CPQとは?機能やメリット・デメリット、ツールの選び方を解説

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  • CPQではコンフィグレーションが核となり、ユーザー自身でのカスタマイズが可能
  • CPQの導入で、見積書作成時間の短縮化やマス・カスタマイゼーション実現に繋がる
  • CPQの導入の際は、他システムとの連携性やサポート体制の充実度などを確認する

CPQとは、製品の発注から正確な価格の提示、提案書や見積書などの作成・管理までの流れをサポートするITツールです。製造業などの複雑な見積もり作成時間を短縮でき、顧客満足度向上にも繋がります。本記事では、CPQのメリット・デメリットや選び方などを解説します。

目次

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  1. CPQとは
  2. CPQの機能
  3. CPQのメリット
  4. CPQのデメリット
  5. CPQシステムの比較ポイント
  6. CPQシステムの導入方法
  7. まとめ

CPQとは

CPQとは、「Configure(構成・設定)」「Price(価格)」「Quote(見積り)」の頭文字を取った略です。製品の発注から正確な価格の提示、提案書や見積書などの作成・管理までの流れをサポートするITツールです。

例えば、外壁のリフォーム会社の場合、外壁材や塗料を選び(C)価格を計算して(P)見積書を作成します(Q)。この一連の流れを自動で行うのがCPQです。

CPQの活用により、見積書提出までにかかる時間とコストが大幅に削減されるため、受注生産であっても、大量生産が可能になります。CPQは見積業務の効率化だけでなく、他のシステムと連携することで、顧客満足度や販売効率の向上に期待できるITツールです。

CPQの核となるコンフィグレーションとは

CPQの核となるのが、「コンフィグレーション」です。コンフィグレーションとは、顧客の要求と仕様の組み合わせをルール化することです。

仕様を決める際は、まず顧客の要求を満たしているか、技術的に問題がないかを確認し、最適な組み合わせを決定します。

CPQは、この選定作業をコンフィグレーションを基に行うため、Excelやスプレッドシートで作業する場合と比べて、時間の短縮ができてミスが少ない点がメリットと言えます。

コンフィグレーションの制御は、「コンフィグレーター」や「コンフィグレーションエンジン」と呼ばれるシステムで行われています。なお、コンフィグレーションはユーザー自身でカスタマイズすることができます。

CPQの機能

CPQではどのようなことができるのか、従来の作業をどのように変えていけるのか、CPQの主な導入目的と機能について解説していきます。

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機能主な目的
見積もり機能・見積り業務の効率化
・見積書提出までの時間短縮
・人為的ミスの防止
ワークフロー機能・業務の効率化
・意思決定のスピードアップ
書類作成機能・精度の高い見積書
・提案書の作成
・商談スピードのアップ
・顧客満足度の向上
受注履歴管理機能・精度の高い見積書の作成
・人為的ミスの削減
CRMとの連携機能・受注率の向上
・顧客からの直接注文

見積もり機能

見積もり機能を使えば、顧客の要求に基づいた製品・オプションの仕様選定から、適正価格の算出、見積もり書作成までを自動で行うことができます。

ツールによっては、製品選択(製品カタログ機能)からスタートして、仕様選定から仕様確認の流れで、見積もり作成ができるものもあります。製品の構成に詳しくない人でも、直感的に操作が可能です。

また、価格算出の場面では、ボリューム割引やキャンペーン割引など、割引率を組み込んだ価格積算ルールの設定が可能です。見積もり機能の活用により、誰でも簡単に見積もり作成ができるようになるため、見積書提出までの時間が大幅に短縮できます。

これにより、Excelやスプレッドシートで見積書を作成する場合と比べて、人的ミスが減り、コストの削減にも繋がります。

ワークフロー機能

見積書を顧客に提出するまでに、担当者による申請と上司の承認が必要です。一般的に、商談の規模が大きいほど、承認申請のワークフローが複雑になり、時間がかかってしまいます。

しかし、ワークフロー機能を使えば、仕様選定から見積書作成までのワークフローが定型化されるため、意思決定がスピーディーに行えます。

加えて、ワークフローをシステムで管理することで、承認申請の進捗状況が確認しやすくなり、処理の停滞が一目で分かるようになります。

代理承認者を登録しておけば、担当者の不在時もワークフローが滞りなく流れるため、見積書作成から商談までの期間をより短縮することができます。

書類作成機能

書類作成機能では、過去の取引やAIを活用した見積書・提案書を作成することができます。顧客の要求を的確に捉えた提案書を作成することは、ベテランの営業マンであっても難しく、時間がかかります。

その点、書類作成機能を使えば、精度の高い提案書をスピーディーに作成できるため、商談スピードがアップし、顧客満足度の向上にも繋がります。

また、書類をシステム上で管理することにより、社内で商談のノウハウが共有できるほか、ペーパーレス化が実現されるため、コスト削減にも繋がります。

受注履歴管理機能

受注履歴管理機能を使えば、いつ・どの顧客と・どのような商談を行ったかをシステム上で管理できるため、精度の高い見積書をスピーディーに作成することができます。

契約条件や保証内容など、付帯情報も同時に管理できるため、見積書の記載漏れや、人的ミスの防止にも役立ちます。

受注履歴をデータ化することで、新たな課題が見つかる可能性もあり、受注率の向上にも繋がります。なお、受注履歴管理機能は、見積もり機能に組み込まれている製品もあります。

CRMとの連携機能

CPQの多くは、CRM(顧客情報管理システム)との連携機能を備えています。CRMの顧客情報をCPQに反映させることにより、精度の高い見積書・提案書が短時間で作成できます。その結果、顧客満足度と受注率の向上に期待できます。

システムによっては、CRMがCPQの機能を備えていることもあり、製造業において、両者の連携は広く一般的なものとなっています。

CPQのメリット

CPQの導入には、さまざまなメリットがあります。CPQの導入は、見積書作成の時間短縮、マス・カスタマイゼーションの実現、顧客満足度の向上、属人化の防止に繋がります。これらについて、以下で具体的に解説します。

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見積書作成の時間短縮

製造業をはじめ、多くの製品を抱える企業では、顧客ごとの要望に応じた見積書の作成は、ヒューマンエラーを発生させる可能性があります。

しかし、CPQの導入により、見積書をミスなく素早く作成できるようになるため、商談の機会を逃すことなく、顧客満足度の高い取引が実現できます。

見積書作成の時間が短縮されれば、より生産性の高い業務に時間を使うことができ、新たなビジネスチャンスの創出など、企業全体の利益増幅に繋がります。

マス・カスタマイゼーションを実現

受注生産のネックは時間とコストがかかることです。しかし、CPQの活用で生産リードタイムが短縮されれば、企業収益の向上が期待できるマス・カスタマイゼーション(大量生産と受注生産を両立した生産体制)の実現が可能になります。

マス・カスタマゼーションの実現により、これまで少品種生産を余儀なくされていた企業でも、多品種多量生産が可能になり、より付加価値の高い製品を提供できるようになります。

また、CPQによる生産リードタイムの短縮は、作業効率の改善や部品在庫の削減にも繋がります。その結果、コスト削減やキャッシュフロー改善といったメリットが期待できます。

顧客満足度向上

CPQを活用して、製品仕様の選定から見積もりの提案まで、スピードを落とさずに一定の品質で提供できることで、顧客満足度の向上に繋がります。

HPで顧客自ら見積もりのシミュレーションをできるようにすれば、顧客からの直接注文も期待できます。そして、簡単に相見積もりが取れるという点も、顧客満足度の向上に繋がります。

質の高い製品・サービスに対しては、多少高くても支払うことが少なくありません。よって、顧客満足度を向上させることは、収益の向上や既存顧客の囲い込みにも結びつきます。

属人化を防げる

複雑な見積もり作成は製品の知識や経験を要するため、担当者に属人化しがちでした。しかし、CPQの運用方法を社内で共有することにより、誰でも簡単に見積もりが作成できるようになります。

そのため、特別な知識や経験がない従業員でも、業務における即戦力となり、人件費削減や担当者の負担軽減に繋がります。

事業戦略の改善に役立つ

CPQでは、見積もりデータを蓄積することができます。収集したデータから現状の課題を見つけ出し、事業戦略の改善に利用できることも、メリットの1つです。

見積もりや受注のデータからは、顧客が好む人気商品の傾向や、購買意欲が高まる価格帯などを読み取ることができます。これらのデータを活用し、新商品を考案したり価格を見直したりといった施策が可能です。

また逆に、売れ行きが芳しくない商品を排除する、ラインナップを減らすなどで、在庫の適正化を図ることもできます。

CPQのデメリット

CPQにはさまざまなメリットがありますが、導入の仕方によっては、デメリットが発生する可能性があります。CPQの導入を検討する際は、以下のような事項にも注意しなければなりません。

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時間や導入コストが発生する

CPQの導入には、導入手順にかける時間やコストが発生します。具体的には、アプリケーションの購入費用や、自社が求める機能に対するカスタマイズ費用などです。

特に、CPQの利用が初めての場合は、どのように運用するのが効果的なのか、自社に合ったシステムはどの機能を有している必要があるのか、といったことが判断しにくいです。そのため、なるべく見積もりから親切に対応してくれるベンダーを選ぶ必要があります。

作業手順の見直しが必要な場合がある

CPQを導入するにあたって、見積もり作業の手順をルール化する必要があります。作業手順が標準化されている企業はスムーズにCPQに移行できますが、企業によっては、作業手順の見直しが必要になる場合があります。

また、担当者ごとに見積もりの手順が異なる場合や、業務フローの流れが曖昧な場合は、作業手順の見直しに時間がかかる可能性があります。

運用方法を従業員に周知する必要がある

CPQ導入後は、運用方法をマニュアル化して、従業員に教育を行う必要があります。ツールによっては、一定のITリテラシーが必要になるため、あらかじめ従業員のITリテラシーを把握しておき、それに見合った製品を選ぶようにしましょう。

また、従業員の中には、CPQの導入を負担に感じる人もいます。よって、CPQをスムーズに運用するためには、導入前にITリテラシー教育を実施しておくと良いでしょう。

CPQシステムの比較ポイント

CPQの需要の高まりにより、様々なタイプのCPQシステムが登場しています。ここでは、CPQを選ぶ際に確認しておくべき比較ポイントを解説します。

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テレワークでも活用できるか

テレワークの普及に伴い、自宅や外出先で見積もり業務を行うケースも増えています。テレワークを導入している場合は、テレワークに対応しているかを確認しておきましょう。

SaaSで提供されるCPQは、オンライン上のシステムを利用するため、インターネットが使える環境であれば、どこでも作業できます。そのため、テレワークを導入している企業は、後述の「SaaSとして提供されているか」の項目も確認しておきましょう。

他システムと連携できるか

CPQは見積もりに特化したツールのため、既存のシステム(CRMやERP(基幹システム)と連携できるかを確認しておくと、円滑に業務を行えます。

また、CPQの中には、3DCADと連携できるものもあり、製品仕様を3Dモデル化して提出することで、製品のイメージを掴みやすくするメリットがあります。

CPQは他システムと連携すれば、より高い効果が期待できるツールです。クラウド型システムであれば、初期費用が安く、導入までの時間もかかりません。よって、システム連携を検討する際は、予算と運用方法を明確にしてから選ぶようにしましょう。

SaaSとして提供されているか

CPQには、インターネットを経由して利用できるSaaSとして提供されている製品も多くあります。ソフトウェアをパソコンにインストールするパッケージ版と比べて、場所や端末を問わず使用でき、複数の担当者で共有可能なため、テレワークにも対応します。

そして、SaaS製品は導入コストや期間も抑えられるため、中小企業やベンチャー企業でも導入しやすい点もメリットの1つと言えます。

メンテナンスが簡単に行えるか

CPQは、製品の構成とルールを定義するマスタが重要な役割を果たすため、マスタが適切に整理されていないと、十分な効果を発揮できません。よって、初めてCPQを導入する際には、簡単にマスタのメンテナンスが行えるツールをおすすめします。

ツールによっては、プログラミングの必要がなく、製品の知識さえあれば誰でもマスタのメンテナンスができるものもあります。メンテナンスの方法は、デモやトライアルの際に確認しておきましょう。

サポート体制は充実しているか

システムを利用するにあたって、システム障害やトラブルの発生はつきものです。そのため、トラブルや疑問点が発生した際に、チャットや電話などでどのようなサポートしてくれるか、サポート受付や対応時間なども確認しておきましょう。

初めてCPQを導入する場合、マスタのメンテナンスに戸惑うことが予想されます。メンテナンス方法のサポートについても、特にしっかり確認しておく必要があります。

CPQシステムの導入方法

CPQシステムを導入する方法としては、他のシステムとの連携でマス・カスタマイゼーションを目指す方法と、クラウド型を選択する方法があります。まず、他のシステムとの連携においては、Eコマースやバックオフィスといったシステムと連携させます。

これにより、CPQシステムで見積もりを作成し、他のシステムで受注と発注、納品までを行うことができます。そして、CRMとも連携することで、顧客のニーズの把握と適切な商品・サービスの提供に繋がり、営業効果の向上にも期待できます

また、CPQシステムにおいてはクラウド型を選択することで、すでに利用しているシステムとの整合性を考えることなく、導入時のリスクを軽減することができます。なお、パッケージ型と比べても、導入から開始までの期間を早めることが可能です。

このように、CPQシステムの導入を検討する際には、いくつかのシステムを比較しながら、導入方法・運用方法を考慮してシステムを選定する必要があります。

導入時はスモールスタートがおすすめ

CPQシステムは、スモールスタートで導入するのがおすすめです。全ての機能を一括導入することは避け、まずは一部の機能から導入し、必要に応じて徐々に範囲を広げていきましょう。機能を限定することで、費用を抑えることも可能です。

段階的に導入することにより、費用対効果を検証し、自社への適合性を判断できます。また、運用中にトラブルが発生した場合も、その影響を最小限に抑えられます。社内にスムーズに浸透させ、従業員が慣れるためにも、スモールスタートは有効です。

まとめ

CPQは、製品の発注から価格の提示、見積書や提案書を作成・管理するまでの流れをサポートするITツールです。

CPQの導入により、「見積書作成時間の短縮化」「マス・カスタマイゼーションの実現」「顧客満足度の向上」「属人化の防止」など、多くのメリットが期待できます。

一方、CPQの導入にあたっては、作業手順の見直しが必要な場合があり、あらかじめ従業員のITリテラシーを確認して、運用方法を周知しておかなければなりません。

自社がテレワークでの利用を検討するのであれば、SaaS製品であるかどうかを確認しておくと良いでしょう。また、導入後はメンテナンスが必要なため、メンテナンスの容易性やサポート体制も確認すべきポイントです。

CPQの導入を検討する際は、この記事を参考にツールの選定や準備を行い、見積書作成時間の短縮化やマス・カスタマイゼーションの実現など、多くのメリットを実感できる環境作りを行いましょう。

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