人事業務にERPを活用するメリットとは?デメリットや選び方も解説
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- 人事業務は給与計算や勤怠管理、採用、教育など多岐に渡るため煩雑になりやすい
- ERPを活用することで人事業務が効率化でき、タレントマネジメントも容易になる
- 人事業務向けERPを選ぶ際は、社会保険管理など必要な機能を備えているか確認する
人事業務は給与計算や勤怠管理、採用、教育など多岐に渡るため煩雑になりやすいものですが、ERPを活用することで効率化できます。この記事では人事業務にERPを活用するメリット・デメリット、人事業務向けERPを選ぶ際のポイントなどを解説します。
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ERPとは
ERPは「Enterprise Resources Planning」 の略で、日本語では「企業資源計画」という意味です。企業資源とは、企業経営に必要となる資源で、中でもヒト・モノ・カネ・情報は、4大資源と呼ばれます。それらの企業資源を適切に分配し、有効活用する計画がERPです。
そして、ERPシステムは、ERPを合理的に実行できるように設計されたシステムです。一般的にERPシステムは、人事業務だけでなく、販売管理・財務会計・生産計画など、企業の幅広い業務全般を管理する基幹システムとして活用されています。
ERPシステムと基幹システムとの違い
ERPと混同されやすい言葉に「基幹システム」がありますが、両者の役割や業務範囲には違いがあります。基幹システムは業務ごとに独立しているのに対し、ERPは企業の複数の基幹業務を統合して管理できます。
また、基幹システムは部門ごとに導入されますが、ERPシステムがあればこれらの基幹システムごとに管理されていたデータを統合でき、企業全体の情報を一括管理できます。
ERPシステムがあることで、自社のタイムリーな経営状況が把握でき、適切な経営戦略のスピーディーな立案が期待できます。さらに、部門を横断して企業の経営状況を広い視野で見れるようになります。
ERPとは、販売、人事、生産管理などの企業経営の基本となる資源要素を有効活用する考え方です。本記事では、ERPシステムをよく知らない・導入を検討している方に向けて、ERPシステムの種類や選び方、メリット・デメリットを解説しています。
人事業務にERPが必要とされている背景
人事業務の目的は、企業資産の1つである従業員の能力を活かしたり能力を向上させたりして、生産性を高めることです。そこで、従業員のさまざまな情報を収集・管理しているERPシステムでは、特に以下の2つの役割を果たします。
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人事業務にERPが必要とされている背景
人事業務を円滑に行うため
人事業務は、人事計画・採用活動・人材育成・評価業務・福利厚生・労務管理など幅広く、一つひとつの業務が煩雑になりがちです。さらに、人事業務の中には、必ず人の手で行わなければならない業務が含まれています。
そのような人事業務へのERPシステムの導入は、企業資源であるヒトの適正配置に寄与します。煩雑な業務の中で、システムで効率化できる業務はシステムに任せ、人手が必要な業務に人間を集中させることで、人事業務の円滑化が図れるでしょう。
また、煩雑な業務はヒューマンエラーが起こりやすい業務ですが、ERPシステムで自動化することで、ヒューマンエラーの防止にもつながります。エラーは、修正作業が発生するため、円滑な人事業務を阻害します。
適切な教育や能力開発のため
近年、属性情報・行動データ・適性などのデータを収集・分析して、人事業務を効率的かつ公平に行うために活用する手法が採用されています。この手法のことを「ピープルアナリティクス」と言います。
これまで採用や人事考課は、担当者の経験や勘で行われていた部分も多いです。しかし、ERPシステムでピープルアナリティクスに必要なデータを管理すれば、データに裏打ちされた客観的かつ合理的な採用や人事考課が行えます。
人事業務にERPを活用するメリット
人事業務にERPを活用することで企業管理者・人事担当者・従業員それぞれにさまざまなメリットがあります。ここでは、それらのメリットの代表的な4つについて解説します。
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人事業務にERPを活用するメリット
人事関連業務を効率化できる
ERPシステムには、さまざまな機能が搭載され、給与計算や福利厚生の管理、従業員情報の管理、勤怠管理などの部門で、業務の効率化が図れます。特に自動計算機能は、計算が必要な業務に活用され、人が行うよりも速く正確に行えます。
また、勤怠管理などでは他の機器やシステムと連携して自動入力できる部分も多く、大きな効率化が図れます。具体的には以下のような業務の効率化が見込まれます。
業務 | 内容 |
---|---|
給与計算 | ・給与や賞与などの自動計算 ・源泉徴収税額の自動計算 ・給与の自動振り込み |
福利厚生の管理 | ・有給日数の自動管理 ・利用しやすい福利厚生管理 ・健康診断との連携 |
従業員情報の管理 | ・収集した従業員の個人情報の分析 ・人事面談資料作成 |
勤怠管理 | ・勤怠情報や残業時間、休日出勤の集計と給与計算との連携 |
人事業務で必要なデータを連携できる
ERPシステムでは、給与・勤怠・労務など人事関連のデータ連携ができます。これにより、出勤・欠勤・残業時間などを反映させた給与の自動計算ができ、決定した給与の自動振り込みも可能になります。
その結果、業務の効率化向上と担当者の業務負担の軽減が図れます。また、人事の効率化のための人事管理システムもあります。人事管理システムは人事業務に特化し、人事部門のデータ連携には大変便利です。
しかし、他の部門とデータ共有を図りたい場合は、さまざまな部門のデータを一元管理できるERPシステムの方が便利でしょう。
各部署で独立したシステムを使っている場合は、従業員の個人データなどを重複して入力しているケースもよく見られます。ERPシステムでは重複入力は不要で、各部署で入力されたデータを全ての部署で共有できるため、幅広い企業分析を可能にします。
人的リソースを最適化できる
ERPシステムの人事情報には、社員の在籍部署・異動経歴・実績・研修内容・特性などの情報が蓄積・可視化され、従業員を適正配置するための貴重な資料となります。特に、少子高齢化が進む現代社会の企業では、人材の育成と有効活用は重要な課題です。
また、ERPシステムの導入で、データ入力などのノンコア業務をできる限り自動化し、そこで生み出した時間と人材をコア業務に集中させることが可能です。その結果、従業員の業務に対するモチベーションの向上も期待できます。
タレントマネジメントが容易になる
ERPシステムの活用はタレントマネジメントにも有効です。タレントマネジメントとは、従業員の持つ能力やスキル・経験などの情報により、適切な採用や育成・配置を行う人材マネジメントを意味します。
ERPシステムでタレントマネジメントを進めるには、従業員の基本情報のほかに実績や評価、サーベイの結果、スキルなど、その企業にとって有益と思われるデータの収集が重要です。これらのデータを利用することにより、従業員の異動や育成を戦略的に行えます。
タレントマネジメントには、人材発掘と長期的な育成計画が必要です。それを容易にするのがERPシステムであり、以下のような機能が備わっています。
機能 | 内容 |
---|---|
採用強化機能 | 応募者情報を見える化して、応募状況の管理などを行う |
育成強化機能 | 従業員の研修状況の把握と、能力開発プログラムを開発・管理する |
業績管理機能 | 従業員の人事考課を記録し、実績を可視化する |
リーダー育成計画 | 次世代リーダーの育成計画を立て、進捗状況を可視化する |
人事業務にERPを活用するデメリット
人事業務へのERP導入にはデメリットもあります。できる限り長い目で見た費用対効果を意識して、デメリットを抑えたERPシステムの導入が必要になります。ここでは、3つのデメリットについて解説します。
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人事業務にERPを活用するデメリット
コストがかかる
ERPシステムの導入形態には、自社にサーバーを設置するオンプレミス型と、ベンダーのサーバーを利用するクラウド型があります。また、使うシステムは自社で開発する方法と、すでにプログラム化されているERPパッケージを利用する方法があります。
オンプレミス型の導入は、自社でサーバーを用意するために、導入コストが高くなるのに加え、サーバー管理担当者も必要となり人的コストもかかる場合があるでしょう。クラウド型は、サーバーの設置や管理の費用はかかりませんが、毎月の利用料が必要となります。
運用できるまでに時間がかかる
オンプレミス型の導入の場合、導入決定から運用までに月単位の期間が必要です。その期間に、自社サーバーのセッティングやソフトウェアのインストール・動作確認などを行います。自社開発のシステムを利用する場合は、システム開発のためにさらに期間を要します。
クラウド型は、ベンダーと契約すればすぐに運用できます。しかし、人事関係で運用するには、簿記・法律関係の専門知識が必要になることもあり、使いこなすには時間がかかる場合もあります。
社員教育が必要になる
新システムの導入にあたり、操作方法や利用ルールに関して十分な社員教育が必要になります。特に、ERPには機密性の高いデータが多数含まれることから、セキュリティ対策については全従業員が一定レベル以上の知識・スキルアップが求められるでしょう。
例えば、安全性の低いサイトやアプリケーションの利用禁止といった基本的な事柄から、情報流出時の対応フローの確認など、セキュリティリスクを想定した教育・訓練を実施することをおすすめします。
人事業務向けERPを選ぶ際の比較ポイント
人事業務向けのERPを選定する際は、導入形態や利用形態、機能性などが自社に適しているか、比較する必要があります。ここでは、人事業務向けERPの比較ポイントを3つ解説します。
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導入形態をチェック
ERPにおける導入形態には、主に「統合型」「業務別コンポーネント型」「業務ソフト型」の3種類があり、どれを選ぶかによって業務範囲やコストが大きく異なります。
また、企業によってどれが適切かは異なるため、自社の課題を明確にして選定することが重要です。以下の表で、それぞれ特徴をまとめます。
導入形態 | 特徴 |
---|---|
統合型 | ・販売管理・経理・在庫管理など人事業務を含む複数の基幹業務が統合されている ・システム刷新や新規導入に適している |
業務別コンポーネント型 | ・自社にとって必要な業務のみを選択して構築できる ・システム連携や後からの機能追加も可能であり、柔軟性が高い |
業務ソフト型 | ・業務ごとに独立したソフトを、必要な業務のものだけ別々に導入する ・各ソフトごとに一元管理が可能 |
利用形態をチェック
人事業務向けERPシステムの利用形態は、主に「パブリッククラウド型」「プライベートクラウド型」「オンプレミス(パッケージ)型」の3種類に分けられ、利用方法やコスト、導入までの期間が大きく異なります。
基本的にオンプレミス(パッケージ)型は、高額な費用がかかるため大企業向きです。それぞれに特徴やメリット・デメリットが異なるため、理解して比較した上で選定しましょう。以下の比較表にそれぞれの違いをまとめます。
運用形態 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
パブリッククラウド型 | ・ベンダーが提供するサービスをインターネットを通じて利用する ・SaaS型とも呼ばれる | ・必要な機能のみを選べるため、コストを抑えて利用できる ・運用保守作業が不要 | ・カスタマイズを行うことが難しい |
プライベートクラウド型 | ・IaaSやPaaSを用いた自社専用のクラウド上にシステムを構築する | ・パブリッククラウド型より柔軟性が高く、機能とコストのバランスがいい | ・パブリッククラウド型よりコストが高い ・独自性を高めるとさらにコストがかかる |
オンプレミス(パッケージ)型 | 自社で設置した機器にERPパッケージをインストールして使用する | ・自社業務に合わせた自由度の高いカスタマイズが可能 ・他システムと柔軟に連携できる | ・機器の設置や開発費用、運用保守に高額な費用がかかる ・運用開始までに時間がかかる |
機能性をチェック
人事業務向けERPを選ぶ際は、自社の人事業務に必要な機能を備えているシステムの選択が必須です。給与計算・勤怠管理・社会保険関連機能などはもちろん、登録人数の上限の確認も重要になります。
また、外国籍従業員が多い企業では、多言語対応のシステムも視野に入れましょう。特に、自社で行う業務が独特なものである場合、必要な機能を満たしていなければ自社の業務プロセスに馴染まず、スムーズに定着しない可能性もあります。
まずは、自社の現状を把握して課題を明確にした上で、必要な機能を洗い出しましょう。
まとめ
人事業務は、給与計算・勤怠管理・採用・教育など多岐に渡り、煩雑になりやすい業務ですが、ERPシステムの導入で人事業務の効率化を図る企業が増えています。また、ERPシステムは、企業の少子化対策としてのタレントマネジメントにも活用されています。
人事業務向けのERPを選ぶ際には、社会保険管理など自社に必要な機能を備えたシステムであることが重要になります。
ERPシステムに一元化されたデータの分析により、素早い経営戦略が立てられるなど、経営者にとってもメリットの多いシステムです。自社にあった機能を考慮しながら最適なシステムを選定しましょう。
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