決済代行の法律的な規制とは|収納代行との違い・対象要件を解説
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- 資金決済法の改正に伴い、収納代行の一部が資金決済法の規制対象になった
- 割り勘アプリは、法改正により規制の対象になった
- エスクローサービスは規制対象外だが、今後の法改正によっては対象となる可能性がある
2020年の資金決済法の改正に伴い、収納代行の一部が資金決済法の規制対象となっています。本記事では、決済代行と収納代行の違いと、資金決済法・資金移動業について解説し、収納代行が資金移動業に該当する要件について紹介します。
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決済管理の一元化には決済代行サービスがおすすめ
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決済代行の定義
決済代行とは、決済代行会社がクレジットカード決済やコンビニ決済などの決済サービス提供事業者と店舗や企業との間に入って、契約手続き・決済・事後処理・売上金管理などを行うことを指します。
決済代行サービスを利用することで、さまざまな決済サービスを一括の契約で導入できる利点があります。そうした利便性から、インターネットで「決済代行」を検索すると、決済代行業者のWebサイトが多数ヒットします。
しかし、資金決済法に関わる意味合いにおいては、決済代行とは他人から資金を預かって第三者に支払うことを指します。決済代行とほぼ同義で使われる言葉に収納代行があり、資金決済法に関連する場合は、「収納代行」が使用されるのが一般的です。
決済代行と収納代行の違い
決済代行と収納代行はほぼ同義ではあるものの、実際の事業やサービスにおいては明確な違いがあります。決済代行がクレジットカードや電子マネーなどさまざまな決済方法に対応しているのに対し、収納代行は主にコンビニ決済が中心です。
決済代行は事業者間の取引にも利用されますが、収納代行は事業者と消費者の取引、または消費者同士の取引で利用されます。また、手数料の取り扱いにも違いがあります。
両者の大きな違いは、収納代行が消費者同士の取引で利用される点です。近年、一部の収納代行サービスで消費者から預かった資金の保護が十分ではない問題に焦点があたり、規制の対象となりました。
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収納代行の一部は資金決済法の規制対象である
これまで収納代行は法規制の対象外でしたが、近年は収納代行サービスを安全に利用する観点から、一部の収納代行については法的規制の対象となっています。ここでは、収納代行の法規制に関連する資金決済法や資金移動業について解説します。
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資金決済法や資金移動業について
資金決済法とは
資金決済法は、現代の決済システムに関連する規制を定めた法律です。情報通信技術の進歩や支払方法の多様化に対応して、資金移動業や前払式支払手段などを規制しています。
簡単に言えば、決済サービスの適正な運用を促進するための法律ですが、この法律のポイントの1つである資金移動業に関する規制によって、収納代行の一部も規制の対象となっています。
金融のデジタル化による課題
金融のデジタル化により自宅からでも自身の口座にアクセスできるようになり、利便性が高まっています。しかし、決済の確実性の確保といった分野だけでなく、マネーロンダリングの防止といった新たな犯罪への対応が求められています。
資金決済法はデジタル化によるこれらの課題を抱えた金融業を制度的にバックアップするために制定され、現代の便利な金融業を支えています。
資金移動業とは
資金移動業とは、金融機関(銀行を含む)以外の事業者が、現金以外の方法による決済や資金の移動を行う事業です。法人や個人事業主などによって運営され、決済サービスの提供を主な目的とします。なお、現金以外の方法で取引することを「為替取引」と言います。
資金移動業は収納代行と共通する部分が多く、お金の流れ自体は全く同じです。ただし、収納代行では、購入者が収納代行事業者に代金を預けた時点で購入者の支払義務は消滅します。資金移動業では、購入者から預かった代金が店舗に移動して支払義務が消滅します。
しかし、実質的には資金移動業と収納代行は同じ部分が多いにも関わらず、サービス利用者を保護するための法的な規制は資金移動業だけが対象でした。そのため、収納代行を資金移動業とするかどうかの法的な見直しが検討されています。
資金移動業の規制の見直し
収納代行が資金移動業に該当し、法的規制の対象となるかについて解説する前に、まずは現行の資金移動業の区分について理解しましょう。元々、為替取引は銀行法によって銀行のみに許されていました。
しかし、情報通信技術の発達と利用者ニーズの多様化に対応するため、2010年に資金決済法が施行され、資金移動業者(登録制)に100万円以下の為替取引が認められるようになりました。
その後、2020年に資金決済法が改正され、100万円を超える為替取引を行う資金移動業(許可制)と、少額の為替取引を行う資金移動業(登録制)が創設されました。これによって3段階で区分されるようになったのが、現在の資金移動業です。
種類 | 内容 | ||
---|---|---|---|
第一種資金移動業(許可制) | 100万円以上の為替取引の取り扱いが可能 | ||
第二種資金移動業(登録制) | 100万円以下の為替取引のみ可能 | ||
第三種資金移動業(登録制) | 5万円以下の為替取引のみ可能 |
参考:令和2年資金決済法改正に係る政令・内閣府令案等の公表について|金融庁
収納代行が資金移動業に該当する要件
収納代行が資金移動業に該当するかどうかについては、資金のやりとりが為替取引に該当するかどうかが問題になります。資金決済法の改正によって、預かった資金の受取人が個人の場合は、原則として為替取引に該当することになりました。
そのため、受取人が個人である収納代行を行う事業者は、資金移動業者としての登録が必要です。資金移動業者になるためには、さまざまな条件を満たした上で金融庁へ登録が必要で、登録後も資産保全義務や本人確認義務などの義務が課せられます。
しかし、情報技術の進展は目まぐるしく、類似のサービス事業が新たに登場する可能性も踏まえて、収納代行すべてを規制することは適当ではないとされています。サービスの機能や実態から資金移動業に該当するかを判断していくのが、現行法の方針です。
割り勘アプリは規制対象
資金移動業に該当する収納代行サービスの代表は、割り勘アプリです。割り勘アプリとは、ある商品やサービスの支払いを複数人で共同で支払うこと(割り勘)を仲介するアプリのことです。
割り勘アプリでは収納代行が利用され、一時的に代金を立て替えたユーザーがサービス事業者を通して、他の支払者に立て替えた分の金額を請求します。
割り勘アプリは、サービス事業者が直接支払いの発生理由に関与していない点や、一般消費者の資金が保護されないことも問題視されていました。そうした背景に加え、実質的に個人間送金を行うサービスであるため、法改正により資金移動業に該当することになりました。
エスクローサービスは規制対象外
EC取引で広く利用されるエスクローサービスは、エスクロー事業者が購入者と販売者の間に立って取引を円滑にするためのサービスです。購入者からの代金を預かり、販売者から預かった商品を引き渡し、販売者に購入者から預かった代金を渡します。
「代金を払ったのに商品が届かない」「商品を送ったのに代金の支払いがない」などのトラブルを防ぎ、購入者と販売者の双方にとって安全な取引を実現します。
エスクローサービスのお金の流れは収納代行そのものであり、保全の点では利用者保護が十分ではありません。しかし、購入者と販売者の仲立ちをすることでサービス利用者のトラブルリスクを低減する面もあります。
そのため、規制の対象にしてしまうと、かえって利用者をリスクに晒す可能性があります。現状、エスクローサービスによる重大な問題も起こっていないため、今のところ規制は適用されていません。
資金移動業に該当する事業者に求められる対応
資金決済法の規制対象である事業者は、まずは法令が定める所定の手続きを行いましょう。区分によって手続きが異なることから、事業がどの区分に該当するかを確認した上で適切な手続きを行う必要があります。
手続きが完了したら、コンプライアンス対策を十分に行いましょう。貸金決済法を遵守した上で事業を展開しなければならないため、従業員への教育も必要です。また、貸金決済法は改正が繰り返されており、これからも改正が続く見通しです。
違法行為があった場合は3年以下の懲役、または300万円以下の罰金が科されるため、改正があった際は迅速に対応し、新たな法に則った体制になるよう組織の見直しも行いましょう。
決済代行に関する法律の今後
前述以外にも、支払先が事業者や国・公共団体の場合や、支払う人にとって二重支払の危険性がないことが契約上明らかなサービス事業の場合は、規制の対象外と判断されています。
ただし、これはあくまでも現段階においての判断であり、将来的には規制の対象となる可能性があります。このことは、金融庁のガイドラインに明記されています。
決済代行・収納代行を行う事業者は、常に最新情報をチェックし、サービス利用者に不利益が生じることのないよう努めることが重要です。
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まとめ
決済代行(収納代行)事業において、資金決済法の改正によって、割り勘アプリを始めとする一般消費者間の仲介をする収納代行の一部が規制対象となりました。消費者同士の間に入って行われる資金のやりとりは、資金移動業に該当します。
資金移動業に該当する場合は、金融庁への資金移動業者としての登録の届出が必要であり、登録後は消費者を保護するための義務を負わなければなりません。消費者同士の間に入る事業に携わる企業は、これらの対応をしっかり行いましょう。
現行の法律では、資金の受取人が法人や事業者の場合はこの限りではありませんが、情報通信技術の進展や新たな事業の登場の可能性も踏まえ、法規制は柔軟に変更される可能性があります。そのため、常に資金決済法や関連法について確認しておくことが重要です。
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