、知識や経験を問わず理解できるよう工夫しましょう

同時に、現在の業務状況も視覚的に把握できるようにしておくと良いでしょう。現状を可視化すると、業務の連携もスムーズになります。従業員全員が全体像を頭に入れて作業することで、生産性の向上にも期待できます。

ペーパーレス化を進める

紙による管理の場合、手書きによる記載・転記の際にヒューマンエラーが発生しやすいですが、デジタル化すれば入力の正確性が高まります。つまり、ペーパーレス化を進めることによって正確なデータ入力が行え、在庫や出荷情報の誤りを大幅に削減できます。

また、紙媒体は管理も煩雑になりがちです。物理的な保管スペースが必要で、紛失リスクなども高いです。データの電子化を進めることで、これらの課題を払拭できるほか、情報の検索性もアップします。

在庫管理システムを活用する

在庫管理システムは、企業の倉庫や在庫情報をデジタル化し、効率的に追跡、管理、制御するためのツールです。このシステムは、出荷オーダーを自動化し、正確なピッキング指示を自動生成します。

作業者はシステムの指示に従って商品を選別し、出荷準備を素早くかつ正確に進めることができます。また、商品の品質情報や賞味期限なども一元管理し、品質に問題のある商品をすばやく特定し、適切な取り扱いを確保します。

さらに、在庫管理システムは正確な在庫情報と需要予測を提供し、企業が適切な時期に必要な在庫を確保するのに役立ちます。これにより、在庫コストを最小限に抑え、不要な在庫を持つリスクを軽減することができます。

在庫管理システムとは?機能や種類、メリット・デメリット解説

在庫管理システムとは、在庫情報や棚卸しなどの在庫管理に関するデータの管理ができるシステムです。本記事では、在庫管理システムをよく知らない・導入を検討している方に向けて、在庫管理システムのメリット・デメリットや選び方、さらにWebで自作できるのかを解説します。

まとめ

出荷管理は、企業が製品や商品を効率的かつ正確に顧客に届けるための重要なプロセスです。正確な在庫情報や迅速な出荷処理は、競争の激しい市場での競争力を高め、顧客満足度を向上させます。

倉庫のロケーション管理の徹底、分散した在庫の一元管理、ペーパーレス化、在庫管理システムの活用などが出荷管理を効率的・正確に行うためのポイントです。

これらの要素を組み合わせ、適切な業務フローとルールを確立することで、問い合わせへの適切な対応や機会損失の回避、効率的な出荷プロセスを実現することができます。

中でも、在庫管理システムの導入がおすすめです。在庫管理システムは倉庫内の在庫を正確に把握し、出荷オーダーを自動化するのに役立ちます。正確な在庫情報と需要予測により、在庫コストを最小限に抑え、不要な在庫を軽減します。

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