BCPとは?意味やメリット・策定のステップ・注意点も解説

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  • BCPとは、自然災害などの緊急事態時への対応を決め、事業の継続を目指す計画のこと
  • BCPを策定することで、事業縮小や倒産のリスクが軽減でき、社会的信用にも繋がる
  • BCP策定では、社内周知を行い、評価・改善を繰り返して精度を上げていくことが重要

BCPとは「Business Continuity Planning」の略で「事業継続計画」を意味します。自然災害やテロ攻撃などの緊急事態時への対応を取り決め、事業の早期復旧や継続を目指すものです。この記事では、BCPのメリットや策定のステップなどを解説します。

目次

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  1. BCPとは
  2. BCPのメリット
  3. BCP策定のステップ
  4. 災害発生から復旧までの流れ
  5. BCPに関する注意点・ポイント
  6. クラウドERPでBCP対策ができる
  7. まとめ

BCPとは

BCPとは「事業継続計画」という意味で、緊急事態が発生しても事業を継続するための計画です。わかりやすく言うと、自然災害などが発生した場合でも事業を中断させずに運営を続けていくための、具体的な行動指針を意味します。

BCPの目的は、緊急事態が発生した場合に事業の損害を最小限に抑え、中核事業の継続や早期復旧を図ることです。BCPを策定することで、事業の継続性を確保し顧客や取引先からの信用を維持できます。

BCPを策定する際は、さまざまな点に留意する必要があります。この記事では、メリットや注意点に加えて、BCP作成のポイントもわかりやすく解説していきます。

参考:1.1 BCP(事業継続計画)とは|中小企業庁

BCPが重要視される背景

日本は地震や台風などの自然災害の発生頻度が非常に高く、その他にもテロやシステム障害といった危険な状況に企業が遭遇するリスクが高まっていることから、近年BCPがさらに重要視される傾向にあります。

BCPは単なる防災対策ではなく、企業における事業の継続を明確な目標として掲げ、行動指針を示すものです。その必要性は、内閣府が「事業継続ガイドライン」を公表して推進していることからも伺えます。

参考:事業継続ガイドライン|内閣府

BCPのメリット

BCPを策定することは、組織にとって多くのメリットをもたらします。組織が予期せぬ出来事や災害に対処し、事業の継続性を確保するための計画を持つことによってこれらのメリットが実現されます。

以下では、BCPの策定による主要なメリットについて詳しく解説していきます。

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事業縮小・倒産のリスクを軽減する

特に中小企業にとって、BCPを策定することは事業の縮小や倒産のリスクを軽減するために非常に重要です。中小企業は大企業に比べて経営基盤が脆弱であり、長期に渡る事業停止は致命的になる可能性があります。

BCPを策定することで、緊急事態が発生した場合でも迅速かつ適切な対応をとることが可能です。そのため、事業の損害を最小限に抑えられ、顧客や取引先に安心感を与えられます。

BCPの策定・運用は、顧客・取引先からの信用や企業の競争力を維持するうえでも非常に重要です。

従業員の安心感に繋がる

BCPには、災害発生時の避難経路や避難場所、従業員の安否確認の方法などが整備・明記されており、従業員は安心安全に働くことが可能です。事業を継続できれば、従業員は休職や離職をせずに働き続けられるため、収入の安定も期待できます。

BCP対策とは、従業員の安心安全だけでなく企業の継続性にもつながる取り組みです。策定・運用することで、従業員の働きやすさやキャリアアップの機会を広げます。

また、BCPの策定などに積極的に参加することで、従業員はBCPの知識やスキルを身に着けることが可能です。これらのスキルを活かすことで、キャリアアップに繋がるケースも考えられます。

社会的な信用が得られる

BCPを策定・運用している企業は、緊急事態が発生した場合でも事業を継続するための体制を整えていると判断されます。また、BCPは企業のリスク管理能力を示すものです。BCPにより、リスクを適切に認識し対策を講じていると考えられます。

事業の継続性やリスク管理能力が担保されていることで、取引先や投資家からの信頼を獲得・維持することが可能です。これらの点から、BCP策定は社会的信用を高める上でも重要な取り組みと言えます。

BCP策定のステップ

BCPを策定するためにはいくつかの重要なステップを踏む必要があります。以下ではBCP策定のステップについて詳しく解説していきます。

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目的を明確にする

BCP策定の目的を明確にするには、まず経営理念や基本方針を再確認することが重要です。経営理念や基本方針は企業の目指す姿や行動指針を示すもので、BCP策定はこの経営理念や基本方針を達成するために行うものになります。

まず、経営理念や基本方針の読み直し、経営層や関係者へのヒアリングを行うことで経営理念や基本方針を具現化します。その後、経営理念や基本方針を達成するために必要なBCP策定を検討します。

BCPの策定は、企業にとっての重要な経営戦略の1つになります。経営理念や基本方針を再確認することでBCP策定の目的が明確になり、具体的な対策を検討しやすくなります。

優先的に復旧すべき中核事業を選定する

災害時に早急に復旧すべき中核事業は、企業にとって最も重要な事業です。優先すべき中核事業を決めておくことで、緊急事態発生時の対応を迅速かつ効果的に行えます。経営理念や基本方針を踏まえて、事業の重要性を評価し、明確にしておきましょう。

災害時に中核事業の復旧が遅れると、顧客や取引先からの信用を失い、企業の経営に重大な影響をおよぼす可能性が高まります。

中核事業の選定は、BCP策定において重要なステップです。中核事業を明確にすることでBCP対策の優先順位を決めやすくなり、緊急事態発生時の対応をより効果的に行えます。

リスクの洗い出し

リスクの洗い出しとは、企業に潜在するリスクを特定しその内容を把握することです。リスクの洗い出しを行うことで、企業は潜在するリスクを把握し、それらのリスクを回避または軽減するための対策を講じられます。

リスクの洗い出しを行うにあたっては、まず企業の事業内容や経営戦略を理解することが重要です。次に経営層や関係者へのヒアリング、文書やデータの調査などを行い、潜在するリスクを洗い出します。

リスクの例としては、自然災害・人災・情報漏洩・サイバー攻撃などが挙げられます。すべてのリスクに対処するのは現実的ではないため、優先順位を決めておく必要があります。

具体的な対応を決めておく

緊急事態が発生した場合に企業が迅速かつ効果的に対応するためには、具体的な対応を決めておく必要があります。具体的な対応を決めておくことで、緊急事態発生時に混乱を防ぎ、被害を最小限に抑えられます。

具体的な対応とは誰が指揮を執るのか、どう動くのかなどを明確にすることです。対応を決める際には発生が想定されるリスクを洗い出し、各リスクに対する対応策を検討して、対応策を実行する役割や責任者を決めた上で、定期的に訓練を行うことが重要です。

緊急事態が発生した際に、企業が事業を継続し経営を守るためには具体的な対応を決めておくことが不可欠になります。

災害発生から復旧までの流れ

災害が発生した際の迅速かつ効果的な対応がBCPの中核となります。このような状況に備えて具体的な対応策を策定し、スタッフと関係者に教育を行いましょう。ここでは、災害発生から復旧までの流れを解説します。

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災害発生から復旧までの流れ

  1. 状況の確認
  2. 代替手段による応急処置
  3. 復旧作業

状況の確認

緊急事態が発生した場合、企業はまず被害状況と従業員の安否を確認する必要があります。今後の対応を検討するためにも、安否確認や緊急事態の規模・影響の把握は重要になってきます。

被害状況の確認と従業員の安否確認は、緊急事態発生後最も早く行うべき重要な段階です。事前に方法や手順を決めておくことで、迅速かつ効率的に行えます。

代替手段による応急処置

緊急事態が発生した場合、被害状況によっては通常通りの業務を継続することが困難になります。このような場合、企業は代替手段による応急処置を行います。

代替手段は事前に用意しておくことが重要です。具体的にどのような代替手段があるのか、代替手段を用意するために必要な費用や時間、代替手段を実行するための体制などを検討しておきましょう。

復旧作業

緊急事態が発生した場合、企業は被害状況の確認や応急処置などを行った後に復旧作業に着手します。復旧作業とは、緊急事態により被害を受けた設備やシステムを元の状態に戻すことです。

迅速な復旧には、普段から重要設備やシステムのバックアップを定期的に実施しておき、代替設備やシステムを用意しておくことが重要になります。

BCPに関する注意点・ポイント

組織が持続的な成功を追求するには、予測不可能な災害や緊急事態に備えるBCPの策定と実施が不可欠です。真の事業継続性を確保するには、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。

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評価・改善を繰り返す

BCPは、最初から完璧なものを作成しようとせず、評価・改善を繰り返して精度を上げていくものです。企業の事業内容や規模、置かれている状況などによっても内容や手段が異なります。また、緊急事態も様々なパターンが発生する可能性があります。

BCPは最初から完璧なものを作成しようとすると、実際の状況に対して適切な対処ができなかったり対応が遅れたりする可能性があります。常に評価・改善を繰り返すことでBCPの有効性と能力を高めながら運用していきます。

社内での周知・教育を行う

緊急事態が発生した場合、従業員がBCPの内容を理解して行動することが、迅速かつ的確な対応につながります。そのため企業は、普段から社員にBCPについて周知・教育を行う必要があります。

BCPを社内に周知・教育する方法には、社員研修や社内報、BCPマニュアルの配布などがあります。これらの方法を活用して、BCPの目的や重要性、具体的な内容、緊急事態が発生した場合の対応手順などを従業員に理解してもらうことが重要です。

外部専門家の意見を取り入れる

BCP対策は企業の安定した経営を存続し、社会的な信頼を得るために重要な施策ですが、自然災害の発生や感染症の流行、システム障害など、企業が抱える多くのリスクに自社だけで対策を行うことは非常に難しいです。

自社のみでは有する専門知識や行える対策に限界があるため、金融機関などの外部専門家の意見を取り入れたり、パートナー企業と連携したりすることで、より効果的なBCP対策の策定を行えます。

介護業では2024年から義務化

介護サービス事業者は利用者の生命や健康を守るために、常に安定したサービス提供をすることが求められています。しかし災害などの緊急事態が発生した場合、事業所が被災したり、人員や設備が不足したりする可能性があります。

これらの状況に備えて2021年4月の介護報酬の改定により、2024年4月から介護サービス事業者にBCP策定が義務付けられました。BCPを策定することで利用者の安全を確保し、事業の継続を図れます。

参考:介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修|厚生労働省

国や自治体の支援制度を受けられる

企業がBCP対策に取り組む場合、国や自治体の支援制度を受けられる可能性があります。具体例として、中小企業が「事業継続力強化計画」に取り組む場合、認定を受ければ、金融支援や税制支援などの支援策の対象となります。

これからBCP対策を行う企業は、国や自治体の支援制度を活用することで、より負担をかけずに対策を講じることが可能です。対象となる支援策は企業や自治体などにより異なるため、事前に確認しておきましょう。

参考:事業継続力強化計画について|中小企業庁

中小企業・小規模事業者でも必要性を認識する

近年BCP対策の必要性が高まっており、多くの企業で取り入れられておりますが、積極的にBCP対策を行っているのは大企業が多く、事業規模が小さくなるほど策定に消極的になっている傾向があります。

中小企業や小規模事業者は、BCP対策策定に対するノウハウを持っていなかったり、策定のための時間・人員が確保できなかったりする要因でも、BCP対策が先延ばしになりがちです。

しかし、企業規模が小さいほど経営基盤が安定しておらず、資金も限られているケースが多いため、災害やシステム障害の被害を受けた後の復旧が難しく、最悪の場合は倒産に追い込まれるなど、大きなダメージを受けやすくなります。

BCP対策は、企業規模に関わらず全ての企業に不可欠な取り組みであるため、積極的に策定を行いましょう。

クラウドERPでBCP対策ができる

ERPとは、企業の基幹業務を統合的に管理するシステムを指します。クラウドERPは、データセンターが複数地点に分散され、セキュリティ対策やデータのバックアップをクラウドサービス事業者が代行してくれるシステムです。

クラウドERPを導入することで、災害や停電などのリスクに備えやすく、自社のBCP対策の負担を軽減できます。BCP対策を検討している企業にとって、クラウドERPは有効な選択肢の一つです。

ERPとは?機能やメリット・デメリット、選び方を解説

ERPとは、販売、人事、生産管理などの企業経営の基本となる資源要素を有効活用する考え方です。本記事では、ERPシステムをよく知らない・導入を検討している方に向けて、ERPシステムの種類や選び方、メリット・デメリットを解説しています。

まとめ

BCPとは、災害などの緊急事態発生時に、事業の継続を図るための計画です。事業の継続を図り、企業の存続を守ることを目的とします。また、顧客や取引先などの関係者への影響を最小限に抑え、企業の信用やブランドイメージを守ることも目的とされています。

BCPを策定して緊急事態に備えることは、企業にとって非常に重要な施策になります。BCPを策定するに当たっては経営層のリーダーシップのもと、関係者を巻き込んで策定することが重要です。最新の情報や技術を活用し、定期的に見直しを行う必要があります。

BCPを策定することで、緊急事態が発生した場合に迅速かつ適切に対応することが可能です。BCPによって万が一の事態に備えておくことで、企業の存続や発展を守れます。

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