ビジネスフォン・IP電話とは?違いやそれぞれのメリットを解説
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- ビジネスフォンとIP電話はどちらもビジネスシーンで使用されるが、仕組みが異なる
- ビジネスフォンは複数回線を持ち、内線通話や転送機能も利用できる
- IP電話は固定電話よりも安く利用でき、PCとの連動やスマホでの通話も可能
ビジネスフォンとIP電話はどちらもビジネスシーンで使用されますが、ビジネスフォンが基本的に固定電話であるのに対し、IP電話はスマホでも使えるなど、仕組みや特徴が異なります。この記事では、ビジネスフォンとIP電話の違いやメリット・デメリットを詳しく解説します。
ビジネスフォン・IP電話の違い
ビジネスフォンとIP電話は、どちらも事業用として使われている電話ですが、仕組みが異なります。ビジネスフォンとIP電話の特徴や仕組みをそれぞれ解説します。
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ビジネスフォンとは
ビジネスフォンとは、ビジネスシーンで利用される電話システム全般のことで、(PBX(主装置)と専用電話機を組み合わせて使用するものです。一般的に、複数の外線と内線を共有できる電話機を指します。
ビジネスフォンには必要不可欠なPBXは、外部からの電話を受ける外線を制御し、電話の振り分けや、端末機同士の内線機能を制御します。PBXがなければ、ビジネスフォンは成立しません。
ビジネスフォンと家庭用電話機の違い
企業は一般家庭と異なり、同時に複数の相手と電話でやり取りを行うことがあります。そのため、ビジネスフォンは家庭用電話機よりも多機能です。内線や転送といった機能の有無もありますが、もっとも大きな違いは複数回線に対応しているかどうかです。
1人としか話せない家庭用電話機では取引先とのやり取りに支障が出るため、ビジネスフォンは複数回線に対応しています。例えば、5回線に対応していれば、同時に5人と通話可能です。
IP電話とは
IP電話とは、インターネットプロトコル(Internet Protocol)という通信方式を利用した電話サービスを指し、インターネットを通して音声や映像での通話ができる仕組みです。
IP電話は050で始まる電話番号の認識が高いですが、03や06などの市外局番で始まる電話番号も存在します。そのほかにも、LINEやSkypeなどのアプリを利用した通話もIP電話の一種になります。
IP電話は音声をデジタルデータに変換して固定電話と同じような通話を実現させるもので、インターネットのプロバイダによって提供されており、携帯電話でも固定電話でも利用できるのがポイントです。
IP-PBXとクラウドPBXの違い
携帯電話を使用する機会が増えた現代のビジネス環境では、固定電話にしか対応できない点が課題でした。そこで、インターネット回線を使用するIP-PBXとIP電話が登場しました。
クラウドPBXもインターネットを通して通話しますが、PBX自体はクラウド上に存在します。IP-PBXはオフィス内に設置するため、ここが大きな違いになります。
ただし、厳密にはオフィス内に機器を1つも設置しない完全クラウド型と、PBXではなく専用のアダプタを設置するアダプタ設置型の2種類があります。
ビジネスフォンのメリット
ビジネスフォンは、オフィスで利用することを想定した仕様になっています。代表番号による複数回線対応が可能な点や、内線通話や転送機能など便利な機能が多く搭載されています。以下で3つの主な特徴を解説します。
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ビジネスフォンのメリット
複数回線に対応できる
ビジネスフォンは、1つの番号でも回線の数だけ同時に通話できるのが特徴です。回線の数だけ通話が同時にできるため、通話中で受信できないという事態を防げ、業務が効率化します。
家庭用電話機で複数回線が必要な場合は、電話機ごとに契約が必要です。しかし、ビジネスフォンは代表電話番号1つの契約で複数の電話機を持つことができ、複数回線に対応できるため、固定コストや通信コストが削減できるといったメリットがあります。
内線通話ができる
ビジネスフォンは、内線通話ができるのが特徴です。内線通話は社内で電話を掛けられ、通話料が発生しません。
そのため、フロアが離れている社員と打ち合わせなど行う際に、わざわざ会議室を用意したり、通話料が発生する外線電話を使ったりする手間や無駄なコストは不要です。内線通話を利用することで、社内の業務効率化やコスト削減が期待できます。
転送機能がある
ビジネスフォンには転送機能があり、手動転送と自動転送の2種類があります。手動転送は一度保留にしてから担当者に転送を行うもので、自動転送はかかってきた電話を呼び出さずに自動的にあらかじめ設定しておいた転送先の電話番号に転送するものです。
自動転送には、かかってきた電話を無条件に転送先の電話番号に転送する即時転送と、社内の電話機と転送先の電話番号でも同時に受けられる同時転送の2種類があります。転送機能は、事務所を不在にすることが多い企業や、人数の少ない事務所におすすめの機能です。
ビジネスフォンのデメリット
ビジネスフォンはオフィスで利用することを想定されたもので、業務の効率化やコスト削減といったメリットが得られますが、場合によってはデメリットが発生することもあります。導入の初期費用が高額であることや誤操作しやすいといった例を解説します。
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ビジネスフォンのデメリット
導入の初期費用が高額
ビジネスフォンの導入は、初期費用が高額であるといったデメリットがあります。ビジネスフォンに必要不可欠なPBXに10〜20万円、専用電話機に3〜6万円、工事費に1台1〜2万円程度かかります。
また、ビジネスフォンの増設や移設が必要になった場合、さらにコストがかさむことも考えられます。導入する際は、PBXと専用電話機はセット購入が基本であり、設置費用も必ず発生するため、初期費用を抑えるのは困難です。
誤操作しやすい
ビジネスフォンの回線が多いと繋ぐ担当者を間違えたり、誤って電話を切ってしまったりといった誤操作が起きやすい傾向があります。
また、一部の電話機だけ着信音が鳴らなかったり、ディスプレイ表示が消えてしまったりすると故障と思われがちですが、実は誤操作によるケースが多いです。
ビジネスフォンはボタンが多い上にデスクに設置されているため、書類などでボタンを誤って押すなど、誤操作しやすい状況であることが多いです。なかには、誤作動防止機能が搭載されたビジネスフォンもあります。
IP電話のメリット
IP電話には、固定電話と比較して料金が安いことや、PCやスマホで通話できるといったメリットがあります。それぞれのメリットについて具体的に解説します。
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IP電話のメリット
固定電話と比較して料金が安い
IP電話は、固定電話と比較して通話料金を安く抑えられるといったメリットがあります。IP電話は、電話回線ではなくインターネット回線を利用して通話を行うものです。
インターネット回線は、アナログ電話の回線に比べて設備の維持やメンテナンスにかかるコストが安いため、通話料金が安い傾向があります。
また、固定電話の場合は時間帯や距離に応じた通話料金でしたが、IP電話はどこにいても、日本国内のみならず海外からも一律料金で通話できるといったメリットがあります。
PCやスマホで通話できる
IP電話は、スマホやPCなどにアプリを導入することで、インターネット環境があれば社員の個別端末でも通話ができるようになります。そのため、取次ぎの手間がなくなり、電話の取次ぎ業務が効率化します。
また、PCと連携することで着信した際にPCの画面上で発信者情報や、発信・受信履歴を確認することも可能です。
IP電話のデメリット
IP電話には上記で解説した通り、さまざまなメリットが得られますが、場合によってはデメリットを感じるケースもあります。IP電話を利用する際はデメリットも把握し、これらの事項にも注意しなければなりません。
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IP電話のデメリット
停電時の利用・緊急通報ができない
IP電話はインターネットを通して使用するため、停電の際は回線が利用できなくなります。そのため、救急車を呼ぶなど緊急通報も行えません。特に災害時にはIP電話が機能しないため、外部と連絡が取れなくなります。
こうした緊急事態に備えるには、電話回線をIP電話だけしておくのではなく、ほかの通信手段やUPS(無停電電源装置)も導入し、VoIPゲートウェイとONUに電源を一時的に供給できる方法などを準備しておくのが望ましいです。
インターネット環境に左右される
IP電話はインターネット回線を利用するため、大きなファイルの送受信など回線が混雑する作業をしていたり、ルーターやモデムに不具合が発生したりすると、通話が途切れる可能性があります。また、無線LANも障害になるものがあると、通話が不安定になります。
インターネットの回線状況が不安定になると、音声品質にも影響するため、重要な会話をする場合はインターネット環境の良い状態で行うか、IP電話以外の通信手段にて通話を行うのが望ましいです。
まとめ
ビジネスフォンとIP電話は、共にオフィスで使われている電話です。ビジネスフォンは、オフィスで利用することを想定したPBXと専用電話機をセットで使う固定電話で、オフィス環境に合った便利な機能が多く搭載されています。
もう一方のIP電話はインターネット回線を利用したもので、固定電話よりもコストを抑えられるといったメリットがあります。
しかし、ビジネスフォンは導入にコストがかかる上に誤操作しやすく、IP電話は通話品質が回線状況に依存し、停電時に使えないなどのデメリットが存在します。それぞれのメリットとデメリットを把握し、自社に合ったビジネスフォン・IP電話を導入しましょう。
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