PBXとは?メリット・デメリット、機能などをわかりやすく解説

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  • PBXとは、複数の電話回線を集約して、内線同士や外線と内線の接続をコントロールする
  • PBXは種類によってコストが変動し、端末との連携可否も異なる
  • PBXの導入の際は、コストや専用機器設置の有無を確認して導入を検討する

PBXとは、企業内の電話交換機を意味し、複数の電話回線を集約して、内線同士や外線と内線の接続をコントロールするシステムです。PBXには3種類あり、コストやメリットなどが異なります。本記事では、PBXの選び方や種類ごとのメリット・デメリットを解説しています。

目次

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  1. PBX(電話交換機)とは
  2. PBXの種類
  3. PBXの機能
  4. 【種類別】PBXのメリット
  5. 【種類別】PBXのデメリット
  6. PBXの選び方
  7. 【種類別】PBXの導入に適した企業の特徴
  8. まとめ

PBX(電話交換機)とは

PBX(電話交換機)とは「Private Branch Exchange」の略で、オフィスやコールセンターなどに複数設置されている電話回線を集約し、外線と内線の接続を管理・制御するシステムです。

PBXを導入することで、複数の電話機間で着信を仕分けられ、それにより転送が可能になるため、取り漏らしが少なく効率的に外線に対応できます。また、内線同士での会話には通話料がかからないため、コストを抑えられるのもポイントです。

PBXにはレガシー・IP・クラウドと3つの種類があり、電話交換ができるシステムはPBXのほかにビジネスフォンと呼ばれるものもあります。

それぞれ特徴の違いやメリット・デメリットを抑えて、ニーズに最適なシステムを導入することが顧客満足度アップ業務効率化、コストパフォーマンス性の向上につながります

この記事では、PBX(電話交換機)とビジネスフォンの違いや機能・種類・選び方・メリット・デメリットなどポイントに分けて詳しく解説します。

PBXとビジネスフォンの違い

PBXとよく混同されるものにビジネスフォンがあります。ビジネスフォンもPBX同様、外線と内線の通信を制御し、発着信制御や内線同士の通信、転送などの機能を持ちます。

PBXと共通している機能を持つビジネスフォンですが、ビジネスフォンは主装置と専用の電話機器を直接つないで運用するシステムです。主に外部との通話を快適に行うための機能が充実しています。

アナログ的に接続するため、ビジネスフォンは接続できる電話機の数に上限があります。ビジネスフォンで接続可能な電話機は多くて100台程度のため、数千台まで接続可能なPBXよりも小規模な環境での使用に向いています。

また、複数の拠点がある場合でも使えるPBXと違い、ビジネスフォンは拠点が一か所の場合やワンフロアでないと使えません。そのため、支店や複数フロアにまたがる会社ならビジネスフォンよりもPBXがおすすめです。

さらに、PBXは種類によってPCやスマホとの連携性が高く、本体の設置が不要など機能性に優れているため、導入するにあたって数百万から数千万円の費用がかかりますが、ビジネスフォンは利用規模や機能が抑えられている分、高くても数百万円の低費用で済みます

PBXの種類

PBXはレガシーPBX・IP-PBX・クラウドPBXと3種類あります。それぞれの種類の特徴について解説します。

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レガシーPBX

レガシーPBXは、電話回線を利用した旧来タイプのPBXです。電話回線を利用するため、高音質での通話ができます。多くの問い合わせを受け、クリアな音声が求められるコールセンターやホテルの内線などに向いています

電話回線とオフィスにPBX本体を設置して使うため、インターネット回線不要で内線・外線を利用できます。内線同士の通話は電話番号不要で、内線番号での通話が可能です。その場で電話に出られない場合は、別の電話機に転送できます。

導入する際、建物や部屋に電話線が引かれている場合は工事不要で導入できるため、初期費用を抑えながら導入できるのもレガシーPBXの特徴です。

レガシーPBXの減価償却資産の法定耐用年数は6年と定められていますが、使い方や運用方法によっては6年以上使用できます。しかし、6年以上利用すると故障のリスクやサポート期間終了に伴い保守やメンテナンスに高額な費用がかかる場合もあります。

IP-PBX

IP-PBXはIP網を用いるPBXです。主にIP電話を使うことを前提としており、IP-PBXには専用機器を設置して利用するハードウェアタイプとサーバーにインストールして利用するソフトウェアタイプがあります。

IP-PBXは外線をIP電話へ振り分けるほか、インターネット回線を利用して内線通話システムを構築できます。PCやスマートフォンを電話機として利用できるため、固定電話機は不要です

また、新規電話機の追加や設定変更などが業者に依頼せずに行えるため、規模を拡大する予定がある企業やオフィスの移動予定がある場合は、レガシーPBXよりも柔軟に設定変更ができるIP-PBXがおすすめです。

こちらも減価償却資産の法定耐用年数は6年と定められています。レガシーPBX同様、6年以上使用することもできますが、故障のリスクやサポート期間終了による保守・メンテナンスに高額な費用がかかることがあります。

クラウドPBX

クラウドPBXとは、クラウド環境で利用するタイプのPBXです。インターネット回線を利用し、インターネットに接続した端末を内線化できます。音声信号・制御システムは、IPベースでデジタル処理を行います。

通話相手がインターネット環境であれば内線で通話でき、ネットワークのエリアなら、アナログ変換を行い公衆回線を利用した通話が可能です。拠点が複数ある場合でも同じPBXを利用可能なため、通信コストを抑えられます。

また、PBX本体をオフィスに設置する必要がなく、ソフトウェアのインストールも不要なため、導入コストが低く、事業の移転・拡大に柔軟に対応できます。さらに、回線の増減や設定の変更はPCやスマホから変更することも可能です。

PBXの機能

PBXの基本的な機能を解説します。PBXを導入することで、具体的にどのようなことができるのか参考にしてください。

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機能主な内容
発着信制御機能直通と内線番号の紐づけができる
内線同士の通話機能従業員同士の転送・不在時の内線転送などができる
代表番号着信機能代表番号宛の電話を作成したグループの電話機につなげる
転送機能電話対応できない際に、ほかの電話機に着信を転送できる
パーク保留機能保留中の通話を別の電話機で引き継げる
ダイヤルイン機能1本の電話回線で複数の電話番号を保有できる

発着信制御機能

発着信制御機能は契約している外線番号(親番号)と実際に発着信させたい部署の電話番号(子番号)を紐づけし、発着信を管理する機能です。発信時は、部署ごとに電話番号・電話回線を選択できます。

発着信制御機能を使うことで、どの電話番号へかければいいのか、どの部署から電話がかかってきたのかがすぐにわかり、取引先や顧客への電話対応に便利です。

また、発着信制御機能により迷惑電話の着信拒否や顧客の発着信履歴を管理でき、コンプライアンス向上にもつながります。なお、外線への発信制御機能にはLCRとACRの2種類あります。

機能概要
LCR(Least Cost Routing)電話番号によって通話料の安いプロバイダーを選択
ACR(Automatic Carrier Routing)あらかじめ決められたプロバイダーを選択

LCRは、プッシュされた電話番号を検知すると、相手先の電話番号に応じて、一番安いプロバイダーを自動的に選択して発信する機能です。自動的に接続されるため、利用者は待ち時間や特別な操作不要で通話料を抑えた発信ができます。

ACRは、あらかじめ決められたプロバイダーに自動的に接続する機能です。通話料を抑えたい場合は、LCRがおすすめですが、LCRを搭載しているPBXの購入費用は高額です。そのため、ACRは初期費用を抑えながら、通話料もある程度抑えたい場合に向いています

内線同士の通話機能

PBXを介して内線同士での通話も可能です。内線同士の通話は外線を使用せず同じ回線が使われるため、通話料は発生しません。オフィスが複数あっても拠点間接続をすれば、遠隔地でも内線通話ができます

IP-PBXやクラウドPBXを導入している場合は、海外に存在する拠点間との通話コストが不要になるため、海外支社とのやり取りが多い場合は、IP-PBXやクラウドPBXを検討するのがおすすめです。

スマートフォンを内線化している場合も同様です。拠点間での通信コストを大幅に削減することが期待できます。

代表番号着信機能

代表番号着信機能は、代表番号への着信を事前に登録したグループの電話機につなぐ機能です。あらかじめ設定された優先順位に従い電話を接続します。また、複数の電話機から代表番号で発信することも可能です。

事前に設定された方法によって接続するため、内線の空き番号に着信させることや番号順に着信させられます。内線の市内局番が同一でなければ使用できませんが、代表への着信が多い会社の場合は、おさえておきたい機能の1つです。

転送機能

転送機能は着信をほかの電話機に受け渡す機能です。取引先から担当者宛ての着信があった際に電話の取次が可能です。転送機能には不在転送や話中転送など種類があります。

これらの機能により、あらゆる場面において顧客を待たせることなくコミュニケーションが取れるため、顧客満足度の向上に期待できます。

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不在転送

不在転送は不在時や離席する際に設定することで、着信があった場合、あらかじめ決められた電話へ転送する機能です。

一定時間応答がなかった場合に、スマートフォンやほかの電話機に転送されます。転送されるまでの時間は自分で設定可能です。オフィスにコール音が鳴り響くことがないので、ほかの社員のストレス・負担を抑えられるでしょう。

話中転送

話中転送は、話し中にかかってきた外線着信を登録済みの内線番号宛に転送する機能です。着信と同時に転送されるため、担当者がほかの相手と話していても、顧客や取引先を待たせることなく、別スタッフが対応できます。

また、転送先は自由に設定でき、留守番電話にも転送できるため、転送先が不在でも電話を取り漏らすことがありません

応答遅延転送

応答遅延転送は転送先の担当者が対応できない場合に便利な機能です。設定した呼び出し音の回数内に応答がない場合、あらかじめ指定した別の電話機に転送できます。応答遅延転送を利用すれば、電話に応答できないことが減り、機会損失を低減できます。

着信選択転送

着信選択転送とは、あらかじめ設定した電話番号からの着信を指定した電話番号だけに転送する機能です設定した条件を満たした電話番号からの着信があった場合、取次なく担当者の電話へ直接転送できるため、スムーズな顧客対応を行えます。

圏外転送

圏外転送とは、携帯電話が圏外状態にある場合、ほかの電話番号に転送する機能です。タブレットやスマートフォンなどを内線化して使用する場合の利便性を高めます。

圏外にいる場合、圏外ではない電話へ転送でき、迅速な対応が可能です。また、電話の取り漏らしを防ぎ、ビジネスチャンスの取り逃し予防にもつながります

パーク保留機能

パーク保留機能とは、PBXに接続されているすべての電話機で取次ができる機能です。通常の保留だと、保留した電話機で再度対応するか特定の電話番号を指定した上で転送する必要がありますが、誰に取次をすればいいかわからないこともあります。

誰に取次をすればいいかわからない場合に、パーク保留機能を使用することで保留後、社内で対応できる人がいないか確認し、対応可能なスタッフが自身の電話機から対応できます

顧客との通話を素早く再開できるため、顧客満足度の低下を抑え、担当者の業務負担軽減につながります

ダイヤルイン機能

ダイヤルイン機能とは、1本の電話回線に対して複数の電話番号を保有できる付加サービス機能です。ダイヤルイン機能を使用しない場合、電話回線を契約している数に対して、電話番号が振り分けられるため、電話機の数に応じた月額料金が発生します。

オフィスなどに電話機を多数設置するなら、電話回線よりも多くの電話番号を保有でき、複数の電話番号を共有できるダイヤルイン機能を活用することで、通信コストを削減できます

また、顧客に渡す名刺にダイヤルイン番号を記載しておけば、相手からの着信を担当社員の端末で直接受けられます。発信時に相手先に通知されるのは、ダイヤルイン番号であるため、かけ直しの際には取次回数を減らすことが可能です。

【種類別】PBXのメリット

PBXのメリットを種類別に解説します。それぞれのPBXのメリットを理解し、自社に最適なPBXを選びましょう。

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レガシーPBXのメリット

レガシーPBXのメリットを解説します。レガシーPBXの導入を導入するにあたり、どのようなメリットがあるのか参考にしてください。

サーバーダウン・停電時でも利用できる

レガシーPBXはネット回線を使用しないため、サーバーダウンや停電の影響を受けずに利用できるメリットがあります。また、すでに電話回線を引いている場合は工事不要で導入することが可能です。

IP-PBXやクラウドPBXよりも導入費用が高めですが、利用状況によっては工事が不要なため、初期費用を抑えられる可能性もあります。

IP-PBXのメリット

IP-PBXのメリットを3つのポイントに分けて詳しく解説します。IP-PBXを導入するにあたって、どのようなメリットがあるのか確認しましょう。

簡単に導入ができる

IP-PBXは従来のPBX構築に必要な電話線の配線や固定電話機を必要とせず、社内LANに接続するだけで、簡単に導入できます。

また、従来のPBX構築では、使用変更の際「工事担当資格」を持つ専門業者に依頼する必要があり、手間がかかっていました。しかし、IP-PBXは電話番号の管理もブラウザ上で手軽に管理できるため、管理・運用がしやすいのが特徴です。

LANケーブルに電話機インターネットの配線を集約できるため、オフィス内の配線もシンプルにまとまります。IP-PBXの各種設定はパソコン上でできます

レガシーPBXより導入コスト・通話料が安価

IP-PBXはインターネット回線を利用するため、従来のPBXに必要だった電話線が要りません。電話回線が不要なため回線工事をする必要がなく、レガシーPBXよりも低予算で導入可能です。

また、インターネットを介して複数の拠点との接続もできます。従来のPBXだと、受け取った電話を外出している従業員に転送して繋ぐ際、転送電話の料金が発生していました。

しかし、IP-PBXを導入することで場所の制約がなくなり、すべての電話を内線で接続できるため、通信コストの削減に期待できます。

PCと連携できる

IP網を使用するため、PCとの連携性が高く、CTI(コンピューターと電話を統合する技術)などPC上のアプリケーションを電話関連業務で利用可能となり、業務の効率化も図れます。

顧客からの電話をPBXで受けると、PBXからCTIサーバーに着信信号が転送され、顧客の電話番号に紐づいている情報を検索し、PCに表示することができます。オペレーターはその顧客情報を見ながら、効率的に対応することが可能です。

クラウドPBXのメリット

クラウドPBXのメリットを3つのポイントに分けて解説します。クラウドPBXを導入するにあたり、どのようなメリットがあるのか参考にしてください。

コストがかからない

クラウドPBXはクラウド環境でサービスを利用するため、オフィスにPBX本体や自社のサーバー不要で導入できます。そのため、初期費用を抑えながら、PBXの導入が可能です。配線工事不要でアプリをインストールすることで、すぐに運用できます。

また、クラウドPBXのメンテナンスはベンダーが実施します。自社でPBXの管理も不要なため、運用コストの削減が可能です。また、社員専用のビジネスフォンを購入する必要もなく、手持ちのスマホやタブレット端末を使用できるのもメリットです。

CRM・CTIとの連携可能

クラウドPBXはCRM(顧客情報を管理するシステム)と連携することで、CTI機能が使えます。着信があれば、発信者情報を電話番号から検索し、名前や購入履歴を表示させるポップアップ機能が使えるため、スムーズな問い合わせ対応が可能です。

ほかにもPC上から電話番号を選択し、クリックするだけで発信ができるクリックtoダイヤル機能やすべての着信・発信の通話日時や情報を保存できる履歴機能など取引に便利な機能を使えます。下記に連携可能なシステムをまとめました。

ツールメリット
CRM着信時に顧客情報を表示させることが可能
CTIコールセンターなどの業務を円滑化できる
名刺管理ツール見込み客などの名刺をスマホで撮影し、クラウド上で社内共有が可能
グループウェアシステム顧客の連絡先情報やスケジュールなどの共有が可能

スマホやタブレットと連携できる

クラウドPBXは、スマートフォンやタブレット端末でも使えます。アプリをインストール後、利用可能です。外出先でもPBX機能を利用できるため、場所を問わず顧客からの電話対応ができます。

また、場所を気にせず利用できるため、テレワークにも向いています。テレワーク中であっても、顧客からの問い合わせ対応が可能です。

さらに、外出中の従業員との内線通話も可能です。内線化しているスマホやタブレット端末の内線通話は無料となるため、通信コストの削減にもつながります。

【種類別】PBXのデメリット

3種類のPBXはそれぞれメリットがありますが、もちろんデメリットも存在します。デメリットも把握しておくことで事前に対策も取れるため、デメリットも確認しましょう。

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レガシーPBXのデメリット

レガシーPBXは、インターネット回線が不要で停電時などの影響を受けないメリットがありますが、レガシーPBXの導入・運用にあたっては留意しておくべきデメリットもあります。

物理的に空間を占める

レガシーPBXは、ハードウェアなどの専門機器・電話線などで物理的に空間を占有します。また、電話回線を使うため、導入時やオフィスの内装工事・移転を行う場合、電気通信の工事責任者資格を持つ専門業者に依頼しなければなりません。

さらに、電話線が届く範囲でしか接続できないため、拠点ごとにPBXを設置する必要があります。

IP-PBXのデメリット

IP-PBXを導入するにあたり、留意しておくべきデメリットを解説します。導入・運用コストにメリットがあるIP-PBXですが、常にインターネットに接続しているため、ハッキングのリスクやネット回線環境に左右されやすいです。

インターネット回線環境に左右されやすい

IP-PBXはインターネット回線環境に左右されやすいデメリットがあります。通信環境が悪いと、遅延や音切れなど音質・通信速度に影響がでます。

音質・通信速度に問題が出ている場合は、光ファイバーの導入や最新のWi-Fiへの切り替え、ルーター変更などを検討するのがいいでしょう。

また、電子レンジなど電磁波を発する電化製品のそばにPBX装置やルーターを設置している場合も音質・通信速度の低下の原因になっている可能性があるため、PBX装置やルーターの設置場所を変更するのもおすすめです。

社内LANが整備されていないとコストがかかる

IP-PBXは低コストで導入できるメリットがありますが、社内LANが整備されていない場合は、環境整備にもコストがかかります。そのため、IP-PBXの導入費用と環境整備費用の両方が必要となり、低コストとは言えない費用が求められます。

社内環境によって必要なコストが大きく変わるため、すでに環境が整っているかどうか確認した上で、自社が安く導入できるかどうか検討しましょう。

ハッキングされるリスクがある

IP-PBXはインターネット回線を利用するため、ハッキングされるリスクがあります。IP電話をハッキングされ、海外通話に使用されると通話料金が高額になる危険性があることを留意しておきましょう。

ハッキングによる情報の流出が起きると大きな問題に発展するため、IP-PBXを導入する際は、しっかりと強固なセキュリティを意識することが大切です。

クラウドPBXのデメリット

コストやカスタム性に優れているクラウドPBXですが、音質が低いなどのデメリットがあります。ここでは、クラウドPBXのデメリットについて解説します。

音質が低いことがある

クラウドPBXもIP-PBX同様、インターネット回線を利用するため3G回線や社内のWi-Fi環境が安定していないと音質が下がりやすいです。

インターネット環境が安定していれば問題ありませんが、社外での使用や混雑時間帯で利用する場合はインターネット環境が不安定になり音質が低下する場合があります。また、提供するベンダー側のサーバースペックが低い場合も音質低下につながります

音質が気になる場合は、導入前に無料プランなどで実際に使ってみてから検討するといいでしょう。また、事前にベンダーの特徴などを調査しておくことをおすすめします。

特殊番号に発信できない可能性がある

IP電話を利用したクラウドPBXは、発信者の正確な位置情報を確認できないため、「119」や「110」など特殊番号に発信することはできません。また、0570から始まるナビダイヤルにもかけられません。

クラウドPBXを導入している部署や企業では、緊急時は携帯で発信するなどの対策が必要です。

セキュリティはベンダーに依存する

クラウドPBXはベンダーが提供している範囲内での利用となるため、機能だけでなくセキュリティもベンダーに依存します。他システムと連携による機能のプラスは可能ですが、自社のセキュリティポリシーに合わせてセキュリティ強化するといったことはできません。

セキュリティ対策が十分に講じられているかを慎重に確認しつつ、レガシーPBXとIP-PBXにするという選択肢も視野に入れて導入を検討しましょう。

PBXの選び方

3種類あるPBXの中から自社に最適なPBXを選ぶ方法を4つのポイントに分けて解説します。ぜひ参考にしてください。

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コストを確認

PBXを選ぶ際は導入コスト・運用コストを確認しておきましょう。導入コストを抑えるなら、PBX本体の設置や電話機が不要なクラウドPBXがおすすめです。

クラウドPBXは月額数千円〜数万円ほどのランニングコストがかかりますが、保守管理費用やサポート費用が含まれており、定期メンテナンスの必要もないため、最大限にランニングコストを抑えながら運用できます。

IP-PBXはサーバーの設置が必要なため、高額な導入費用がかかります。しかし、一度導入費用を支払えば月額料金はほとんど発生しません。

IP-PBXは運用コストを抑えながら運用可能ですが、サーバーの保守要員を雇用する必要もあり、導入時に数百万〜数千万円の費用がかかるため、大企業向けとなっています。

設備を設置するか確認

PBXを導入する前に、すでに整備されたインフラがあるかどうか確認しましょう。既存のインフラの有無でPBXの種類によって導入コストが変わってきます。

レガシーPBXのように専用機器を利用するタイプは強固なセキュリティが特徴ですが、導入コストが高いデメリットもあります。

しかし、レガシーPBXなら、電話回線が整備されていると導入コストの削減につながります。またIP-PBXなら、社内LANがすでに整備されていれば、高額な導入コストの削減が可能です。既存のインフラを確認しておくことで、導入コストを抑えることはできます

自社環境によって、導入費用が異なるので、導入を検討する前に既存インフラの有無で設備を設置するかどうか検討してみてください。

必要な機能が搭載されているか確認

PBXを選ぶ際は、必要な機能が搭載されているか確認しましょう。機能性は実際の業務内容や業務効率に直接関わる部分です。自社の業務に必要な機能を洗い出し、改善点も含めて検討することをおすすめします。

PBXの中でもIP-PBXやクラウドPBXは、顧客情報システムやCITと連携させ、機能をカスタマイズしてより効率化したい場合に向いています。また、スマートフォンやタブレット端末を内線化させたいといった場合も、IP-PBXやクラウドPBXはおすすめです。

クラウドPBXは、拡張性にも優れているため、オプション機能の追加など運用の変更の可能性がある場合はクラウドPBXを検討してみましょう

セキュリティ対策を確認

PBXを使用した通話には個人情報などを含むこともあるため、セキュリティ対策が十分なものを選ばなくてはなりません。レガシーPBXは電話回線を利用し、インターネットを介さないため、ハッキングのリスクが少ないのが特徴です。

セキュリティ・安全性が高いため、顧客情報を多く管理している企業はレガシーPBXがおすすめです。さらに、レガシーPBXは電話線を利用しているため、「110」や「119」といった特殊番号への発信ができます。

IP-PBXとクラウドPBXは「119」や「110」など特殊番号への発信ができません。スマートフォンの持ち込みを禁止している企業や部署では、緊急時に備え、対応マニュアルを作成するなど対策が必要です

また、IP-PBXやクラウドPBXは常にインターネットに接続しているため、ハッキングのリスクを伴います。中でもクラウドPBXのセキュリティ対策はベンダー任せなため、情報漏洩のリスクが高いです。

一方で、IP-PBXは自社サーバーを利用し、自社でセキュリティ対策を行えるため、クラウドPBXよりも安全性は高いと言えるでしょう。

また、IP-PBXやクラウドPBXは、停電やネット接続に異常が起こった場合、利用できなくなるリスクも留意しておきましょう。

【種類別】PBXの導入に適した企業の特徴

ここまで、レガシーPBX・IP-PBX・クラウドPBXそれぞれのメリット・デメリットや選び方を解説してきました。PBXは種類別の特徴の違いから、それぞれの導入に適した企業が異なります。ここでは、PBXの導入に適した企業を種類別に解説します。

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レガシーPBXの導入に適した企業

レガシーPBXの最大の特徴は、電話回線を使用しているため、インターネットに接続せずに利用できる点です。そのため、インターネット接続によるセキュリティリスクや音質のバラつき、停電時の通話に不安がある企業に適しています。

ただし、専用機器を設置した1拠点のみしか内線化できないため、複数拠点を持つ企業では使いづらさを感じたり転送費用が高額になったりする恐れもあります。

IP-PBXの導入に適した企業

IP-PBXは、レガシーPBXが進化した種類であり、LANケーブルで電話機器を接続するため、多拠点の内線化が可能です。LAN接続できる機器であれば、従業員のスマホやパソコンも内線化できるため、営業職など社外での業務やテレワークが多い企業に適しています。

また、レガシーPBXより柔軟性が高いため、これから事業拡大を行う予定がある企業など、企業の変革が見込まれる企業にも有用です。ただし、自社の環境にもよりますが基本的に導入費用が高額であるため、大企業向けの形態と言えます。

クラウドPBXの導入に適した企業

クラウドPBXは、物理的な機器の導入が必要なく、インターネット上で提供されるPBXサービスを利用するタイプです。そのため、コストを抑えて素早く導入したい小規模な企業での利用にも適しています。

また、IP-PBXと同じく多拠点間かつ従業員のスマホやパソコンも内線化できるため、外出先で通話を行う機会の多い企業やテレワークを推進したい企業にもおすすめの形態です。

まとめ

PBXは外線・内線など複数の電話回線を集約し、接続を制御するシステムです。オフィスやコールセンターなどで欠かせない音声通話ツールとして注目を集めています。

PBXを導入することで、複数の電話機間で着信を仕分け・転送できるため、電話の取り漏らしを軽減しながら効率的に顧客や取引先などからの電話対応が可能です。また、内線同士の通話では通話料が発生しないため、コストを抑えることもできます。

レガシーPBX・IP-PBX・クラウドPBXの3種類のPBXの特徴をしっかり抑えながら、自社に最適なPBXを選んでください。

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