カスタマーサクセスとは?メリットや施策例、成功のポイントも解説
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- カスタマーサクセスとは、すでにサービスを購入している顧客を成功へ導くこと
- カスタマーサクセスにより、解約率の減少やLTVの最大化といった効果が期待できる
- カスタマーサクセスを成功させるには、顧客分析が容易になるCRMの活用がおすすめ
カスタマーサクセスとは、すでに商品やサービスを購入している顧客に能動的に働きかけ、顧客を成功へ導くことです。解約率の減少やLTVの最大化といった効果が期待できます。この記事ではカスタマーサクセスの概要やメリット、成功のためのポイントなどを解説します。
目次
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カスタマーサクセスとは
カスタマーサクセス(Customer Success)とは、製品やサービスを購入した顧客がその価値を最大限活用できるよう支援し、「顧客の成功体験」を実現させる取り組みです。単に問題を解決するだけでなく、顧客のビジネス目標達成をサポートすることを重視します。
カスタマーサクセスは営業と混同されがちですが、異なるものです。営業は、新規顧客を獲得し、商品やサービスを購入してもらうために見込み客とコミュニケーションを取ります。一方カスタマーサクセスは既に契約した顧客に焦点を当て、成功体験を支援します。
カスタマーサクセスの目標は、顧客の成功と満足度向上です。製品・サービスの利用方法の最適化やサポートの提供などを通じて、顧客のビジネス目標達成を支援します。
カスタマーサポートとの違い
カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、顧客との関係構築において異なるアプローチを取ります。カスタマーサクセスは、顧客の成功と価値最大化を追求し、長期的なパートナーシップを築くために従事します。
一方カスタマーサポートは、製品やサービスに関する問題解決と技術的なサポートを提供し、顧客の円滑な利用を支援します。以下、カスタマーサクセスとカスタマーサポートについて詳しく解説します。
カスタマーサクセス | カスタマーサポート | |
---|---|---|
目的 | 成功体験の提供 | トラブルシューティング |
姿勢 | 能動的 | 受動的 |
指標 | LTV(顧客生涯価値) 解約率 | 対応回数・対応スピード |
ゴール | 顧客の成功 | トラブルの解決 |
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カスタマーサポートとの違い
カスタマーサクセスは能動的
カスタマーサクセスは顧客の成功を追求し、サービス提供側が積極的なアクションを起こします。単に顧客からの問い合わせに対応するだけでなく、顧客を指導・サポートし、成果を最大化するために主導的に取り組みます。
サービス提供側は顧客のニーズや目標を把握し、適切な情報やトレーニングを提供して、成功への道筋を示します。このアプローチは、長期的な顧客関係の構築に大きく寄与し、顧客の満足度と忠誠心を高めます。
カスタマーサクセスは顧客との連携を重視し、顧客の成功を支援することで、持続可能なビジネス成長に貢献します。
カスタマーサポートは受動的
カスタマーサポートは、顧客が何らかの問題を抱えて問い合わせをしてきた際に、対応策を提供する役割を果たします。カスタマーサクセスのような能動的なアプローチではなく、受動的なサポートを行います。
カスタマーサポートの目的は、顧客の問題解決と満足度向上です。顧客からの要求や問題に対処することが中心であるため、製品・サービスに関する知識はもちろん、高度なコミュニケーション能力や問題解決能力が求められます。
カスタマーサクセスが注目される背景
カスタマーサクセスは、近年特に注目されている職種です。顧客の満足度や成功が企業の競争力に直結し、従来の取引から長期的なパートナーシップへのシフトが求められているためです。ここでは、カスタマーサクセスが注目される背景について解説します。
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カスタマーサクセスが注目される背景
サブスクリプション型ビジネスの成長
カスタマーサクセスが注目される背景には、サブスクリプション型ビジネスの成長があります。サブスクリプション型は従来の買い切り型とは異なり、低価格で手軽に契約でき、解約も容易です。しかし、それゆえに簡単に他社に乗り換えできるため、競争が激化します。
カスタマーサクセスは、顧客と長期的な関係を築いてロイヤリティを向上させるアプローチであることから、解約・乗り換え防止に効果的です。顧客に満足と成功を提供し続けることで、定期的な料金が発生するサービスでも利用を継続してもらいやすくなります。
CX向上のため
CXの向上が重視されていることも、カスタマーサクセスが注目される理由の1つです。CX(Customer Experience)とは、顧客が商品やサービスを利用する際の全体的な体験のことです。
近年、消費者は単なる「モノ」としての製品だけでなく、購入から利用までのプロセスや感じる価値に注目し、総合的な満足度を求める「コト」重視の傾向となっています。
カスタマーサクセスは、顧客との強固な関係を築き、顧客の目標達成と満足度向上を支援することで、優れたCXを提供します。顧客との密なコミュニケーションにより、適切なガイダンスやサポートを提供することでCXを向上させ、売上の拡大へ繋げます。
カスタマーサクセスの仕事内容
カスタマーサクセスの仕事は、上述のように顧客の成功体験のサポートです。具体的には、導入の支援・定着の支援・活用拡大の支援といった業務を行います。以下で段階ごとに詳しく解説します。
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カスタマーサクセスの仕事内容
オンボーディング
オンボーディングとは、顧客が商品やサービスを自力で使いこなせるよう導入を支援する段階です。初期設定を完了させたり、基本的な操作方法をレクチャーしたりといった業務があります。
導入でつまずくと、顧客は長期的にサービスを利用するどころか、すぐに解約してしまうリスクもあります。そのため、オンボーディングは非常に重要なフェーズです。基本的な使い方を理解することで、顧客は商品やサービスの価値を感じる段階へ進むことができます。
活用方法の提案・解約の防止
導入が成功したら、次は活用方法を提案して解約を防止します。顧客に何か困ったことはないかヒアリングを行い、問題解決に向けた提案をしていくことが重要です。また、どのように活用すれば効果的かを指南し、サービスが定着するよう促します。
ウェビナーの開催も効果的です。ウェビナーとはWeb上で行うセミナーのことで、顧客の成功に向けたさまざまなテーマを取り扱うことができます。顧客が自身の成功をイメージできるようサポートしましょう。
活用を拡大させる
活用方法が顧客に浸透したあとは、さらに拡大できるようサポートを行います。顧客ニーズにより適合した追加サービスや、現状よりも高額なプランの提案などが有効です。顧客一人ひとりに合った提案ができれば、信頼関係も構築しやすくなります。
また、契約更新のタイミングで解約されるケースが多いため、契約更新が近づいている顧客のケアも重要です。活用状況を把握し、継続してもらうためのアプローチを考えます。
カスタマーサクセスに向いている人
カスタマーサクセスの仕事に向いているのは、顧客に寄り添う気持ちや成功に導きたいという情熱が持てる人です。さまざまな顧客とのやりとりが発生するため、献身的な姿勢と高いコミュニケーション能力が重要となります。
また、商品やサービスに関する知識が必要になるため、日々学習する意欲があるかどうかもポイントです。最適な利用方法を顧客に提案するには、扱うサービスについて深く知っている必要があります。さらに、これらを分かりやすく説明する能力も求められます。
カスタマーサクセスのKPI
KPI(Key Performance Indicator)は、ビジネスの成功を測定し評価するための指標です。組織が設定した目標や戦略が達成されているかどうかを確認するために使用されます。 以下に、カスタマーサクセスにおいて設定されるKPIについて解説します。
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カスタマーサクセスのKPI
解約率(チャーンレート)
カスタマーサクセスにおいての重要なKPIの一つが解約率(チャーンレート)です。特にサブスクリプション型ビジネスでは、顧客がサービスをどれだけ長期間利用し続けるかが成功のポイントとなります。
解約率の低下は、顧客の満足度と忠誠度の向上を示し、カスタマーサクセスの効果的な支援を証明します。したがって、解約率のモニタリングと削減はビジネス戦略の重要な要素となります。
LTV(顧客生涯価値)
LTV(Life Time Value)とは、ある顧客が製品・サービスの利用を開始してから終了するまでの期間に、自社がその顧客から得られる利益はどれだけあるかを表す指標です。
LTVは、長期的な顧客関係の価値を理解し、戦略やリソースの最適な配分に役立ちます。
カスタマーサクセスの目標は、顧客が長期間にわたって企業の製品やサービスを活用し、満足度を保ち、継続的な価値を感じることです。LTVは、顧客関係の健全さを測る手段として利用され、長期的な収益の見通しを提供します。
アップセル率・クロスセル率
アップセル率は、既存の顧客に対して、より高価な製品やサービスを提案して販売する割合を示す指標です。一方、クロスセル率は、既存の顧客に対して、すでに購入した製品やサービスに関連する別の製品やサービスを提案して販売する割合を示します。
アップセルやクロスセルを実現することは、収益を増加させる効果的な方法であり、同時に顧客満足度を向上させ、長期的な顧客関係を強化する手段でもあります。カスタマーサクセスにおいても、自社のサポートの質を測る重要なKPIとなります。
NPS(Net Promoter Score)
NPS(Net Promoter Score)は、顧客の満足度とロイヤルティを測るための指標で、顧客が企業や製品をどれだけ積極的に他の人に勧めるかを示します。
カスタマーサクセスに取り組むにあたっても、NPSは重要なKPIです。高いNPSは、顧客の満足度と忠誠心の高さを示し、良好な顧客関係を反映します。顧客が企業を他人に勧める意欲が高いほど、新規顧客獲得の増加が見込め、長期的な売上拡大に繋がります。
カスタマーサクセスのメリット・効果
カスタマーサクセスが機能することには、多くのメリットと効果があります。顧客満足度が向上し、長期的な顧客関係が築かれると同時に、ビジネス全体にポジティブな影響を及ぼします。ここでは、カスタマーサクセスのメリットと効果について解説します。
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カスタマーサクセスのメリット・効果
解約率の減少
サービス提供側からの積極的なコミュニケーションは、顧客のニーズや課題を把握し、適切なサポートを提供する機会を提供します。定期的なフォローアップや問題解決の取り組みにより、顧客の不満や誤解を早期に解消し、満足度を高めることができます。
これにより、顧客は製品・サービスへの関心を維持し、解約の意思が減少します。また、信頼関係が築かれることで顧客は競合他社への移行を選択しにくくなり、長期的なビジネス関係が確立され、解約率が低下する効果があります。
顧客ロイヤリティの向上
カスタマーサクセスによる問題解決やサポートは、商品・サービスだけでなく企業そのものへの愛着や信頼を高める効果もあります。カスタマーサクセスを通じて、企業が持つ価値観や使命感に共感してもらうことで、顧客のロイヤリティを向上させます。
自社と強い結びつきは他社への乗り換えや解約を防止し、長期に渡るサービスの利用を促すことが可能です。顧客ロイヤリティの向上は、自社の安定的な収益や継続的な成長に繋がります。
LTVの最大化
カスタマーサクセスは、LTVの最大化にも繋がります。アップセル・クロスセルを促すことで、1人の顧客から得られる収益を増加させることが可能です。顧客と強固な信頼関係が築けていれば、料金が高くなるプランや商品も提案しやすくなります。
多くの顧客のLTVを最大化できれば、自ずと収益も増加します。積極的にカスタマーサクセスに取り組むことで顧客に自社サービスの価値を感じてもらい、追加購入やプランのアップグレードを促しましょう。
カスタマーサクセスに向けた施策例
効果的なカスタマーサクセスを実現するためには、幅広い施策が必要です。顧客のニーズと期待に合わせたカスタマイズされたサポートを提供し、長期的な関係を築くことが重要です。以下、カスタマーサクセスに向けた施策例を解説します。
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カスタマーサクセスに向けた施策例
導入・活用のサポート
サービス導入時に顧客との面談を行い、ニーズや課題を理解することは、カスタマーサクセスの基盤を築く重要なステップです。顧客がサービスの使い方や機能を適切に理解し、最大限に活用できるようサポートすることで、顧客満足度が向上します。
適切なタイミングで機能を紹介し、顧客のニーズに対応するカスタマイズされたガイダンスを提供することで、顧客はサービスの価値を実感しやすくなります。
コミュニティの運営
ユーザーコミュニティの運営は、カスタマーサクセスを強化する効果的な手段です。ユーザー同士が課題や成功事例を共有し、知識や経験を交換できる場を提供しましょう。
ユーザー同士のコミュニケーションは、新たな解決策を見つける助けとなり、サービスを最大限に活用できるよう支援します。また、コミュニティは顧客と企業のコミュニケーションの場でもあり、企業は顧客の声を直接収集し、製品の改善に役立てることができます。
サービス利用のモニタリング
ログイン頻度やユーザー数をトラッキングすることで、顧客の行動とサービス利用状況を把握できます。高いログイン頻度や多くのユーザーは、サービスの価値を反映し、満足度が高いことを示します。逆に、低い利用率は課題や興味の欠如を示し、改善の機会となります。
これらのデータを活用して、カスタマーサクセスチームは個々の顧客に合わせたサポート戦略を展開できます。
アクティブなユーザーには新機能や最適化の情報を提供し、満足度を高め、ロイヤルティを促進します。一方で、不活発なユーザーには課題解決やカスタマイズの支援を提供し、再度サービスを活用してもらえるようアプローチを調整します。
カスタマーサクセスを成功させるためのポイント
カスタマーサクセスを成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。以下の点に気をつけることで、失敗を防いで、より効果的な施策に取り組むことができます。ここでは、カスタマーサクセスを成功させるためのポイントについて解説します。
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カスタマーサクセスを成功させるためのポイント
顧客の課題が解決できるか見極める
サービスを提案する前に、顧客のニーズとサービスが適合しているか確認しましょう。契約後のミスマッチは満足度低下やトラブルを引き起こし、自社の信頼損失を招く可能性があります。
的確なアプローチと適切な提案により、顧客満足度を向上でき、売上拡大にも繋がります。双方にとってプラスとなる結果を確保するには、顧客の抱える課題を自社のサービスで本当に解決できるのか、よく検討することが重要です。
CRMを導入する
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客との関係性を一元的に管理し、売上や顧客ロイヤリティの向上を目指す経営手法です。CRMシステムは、顧客のデータを収集・管理・分析し、より良い顧客体験を提供するための基盤を提供します。
顧客データの収集と分析を通じて、顧客のニーズや好み、購買履歴を理解できます。これにより、個別の対応やカスタマイズされた提案が可能になり、顧客が価値を感じることが増えます。
CRMを活用することで、カスタマーサクセスチームは顧客のニーズに合わせた戦略を展開し、効果的なコミュニケーションやサポートを提供できます。
CRMとは?初心者向けに導入のメリット・デメリットと機能を解説
CRMシステムとは、利益の最大化を目的に顧客との関係性を管理することを指します。この記事では、顧客関係管理やマネジメントを自動化・効率化してくれるCRMシステムの主な機能やシステム導入によるメリット・デメリット、導入の際に選ぶポイントを解説します。
まとめ
カスタマーサクセスは、顧客との長期的な関係を築き、満足度やロイヤルティを高める重要な戦略です。顧客ニーズを理解し、アクティブなコミュニケーションや適切なサポートを提供することで、顧客の成功を支援します。
カスタマーサクセスは、LTVやアップセル率・クロスセル率、NPSなどのKPIを通じて評価されます。カスタマーサクセスを成功させるためには、顧客の課題が解決できるサービスを見極めることが重要です。また、CRMを活用することで顧客の成功体験を促進します。
カスタマーサクセスを展開し、顧客成功体験を提供することで、長期的な顧客関係を築き、ビジネスの成長に繋げることができるでしょう。
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