EPMとは|意味やメリット、ERPとの関係性をわかりやすく解説

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  • EPMを取り入れることで組織の業務が効率化し、組織内部の状況も把握しやすくなる
  • EPMを取り入れる際はITツールが必要であり、ERPは特に重要な役割を果たす
  • EPM実現のためにERPを導入する際は、柔軟性などからクラウド型がおすすめである

EPMを取り入れることで、企業の業務をプロジェクトとして管理し、企業全体で計画を調整することができます。本記事では、EPMを理解するために、EPMの必要性や進め方、取り入れるメリット・デメリット、EPMに必要なERPとの関係性についてもわかりやすく解説します。

目次

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  1. EPMとは
  2. EPMの必要性
  3. EPMを取り入れるメリット
  4. EPMを取り入れるデメリット
  5. EPMの進め方
  6. EPMにの実現にはERPが必要
  7. ERPはクラウド型がおすすめ
  8. まとめ

EPMとは

EPMは「Enterprise Performance Management:企業業績管理」の略称で、組織の業績向上と効果的な意思決定を支援するため戦略的なアプローチを指します。ITを活用して、ビジネスの分析、計画、予測、報告、決算などのプロセスを統合的に管理します。

EPMの主な目的は、業績の最適化、収益増加、コスト削減などを実現し、組織全体の成果を向上させることです。EPMに活用されるソフトウェアは、データの収集・整理・分析を効率化し、経営者や関係者に意思決定に必要な情報を提供します。

EPMを取り入れることで、戦略の策定や遂行を効果的に行い、企業の競争力を高めることができます。そして、リアルタイムなデータを活用し、ビジネス環境の変化に対応して適切かつ迅速な対策を講じることも可能です。

EPMにおける管理項目

企業内のプロセスをそれぞれ1つのプロジェクトとして捉えるEPMでは、社内のさまざまな業務をプロジェクトとして管理することにより、業務全体を効率化させます

しかし、業務によって管理項目には違いがあり、可視化しづらい業務ではEPMの必要性を感じないかもしれません。そのため、プロジェクト化したタスクを表にまとめ、社内全体に見やすく集約して管理するなどの取り組みも、効率化する上で必要な要素となります。

BIとの違い

BI(Business Intelligence)は、企業内外のデータを収集・整理・分析し、洞察を得るためのプロセスやツールの総称です。BIは、ダッシュボードやレポートを通じてビジネスの状況やトレンドを可視化し、意思決定のサポートを行います。

BIは、主に過去のデータから学び、将来の戦略に活かすことができる点が特徴です。 ただし、最近でビジネスの進化と共に用語の意味も変わってきており、EPMとほぼ同じ意味で使用されることが増えています

EPMと同様に、BIも企業の業績向上や意思決定の効率化を目指すために利用されており、ビジネス全体を俯瞰するための戦略的なアプローチとして有効です。

EPMの必要性

EPMは、企業の競争力を高める上で重要な手法です。市場競争の激化や市場のめまぐるしい変化に直面する現代のビジネス環境では、戦略的な意思決定とビジネスプロセスの最適化が求められます。

その中で、EPMは組織全体の業績を計画、予測、評価、改善するための手法を提供します。 EPMを活用することで、経営陣は適切なビジョンや目標を設定し、リソースを適切に配分できます。

その結果、業績評価を通じて効果的な戦略の実行や業績不振部門の改善が可能となり、意思決定の質とスピードが向上します。また、データの一元化と可視化が実現され、市場の変動や機会に迅速に対応できる競争力を強化できます。

EPMを取り入れるメリット

EPMの導入は、企業にとって多くのメリットをもたらします。EPMは組織の業績評価と最適化を可能にし、競争力を向上させるための力強いツールとなります。以下では、EPMを取り入れるメリットについて解説します。

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業務プロセス評価を標準化できる

EPM導入により、業務プロセス評価を標準化することができます。組織内で統一的な評価基準や指標を確立し、異なる部門間やプロジェクト間での業績を客観的かつ公平に比較できるためです。

標準化によ主観的な判断や偏りが排除され、組織全体の評価が透明性と公平性保つことができます。これにより、効果的な改善策の特定や適切なリソース配分が容易になり、業務プロセスの最適化が促進されます。

また、標準化された評価データをリアルタイムで収集・分析することで、業績の傾向や課題を素早く把握し、迅速な対策を講じることが可能となります。

自動化によって人的ミスを軽減する

EPMの導入によって、従来までExcel(エクセル)への手入力で行っていたような作業をシステム化し、自動化によって作業負担を軽減させることができます。さらに、入力ミスや入力漏れといった人的ミスを削減することにも繋がります。

また、データの追加・更新のしやすさだけなく、システム上での迅速な情報共有によって、社外からでも手軽に情報を確認ができるなどのメリットもあります。

ノウハウを蓄積できる

EPMは、ビジネスプロセスや業績データを統合的に管理・評価するための仕組みを提供します。これにより、優れた業績を上げるための成功事例や効果的な戦略が明確になり、ノウハウとして蓄積できます。

蓄積されたノウハウは、組織内で共有され、次回のプロジェクトや戦略の策定に活かされます。ノウハウの共有と活用により、組織内の知識の継承がスムーズに行われ、持続的な成長とイノベーションが促進されます

組織内部の状況が把握しやすくなる

EPMは、ITツールで組織の業績データやビジネスプロセスをリアルタイムで集約・分析し、ダッシュボードやレポートの機能で可視化する仕組みを提供します。その結果、経営者や管理者は迅速に現状を把握でき、業績の動向や課題を的確に分析できます

組織全体の情報が一元的に表示されるため、部門間の連携や相互理解が促進され、戦略的な意思決定が容易になります。また、可視化された情報は組織内の関係者と共有されるため、透明性が高まり、コミュニケーションの円滑化にも寄与します。

業務が効率化する

EPMは自動化されたワークフローやテンプレートを提供し、膨大なデータを容易に整理・処理できます。これにより、予算の作成や業績のモニタリングが効率化され、従業員は重要な時間を分析や戦略立案に割くことができます

この効率化は組織全体の生産性向上に繋がり、限られたリソースを最適に活用できるため、競争力の向上や業績の成長に繋がります。

EPMを取り入れるデメリット

EPMの導入には、適切なITツールやソフトウェアの導入が必要です。新たなツールを導入するためには、従業員の教育やトレーニングが必要であり、これには手間や時間がかかります。

また、既存の業務プロセスへの適合やシステムの統合にも労力が必要です。さらに、新しいITインフラの構築やセキュリティ対策の強化も必要となります。

ただし、導入コストや手間は避けられなくても、慎重な計画と適切なトレーニングによって、デメリットを最小限に抑えつつ効果的な導入を図ることは可能です

EPMの進め方

EPMの導入では、段階的なアプローチが重要です。以下のような段階的な導入プロセスによって、EPMの導入効果を最大化し、組織の業績向上を測ることができます。ここでは、EPMの進め方について解説します。

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基本方針を決める

EPMを取り入れる際は、まずビジョンと目標を明確にしましょう。EPMの導入により何を達成したいのかを定義化し、具体的な目標を明示します。

次に、組織内のステークホルダーと協力し、意見を収集してから合意形成を図ります。この際に重要なのは、透明性とコミュニケーションです。その後、リソースを優先順位に従って配分し、優先プロジェクトを選定しましょう。

組織体制を整える

適切な組織体制を整えることで、目標の達成、データの収集と分析、透明性の向上が可能になります。従業員がEPMを使いこなせるようにするには、まず役割と責任を明確にし、誰が何を担当するかを定義します

次に、適切な研修プランを設定し、従業員のスキル向上を支援します。目的としては、データ分析や報告スキルの強化を重視し、コミュニケーションと透明性を確保することです。組織全体がEPMに対して理解し、協力する体制を整えることで、生産性の向上を図ります。

ITツールを導入する

EPMを運用する体制が整ったら、適切なEPMソフトウェアを選定して導入します。ツール導入の際は、予算とスケジュールを策定して導入計画を立て、関係者に必要なトレーニングを提供します。

最後に、EPMの全面的な展開を行い、継続的なモニタリングと改善を通じて、組織のパフォーマンスを向上させます。 はじめから大規模に展開するのが難しい場合は、小さな範囲から始めて徐々に社内全体へと広げていきましょう。

EPMにの実現にはERPが必要

ERP(Enterprise Resource Planning)は企業資源計画の略称で、組織内の業務データを統合し、業務プロセスを効率化するためのソフトウェアシステムです。主要な機能としては、会計、購買、在庫管理、生産管理、人事管理などがあります。

ERPが組織の日常業務の自動化とデータの集約を担当し、EPMはそのデータを活用して戦略的な意思決定を支援する、というのがERPとEPMの関係です。ERPが提供するデータをEPMに統合することで、リアルタイムの洞察を得ることが可能です。

ERPは組織内のさまざまなデータを集約できるため、各業務ごとのシステムのみがある状態では難しいEPMも実現しやすくなります

ERPにEPM機能が搭載されていることも

ERP製品には、EPM機能が搭載されているツールもあり、組織はERPから直接ビジネスパフォーマンスを監視し、予測・分析ができます。以下では、ERPにおけるEPM機能を解説します。

KPI設定機能

KPI(Key Performance Indicator)設定機能は、組織のパフォーマンス管理において重要です。KPIは、最終目標に向かう各プロセスにおいて設定する評価指標で、目標の達成状況を定点観測するためのものです。

値化されたKPIを設定することで、企業目標と企業実績の値を比較分析することができ、年度別の達成予測などを数値で用意に確認することができます。KPIは組織独自のニーズに合わせて設定が可能です。

KPIモニタリング機能

KPIモニタリング機能は、リアルタイムのデータ提供を通じて、設定したKPIの状況を即座に把握できます。プロジェクトや部門ごとに異なる指標を追跡できます。

また、ダッシュボードを通して視覚的にデータを表示し、トレンドやパフォーマンスの変化を迅速に理解できます。KPIモニタリング機能は、組織の戦略的な意思決定をサポートし、進捗を監視して戦略を調整するための重要な機能です。

経営課題分析機能

経営課題分析機能は、データから組織の経営課題を導き出し、戦略的な意思決定を支援する機能です。組織内のデータを統合し、リアルタイムで分析・可視化する能力を提供します。

この機能により、リアルタイムデータを活用して問題を早期に検出し、即座に対策を講じることができます。また、データから傾向を分析して将来の予測を行い、長期的な戦略策定に役立ちます。

ERPはクラウド型がおすすめ

ERPは組織のデータを一元化し、EPMで必要な情報を提供する基盤を提供します。EPMはERPと統合されることで、リアルタイムのデータ取得・分析から、戦略的な目標達成に向けた計画や調整を行うことができます。

ERPの導入形態にはオンプレミス型とクラウド型がありますが、現代のビジネス環境においてはクラウド型のものが特におすすめです。 

社内のサーバーにシステムを構築するオンプレミス型に対し、クラウド型はベンダーがクラウドに構築したシステムにインターネットを通じてアクセスします。

オンプレミス型と比較したクラウド型のメリット

クラウド型は自社でサーバーなどのリソースを用意する必要がないので、低コストかつ迅速な導入が可能です。また、導入後もリソースやインフラの管理にかかる負担がありません。アップデートやメンテナンスはベンダーが行い、最新の機能やセキュリティ提供します。

最近ではAIなどの最新技術を用いたERPソリューションも登場しており、EPMもこうした技術によってさらに発展していくと考えられます。

さらに、インターネット経由でアクセスできるという特徴から場所を問わずシステムを利用することができ、ERPを用いたEPMにおいてもリアルタイム性が高くなります。必要な情報に迅速にアクセスできることはEPMを成功に導くカギでもあります。

おすすめのERPシステム9選|選び方や注意点を詳しく解説

ERPシステムとは、ヒト・モノ・カネといった企業資源を一元管理し、経営活動に活用するためのシステムのことを言います。本記事では、ERPシステムの導入を検討している方に向けて、おすすめのERPシステムやその選び方、導入時の注意点を詳しく解説しています。

まとめ

EPMは、戦略的な目標達成と業績評価に必要なデータを提供し、組織の方向性を明確にし、パフォーマンスを向上させます。そして、EPMを効果的に実施するためには、ERPの活用が重要です。

ERPは組織内のデータを一元化して、EPMを支えるデータベースとして機能します。これにより、リアルタイムで業績を監視し、正確な情報に基づいて戦略的な意思決定を実現できます。

EPMという手法とERPというツールの統合により、組織はより迅速かつ効果的な意思決定を行い、競争力を高め、成果の最大化を図れます。

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