ERPとRPAの連携のメリット|活用方法や連携時の注意点も解説
Check!
- ERPとRPAを連携することで、企業全体の業務効率化やデータ入力の正確性向上に繋がる
- ERPとRPAの連携で、メールやExcelの情報をERPに自動入力できるなどの活用が可能
- ERPとRPAの連携は、業務プロセスへの影響を最小限にするためスモールスタートが有効
ERPとは、ヒト・モノ・カネ・情報など、企業において重要な要素を一元管理・活用するためのシステムであり、RPAはPC上で行う定型業務を自動化するロボットのことです。本記事では、ERPとRPAを連携して利用するメリットや活用方法などを解説しています。
おすすめ記事
ERPとは
「ERP(Enterprise Resource Planning)」は、企業の「基幹システム」として幅広く認知されており、重要な業務の中核を担うシステムです。
ERPは、会計、生産、在庫管理、人事などの基幹業務を一つのプラットフォームに統合し、運用の効率化と情報共有を実現します。異なる部門が同じデータを共有し連携することで、全体の業務プロセスがシームレスに結びつきます。
ERPの主な特徴として、統合された機能、柔軟性が高いカスタマイズ性、リアルタイムなデータ連携などが挙げられます。
ERPの目的・役割
ERPは、企業内の多様な業務プロセスを統合・管理することが目的です。基幹業務を一つのプラットフォームで統合することにより、データの一元化が可能となります。
このシステムの一元化によって、重複作業の削減やタスクの自動化が実現され、手作業の負担を軽減し業務効率が大きく向上します。
ERPの役割には、業務プロセスの効率化、コスト削減、生産性向上、顧客サービスの向上があります。ERPは企業の成長や変化にも柔軟に対応できるため、業界や規模を問わず、組織の運営に重要な役割を果たしています。
ERPのメリット
ERPの導入により、業務プロセスが円滑になり、重要なデータの追跡や分析が容易に行えます。そのため、経営戦略の立案や効率的なリソースの配分が可能になります。さらに、最新情報の共有や業務の最適化も進むため、企業の運営を効果的にサポートします。
また、情報を一元化できるため、リアルタイムで正確なデータにアクセスでき、意思決定を迅速化し、誤りを減らします。効率化されたプロセスにより、生産性が向上し、コスト削減にもつながります。
在庫管理や顧客サービスなどでは、ビジネス全体の機能が連携し、全体の最適化が可能です。ERPは業界や企業の規模に関わらず適用可能であり、競争力の強化やビジネス成長を支えてくれます。
RPAとは
「RPA(Robotic Process Automation)」は、オンライン上の業務を自動化するためのソフトウェアロボットです。この技術は、人間が繰り返し行う単純な作業やタスクを、プログラムされたソフトウェアによって自動的に実行する仕組みを指します。
RPAの特徴は、人間が行うルーチンで繰り返される業務を自動化できることです。この技術により、既存システムとの連携が容易となり、プログラミングのスキルがなくても設定や導入を行えます。
柔軟性があり、業務プロセスの変更にも迅速に対応できるため、多様な業務領域に適用可能です。また、スケーラビリティが高く、小規模なものから大規模な業務まで効果的に自動化できます。
RPAの目的・役割
RPAの目的は、人間の手作業を代替し、効率化と精度向上を実現することにあります。RPAはルールベースでタスクを実行し、データ入力、ファイル操作、通信、決裁プロセスなど様々な業務を自動化します。
RPAは人間の負荷を軽減し、従業員がより戦略的な業務に集中できる環境を提供する役割があります。また、業務プロセスの効率化や柔軟性を高め、企業の生産性向上や競争力強化に寄与します。
近年、人件費の高騰化や人員不足に悩む企業が増えており、こうした課題に対処する手段としてRPAが注目されています。
RPAのメリット
RPAは、ルーチン業務を自動化できるため、人為的ミスやエラーを減らし、作業時間を大幅に短縮できます。特に、データ入力やファイルの移動、メールの送受信などの繰り返しのタスクやルーティン業務を、RPAによって自動化することが可能です。
24時間体制での作業が可能なため、作業の正確性を向上させつつ、生産性を高められます。また、RPAは拡張可能なため、業務の変化に柔軟に対応可能です。企業は効率化とコスト削減を実現し、従業員はより価値の高い業務に集中できます。
ERPとRPAは連携して利用するのがおすすめ
「ERP」と「RPA」は、それぞれ異なる強みを持つ情報システムですが、連携して利用することで、より効果的な業務効率化と運用最適化が実現されます。
ERPは企業内の基幹業務を統合し、業務プロセスの一元管理を可能にし、RPAは繰り返しのタスクを自動化することで生産性を向上させます。
両者の組み合わせは、新たな価値を生み出す可能性を秘めています。ここからは、ERPとRPAの連携のおすすめ理由とそのメリットについて解説します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
ERPとRPAは連携して利用するのがおすすめ
ERPの定型業務を効率化
ERPとRPAの連携によって、ERP内で発生する人手では十分に対応できないデータ入力や情報更新などの定型業務を、RPAが自動的に処理することで効率化できます。
具体的には、受注処理や請求書作成などの重要な業務が自動化され、従業員はその時間を顧客対応などの付加価値の高い業務に充てられます。
さらに、ERPとRPAの統合により、両者間でデータを双方向に連携させることが可能です。例えば、ERP内の在庫が一定数を下回った場合、RPAが自動的に発注手続きを実行することで、適切なタイミングでの在庫補充ができます。
組織全体の業務効率化
従業員がERPシステムに大量のデータを手作業で入力する必要がある場合、RPAはこれらのタスクを自動化します。たとえば、Excelファイルからデータを抽出し、ERPシステムに自動的にアップロードすることが可能です。
さらに、新入社員の登録や給与計算、勤怠管理などの人事業務も、RPAを活用して効率化できます。従業員情報がERPシステムで一元管理され、RPAがこれらのタスクを自動的に処理することで、人事部門の負担が軽減されます。
こうしたデータ入力の効率化により、組織全体の業務効率が向上し、貴重な人的リソースが戦略的な業務に注力できる環境が整います。
業務の正確性の向上
手作業で行うデータ入力や情報更新には、人為的エラーのリスクがつきものですが、RPAはプログラムに基づいてタスクを自動実行するため、一貫して正確な情報を処理できます。
従って、データの誤入力や漏れなどのヒューマンエラーを最小限に抑える効果があります。さらに、これをERPシステムと組み合わせることで、データの即時更新や修正が可能です。
こうしたERPとRPAの連携によって、業務の正確性が向上し、高い信頼性を持つビジネスプロセスが確立されます。
ERPとRPAを組み合わせた使い方
ERPとRPAを組み合わせて、注文から請求までのプロセスを自動化できます。ERPシステムには、注文情報の管理や在庫管理、請求書の生成などがあります。
RPAの導入により、注文プロセスの自動化が可能です。顧客からの注文情報をRPAが自動的に取得し、ERPシステムに入力する作業を代行します。また、在庫が一定数以下になった場合、RPAが自動でサプライヤーに発注を行い、ERPシステムの在庫情報を更新します。
さらに、請求書処理も自動化されます。ERPシステム内での取引データをRPAが収集し、顧客ごとに適した請求書を自動的に生成・送信します。これにより、請求書の作成や顧客への送付にかかる時間を大幅に削減できます。
このように、ERPとRPAを組み合わせることで、業務プロセスの自動化が可能となります。注文や請求などのルーチンな作業をRPAが効率化し、人為的ミスが軽減されることで、効率性と正確性が向上します。
RPAをERPと連携させる際の注意点
RPAを導入し、ERPと連携させる際にはいくつかの注意点を押さえることが重要です。以下では、これらの注意点について詳しく紹介していきます。これらのポイントを確認して、スムーズな導入と連携を実現しましょう。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
RPAをERPと連携させる際の注意点
自動化する業務を検討
RPAは特定の業務において特に効果的な自動化が可能です。そのため、導入前にどの業務を自動化したいかを明確に決めておく必要があります。
具体的には、特定のルールや条件に基づいた判断や処理、繰り返しのタスク、データ入力やファイルの移動、そして繰り返しの多いルーティン業務などがRPAに適しています。
特に、人手による作業ミスが起きやすい業務や、時間や労力を多く必要とする業務を優先的に選んで自動化することが重要です。その際には、自動化にかかるコストと導入後の効果がバランスが取れるよう十分な検討を行いましょう。
業務を細分化して自動化しやすいものから進める
前述したように、RPAで自動化できる業務には向き不向きがあるため、まずは自社の業務からRPAで自動化できる業務を洗い出す必要がありますが、その際、さらに細分化して小さい業務に分解することで、理解しやすくなります。
例えば、見積書作成の場合、商品名や単価・個数・送料などを含めた見積書作成自体はRPAで自動化できますが、顧客からの交渉を受けた値引きなどの担当者の判断が必要となる事項は自動的に反映できません。
自動化できる業務とできない業務があり、業務の中でどうしても人間の関与が必要なプロセスも存在するため、無理なく自動化できる業務範囲を見定めましょう。
RPAツールが自社に合っているか確認
自社に最適なRPAツールを選ぶ際、提供形態はデスクトップ型とサーバー型があります。その違いを理解し、導入にあたって考慮すべきポイントを把握することが重要です。
デスクトップ型
デスクトップ型RPAツールは、個々のPC上で動作するタイプです。主に個別のタスクや業務を自動化する場合に適しています。
このタイプのRPAは、個々の端末に対してタスクを自動化するため、特定のプロセスを個別に効率化する場合に非常に有効です。例えば、Excelファイルの自動処理やWeb上のデータ収集などが該当します。
また、特別なサーバーやインフラストラクチャの設定が不要であり、既存の環境に容易に統合できる特徴を持ちます。その使いやすさと導入の簡便さも特徴です。ただし、個々のPCにインストールされるため、遠隔地からの利用が制限される場合があります。
このタイプのRPAは、システム全体を再構築する必要がなく、導入コストを抑えることができます。そのため、小規模なプロジェクトに特に適しています。
サーバー型
サーバー型RPAツールは、中央のサーバーシステム上で動作するタイプです。中央のサーバーでタスクを実行するため、遠隔地からでも操作が可能です。さらに、データ漏洩のリスクを低減できるため、セキュリティ面でも優れています。
また、全体のタスク管理や監視が一元的に行えるため、業務プロセスの集中管理が容易です。特に、企業全体のプロセスやタスクを統合的に自動化する場合に適しています。
ただし、サーバー型RPAの導入には、サーバーの設置やインフラストラクチャの構築など、初期コストがかかることがあります。
サーバー型RPAツールは、大規模で複雑なプロジェクトやセキュリティ重視の環境に向いていますが、導入から運用までのコストや手間を考慮する必要があります。
スモールスタートから始める
RPAとERPの連携を導入する際には、スモールスタートから始めることが非常に重要です。なぜなら、新しいテクノロジーやプロセスの大規模かつ急激な導入は、予期せぬ問題や課題を引き起こし、プロジェクト全体が失敗する可能性が高まるからです。
まずは少数のプロセスから始めることで、問題が発生した際にその影響をコントロールできる状態を保ちましょう。このアプローチにより、全体への影響を最小限にしつつ、修正や改善を進められます。
さらに、従業員が新しいシステムやプロセスを段階的に理解し、適応する余地が生まれます。この段階で得られるフィードバックを活用しながら、連携の範囲を拡大し、より効果的な導入を実現しましょう。
会社全体に周知・共有を行う
RPAとERPの連携を導入する際には、その目的やメリットを会社全体に共有を行いましょう。新しいテクノロジーやプロセスの導入には会社全体の協力と理解が必要です。
まず、連携の目的を明確にすることで、従業員はなぜ新しい取り組みが行われるのかを理解しやすくなります。それに伴う具体的なメリットを説明することで、従業員は自身の業務や貢献がどのように変化するかを把握し、導入への理解が高まります。
さらに、目的やメリットを共有することで、会社全体の意識が統一されます。新しい取り組みに対する理解が深まり、変化への適応力が向上します。情報共有を通じて、異なる部門間の連携も促進され、シームレスな連携が実現可能です。
RPAでできること・できないことを理解する
RPAを活用することで業務の効率化が可能ですが、できることとできないことがあり、十分理解した上で導入を検討する必要があります。基本的にRPAは単純かつ処理量の多い業務や繰り返し発生する業務の自動化に有効です。
一方で、人とシステムが連携して行う業務や判断が必要な業務、プロセスや例外が多い業務などには対応不可能であり、短期間で完了する少量の業務も費用対効果を出しにくいため、導入に適していません。
RPAによる自動化に適した業務は限定的であることを理解し、自社業務への必要性を検討しましょう。
まとめ
RPAとERPの連携は、企業の業務効率化と競争力強化において非常に有益な選択肢です。両者の組み合わせにより、タスク自動化と業務プロセスの一元管理が実現され、効率的な運用を可能とします。
RPAは主にルーティン業務やタスクの自動化に向いており、人手で行う作業の効率化とエラーの軽減が期待できます。一方、ERPは企業の基幹業務を統合・管理し、情報共有と効率化をサポートする役割を果たします。
RPAとERPの連携によって、業務の効率化と競争力の向上を実現するチャンスが広がります。ぜひ、この強力な組み合わせを導入する検討を進めてみましょう。
この記事に興味を持った方におすすめ