ホスティングサービスとは?メリット・デメリットをわかりやすく解説

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- ホスティングサービスは、サーバーをインターネット経由でレンタルできるサービス
- 導入や運用上の負担を事業者に一任できることが大きなメリット
- 拡張性や柔軟性なども含め、用途に合ったサービスかどうかを確認することがが重要
ホスティングサービスとは、サービス提供者が施設内で運用しているサーバー機器の全部または一部を、顧客に有料や無料で貸し出すサービスです。この記事では、ホスティングサービスの利用形態や機能、導入のメリット・デメリット、比較のポイントなどについて詳しく解説します。
目次
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ホスティングサービスとは

ホスティングサービスとは、インターネットサービス事業者からインターネット経由でサーバーをレンタルして利用できるサービスのことを言います。サーバーとは、Webサイトやメール、アプリケーションなどを利用するために必要なデータを保管する場所です。
提供するサービス事業者のデータセンターにあるサーバーを利用できるので、自前で用意するよりもはるかに簡単に環境を整えられます。
同じような使い方をされる単語として「レンタルサーバー」がありますが、ホスティングサービスとはほぼ同義です。「ホスティング」とは「サーバーを借りる」ことを意味します。そのため、単語が違っても同じ内容を意味しているものと理解して良いでしょう。
ホスティングサービスの目的
ホスティングサービスは自身でWebサイトを立ち上げたい方や、ブログなどをのせる専用のサイトが欲しい方、アプリケーションをインターネット上で公開したい企業などにおすすめのものです。
もちろん、ホスティングサービスを使用せず、自分自身でサーバーを構築して運用することも可能です。しかし、その場合は立ち上げから設定・運用までを全て自分で行う必要があり、専門的な知識と技術が必要です。セキュリティ対策なども自身で担わなければなりません。
もともと知識のある方なら問題ありませんが、初心者が一からサーバーを構築するのは難易度が高いと言えます。企業の場合も、専門の人材を確保して体制を整える必要があります。また、ホスティングサービスを利用する場合より費用も高額になる可能性があります。
ホスティングサービスとハウジングサービスの違い
ホスティングサービスとハウジングサービスの明確な違いは、レンタルサーバーを利用するのか、自社サーバーを利用するのかという点です。
ホスティングサービスでは事業者がサーバーを提供し、運用も事業者が行います。一方、ハウジングサービスでは事業者がサーバーを設置する場所を提供し、利用者は自社サーバーを自ら運営します。つまり、ホスティングサービスはサーバを「借りる」仕組みで、ハウジングサービスはサーバを「預ける」仕組みであると言えます。
ハウジングサービスはホスティングサービスよりも自由度が高いため、自社の運営方針により合った使い方ができます。ホスティングサービスよりも手間はかかりますが、自社にノウハウがある、詳しい担当者がいる、という場合はハウジングサービスの利用もおすすめです。
ホスティングサービスとコロケーションサービスの違い
コロケーションサービスも、利用者が運用するサーバ設置場所を提供するサービスです。そのため、サーバーをレンタルするホスティングサービスとはコンセプトが異なります。
ハウジングとコロケーションはほぼ同じ意味で使用されますが、ハウジングでは小規模なラックを貸し出すのに対し、コロケーションでは大規模なスペースを貸し出す傾向があります。
そのため、コロケーションサービスは多くの機器が必要な通信事業者などが利用することが多いサービスです。
ホスティングサービスの主な利用形態

ここでは、ホスティングサービスの主な利用形態について解説します。ホスティングサービスには、「共用ホスティング」「専用ホスティング」「クラウド」「VPS(バーチャルプライベートサーバー)」の4種類があります。
機能名 | 概要 |
---|---|
共用ホスティング | サーバーを複数ユーザーと共有する |
専用ホスティング | 専用のサーバーをレンタルする |
クラウドホスティング | サーバーを仮想化して専用ホスティングを再現する |
VPS(バーチャルプライベートサーバー) | クラウドホスティングと同じような仕組みだが、 クラウドよりもカスタマイズ性は低い |
共用ホスティング
共用ホスティングでは、1台のサーバーを複数のユーザーで共有する利用形態です。物理サーバーは1台のため低価格で利用でき、サーバーの設定作業やメンテナンスも一切不要です。
ただし、他のユーザーの利用状況に影響されやすく、例えば他ユーザーのWebサイトに大量のアクセスがあったりすると、自社サイトも重くなってしまうことがあります。また、サーバーに対する権限も制限されるので、OSやアプリケーションの設定にも制限があります。
個人や小規模な事業での利用におすすめの形態であると言えます。
専用ホスティング
専用ホスティングは、ユーザーがそれぞれ専用のサーバーを利用する形態です。1つの物理サーバーを占有できるため、共用ホスティングのように他者の利用状況に影響を受けることはありません。また、OSやアプリケーションの設定にも制限がなく、自由度が高いです。
ただし、その分コストは高くなりやすく、サーバーの設定作業やメンテナンスもユーザー側で担うことになるのが一般的です。
専門知識のある人材がいる企業で、大規模なWebサイトを運用したい場合などに向いています。
クラウドホスティング
クラウドホスティングとは、1つのサーバーを仮想環境で分割することで、専用ホスティングのように利用できる仕組みです。物理サーバーは1つですが、ユーザーはサーバーを占有しているような感覚で利用することができます。
OSやアプリケーションの設定が自由にできるのはもちろん、CPUやメモリといったサーバーのスペックを変更できるのも大きなメリットで、例えばアクセスが集中する時期にだけスペックを高くするなどの調整ができます。
ただし、そのための専門知識は必要で、また従量課金制を採用している場合が多いため、利用状況によっては割高になってしまうこともあります。
VPS(バーチャルプライベートサーバー)
VPSとは、クラウドホスティングと同じように仮想専用サーバーを利用できる形態です。日本語では「仮想専用サーバー」とも呼ばれます。専用ホスティングに比べて価格が安いのが魅力で、近年人気が高まっています。
共用ホスティングと専用ホスティング両方の利便性を併せ持っている利用形態ですが、専用ホスティングと同じくある程度の専門知識は必要になります。また、クラウドホスティングのように自由にCPUやメモリまで変更できるわけではありません。
専用ホスティングを低価格で使いたい、クラウドホスティングほどのカスタマイズ性は求めていない、という場合に便利です。
ホスティングサービスの主な機能

ホスティングサービスの主な機能について解説します。ホスティングサービスには、主に8つの機能があり、それぞれ導入や構築、接続や回線、セキュリティや運営管理などを担っています。
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ホスティングサービスの主な機能
Webサーバーやメールサーバー
ホスティングサービスを導入すると、自動的にWebサーバーやメールサーバーを構築できます。Webサーバーには、AP(アプリケーション)サーバーとDB(データバンク)サーバーの2種類があり、前者はWebを使って、ホームページやWebサービスの利用する際に必要です。
DBサーバーは、Webに関するデータを保存する場所で、データの送受信を行います。メールサーバーはメールを送受信する際に必要なサーバーです。送信側をSMTP、受信側をIMAPまたはPOPと呼び、専用のサーバーを使ってメールのやり取りを行います。
FTP接続
FTPとは「File Transfer Protocol(ファイル転送プロトコル)」の頭文字を取ったもので、ファイルの転送に必要な機能をFTP接続と言います。ホスティングサービス側と自社側のFTP接続によってデータのやり取りが可能です。
FTP接続により、既存の自社サイトに新しいデータを追加したり、アップデートを行ったりできます。また、既存データの上書き更新や削除などのデータの遠隔操作も可能です。
大容量のバックボーン
バックボーンとは、基幹通信網や基幹回線網とも呼ばれるインターネット通信に無くてはならない線のことを言います。ホスティングサービスでは大規模なバックボーンを通じてインターネットを接続できるため安心です。
毎月定額を支払えば、安定した高速回線が利用可能です。自社サーバーと違って、サーバーのネットワーク負荷に合わせたインターネット回線の選定などが不要なため、最初から安定したネット環境を保持できます。
独自ドメイン取得
ホスティングサービスを利用することで、独自のドメインを取得できます。ドメインとはインターネット上の住所のようなもので、自社サイトやブログの立ち上げには必ず必要です。
登録される識別名は、アルファベットと記号の羅列が基本ですが、近年は一部に各国独自の言語や文字を使用できる国際化ドメイン名も取得できるようになってきています。
マルチドメイン機能
マルチドメイン機能とは、1つのサーバーで複数のドメインを使用できる機能のことです。レンタルサーバー代はそのままで複数のサービスを運営できるため、複数のサーバーをレンタルしてそれぞれドメインを運営するよりも、コスト削減と運営の手間を抑えられます。
マルチドメイン機能を利用するには対応しているサービスを選ぶ必要があり、すべてのホスティングサービスで利用可能ということではありません。しかし、近年は利用料金を抑えたプランでも、マルチドメインプランを導入しているサービスが増えています。
メーリングリスト機能
ホスティングサービスではメーリング機能の利用もできます。メーリング機能とは、前もって登録されている特定の利用者に一斉に電子メールを配信できる機能です。
メーリングリストに事前にメールアドレスを設定しておき、大人数に一斉送信できるため、個別操作が不要な分、手間が省けます。メルマガ配信などに便利な機能です。
指定OSのインストール
Windows Server、UNIX・Linux系など、指定したOSの初期インストール作業を代行してくれる場合もあります。
事業者によっては無償OSだけでなく、ライセンスが必要なOSも手配してくれます。これにより、自社の環境や用途にあわせて、OSを自由にカスタマイズすることが可能です。
データやシステムの移行支援
既存のサーバーからホスティングサービス上の仮想サーバーへ、データやシステムを移行してくれるサービスです。
通常、データの移行には膨大な時間と手間がかかります。また、工程にミスがあると、大切なデータを失ってしまうリスクもあります。しかし、移行支援サービスを利用すれば、手間なく安全にデータを移すことができます。
ホスティングサービスのメリット

ここでは、ホスティングサービスのメリットについて解説します。ホスティングサービスのメリットは主に3つあります。コスト削減やセキュリティ対策がなされているため、利用するメリットが多く、担当者の負担を減らしてくれるでしょう。
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ホスティングサービスのメリット
導入・運用コストの低減
ホスティングサービスを利用することで、導入・運用コストを低く抑えられます。運用上の負担を事業者に一任できるため、サイト運営の知識に不安がある場合も、最低限の知識さえ身に付けておけばすぐに始められます。
料金面でも、企業規模に合わせた無駄のないサーバーの運用が可能です。必要なサービスによって価格も異なりますが、安価なプランでは月数百円で運営が可能なものもあります。
短期間での運用開始が可能
ホスティングサービスは、短時間での運用開始が可能です。事業者が提供するサーバーには、必要なソフトウェアもすでに用意されているため、自社において必要なソフトウェアの選定などの作業が要りません。
また、利用する容量をあらかじめ決めておけば、あとは契約するだけですぐに運用を開始できます。物理サーバーの構築や準備にはかなりの時間と手間を要するため、すぐに運用を始めたいという方には大きなメリットと言えるでしょう。
セキュリティの強化
データを保管するサーバーを利用する場合に気を付けたいのが、セキュリティ対策です。Web上ではサイバー攻撃やウィルス対策に備えて、さまざまな対応が必要ですが、ホスティングサービスではすでにサービスとして提供されているため、安心して始められます。
また、ホスティングサービスではサーバの管理をツールだけに留まらず、有人で行うサービスもあります。有人サポートがあるサービスを選べば、トラブル発生時にも安心です。
ホスティングサービスのデメリット

ここではホスティングサービスのデメリットを紹介します。どちらも特に共用サーバーで問題となりやすいデメリットです。メリット・デメリットを考慮した上で自社に必要なサービスを見極めましょう。
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ホスティングサービスのデメリット
カスタマイズ性が低い
ホスティングサービスは提供元が管理しているサーバーの一部をレンタルして利用するサービスです。特に共用サーバーはカスタマイズ性が限られているものが多いため、後から機能を後付けするような拡張性は期待できません。
カスタマイズ性を重視して選ぶなら、ホスティングサービスの中でも専用サーバー・VPS・クラウドなどのタイプを選びましょう。共有サーバーよりもコストはかかりますが、拡張性が高いため、後から必要な機能を追加したい場合におすすめです。
他のユーザーの影響を受ける場合がある
共用サーバーでは、他者の干渉を受けやすいデメリットがあります。同じサーバーをレンタルしている他のユーザーが、サーバーに高い負荷を与えてしまうと、他のWebサイトの表示が遅くなったり、動作が遅くなったりするなどの影響が出ます。
そのため、他者の影響を受けたくない場合は、専用サーバーやVRSサーバーを利用するのがおすすめです。
ホスティングサービスを選ぶ際の比較ポイント

ここからはホスティングサービスを選ぶ際の比較ポイントを紹介します。用途やサポート体制、拡張性や柔軟性など、それぞれ自社に必要な機能は何かを考えながら比較してみましょう。
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ホスティングサービスを選ぶ際の比較ポイント
用途に合ったサービスか
まず初めに、どのような目的でホスティングサービスを利用したいか、今一度検討しましょう。目的や用途を明確にし、それに合ったサービスを選ぶことが重要です。
例えば、自社のWebサイトだけを安価で運用したいのであれば、カスタマイズ性は低くなるものの共用サーバーで問題ないでしょう。また、アプリを公開したり、他者の影響を受けたくなかったりする場合は、専用サーバーやVPSがおすすめです。
他にも、サイトやブログが簡単に作れるWordPressは標準利用できるか、情報の漏洩リスクのないセキュリティ対策がなされているか、といった点も確認しておくと安心です。
サポート体制は充実しているか
ホスティングサービスは、専門の知識や技術がなくても利用できます。しかしインターネット上ではいつトラブルが発生するかわかりません。トラブルが発生した場合に、どの程度迅速に対応する必要があるかを考慮しておきましょう。
24時間体制でサポートをしていたり、メールでのみ対応をしていたりと、サポート体制はさまざまです。また、負荷の分散やEPC対策など、運営の負荷を軽減してくれるサービスを行っている事業者もあります。自社に必要なサポートを受けられる事業者を選びましょう。
拡張性や柔軟性はどうか
CPU・メモリ・ストレージなどの増強が可能かどうか、その増強の度合いや費用はサービスによって異なります。もしも、拡張性や柔軟性が足りないサービスの場合、再度検討し直さなければならなくなり、手間とコストを要します。そのため事前の確認が必要です。
Webサイトの大規模運営や、独自アプリの開発等には、拡張性や柔軟性のあるサービスが必要です。自由度が高いサービスは、独自の設定やシステムの構築が必要となってくる場合が多いため、自社の現状確認と将来的な展望を見据えてサービスを検討しましょう。
まとめ

ホスティングサービスの利用形態や機能、メリット・デメリットや選び方の比較ポイントについてまとめました。ホスティングサービスは、初心者でも気軽にサイト運営やブログ制作が始められる便利なサービスです。
多くのホスティングサービスが提供されているため、多岐に渡る機能性やサービスから自社に見合ったものを選ばなければいけません。ホスティングサービス選びを間違えると、余計なコストがかかったり、手間や時間がかかりすぎたりする場合もあります。
そのため、明確な目的や運営方針を定めておくことが重要です。社内の状況を踏まえ、将来的にはどのようにサービスを利用していきたいのかを検討し、自社に見合ったホスティングサービスを選びましょう。
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