建設業向けERPシステムおすすめ4選|基幹システムとの違いを解説
Check!
- 建設業界における業務の煩雑さやデータ収集の手間は、ERPが解決の糸口になる
- ERPの原価管理機能や営業管理機能により、建設業界の業務を効率化できる
- 建設業界がERPを導入すると、内部統制の強化や脱属人化にも繋がる
建設業界は、業務が煩雑化しやすい上に原価管理が難しいといった多くの課題を抱えていますが、ERPシステムを導入することでデータ連携の手間を省け、経営判断が的確に行えるようになります。本記事では、建設業界にERPを導入するメリットやおすすめのERPを紹介します。
目次
開く
閉じる
開く
閉じる
建設業界でよくある課題
建設業界では多くの企業が似たような課題を抱えており、建設業特有のビジネスモデル上、業務が煩雑化しやすく、業務工数の削減や業務に関するデータの集約に手間がかかるといった課題があります。
人手不足に伴い業務の効率化や生産性向上の必要性が増していく中で、このような課題の解決も重要性が増しています。
本記事では、建設業界でよくある業務の煩雑性やデータ収集の手間がかかるといった課題解決の打ち手として有効なERPシステムについて解説します。まずは、この章で建設業界でよくある課題について解説していきます。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
建設業界でよくある課題
業務が煩雑になっている
建設業界では事務作業も多く、業務が煩雑になりやすい傾向があります。建設業では現場作業が多いように思われがちですが、受注・施行・竣工といった一連のビジネスプロセスにおける各工程で様々な書類を取り扱います。
また、多重下請け構造もあり、社内外でのやり取りも多くなります。紙ベースで管理したり、Excel管理する場合には社内と社外で管理するフォーマットが違ったりと、関係者への確認や情報管理が煩雑になってしまいます。
建設業界では人手不足が業界全体の課題でもあるため、業務フローの改善や生産性の向上が重要なテーマと言われています。
原価管理しにくい
建設業界は、他の業界と比べると原価管理がしにくいと言われています。原価管理が難しい理由はいくつかありますが、建設業会計という特殊な勘定科目が管理を難しくしている主な原因です。
外注費や原価の計上タイミングなども原価管理を複雑にしている原因ですが、原価管理が適切にできていないことで、コストの最適化が図れなかったり、利益率の低い工事からの撤退ができなかったりと、利益損失に繋がってしまうというデメリットがあります。
データ収集に手間がかかる
建設業界では、データ収集に手間がかかるという課題を抱える企業が多いです。現代はデジタル化が急速に進んでいますが、建設業界では紙ベースの情報管理など、アナログな方法で業務にかかわる情報を管理する傾向があります。
例えば、図面や報告書を紙ベースで管理していたり、複数のシステムを利用したりすることで、その都度データを加工する手間が発生します。
データ収集に時間と手間がかかることで、経営判断に必要な情報をタイムリーに管理できず、経営の意思決定が遅くなってしまうといったデメリットが出てきます。
ERPシステムとは
ERP(Enterprise Resource Planning)システムとは、企業の経営資源であるヒト・カネ・モノ・情報といった資産を一元管理できるシステムです。企業が保有する様々な情報をERPに集約することで、効率的な情報管理が可能になります。
最近では様々な業界がERPシステムを活用しており、製造業では生産計画の最適化や在庫管理の効率化、小売業では販売管理と在庫調整、サービス業ではプロジェクト管理や顧客サポートの向上など、業種に合わせて柔軟に適用されています。
ERPシステムを導入することで、情報の一元管理によりデータの正確性が向上し、企業全体の意思決定が迅速かつ効果的に行えるようになります。
基幹システムとの違い
ERPシステムとよく似たシステムとして基幹システムがありますが、基幹システムは特定の業務に特化しており、ERPは全般的な企業統合を可能にする点で異なります。
ERPは、企業全体の業務プロセスを統合的に管理する情報システムを指し、会計・人事・調達など様々な機能を統合しています。一方、基幹システムは主に企業の主要な業務領域に焦点を当てており、生産管理や財務などの特定の機能を支えるシステムです。
ERPは総合的な統合を提供し、異なる業務領域をつなぎ合わせ、情報を一元管理しますが、基幹システムは特定の業務機能に焦点を当てています。
建設業界向けERPでできること
建設業界向けERPは、プロジェクト管理・予算調整・資材調達・現場労務など、建設プロセスに特有の機能を強化しています。
建設プロジェクトでは工程やサプライチェーンの複雑性が高まりますが、建設業界向けERPの導入により、リアルタイムな進捗管理やコストの把握が可能です。
資材の適切な調達や従業員のスケジュールも最適化できるため、プロジェクトの効率性と収益の向上につながります。また、建設業の法規制や安全基準に対応し、プロジェクト全体のリスクを低減させる機能も提供されています。
建設業向けERPシステムの主な機能
一般的なERPシステムとは異なり、建設業向けの機能が数多く搭載されています。ここでは、建設業向けERPシステムの機能について紹介していきます。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
営業管理機能
建設業向けERPシステムの機能の1つとして、営業管理機能が搭載されています。営業管理機能では、見積書の作成や商談のステータス管理等、営業活動に関する情報を管理できます。
営業管理機能があることで、営業活動を効率的に行うことが可能です。また、商談のステータス管理等もできるため、売上の予測精度の向上や案件の優先順位付け等にも活用できます。
原価管理機能
建設業向けのERPシステムの多くは原価管理機能を搭載しており、利益や工事原価の管理を効率化できます。原価管理機能により、工事費の管理はもちろん、利益率の可視化も行えます。
また、工事前の段階で、現場ごとの利益額や利益率を把握でき、赤字案件を可視化したり、利益率向上に向けた施策を検討したりすることも可能です。
財務会計機能
建設業向けのERPシステムには、建設業特有の会計制度に合わせた会計機能が搭載されています。建設業界では、一般的な商業簿記や工業簿記とは異なり、建設業会計という制度が適用されます。
建設業では工期が1年以上かかることが多いという背景もあり、そのような特殊な会計制度で運用しています。そのため、経理業務も煩雑になってしまい、担当者の業務負担が大きくなります。
建設業向けERPシステムは業界特有な経理処理にも適応しているため、煩雑な会計処理を簡素化できます。
販売管理機能
販売管理機能では、工事に必要な建設資材等の販売管理ができます。この機能では、仕入れから販売、出荷といった販売に関する一連の流れを管理することが可能です。
販売に関する情報の管理も可能で、売上の実績と予算の対比や月次での販売状況といったデータを可視化できます。
また、受注した案件のデータをもとに請求書を作成でき、販売管理業務の負担を大幅に軽減してくれます。建設業向けERPシステムの中には、財務システムや原価システムと連携できるシステムもあります。
人事給与機能
建設業向けERPシステムには、上記の機能以外にも人事給与機能が搭載されています。従業員情報をERPシステムで管理可能で、入社してから退職するまでの社員情報を一元管理できます。
給与計算のもとになる扶養情報や役職、勤怠等の労務情報も管理できる上に、給与計算をサポートする機能もあるため、バックオフィス担当者の業務工数削減にもつながります。
近年、マイナンバー制度に基づいて従業員のマイナンバーを管理する必要が出てきましたが、従業員のマイナンバーを管理できるERPシステムもあります。
建設業界がERPを導入するメリット
建設業界の企業がERPシステムを導入するメリットは複数あります。煩雑な事務業務を効率化したり、データをERPシステムに集約することで経営判断に必要な情報を可視化したりと、さまざまです。
次の章では、建設業を展開する企業がERPシステムを導入するメリットについて解説していきます。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
建設業界がERPを導入するメリット
データを一元管理できる
ERPシステムを導入することで、業務に関する様々なデータの一元管理が可能になり、情報管理の工数削減が見込めます。ERPシステムでは業務ごとに情報管理が可能で、各業務システムを自動でデータ連携できます。
業務ごとに複数のシステムで運用する場合、必要な情報を得たり情報をまとめたりする際に各システムから元データを抽出して加工する必要がありますが、ERPシステムを活用することで、データを加工する工数をかけずに済みます。
また、データの集約にかかる作業の手間をなくすことで、空いたリソースを別業務に充てることも可能になります。
業務を効率化できる
建設業では、ビジネス構造上、多様な業務プロセスがあるため業務フローが煩雑になってしまいます。そこで、ERPシステムを導入することで建設業の業務効率化が期待できます。
効率化できる業務はいくつかありますが、代表的な業務で言えば、事務作業の簡素化が可能です。例えば、見積書作成や請求書発行といった事務作業を効率化できます。
また、建設業は建設業会計という特殊な会計処理制度が適用されますが、建設業向けERPシステムを活用することで会計処理を簡素化でき、現場ごとの原価実績に応じて会計データを自動で生成できます。
スピーディーな会計処理が可能になれば、月次決算の早期化にもつながります。経営状況をタイムリーに把握できるため、迅速な経営判断の一助にもなるでしょう。
内部統制を強化できる
ERPシステムは各業務に関する情報を一元管理できるため、内部統制の強化につながります。
営業部門や施工部門をはじめ、バックオフィス部門など各部門での業務から発生する情報を一元管理できます。企業経営で発生する様々な情報を管理でき、日々発生する会計処理の自動化が可能です。
そのため、会計処理の精度向上やリスク管理といった内部統制の強化につながります。また、ERPシステムは企業のあらゆる情報を集約するため、セキュリティ対策にも注力しています。
情報漏洩リスクの低いERPシステムを活用することで、セキュリティリスクの低減にもつながります。
的確・スピーディーな経営判断ができる
ERPシステムは、部門ごとに管理しているデータをERPシステムで統合的に管理できるため、部門ごとのデータをタイムリーにシステムへ自動連携でき、経営判断に必要な情報をいつでも確認できます。
これにより、経営判断のためにデータを集める作業も短時間で行え、必要な情報をいつでも手元に揃えられます。また、会計処理が自動化することで計算ミスや入力ミスが減り、精度の高い会計情報の把握も可能です。
脱属人化できる
ERPシステムは、あらゆる業務に関する情報を集約できるため、特定の人しか知り得ないという状況をなくせて、業務の属人化を解消する効果もあります。
建設業での業務は煩雑なため、業務ごとに習熟度や知識が必要になります。業務分担がはっきりしていると、特定の人でしか処理できないという状況になってしまいます。
特定の従業員しか処理できない業務があると、その従業員が退職や異動等で業務に就けなくなった際に業務が滞ってしまうリスクがあります。
ERPシステムを活用すれば、業務に関する情報共有が可能になり、他の従業員でも業務をこなせるようになるでしょう。
建設業向けERPシステムの選び方
一口に建設業界と言っても、リフォーム会社や塗装・解体業者・建設コンサルタント業などさまざな業種があり、選ぶべきERPシステムも異なります。ここでは、建設業向けERPシステムの選び方を解説します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
建設業向けERPシステムの選び方
対応している業種や工事形態
建設業界向けERPは、建設に関わるさまざまな業種に対応しています。土木や建築工事業だけでなく、電気や上下水といった設備工事業、解体を行う解体工事業など、あらゆる業種に対応しているERPがあり、現場作業の多い建設業界で幅広く活用されています。
中には、工事を行わない資材・建材工事業や土木・建設コンサルタント業でも活用できるERPもあり、建設に関わるあらゆる業種で導入が進んでいます。
対応している会計基準
建設業界でよく使われる工事進行基準や原価回収基準などの会計基準に対応しているかも重要なポイントです。工事進行基準とは、工事終了までの期間で売上や経費を分散して計上する方法を指します。
また、原価回収基準は、総売上・総原価・進捗度などが明確に決まっていなくても、原価分は回収できるだろうと見込んで売上計上を行える会計基準です。契約金額や予算が決まる前に着工する際の救済措置となる仮の売上計上方法として設けられています。
対応している会計基準やタイミングは、選定するシステムにより異なるため、自社に適したものを選定しましょう。
販売管理機能・在庫管理機能の有無
建材販売も行っている企業や資材の在庫を適切に管理したい場合は、販売管理機能・在庫管理機能を備えたERPシステムがおすすめです。対応可能な在庫評価方法やシステム間連携の可否はシステムにより異なります。
自社の業態に合わせて求める機能を明確に洗い出し、複数のシステムを比較検討して自社の業務プロセスの効率化に適したシステムを選定しましょう。
建設業向けERPシステム導入の注意点
建設業がERPシステムを導入するメリットは多いですが、業務フローの変更などが必要なため、システムが定着するまで時間がかかります。
これまで紙で行っていた業務フローをシステムの利用に合わせて変更しなければならず、新たな業務フローの構築には時間を要します。
また、新たなやり方に慣れるまでは業務効率が落ちたり混乱したりといったことも考えられるため、余裕を持った導入スケジュールを組み、新たな業務フローや使い方などの周知を丁寧に行いましょう。
建設業向けおすすめのERPシステム4選
迷ったらこれ!おすすめERPシステムをピックアップ!
案件・契約・プロジェクト単位で 業務進行する業種におすすめ
|
自由度の高さも◎ 規模や予算に応じて導入したい企業におすすめ
|
GOOD
ここがおすすめ!
- タイムリーなプロジェクト管理で利益の着地が可視化できる
- 個別原価計算の自動化で業務を効率化できる
- 分析や管理により的確な経営判断ができ、企業を成長へ導く
MORE
ここが少し気になる…
- 詳しい料金やプランを確認するには問い合わせが必要
株式会社ビーブレイクシステムズ
MA-EYES
GOOD
ここがおすすめ!
- 導入形態が「SaaS」「SaaS+」「一括」の3種から選べてニーズにあわせやすい
- 「プロジェクト管理向け」「広告業向け」の2つのサービス提供
- 導入後も安心して使える手厚いサポートサービスが魅力
MORE
ここが少し気になる…
- 導入形式によって一部使えない機能がある
GOOD
ここがおすすめ!
- 電子マネーやPOSレジはもちろん、勤怠や人事といったさまざまなサービスとの連携が可能
- AIを搭載しており、「自動入力」「自動仕訳」でらくらく
- 会計・確定申告・請求書・経費など、自社にあわせたニーズで使える
MORE
ここが少し気になる…
- 会計や人事メインであれば使いやすいが、その他の機能をメインで扱いたい場合には連携や他サービスを併用する必要がある
GOOD
ここがおすすめ!
- 英語にも対応しており、貿易からIT・家具といったさまざまな業種に導入しやすい
- 「オールインワンERPパッケージ」で時間もコストも無駄なくスピーディーに完結
MORE
ここが少し気になる…
- 検索の精度が低く、日本語での検索がうまくヒットしない場合がある
【比較表】おすすめの建設業向けERPシステム
資料ダウンロードはこちらから
案件・契約・プロジェクト単位で 業務進行する業種におすすめ
|
自由度の高さも◎ 規模や予算に応じて導入したい企業におすすめ
|
その他のERPの選び方
ERPシステムを選ぶ際に重要なポイントは、3つあります。ERPシステムは、業界だけでなく特定の業種に特化しているものもあるため、自社の業態に合っているか確認しましょう。
また、提供形態にも種類があり、コストやカスタマイズ性が大きく異なります。他にも確認すべきポイントがあるため、以下のポイントを参考に自社にとって最適なERPシステムを選定しましょう。
【重要なポイント3つ】
- システムのタイプが自社に合っているか
- 提供形態を確認
- カスタマイズ性が高いか
【その他の比較ポイント】
- UIや操作性を確認
- セキュリティ対策は万全か
- サポート体制は充実しているか
- 無料トライアルがあるか
まとめ
建設業界では業務フローが煩雑な傾向があり、他の業界とは違った特殊な業務も必要になります。情報管理も煩雑になるため、情報の集約に手間がかかり、タイムリーな情報共有が難しくなってしまいます。
そこで、ERPシステムを活用することで、業務の効率化やタイムリーな情報共有が可能になります。建設業界特有の会計処理を自動化したり、各部門の情報を集約したりすることで、経営判断に必要な情報をタイムリーに可視化できます。
自社のあらゆる情報を一元管理できるERPシステムには、経営資源を有効活用できるというメリットもあるため、課題の多い建設関連企業においてはERPシステムを導入することをおすすめします。