契約書レビューに使えるWordの機能|Wordで作成する理由も解説

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  • Wordは多くの企業で使用され、使い慣れていることから契約書作成にも使用される
  • Wordで契約書を作成する際は、フォントやフッターなどに関する基本ルールがある
  • 契約書作成・レビューする際のWord機能は複数あるため、活用にはスキルが必要

契約書の大半はWordで作成されているため、契約書レビューにはWordのスキルが求められます。本記事では、契約書をWordで作成する理由と基本ルール、契約書レビューに役立つWordの機能を解説し、契約書レビューをする際の注意点についても紹介します。

目次

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  1. 契約書レビュー業務にWordスキルが求められる理由
  2. Wordで契約書を作成・レビューする際のおすすめ機能
  3. 契約書をWordで作成・レビューする際の注意点
  4. まとめ

契約書レビュー業務にWordスキルが求められる理由

現在のビジネス環境において契約書は頻繁に取り扱われ、多くの場合それらはWordで作成されます。そのため、企業法務担当者にとってWordは不可欠なツールであり、契約書のレビューや作成において大きな役割を果たします。

Wordの機能を十分に活用することは、効率的な業務遂行につながります。しかし、Wordには豊富な機能が備わっているため、契約書のレビューや作成に便利な機能を選定し、技術の基本から応用までを習得する必要があります。

契約書をWordで作成する理由

Wordは普及度と使いやすさから、多くの法務部門やビジネスにおいて採用されています。Wordは非常に柔軟でカスタマイズ性が高く、契約書を企業固有の要件に合わせて調整できます。

また、リアルタイムでの協力が可能で、複数の関係者が同時に契約書を編集し、効率的に作業を実行できます。さらに、変更履歴の追跡機能があり、誰が何を変更したかを確認できるため、透明性が確保されます

Wordは多くのユーザーが既に使い慣れており、トレーニングや教育の負担が少ないため、迅速な運用が可能です。これらの理由から、Wordは契約書レビュー業務において理想的なツールと言えます。

Wordで契約書を作成する際の基本ルール

契約書の作成において、 Wordを使用する際には基本ルールが存在します。ここでは、契約書作成の基本ルールとして「フォントの基本」「フッター・ヘッダーは使用しない」の2項目について詳しく解説します。

フォントの基本

フォントの選択については厳格なルールはありませんが、通常、信頼性と読みやすさを重視し、和文契約書にはMS明朝、MSゴシック、游ゴシックなどが選ばれます。これらは一般的とされ、視覚的に整った印象を与えて契約書の専門性を示します。

また、フォントサイズについては 通常、10〜12ptのフォントサイズを使用します。フォントが小さすぎると読みにくく、大きすぎると情報が詰まって見づらくなります。適切なサイズを選ぶことで、契約書全体がバランスよく見えます。 

フッター・ヘッダーは使用しない

フッターとヘッダーは、文書の上部(ヘッダー)と下部(フッター)に追加情報やテキストを挿入するための領域です。これらの領域には、通常、ページ番号、文書のタイトル、著者名、日付などの情報が挿入されます。

しかし、契約書の文書作成においては、基本的にフッター・ヘッダーは使用しない方が望ましいです。理由としては、フッターやヘッダーに情報を配置すると本文と混同してしまい、契約書の理解に誤解を生じさせる可能性があるからです。

また、契約書は明確かつ簡潔である必要があります。フッターやヘッダーに過剰な情報を含めると文書を複雑にし、重要なポイントが埋もれてしまいます。したがって、契約書では本文に必要な情報を適切に配置し、文書のシンプルさと明確さを保つことが重要です。

Wordで契約書を作成・レビューする際のおすすめ機能

契約書の作成やレビューは、Wordの多彩な機能を活用することで、より効率的かつ正確に行うことができます。以下に、Wordで契約書を作成・レビューする際におすすめの、12の機能について解説します。

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コメント機能

コメント機能は、特定の箇所にコメントを追加でき、修正や提案に関する情報を明確に記録します。また、他のユーザーとコラボレーションしやすく、コメントへの返信や議論を簡単に行うことができます。

これにより、契約書の変更点や提案の理由を透明化し、スムーズなコミュニケーションを実現できます。コラボレーションの効率を高め、契約書の品質を向上させるためには、コメント機能の活用がおすすめです。

変更履歴機能

変更履歴は透明性を提供し、文書の変更プロセスを明確に表示する機能です。誰が何を変更したかが明確にわかり、トラブルを防ぎます。また、変更版と元の文書を比較することで、変更箇所を簡単に特定できます。

また、複数の関係者が文書にアクセスして変更を提案できるため、協力作業が効率的に行えます。ただし、注意点として、変更履歴は慎重に管理しながら正当な変更のみを承認する必要があります。

変更履歴を適切に管理し、全ての関係者がその使用方法を理解することが重要です。そして、悪意ある変更を防ぐためにアクセス権を制限することも検討しておきましょう。

比較機能

比較機能は、元の文章と修正後の文章を比較できる機能です。 元の文章と修正後の文章を比較することで、どの部分が変更されたのかが明確にわかります

例えば、大規模な契約書の場合、変更点を手動で探すのは困難ですが、比較機能を使用すれば迅速に変更点を確認できます。また、比較機能を使用することで、誰がどのような変更を加えたかを追跡し、アクセス権を制限することも可能です。

注意点としては、比較機能を適切に使用するために、元の文章と修正後の文章が正確に対応していなければなりません。また、変更点が多い場合、変更箇所を追跡しやすくするためにカラーハイライトやコメントを活用することを検討しましょう。

タブ機能

タブは文書内のテキストを縦に整列させたり、特定の情報を列ごとに整理できる機能です。契約書内の情報をわかりやすく整理し、読み手に迅速かつ効果的に伝えることができます。

なお、タブの設定や調整が煩雑になる可能性があるため、文書構造をよく考えて使用しましょう。また、異なるバージョンのWordで開いた際にレイアウトが崩れる場合があることから、互換性にも注意が必要です。

新しいウィンドウを開く機能

Wordの新しいウィンドウを開く機能は、同じ契約書の異なる箇所を同時に表示・編集できる機能です。特徴としては、誤りを減らして作業の効率を向上させることができます。契約書の条件や内容を確認・編集しながら、他の部分も同時に見ることで一貫性を保ちます。

ただし、多くのウィンドウを開くと混乱する可能性があるため、使い過ぎには注意が必要です。新しいウィンドウを開く機能は、契約書の複雑な部分や大規模な文書で特に役立ちます。正確性を高めつつ、時間を節約するために活用しましょう。

アウトライン機能

アウトライン機能は、文書の階層構造を整理し、情報を体系的に表示するツールです。この機能を活用すると、文書内のセクションやサブセクションを階層的に整理でき、複雑な情報でも容易に表示できます

見出しやタイトルを使って文書の概要を作成し、読者に重要なポイントを強調することが可能です。ただし、適切な階層構造を設計することが重要で、あまりにも多くの階層や細かい分類は読者を混乱させる可能性があるため注意が必要です。

アウトライン機能は大規模な文書やプロジェクト管理に効果的であり、情報の整理と理解を容易にします。

改行と段落

改行と段落は、契約書作成とレビューに欠かせない機能です。改行は文章内の行末で改行し、段落は文章の区切りを示します。改行は簡単な休止や改行に、段落は大きなテーマやアイデアの区切りに使用します

改行と段落を適切に設定することで、契約書の構造を明確にし、読み手にわかりやすく伝えます。しかし、過剰な改行や段落は読みにくさを生むため、適度に使用するのが大切です。

また、文書のフォーマットを維持するために、改行と段落の一貫性を保ちましょう。改行と段落機能を適切に活用すれば、契約書の整合性と可読性を向上させ、効果的なコミュニケーションを実現できます。

インデント機能

インデント機能は、段落の頭部や行末にスペースを調整できます。この機能を使用すると、契約書内のテキストの配置を整え、視覚的な整合性を維持できます。また、箇条書きや番号付きリスト、引用文などの異なる文体を区別するのにも便利です。

注意点としては、過度なインデントや無駄なスペースは文書を混乱させる原因となります。また、異なるWordバージョンでの互換性にも気をつけましょう。

ルーラー機能

ルーラー機能は、文書内の水平と垂直の余白と配置を表示し、フォーマット調整するツールです。文書内のテキストやオブジェクトの位置、マージン、インデント、タブを精密に調整できます。

ルーラーは、必要なフォーマット設定を行い、契約書の見栄えを向上させることができます。例えば、段落のインデントや行間隔を微調整し、テキストや署名の配置を正確に行うことができます。

過度な調整は読みやすさを損なう可能性があるため、バランスを保つことが重要です。ルーラー機能を活用すれば、契約書のフォーマットを整えて、読み手にわかりやすい専門的な印象を与えることができます。

書式コピー機能

書式コピー機能では、既存のテキストや段落に適用されている書式設定を容易に他の箇所に適用できます。フォント、スタイル、インデント、リストなどの書式設定を一括してコピーすることが可能です。

これにより、契約書内で一貫性を維持し、フォーマットの統一感を実現できます。ただし、過剰な書式設定は文書を混乱させる可能性があるため、慎重に選択し、適切な箇所に適用することが大切です。

ページ区切り機能

ページ区切り機能を利用すると、異なるセクションや章を新しいページから開始でき、文書の整合性を高め、読み手にわかりやすいフォーマットを作成できます

なお、過度なページ区切りは文書を冗長にし、読みにくくする恐れがあります。必要な箇所にのみ適用し、セクションごとに異なる設定が必要な場合は慎重に設定しましょう。

編集記号の表示機能

編集記号の表示機能では、印刷時には見えない文字や設定を画面上に表示し、文書の正確性を確認します。特徴は誤ったスペースや改行、タブ、ページ区切りを即座に検出できることです。

これにより、文書が整然としており、読み手にとってわかりやすいフォーマットであるかを確認できます。編集記号を使えば、契約書の品質を向上させて文書作成プロセスを効率化できます。

契約書をWordで作成・レビューする際の注意点

契約書をWordで作成・レビューする際の重要な注意点は、明確な表現と一貫性です。文書内の文章は簡潔かつ曖昧さのないように記述し、法的な意味を明確に伝える必要があります。ここでは、以下の注意点について解説します。

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契約書をWordで作成・レビューする際の注意点

  1. レイアウトの統一と正確性の確保
  2. 機密情報における管理の徹底が必要

レイアウトの統一と正確性の確保

スタイルやフォント、インデントなどのレイアウトは統一し、整然とした外観を維持します。修正がある場合は変更履歴を有効にし、コミュニケーションを密に保ちながら修正漏れを防ぎましょう。

また、条文番号の整合性や誤字脱字、表記の一貫性を確認して文書の正確性を確保します。用語や条件は法的文脈で正確に使用し、セクションや章の構成を整理しつつ、契約書の論理的なフローを確保します

機密情報における管理の徹底が必要

契約書に機密情報を含む場合は、適切なセキュリティ対策を講じ、不正アクセスに注意しなければなりません。通常、契約書は自社の情報だけでなく、取引先の情報も記載されているため、管理を徹底する必要があります

仮に、情報の流出などが発生すると企業の信用問題にも発展するため、いくつかの注意点を厳守しながら、契約書の品質を高めて法的問題を未然に防ぐことが求められます。

まとめ

契約書レビューにおいて、Word機能の活用は効果的です。例えば、変更履歴機能を利用して文書の変更点を追跡し、コメント機能を使って詳細な指摘を伝えることで、クリアで明瞭なコミュニケーションが可能となります。

また、比較機能を用いて異なるバージョン間の変更点を簡単に確認し、新しいウィンドウを開いて同時に複数の箇所を参照することで、誤りや見落としを減少させることもできます。

なお、過度な装飾や複雑なフォーマットは理解を難しくし、誤解を生む可能性があることから注意が必要です。つまり、読みやすさ・シンプルさを保つことが重要です。これらの機能を適切に活用することで、契約書の品質向上と効果的なプロセス管理が実現できます。

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