ERPと会計ソフトの違い|会計業務をERPで行うメリットを解説

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  • ERPとは、企業経営の基本となるヒト・カネ・モノ・情報を一元管理するシステム
  • 会計ソフトとは、会計処理や財務諸表作成など経理の業務を効率化するためのソフト
  • 会計ソフトは会計業務のみに対応するが、ERPは会計業務以外の業務も一元管理できる

複数のシステムを統合したERPを導入している企業は多く、あらゆる業務で活用されています。しかし、会計システムとERPはどちらも業務の効率化が図れるため、自社にはどちらが適しているか見極めるのは困難です。本記事では、会計ソフトとERPの違いを詳しく解説します。

目次

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  1. ERPとは
  2. 会計ソフトとは
  3. ERPと会計ソフトの違い
  4. 会計ソフトの限界と課題
  5. ERPを経理の業務に導入するメリット
  6. ERPを選ぶ際のポイント
  7. まとめ

ERPとは

ERP(Enterprise Resource Planning)は、企業の「司令塔」のような役割を果たすソフトウェアシステムです。企業におけるあらゆる部門やプロセスの情報を一元管理することで、業務全体の効率化や業務をスムーズに進めることがERPの主な目的です。

例えば、店舗には販売チーム・在庫管理チーム・会計チームなどがあります。これらのチームが別々に作業を行い、商品の入荷・売上・在庫状況などの情報が分かれていると、全体の把握が難しくなります。

しかし、ERPによって異なるチームの進捗や情報を一元管理できるため、複数のチームや部署にまたがる業務を把握できます。新しい商品が入荷した場合、在庫管理の担当者が在庫情報を入力すると、販売チームでも在庫の情報を閲覧でき、欠品の防止にも寄与します。

また、ERPでは業務の自動化を図れるため、手作業で同じ情報を何度も入力する手間を削減できます。さらに、売れ筋の商品やどの部門が利益を上げているのかなどの情報を簡単に把握し、分析が可能です。

このようにERPは、企業の各部門やプロセスの情報を統合的に管理し、組織全体を円滑に運営するための便利なツールです。

会計ソフトとは

会計ソフトは、企業が日々の財務活動を管理し、経済的な収支を把握するためのツールです。支出や収入を得ると、それらの取引情報を記録する必要がありますが、これらの取引データをデジタルで記録し、自動的に合計や集計してくれます。

また、税金に関する情報を整理して、確定申告などの手続きをサポートし、収支や利益などのデータを元に報告書を簡単に作成できる機能も備えています。これにより、財務状況を把握し、効率的な経営判断をサポートすることが可能です。

収入や支出、資産、債務などの取引データを一元的にデジタルで管理し、手作業に比べて誤りのリスクを低減し、正確な財務データを維持できます。

ERPと会計ソフトの違い

ERPと会計ソフトは、両者とも企業の業務管理を支援する重要なツールですが、目的やできることが異なります。ここでは、それぞれの違いを詳しく解説していきます。

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目的の違い

ERPの目的は、組織全体の業務プロセスを統合して最適化し、生産性を向上させ、意思決定を支援することです。一方で会計ソフトの主な目的は、財務情報を効率的かつ正確に管理して帳簿を記録すると共に、法令に適合した財務報告を生成することです。

ERPは広範で統合されたビジネス管理を目指し、会計ソフトは主に財務業務の効率向上と規制順守に焦点を当てています。

できることの違い

ERPは企業全体の統合と効率化を図り、生産計画在庫管理、人事、財務など様々な業務プロセスを一元管理します。情報共有が強化され、業務プロセスの最適化や意思決定のサポートが可能となり、結果として企業の効率性向上と総合的なビジネス管理が行えます。

会計ソフトは財務データの管理や経理業務を効率的に行うツールです。請求書の作成や収支の記録、銀行取引の追跡が可能であり、税務申告のための情報を整理します。

従業員の給与計算や支払い管理、さらには財務レポートの作成も行います。これにより、企業は簡便で正確な財務管理が可能となり、経済的な活動を円滑に進めることができます。

メリット・デメリットの違い

ERPのメリットは、全企業プロセスの一元管理により情報共有が強化され、生産性が向上することです。しかし、その一方で導入・運用コストが高く、変更やカスタマイズが難しいことや、多機能ゆえに使いこなせないリスクがあります。

会計ソフトは、財務データの集中管理により精度が向上し、簡便な財務管理が可能なことがメリットです。ただし、企業全体の最適化が難しく、限定的な業務領域に特化しているため、全社的な統合が難しい点に注意しましょう。

導入が向いている企業の違い

上述したようにERPは、企業のあらゆる情報やプロセスを一元管理できるシステムです。そのため、部署やチーム内の複数業務を効率化したい企業や、効率化によって組織全体の生産性向上を図りたい企業におすすめです。

また、リアルタイムで経営情報を把握できるため、精度の高い経営戦略を練りたい場合や意思決定の迅速化を目指したいケースにもERPは向いています。

一方で会計ソフトは、会計業務に特化したソフトウェアです。多くの情報を管理するERPと違って、会計ソフトは比較的コスト負担が低いため、導入コストを抑えたい企業におすすめです。したがって、小規模企業や個人事業主でも導入しやすいと言えます。

また、他部署との連携が必要なく、会計業務の効率化のみを目指す企業は、会計ソフトの導入を検討しましょう。

会計ソフトの限界と課題

会計ソフトは企業や個人の財務管理において欠かせないツールですが、会計ソフトにもいくつかの課題が存在します。ここからは、その課題について詳しく解説していきます。

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管理会計に対応できない

管理会計は、予算の立案・コスト管理・収益分析・財務指標の計算などを通じて、組織の業績向上策を考えるための大切な手法です。企業はさまざまな業務を行っていますが、これらの情報を会計ソフトで統合することは少々複雑です。

なぜなら、通常の会計ソフトは主に財務データを扱うために設計されており、組織全体の業務プロセスをつなげるのが難しいためです。特に大きな組織では、業務の多様性や複雑性によって、正確な情報の統合を難しくします。

また、組織ごとに業務のやり方や分析のニーズが異なるため、管理会計においてはカスタマイズと柔軟性が非常に重要です。しかし、会計ソフトは特定の業界や組織に合わせたカスタマイズが難しく、自社のニーズに完全に合わせるには専門的なシステム構築が必要です。

海外展開に対応できる製品が少ない

海外展開時には、異なる国々の通貨や税制の違いを考慮しましょう。会計ソフト単体では、異なる通貨での取引や国ごとの税制に適切に対応することが難しく、正確な会計情報の管理が困難になる可能性があります。

また、各国が異なる会計基準や法令を持っているため、海外展開においては国ごとに対応しなければなりません。しかし、特定の国の要件に対応している会計ソフトは少なく、異なる国の規制や法令に対応するのは困難です。

そのため、海外展開において、正確かつ適切な会計情報を提供するのは難しい課題となるでしょう。

データ改ざんのリスクがある

クラウド型の会計ソフトには、データがオンライン上で保管されるという特徴があり、データ改ざんのリスクが伴います。例えば、悪意を持つハッカーや不正利用者がアクセスし、データを改ざんする可能性が考えられます。

また、攻撃者が会計データに不正アクセスし、機密情報を盗み出す恐れもあります。このような情報漏えいにより、組織の機密性の高い情報が外部に流出し、企業としての信用を失うリスクがあるため、企業は適切な対策を取る必要があります。

具体的には、強力なアクセス制御やデータ暗号化といったセキュリティ対策が重要です。また、定期的なセキュリティ監査や評価を行うことも不可欠です。

ERPを経理の業務に導入するメリット

経理の業務にERP(Enterprise Resource Planning)を導入することは、効率性や正確性を向上させる様々なメリットをもたらします。ここからは、そのメリットに注目して詳しく解説します

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組織全体の業務を一元管理できる

組織内には多様な部門や業務プロセスが存在し、それぞれが独自の情報管理を行っています。しかし、これらの情報が分散している場合、情報の一貫性やコミュニケーションにズレが生じる可能性があります。

こうした課題を克服するため、ERPは組織全体の業務を統合的に管理するプラットフォームを提供しています。さまざまなデータを1つの中央データベースで統合し、情報の一貫性と正確性を保つことで、情報の不整合やエラーを削減する役割を果たします。

ERPが提供する一元管理のデータを活用することで、リアルタイムな情報洞察や業績のモニタリング・データ分析・コスト削減など、多くのメリットを受けることができます。

管理会計を実現できる

ERPを導入することで、組織内の様々なデータが一元管理され、異なる部門やプロセスの情報がリアルタイムで共有されます。これにより、部門ごとの収益やコストの把握が容易となり、業績の向上策を策定する際に有益な情報を提供できます。

また、ERPは組織の特定ニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできます。そのため、管理会計プロセスや情報を組織の要件に合わせて調整できます。柔軟性のあるERPを導入することで、組織は独自のビジネスプロセスに合わせた管理会計を実現できます。

海外展開に対応できる

国が異なれば税制・会計基準・法令なども異なるため、国際的な展開では国ごとの規制に適合することが求められます。

クラウド型のERPの場合、国内外の規制に合わせて機能をカスタマイズし、税務申告や法令遵守を効率的にサポートします。例えば、各国の税率や税金計算方式に対応し、適切な税務処理を行う機能を提供します。

また、クラウドERPが統合したデータベースにより、海外の拠点や支店でも中央のデータにアクセスできる仕組みが構築されます。そのため、本社が日本にあっても、アジアの支店がリアルタイムで最新の情報を得ることが可能です。

このデータの一元管理は、情報の混乱や重複を避けることやスムーズなチームワークのサポートに役立ちます。

内部統制の強化ができる

ERPシステムは、企業の業務プロセスを効果的に標準化し、効率的な自動化を実現するため、企業内の異なる部門やプロセスが一貫性を持って運営されます。また、企業が法令や規制を遵守することも必要不可欠です。

ERPは、規制遵守のためのプロセスやチェックポイントを組み込むことができます。これにより、企業の業務が法的要件に合致していることが確認され、合法的で倫理的なビジネス運営を支援します。

ERPシステムは業務プロセスの標準化と自動化によって、業務の一貫性を持つと同時に、規制遵守のための仕組みを提供して内部統制を強化します。

ERPを選ぶ際のポイント

ERPを選ぶ際は、まずは自社に必要な機能を洗い出すことが重要です。各部署の従業員からヒアリングを行って、現状の業務内容やプロセスから課題になっている部分やニーズを整理しましょう。必要な機能を把握することで、費用対効果の高いERPの導入に繋がります。

また、会計ソフトや既存のシステムからERPに移行する場合は、システムの移行や乗り換えのしやすさも確認しましょう。同時にシステムの操作性も確認しておくことで、社内にERPが定着しやすく、効果的な利用が可能です。

まとめ

ERPとは、企業におけるあらゆる部門やプロセスの情報を一元管理し、業務全体の効率化を図れるシステムです。一方で会計ソフトは、日々の財務活動を管理し、経済的な収支を把握するためのツールです。取引データの自動集計や報告書の作成が可能です。

会計ソフトは、管理会計などの会計業務に特化したツールであり、それ以外の業務の効率化は図れません。また、データ改ざんのリスクも伴います。企業を効率的に運営し、内部統制を強化したい場合は、ERPの導入がおすすめです。

ERPの導入は、組織の効率性向上・管理会計の実現・業務プロセスの最適化・法的コンプライアンスの強化など、多くのメリットをもたらします。導入の際は、企業が持つ課題や目的から必要な機能を洗い出して、自社に適したERPを選びましょう。

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