IT資産管理ツールとは?主な機能や導入時の比較ポイントも解説

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  • IT資産管理ツールは、会社の大切な財産であるIT資産を適切に管理するためのツール
  • 脆弱性への対策・セキュリティ強化・コンプライアンス違反防止などを未然に実施できる
  • 自社で使いこなせるものか、利用目的に合っているかなどを事前に確認することが重要

IT資産管理ツールは、企業内のパソコンや周辺機器などのハードウェア・ソフトウェアといったIT関連の資産を管理するツールです。本記事では、IT資産管理ツールで管理する対象やその機能、導入のメリット・デメリット、比較のポイントなどについて詳しく解説します。

目次

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  1. IT資産管理ツールとは
  2. IT資産管理ツールの管理対象・管理項目
  3. IT資産管理ツールの主な機能
  4. IT資産管理ツールのメリット
  5. IT資産管理ツールのデメリット
  6. IT資産管理ツールを選ぶ際の比較ポイント
  7. まとめ

IT資産管理ツールとは

IT資産管理ツールは、企業内のサーバーやPC・周辺機器など、ハードウェアやソフトウェアといったIT関連の資産を管理するツールです。

企業におけるさまざまな管理・業務を行うためにはIT資産が必要不可欠であり、適切なIT資産管理ツールの運用によってセキュリティ強化などにつながります

IT資産管理とは

企業内に導入されている、サーバー・PC・プリンター・USBメモリなどのハードウェア、利用中のソフトウェアはIT資産と呼ばれ、不動産や設備と同様に企業資産です。これらの保有資産の管理は、企業の価値にもつながるため重要な業務となっています。

ただし、IT資産は不動産や設備といった通常の資産と異なり、管理の対象が多岐にわたります。また、機器の償却期間、未使用の故障機器・使用ソフト数の把握など、最新の全体状況を管理するためには膨大な労力と時間がかかり、人的ミスを代表とした問題があります。

そこで、IT資産管理ツールを活用してIT資産を一元管理することにより、管理台帳の作成や使用しているIT資産の可視化、使用機器の稼働状況などが正確に把握できます。また、ソフトウェアの更新状況や、不正利用がないかなどの管理機能にも注目が集まっています。

IT資産管理の必要性と目的

IT資産管理の必要性や目的は、企業が保有しているIT資産を情報として正確に把握し、適時IT資産の効率的な運用に活用することです。以下では、IT資産の効率的な運用・セキュリティの維持・コンプライアンスの遵守について解説します。

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IT資産の効率的な運用

IT資産の効率的な運用とは、企業が保有しているIT資産に関する情報を正確に記録し、間違いなく効率的な運用に活かすことです。例えば、稼働しているPCや不稼働のPCの数を正しく把握することにより、PCの再配置が行え、新規でPCを購入する無駄が省けます。

また、ソフトウェアについても、これまで部署ごとに個別で購入していたソフトを会社全体の観点から見直し、必要なPCの台数に合わせて、個々にインストールが可能なライセンス契約に切り替えることにより、コストの削減と効率的な運用に結びつけられます。

このように、会社に搬入されているハードウェア・ソフトウェアのIT資産を正確に把握して管理することにより、会社全体の観点から俯瞰し、無駄をなくして効率的な運用が行えるため、将来的なIT資産の導入計画も策定しやすくなります。

セキュリティの維持

IT資産管理は、社内で使用されている情報の漏洩を防ぎ、セキュリティ強化の際にも役立ちます。例えば、PC内のOSやアプリケーションソフト、Webブラウザなどのバージョンが古い場合には、ソフトの脆弱性を突いたマルウェアなどの攻撃を受けてしまいます。

そこで、IT資産管理ツールにより、ソフトが更新されていないPCがどこの部署に何台あるのかなどの状況を把握します。適切な管理の結果、タイムリーなソフトの更新が実行でき、外部からのマルウェアなどに対策可能であることから、セキュリティ強化につながります。

また、USBメモリを使用して社内情報を外部に不正に持ち出すといった漏洩を防ぐために、USBなどの外部デバイスの接続を禁止・制御します。操作ログにより、誰が・いつ・どこでアクセスしたかなどの状況がわかることで、その後の対処に役立ちます。

コンプライアンスの遵守

IT資産管理ツールには、ソフトウェアのライセンス管理の機能が搭載されています。これをベースに、企業の法令遵守に関わるコンプライアンスの遵守・内部統制の強化の面でも活用できます。

多くの企業において、SaaSやクラウドサービスから提供される外部のソフトウェアを利用するケースでは、ライセンス契約を結び、ソフトウェアを必要とする部署ごとにPCなどの端末に割り振って提供しています。

ただし、ソフトウェアの中には、契約したライセンスの数を超えてインストールできてしまうソフトもあり、知らない間に契約違反や著作権法に違反し、損害賠償や企業の社会的信用・イメージを損なう状況に陥る可能性もあります。

このような状況を避けるために、IT資産管理を利用して必要情報を自動収集し、ライセンス・契約条件と利用実態の照合・管理ができます。その結果、ソフトの不正コピーやライセンス契約違反などを未然に防止し、企業のコンプライアンス遵守の面でも役立ちます。

働き方改革に必要な技術

近年では、企業に対する働き方改革の徹底が呼びかけられています。特に、テレワークに対応するためには、従業員に配布するPCやソフトウエアの管理、業務時間の管理における操作ログの把握など、IT資産管理に関わる管理の徹底が求められます。

また、社内外で機密情報を多く取り扱うことになることから、強固なセキュリティ対策を行う必要もあります。このように、時代に適した柔軟な対応を行う点からも、IT資産管理による一元管理の重要性が非常に高まっています

DX化推進の基盤

企業のDX化推進においてはIT資産管理が基盤となります。主に、従業員の1人につき1台は保有することになるPCや、さまざまな業務を管理・実行するためのソフトウエアなど、デジタル化に関するものを包括的に管理することで、大幅なコスト削減につながります。

また、形として見えないようなものを適切に管理することにより、無駄なコストの発生を予防することにも貢献します。そして、セキュリティ対策を行いながら、新しい技術や法令に対応する際にも、IT資産管理を行っておくことでスムーズに対応可能です。

IT資産管理ツールの管理対象・管理項目

IT資産管理ツールの管理対象や管理項目には、細かく分類されるものがあります。ここでは、IT資産管理ツールの管理対象となる各種ハードウェアやソフトウェアなどを含め、管理する項目の詳細についても解説します。

管理対象

IT資産管理ツールの管理対象としては、社内に設置されているPCなどのハードウェア、インストールされているソフトウェア、ソフトウェアのライセンス契約が挙げられます。

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ハードウェア

IT資産管理ツールは、企業内に設置されているハードウェア機器の状況把握のために、情報を収集・登録して一元管理を行います。対象機器は、サーバー・パソコン・モデムといった主要機器、プリンター・ファクス・コピ―・複合機といった周辺機器などです。

さらに、USBや外付けのHDD(ハードディスクドライブ)などの外部記憶装置なども含まれ、さまざまなハードウェア機器の設置状況が管理の目的となります。その他に、タブレットやスマホに対応したツールもあります。

管理する項目としては、パソコンの場合には、設置台数・設置部署名・場所・使用者名・メーカー名・CPU名・IPアドレス・OS・バージョン・故障状況・修理情報・買い取りかレンタルかの導入形式などの情報を登録し、搬入から廃棄までの状況を管理します。

ソフトウェア

企業内に設置されているサーバやパソコンなどにインストールされているOSやミドルウェア・ウイルス対策ソフト・その他アプリケーションなどのソフトウェアが管理の対象となります。

管理項目としては、機器ごとにインストールされているOS名・バージョン・ソフトウェア名・エディション・アップデートした日時・アップデートした人名などです。

アプリインストールされているソフトや、新規にインストールしたソフトウェアの情報を収集・登録し、一元管理を行います。

ライセンス

IT資産管理ツールで対象とするライセンスでは、ソフトウェアを使用する権利や利用者が遵守すべき項目を記述した文書類、契約に基づいて利用者に付与される許諾などの項目が管理の対象となります。

管理項目としては、ソフトウェアライセンス契約書や使用許諾書に記載されている、ソフトウェアが使用できる人数・インストール可能なサーバー・パソコンの台数・利用可能期間・利用場所・利用目的などの情報が管理対象となり、登録から一元管理までを行います。

さらに、IT資産管理ツールにより、ソフトウェアが決められた条件に添って使用・運用されているかなど、法令遵守の観点から管理を行い、コンプライアンス遵守への管理にもつなげられます。

管理項目

各種機器などにおける管理項目の詳細は、以下の通りです。

項目詳細
機器に関する情報メーカー名、CPU名、設置場所、管理部署、台数、買い取りまたはレンタルなど
インストール状況インストール日時、インストール場所、管理部署、ソフト更新情報など
PCの操作ログログイン・ログアウト情報、閲覧データの内容を変更した操作履歴、新規作成したファイルやデータにアクセスした時間帯など

IT資産管理ツールの主な機能

IT資産管理ツールには、さまざまな機能が搭載されています。ここでは、Webサーバーとメールサーバーの機能、大容量のバックボーン、FTP接続、独自ドメイン取得など6つの機能について解説します。

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Webサーバーとメールサーバー

社内に設置されている各種のWebサーバーとメールサーバーにおいて、アクセスの状況を監視する機能です。自社のセキュリティポリシーに則って、該当するURLなどを含むWebサーバーやメールサーバーへのアクセスを監視・制限します。

例えば、掲示板やWebメールサービスへのアクセスを制限する機能によって、社内情報の閲覧防止や外部への漏洩防止を実現します。また、メールサーバーを経由する電子メールの送受信の状況に関して監視する機能もあります。

Gmailでのメール送信や、メールソフトが持つSSL(Secure Sockets Layer)機能で暗号化されたメールに関しては、ログの収集だけを行う指定もできます。また、ログの内容も、「タイトル+本文」・「タイトル+本文+添付ファイル名」など細かく指定できます。

大容量のバックボーン

IT資産管理ツールにおけるバックボーンとは、インターネットなどの大規模な通信ネットワークにおいて、事業者間や拠点間、大規模な国家間などを結ぶ高速かつ大容量のネットワーク回線のことを指します。

バックボーンのネットワークには、種類や規模を含めたさまざまな形態があります。企業の各拠点を結ぶ広域通信網、ビルのフロア内でのLAN、インターネットサービスプロバイダ間をつなぐ通信回線網などがバックボーンに該当します。

IT資産管理ツールにおける大容量のバックボーンに関する機能は、主に事業者間・社内LAN・広域ネットワークなどにつながったサーバーなどに対する、アクセス状況を監視・管理する機能です。

FTP接続

企業内では、FTP(File Transfer Protocol)仕様により接続されたFTPサーバー同士や、クライアントと呼ばれるPCなどが多数つながっています。PC側のユーザーは、FTPを介してファイルをアップロードしたりダウンロードしたりします。

PC側からFTPでファイルを転送する場合には、サーバー名・IPアドレス・ファイル名・パスワードなどを用いて転送を行います。IT資産管理ツールでは、FTP接続へのアクセスに対してIPアドレス・ファイル名・パスワードなどの情報を基に、監視・管理を行います。

独自ドメイン取得

ドメインとは、インターネット上の住所のようなもので、一般的にURLと呼ばれて使用されます。形式は「https://www.aaa.com」のようなフォーマットで定義されます。通常では、無料のブログやWebサイトの作成サービスでURLを作成します。

一方、独自ドメインとは、世界で唯一のユニークなドメイン名のことです。自分で好きな文字を指定し、有料で取得できます。独自ドメイン取得のメリットとしては、自由な文字列の名前が組めることから、URLを覚えやすい名前に設定可能な点です。

独自ドメインは検索などの際に他のサイトの影響を受けず、SEOに強く集客効果も上がりやすいです。IT資産管理ツールでは、独自ドメイン取得に関して、名前や取得年月、金額、取得サイトなどの情報を管理します。

マルチドメイン機能

一般的に1つのサーバーでは、1つのドメインだけを扱います。例えば、あるサーバーで、ABC.comというサイトを運用しているとします。そこにXYZ.comを追加したい場合には、もう1台サーバーを追加して用意する必要があります。

一方、マルチドメインでは、1つのサーバーで複数のドメインの定義や管理が可能となります。そのため、サイトの追加の場合、追加でサーバーを用意しなくても同じサーバー内に複数のサイトを追加でき、さまざまな組み合わせでサイト運用が可能となります。

IT資産管理ツールでは、マルチドメインのドメイン名・取得年月・取得会社などの情報に加え、ドメイン内で運用されている複数のサイト名や年月日などの情報を管理します。

メーリングリスト機能

メーリングリストは、複数の人に同じ内容のメールを送信する際に利用される機能で、MLとも呼ばれています。メーリングリストに登録された社内全体や部署・顧客グループなどの宛先に対し、一斉にメールを送って情報を伝達・共有する際に用いられます。

メーリングリストの作成時に設定した、メーリングリスト名1つをメールの宛先に指定するだけで、リストに登録されている全員にメールが送信されます。そのため、手間がかからず誤配信や送付漏れなどを防止できます。

IT資産管理ツールでメーリングリストを一元管理することで、宛先の登録ミスや誤登録されたアドレスへのメールの誤配信・送信漏れなどを防ぐことができ、機密情報の漏洩といったリスクも減少されます。

IT資産管理ツールのメリット

IT資産管理ツールの導入により、IT資産管理作業の効率化や適正なIT資産運用、システムの脆弱性対策、セキュリティの強化などの項目が期待されます。ここでは、5つのメリットについて解説します。

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管理作業の効率化

IT資産管理ツールを導入することにより、社内ネットワークを駆使して自動で情報収集や登録・管理を行います。従来まで行われていた、多くの管理項目を手動で収集して登録する場合と比べて、大幅に労力が軽減され、ミスも少なくなります

また、ネットワークに接続されているハードウェアの稼働状況、パソコンごとにインストールされているOSやソフトウェアに関する情報などを、ツールが持つ機能で簡単に表示・可視化して、確認することができます。

さらに、利用しているソフトウェアを最新版にアップデートするようなケースでも、一斉にアップデート指示が可能です。従来のように更新作業が必要なPCを探し出したり、1台ずつ更新作業を行う手間が省けるため、人的なミスが少なく作業全体の効率も上がります。

適正なIT資産運用

保有しているハードウェアやソフトウェアに関する情報を、一元管理して正確に把握することにより、IT資産の効率的な運用が可能となる点もメリットです。

現在稼働しているハードウェア機器の総台数や、使われていない機器を正確に把握することで、機器の再配置などが容易に行えます。その結果、IT資産を有効活用し、余分なパソコンの購入なども防げるため、IT資産の無駄な投資防止にも貢献します。

また、ソフトウェアに関する情報を基にライセンスの再割り振りを行ったり、定期的に全体のライセンス利用状況を把握・確認したりすることにより、ライセンスの追加購入などの見通しや計画を立てる際に役立ちます。そして、過剰な投資の抑制にも効果があります。

脆弱性への対策

企業にとって、サーバーやパソコンなどのハードウェア機器、使用しているソフトウェア・アプリなどがマルウェアやサイバー攻撃を受け、システムダウンや情報漏洩などの事態が発生することは、絶対に避けたい課題です。

このような状況を回避するためには、使用しているOSやソフトウェアを常に更新し、修正パッチコードを反映してシステムを常に最新の状態に保つことが重要です。そして、外部からの攻撃を極力排除し、脆弱性を抑える対策を行わなければなりません。

ただし、ソフトの更新処理を社員それぞれに任せてしまうと、不実行や抜け・漏れなどが起きる危険性が大きくなります。そこで、IT資産管理ツールで統一された運用によって更新作業が確実に実行されれば、的確な脆弱性対策が実現します。

セキュリティ強化

IT資産管理ツールの導入により、セキュリティ強化にもつながるメリットがあります。例えば、使用を禁止されているUSBメモリをある機器に差し込んだ時に、機器が認識して使用できないようにブロックする機能などがあり、機密情報漏洩・流出防止に有効です。

また、セキュリティパッチコードを反映して更新し、デバイスの保護を強化することが可能となります。さらに、使用許可のないソフトウェアの無断インストールを検出した場合に、端末を起動できないようにする機能を搭載したツールもあります。

コンプライアンスの徹底

IT資産管理ツールを活用することにより、企業にインストールされているハードウェアやソフトウェアの情報を一元管理して、社内全体のハード・ソフト面を総括した監視が可能となります。

ソフトの面では、社内で使用されている有料ライセンス数などのインストール情報を収集・把握します。それにより、不正なコピーの監視・使用していないソフトの検出をし、不要なコストの支払い防止にも役立ちます。

また、定期的に操作ログを収集・監視することにより、機密データをコピーして社外に持ち出すなどの法令違反行為の抑止にも有効です。このように、IT資産管理ツールは企業における内部統制や法令遵守など、コンプライアンス遵守の面でも大きなメリットがあります。

IT資産管理ツールのデメリット

IT資産管理ツールには多種多様な機能が搭載されており、利用する上で非常に便利です。一方、一部デメリットとなる部分もあります。ここでは、導入前に把握・対策しておきたいデメリットについて解説します。

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使いこなすための時間が必要

IT資産管理ツールは一種のソフトウェアであることから、インストールして使いこなすためには、ある程度のITスキルが求められます。また、ツールの持つさまざまな機能を理解し、スムーズに使いこなすまでには教育期間などの時間が必要になります。

さらに、ツールを運用する管理者の確保や教育など、育成面での時間も必要となります。したがって、ツールが順調に稼働するまでには、一定程度の時間がかかってしまいます。

利用目的に合わない製品もある

現在、市場には多数のIT資産管理ツールが提供されており、それぞれのツールには機能や操作面でいくつかの相違点があります。そのため、事前に自社のIT資産に関する状況を調査して課題を洗い出し、どのような機能が必要なのかを見極めておくことが重要です。

一般的に、多数の機能を搭載しているIT資産管理ツールは高額になる傾向があります。よって、ツールを選ぶ際には、企業の組織や利用形態にマッチし、求められる機能が搭載されているツールを選ぶことが大事です。

また、導入した後も運用状況の把握や関連した問題点の洗い出しなど、定期的な検証作業が必要となります。このように、時間・手間・マンパワーが求められる点もデメリットです。

IT資産管理ツールを選ぶ際の比較ポイント

複数のIT資産管理ツールの中から、自社の利用形態にマッチしたツールを選ぶ場合には、いくつかの比較ポイントのチェックが重要です。ここでは、ツール選定における比較ポイントを4点解説します。

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複数のデバイスを1つのサービスで管理できるか

企業には、さまざまなハードウェアやソフトウェアがインストールされています。中でもPCを例に挙げると、使われているOSに関してはMacかWindowsか、それぞれのPCごとに違いがあります。

IT資産管理ツールによっては、対応しているOSがMacかWindowsのどちらか一方、またはOSによって利用できる機能の範囲が変わるケースもあります。そのため、ツールを選ぶ場合には、自社の使用形態にマッチする機能が搭載されたツールの見極めが重要です。

また、タブレットやスマホなどのモバイルデバイスの管理にも活用したいケースでは、ツールが求めるデバイスに対応しているかどうかも比較ポイントになります。

クラウド型かオンプレミス型か

IT資産管理ツールの提供形態には、クラウド型やオンプレミス型があります。どちらの形態にも、メリット・デメリットが存在します。

クラウド型

クラウド型は、ベンダー側がインターネット経由で構築した、IT資産管理ツールのサービスにアクセスして利用する形態です。そのため、自社によるサーバー構築などは不要で、導入が短期間で済み、導入コストを抑えられる点がメリットになります。

また、ツールの運用や保守は提供するメーカー側で行うため、自社での更新・保守の必要がなく、常に最新のバージョンにアクセスして使用できます。そして、社外からもインターネット経由でアクセスが可能な点も強みです。

デメリットとしては、月額などの定期的な費用が発生する点や、ツールを提供する側のサーバーダウンや定期的なメンテナンス期間では、使用不可となるといった影響を受ける点です。さらに、セキュリティ対策は提供されるシステムに依存することになります。

その他にも、インターネット接続が可能な環境が必要となり、多くの人が利用する性質上、アクセスが集中すると処理効率が落ちて応答時間が遅くなるなどの現象が発生します。なお、クラウド型ではカスタマイズを要求できる範囲も限定されます。

メリットデメリット
自社サーバーが不要で導入コストが抑えられる月額など定期的なコストがかかる
導入が短期間で完了する提供元のサーバーダウンやメンテナンスなどの影響を受ける
自社での構築やメンテナンスが不要セキュリティ対策はメーカー側に依存する
最新バージョンが利用できる応答時間などの処理効率が落ちる可能性がある
社外からマルチアクセスが可能カスタマイズの要求範囲が限定される

オンプレミス型

オンプレミス型は、自社でサーバーを用意してIT資産管理ツールをインストールして利用する形態です。メリットとしては、定期コストが発生しないこと、システムの拡張性が高く独自の要求にも柔軟に対応できることです。

また、自社内のネットワーク内で稼働・管理するため、セキュリティ面も強固になり、端末からのレスポンスタイムが速いなど、処理効率の面でも優位性が期待できます。

デメリットとしては、初期コストが高額になる傾向があり、導入や構築に時間がかかる点です。自社で運用や保守を行う必要もあり、そのための要員確保や教育など、運用にも多くの手間がかかります。

メリットデメリット
月額などの定期コストが発生しない初期費用が高額となる
拡張性が高く、機能追加などに柔軟に対応可能導入や構築などに手間がかかる
セキュリティ面が強固運用や保守要員の確保・教育などが必要となる
端末への早い応答時間など高い処理効率が期待できる運用コストがかかる

エージェント型かエージェントレス型か

IT資産管理ツールには、エージェント型とエージェントレス型の2つのタイプがあります。情報収集の仕組みに大きな違いがあり、どちらが適しているかは環境やニーズによります。以下で、両者の違いについて解説します。

エージェント型

エージェント型は、監視対象の端末ごとにプログラム(エージェント)をインストールして、管理サーバーやクラウド側へ情報を送信します。多くのIT資産管理ツールで採用されている、最も一般的なタイプです。

エージェントは端末内部で動作し、詳細な情報収集が可能です。ネットワークが途切れても、エージェントが動作している限りデータ収集は継続されます。

ただし、エージェントが端末のリソース(CPU、メモリなど)を利用して動作するため、常に負荷がかかります。これにより、パフォーマンスの問題が発生する可能性もあります。

エージェントレス型

エージェントレス型では、監視対象端末ごとのプログラム(エージェント)のインストールは不要です。一般的にICMP、SNMP、WMIなどの標準プロトコルを用いて、端末から情報を収集します。

エージェントレス型は導入や更新作業にかかる手間が少なく、端末のリソースに負荷がかからないため、柔軟な対応が可能です。しかし、エージェント型のような詳細な情報収集が難しい場合があり、一部の情報は取得できないこともあります。

セキュリティ対策は万全か

企業に搬入されているIT資産には、重要な情報が多く保存されているため、強固な情報セキュリティ対策が求められます。また、自社の情報セキュリティのポリシーに則った対策ができるかの確認も重要です。

IT資産管理ツールを選ぶ際には、ハード機器の接続情報や搬入されているソフトの情報などを監視し一元管理する機能が求められます。また、ソフトが最新バージョンか否かを自動的に検証し、リスクの有無を判定できるセキュリティ機能を持つツールがおすすめです。

さらに、ユーザーの不正利用防止機能があると、端末サイドから不正利用された場合に検知してからすぐに管理者へ通知するため、情報漏洩対策として有効です。そして、異常を検知した際には自動的にネットワークを遮断する機能も、セキュリティの面で効果的です。

まとめ

企業において必要不可欠なIT資産管理は、IT資産管理ツールを活用して一元管理することにより、管理台帳の作成や使用しているIT資産の可視化、使用機器の稼働状況などが正確に把握できます。

そして、Webサーバーとメールサーバー、大容量のバックボーンなどの機能を効果的に使用することで、企業内のセキュリティ強化やコンプライアンス遵守にもつなげることが可能です。

IT資産管理ツールの中には、無料のトライアル期間を設けている製品も多いため、まずはトライアルで試してみましょう。自社が要求する機能に合うかどうか、事前に適合性・機能性を確認することもおすすめです。

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