モダナイゼーションとは?手法やマイグレーションとの違いをわかりやすく解説
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- モダナイゼーションとは、老朽化した既存システムを最新のものに刷新する事
- モダナイゼーションを行うことで、セキュリティの強化やBCP対策に繋がる
- モダナイゼーションを行う際は、急なトラブルに備えて無理のない計画を立てる
モダナイゼーションとは、老朽化した既存システムを最新の製品やサービスに刷新することです。モダナイゼーションを行うことで、2025年の崖への対応や業務効率の向上に繋がります。本記事では、モダナイゼーションのメリット・手法・実施手順や、マイグレーションとの違いについてわかりやすく解説するので参考にしてください。
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モダナイゼーションの意味とは│わかりやすく解説
モダナイゼーションの英語表記は「modernization」で、現代化や近代化という意味があります。ビジネスにおいては、老朽化した既存システムを最新の製品やサービスに刷新することを意味する用語です。ここでいう老朽化したシステムは、レガシーシステムとも呼ばれ、導入してから20〜30年ほど経過していているシステムを指します。
そのようなシステムは、ビジネスの変化によって幾度もの更新が繰り返され、複雑化して、ブラックボックス化したり企業のDX化を阻害したりしている場合も多いです。
モダナイゼーションは、そのような老朽化に直面しているシステムの情報資産を活かしながら、現在のビジネスに合わせて最適化することを狙いとしており、日本語では動詞の「modernize」から「モダナイズする」と言う場合もあります。
レガシーシステムとは
レガシーシステムとは、ビジネスの流行や激しい変化に対応できない、過去の技術で構築された古いシステムです。導入から20〜30年経過しているシステムも多く、メインの基幹システムとなっていたり多くの情報資産を含んでいたりするために使い続けられています。
レガシーシステムは、システムの老朽化や複雑化、それによる維持管理の負担・コスト増が問題とされているため、モダナイゼーションなどによる脱却が必要です。
モダナイゼーションとマイグレーションの違い
モダナイゼーションとよく似た意味合いで使われる言葉にマイグレーション(migration)があります。しかし、この2つはシステム環境を変えるという意味では同じですが、その内容はまったく異なるので、使い分けが必要です。
マイグレーションとは、既存のシステムを新たな環境で再現することで、システムの機能自体は変わりません。システムの使用感が変わりにくいメリットがありますが、レガシーシステムはそのまま残ります。
一方でモダナイゼーションは、システム自体を刷新して新たなシステムを作ることを指します。マイグレーションにもモダナイゼーションにも、それぞれメリット・デメリットがあるため、より自社にあった対策を選択することが重要です。
モダナイゼーションが注目を集めている理由
日本でモダイナゼーションが注目されたのは、2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜」からです。DXレポートとは、経済産業省が設置した企業のDX化に向けた研究会の議論をまとめたものです。
企業にとってのDX(Digital Transformation)の定義は、経済産業省が示しています。要約すると「企業がデータとデジタル技術を活用し、競争上の優位性を確立すること」となります。そして、その達成には、基幹システムからERPシステムへの移行が効果的です。
このレポートで最も注目されているのは「2025年の崖」です。「2025年の崖」とは、各企業が運用している既設システム、レガシーシステムが多く、2025〜2030年にモダナイゼーションを行わないと企業に大きな損失を与えるというものです。
また、レポートの中では、 2025年の壁が克服できない場合、DXの実現ができないばかりでなく、2025年以降に最大年12兆円の経済損失が生じる可能性が示唆されており、レガシーシステムを運用する企業ではモダナイゼーション対応が必須だとされています。
参考:DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜|経済産業省
モダナイゼーションを行うメリット
デジタル技術の進歩により、企業が利用するデジタルシステムも安全で安心なものへと進化してきています。ここでは、企業が、モダナイゼーションを行うメリット3つ解説します。
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モダナイゼーションを行うメリット
業務効率の向上
企業がシステム導入をする目的の多くは、業務の効率化です。しかし、社会の変化にともなってビジネスの手法も変わるため、レガシーシステムではビジネスの変化に対応できずに業務効率の低下を起こしている場合も多くあります。
そのような、レガシーシステムをモダナイゼーションすれば、業務の処理速度が速くなるばかりでなく、現代のビジネス環境に役立つ新機能を搭載したシステムの構築が可能です。その結果、業務効率と生産性の向上につながります。
セキュリティレベルの向上
最近では、企業を狙うサイバー攻撃も巧妙化・多様化し、それに対する対策が迫られています。万が一、企業内で保管する個人情報が外部漏えいすれば、その企業が長きに渡って築いてきた信用を一気に失いかねません。
レガシーシステムは最新のサイバー攻撃に耐えられなくなっているものも多いです。モダナイゼーションを行い、強固なセキュリティ対策が施された最新システムを導入することで、悪質な第三者によるシステムへの侵入を防げます。
BCP対策に繋がる
BCPは「 Business Continuity Plan 」の略で事業継続計画とも呼ばれています。BCPとは災害などの緊急事態に備え、データ資産を守り事業継続を可能にするための計画のことです。特に地震や津波災害の多い日本では重要な対策と言えます。
レガシーシステムで多く採用されているオンプレミス型は、自社のサーバーでシステム運用を行うため、自社が災害に合ってサーバーがダウンすると、企業全体が業務停止に陥る可能性があります。その点、ベンダーのサーバーで運用するクラウド型は優位です。
クラウドサーバーはベンダーが一括管理しており、ミラーサーバーを国内外に保有している場合も多いため、どこかのサーバーがダウンしても代替サーバーを使ってシステム運用し、企業全体の業務停止を防止することができます。
維持管理にかかるコストの削減
レガシーシステムはシステム自体が老朽化・複雑化している場合も多いです。その場合、ハードウェアやソフトウェアの維持管理を行うために、多額のコストと負担が必要となることも珍しくありません。
レガシーシステムをモダナイゼーションして最新化することで、維持管理にかかるコストを削減でき、その分新規開発にコストをかけられるようになります。
モダナイゼーションの手法
モダナイゼーションの手法には下記のようにさまざまな方法があります。企業規模や業務内容・予算に合わせ、DXの視点も加味しながら自社にとって一番適切な方法を選ぶことが重要です。
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リプレイス
リプレイスは、現在使用しているソフトウェア・ハードウェアの全てを新しいものと交換する方法です。レガシーシステムの全てが排除され、抜本的なモダナイゼーションとなります。ただし、入替えには時間とコストがかかります。
モダナイゼーションを機会に根本から業務プロセスを見直し、自社のペーパーレス化・DX化を目指すことも可能です。しかし、業務内容やシステムの操作感も変わるので、事前に従業員への周知が必要で、自社の大きなプロジェクトに位置づける必要があります。
リライト
リライトは、現在のシステムに使われているプログラミング言語だけを最新の言語に置き換える方法で、機能や仕様の変更はありません。プログラムを解析し、新しい言語に変換するという高い技術を持った人材が必要ですが、比較的低コストで実施できます。
システム仕様の変更がないので、今まで慣れ親しんだ使い方で運用可能な点がメリットです。しかし、セキュリティの向上や処理速度の向上以外の大きな改善は期待できません。
リホスト
リホストは、ソフトウェアとデータはそのままに、新しいハードウェアに乗せ換える方法です。多くの場合はエミュレーションを行うことで新しいOS上でも駆動させることができます。操作感が変わらず、コストも抑えられる点がメリットです。
ハードウェアが新しくなり処理速度は向上しますが、それ以外のレガシーシステムの改善には至りません。他のシステムとの連携が難しくなる場合もあるので、独立したシステムを運用している企業に有効な方法とされます。
リファクター
リファクターは、リファクタリングとも呼ばれる手法で、アプリケーションの動きはそのままにソースコードだけを書き換える方法です。無駄な処理を省きソースコードを見やすくするために行います。モダナイゼーションの事前準備として行われる場合もあります。
古いプログラムコードには、機能の追加などの仕様変更を重ねて複雑化し、重複や削除可能な部分が多くあります。リファクターでは、それらのコードの最適化を行います。
しかし、基本的なコードの修正や機能追加などは行わないため、レガシーシステムの根本的な改善にはなりません。
リドキュメント
リドキュメントは、既存システムの基本仕様や構築方法などを文書に起こす方法です。特定の人しかシステムを理解していないという事態は防げますが、レガシーシステムのリスクはそのまま残ります。
リドキュメントはリプレイスの準備段階で行われることも多く、既存システムのどこが便利でどこが不便か、またはどのような機能を付け加えれば自社のDX化に有効かを検討する資料となります。
モダナイゼーションの適用領域
モダナイゼーションの適用領域の代表的な例として、以下の表のような部分が挙げられます。
適用領域 | 期待できる効果 |
---|---|
ユーザーインターフェース(UI) | 快適に使用できるユーザーエクスペリエンス(UX)に改善 |
アプリケーション | 古い状態から最新の機能に更新し現在の要件に対応 |
インフラストラクチャー | より近代的、柔軟な構造を採用することで全体の機能・効率の底上げが可能 |
オペレーション | AIや自動化を活用し生産性を改善 |
データ | データへのアクセス・活用やセキュリティの改善 |
モダナイゼーションに活用されるテクノロジーとは
モダナイゼーションには様々な技術やテクノロジーが活用されます。ここでは、モダナイゼーションで使用されるテクノロジーや効果を高めるテクノロジーについて解説します。
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モダナイゼーションに活用されるテクノロジー
クラウドコンピューティング
クラウドコンピューティングとは、データをインターネット上で保管する手法を指します。従来のオンプレミス環境と比較し物理インフラの所有コストを削減できるほか、需要や業務に合わせての変更が容易になるなどメリットが非常に多いです。常に最新の状態で使用できることから、セキュリティや信頼面の向上も期待できます。
コンテナ化
コンテナ化とは、アプリケーションの実行に必要な環境を1つにまとめる仮想化技術です。これにより開発やデプロイメントが容易に行えるようになります。拡張性や移植性が高くなるだけでなく、余分な処理が減ることから工数削減・高速処理も可能になる点がメリットです。
マイクロサービス
マイクロサービスとは、小規模な単位に分割したアプリケーションを連携させて動かすソフトウェア開発手法です。サービスごとに開発や実装を行えるため様々な制約を受けにくいのが特長で、障害が発生した際にも柔軟な対応が可能になります。
自動化運用・AIの活用
普段行っている業務の中でも自動化が可能な部分を自動化して運用することにより、人件費などのコスト削減が可能なほか生産性が向上します。自動化運用する内容によっては人為的なミスが減るのもメリットです。
また、AIの活用も業務改善や自動化に役立ちます。顧客対応や評価の分析、開発などにAIを活用してより一層効率的な業務を行うことが可能です。
モダナイゼーションを行う手順
レガシーシステムを刷新するモダナイゼーションは、企業にとって大きな変革となり、企業のDX化推進のきっかけとなります。したがって導入には慎重な検討が必要です。ここでは、モダナイゼーションを行う一般的な手順を解説します。
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モダナイゼーションを行う手順
モダナイゼーションの対象や予算を決める
どのようなモダナイゼーションをするかで、確保すべき予算額が異なるため、しっかりとした準備が必要です。そのためには現行システムをリドキュメントなどで可視化して細かく分析し、モダナイゼーションを行う対象を明確にする必要があります。
モダナイゼーションの対象は、業務システムの一部だけの場合もあれば、システム全体になる場合もあります。システム全体の刷新には多額の予算が必要になりますが、大きな効果が期待できます。長い目で見た費用対効果を考慮した計画が必要です。
システム移行の手法を検討
次に、システムの移行の手法を検討します。先に紹介したようにモダナイゼーションの手法はさまざまです。自社のシステムがレガシー化している場合は、コストはかかりますがリプレイスが求められます。
また、手法の選択にあたって、自社システムにおけるDX化の位置づけを確認するのも大切です。その確認には、経済産業省のDX推進指標を用いるのも有効と言えます。また、現在オンプレミス型で運用している場合はクラウド型への移行も視野に入ります。
参考:DX推進指標のご案内|IPA 独立行政法人情報処理推進機構
移行計画・人員の選定
モダナイゼーションは、その担当者や管理職、実際に利用する従業員など、さまざまな立場の意見が反映できる組織で行うと、スムーズに行えます。特に操作感が変わったり業務フローの変更が生じたりする場合は、現場の意見が重要です。
移行計画は選択した手法で異なり、現行システムを運用しながら行う方法や、一時システムを停止して一気に行う方法などがあります。また、必要最小限の機能を搭載したシステムでスモールスタートし、効果を確認しながら段階的に機能を追加する方法もあります。
自社でモダナイゼーション全てを行おうとすると、高いプログラミングスキルを持った人材が必要で、大きな変更になる場合は複数人のプログラマーが必要になります。企業内に適切なスキルを持った人材がいない場合は、専門業者への委託も可能です。
計画を実行
システムを移行するとモダナイゼーションは完了しますが、移行後は動作確認が必要です。特にシステムを複数運用している企業では、モダナイゼーションしたシステムと既存のシステムとの連携が予定通りできているかの検証を重点的に行いましょう。
システムの連携は必ず単独で動作確認をした後に行います。これにより、もしシステム連携がうまくいかない場合のスムーズな原因の特定が可能です。
モダナイゼーションを行う際のポイント
大規模なモダナイゼーションは、多くのステップを踏んで慎重に行う必要があります。ここでは、モダナイゼーションをスムーズに行うための5つのポイントを解説します。
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モダナイゼーションを行う際のポイント
目的やゴールの明確化
モダナイゼーションは一つの経営戦略であり、最終目的はビジネスの変革や企業競争力のアップといったDX化です。経営戦略は具体的で説得力があり、目的やゴールが明確でなくてはなりません。
目的やゴールを明確にすることで、システム移行の手法や移行計画など取るべき行動が具体化され、自社の業務効率化や生産性向上を実現するモダナイゼーションを行えます。
既存システムの見える化
より良いモダナイゼーションの実施には既存システムの把握が欠かせません。モダナイゼーションは個人が行うものでなく、組織で行うものです。そのために、既存システムの実情をを見える化して、組織内で課題などを共有する必要があります。
ブラックボックス化したレガシーシステムは見える化しにくく、全てを見える化するのが難しい場合、システムとソフトウェア構成を整理するだけでも価値があります。現状の問題点を把握すれば、おのずと新しいシステムに求める要件が見えてきます。
無理のない計画を立てる
モダナイゼーションの規模が大きくなれば大きくなる程、実施の決定から完了までに時間がかかります。企業全体に影響する事業のため、失敗すると自社に大きな損失を与えます。また、途中でトラブルが発生する場合も考えられます。
したがって、無理のない導入計画を立てることが重要です。検討と同時にその内容を随時従業員に知らせ、必要に応じて意見を聴くなどの作業を進めていくことも必要になります。
旧システムの再現にこだわらない
レガシーシステムの多くは業務に合わせて繰り返しカスタマイズが加えられてきており、自社の業務遂行のために欠かせないものとなっていることから、システム入れ替えの際に旧システムを再現しようとするケースが多く見られます。
しかし、モダナイゼーションを行う際は、旧システムの再現にこだわらず、業務改革と共に進めることが重要です。旧システムの再現は、改革するべき業務プロセスを現状のまま維持させてしまうばかりか、複雑化したシステムの再現に多大なコストと手間がかかります。
DX化を実現するためにも、現代に対応できる新しいシステムへと刷新し、それに応じて業務プロセスも変革するなど、業務改革の目線を持つことがモダナイゼーションを成功に導きます。
並行して業務の見直しも行う
現場の業務プロセスは基幹システムをもとに成り立っているため、システム入れ替えを行う際は、業務の見直しも並行して行う必要があります。また、入れ替えた新しいシステムに合わせて業務プロセスを改善していくことも一つの選択肢です。
基幹システムや業務プロセスの変化は現場に大きな影響を与え、適合していない場合、混乱やトラブルを招く恐れがあります。そのため、現場の状況を把握して課題や要望を吸い上げ、モダナイゼーションに取り入れることが重要です。
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ここが少し気になる…
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まとめ
老朽化した既存システムを最新のものに刷新するモダナイゼーションは、自社のDX化の状況を把握しながら、企業全体で行うことが重要です。モダナイゼーションにはさまざまな方法があり、自社の既存システムをよく把握して最善の方法を選択する必要があります。
また、オンプレミス型運用からクラウド型運用へ変更することも選択肢の一つです。どの方法でも、自社のDX化やセキュリティ強化・BCP対策を考慮したモダナイゼーションを行うこと、慎重に検討してゆとりを持った実行計画を立てることが重要になります。
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