基幹システムのDX化とは?レガシーシステムの問題なども解説
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- DXは、IT技術を用いてレガシーシステムから脱却し、ビジネスモデルの変革を行うこと
- カスタマイズが繰り返されてレガシー化した基幹システムはさまざまな問題を抱えている
- DX・2025年の崖問題に対応するには、システムの再構築やクラウドERP導入がおすすめ
レガシー化した基幹システムを継続使用していると、データの利活用や保守などに問題が生じ、DXの推進が困難になります。本記事では、DXと基幹システムの概要やレガシーシステムが抱える問題、DXを進めるための基幹システムにおける対応や目的について解説しています。
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DX・基幹システムとは
デジタル化が進んでいる現代において、DX化促進のための基幹システムの刷新が求められていますが、利用中の基幹システムに不満や問題点がない場合はどのような対応が必要なのでしょうか。まずは、DXと基幹システムについてわかりやすく解説します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略で、AIやIoTをはじめとするデジタル技術を社会に浸透させ、生活をより良いものに変化・変革させることを表します。データやIT技術の進化によって、日々私たちの生活が豊かになっています。
企業でも、激しく変化するビジネス環境に対応するために、DX化が求められています。DX化とは、デジタル技術を活用して業務プロセス・製品・サービス・ビジネスモデルなどさまざまな業務を改善し、競争上の優位性を確立することです。
具体的な例としては、これまで手作業で行っていた作業をDXツールを用いて自動化し、業務の効率化を図ることなどが挙げられます。
このようにDX化を推進したい企業も多いですが、DX化には課題が多いです。例えば、既存システムが事業部門ごとに構築されているため、全社横断的なデータを活用できず、過剰なカスタマイズによって複雑化・ブラックボックス化しているという問題を抱えています。
上記のような課題を克服できない場合、2025年以降に最大12兆円、現在の約3倍の経済損失が生じる可能性があると2018年に経済産業省が発表しています。これを「2025年の崖」と呼んでおり、課題に対応するための対策を行う必要があります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは|課題や手順を解説
DXは、デジタル技術によりビジネススタイルを変えていくものです。日本でも浸透し始めてきていますが、推進の遅れの課題が残っています。本記事では、DXが求められる理由と、DXができることやDXを支えるデジタル技術の他、DX推進を成功させるポイントを解説します。
参考:DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜|経済産業省
基幹システムとは
基幹システムとは、在庫管理・販売管理・製造管理など企業の基幹業務を効率化するシステムです。「基幹」とは、主要部分という意味があり、製造業なら生産管理、小売業なら販売在庫管理など事業の中心となる業務のことを指します。
基幹システムは、事業の主要部分のデータを扱う重要なシステムとなるため、DXを推進する上で欠かせないシステムです。主要な業務を管理する重要なシステムのため、24時間365日稼働している必要があり、安定性と正確さが求められています。
基幹システムが複雑化・ブラックボックス化していたり、適正にデータを活用できていなかったりする場合は、基幹システムの見直しが必要不可欠です。
基幹システムとは、販売管理・在庫管理・会計など、企業の基幹となる業務を効率化するためのシステムのことです。基幹システムの導入で、業務の効率化や標準化に繋がります。本記事では、基幹システムのメリットや選び方、基幹システムのクラウド化などについて解説しています。
レガシーシステムが抱える問題点
レガシーシステムとは、過去の技術や仕組みによって構築されるシステムを指す用語で、老朽化したシステムのことです。
レガシーシステムがDXの妨げになっているといわれており、レガシーシステムの問題点を解決しなければ、さまざまな問題が起きる可能性があります。ここでは、レガシーシステムが抱える問題点について詳しく解説します。
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レガシーシステムが抱える問題点
社内でデータの利活用が難しい
レガシ―システムは、社内でデータの利活用を行うのが難しい点が問題となっています。個別の業務の最適化を優先した結果、システムが複雑化し、社内全体のデータの利活用が上手くできていない企業が多くあります。
多くのレガシーシステムは、その都度部分で最適化のために修正されているため、データを管理できる人材が限られています。また、多数の修正を加えることによってシステム自体が肥大化しているため、業務の遅延や停滞を起こす可能性もあります。
現行システムの問題を見つけにくい
部分的な修正を何度も施されたレガシーシステムは、システム自体の問題を見つけにくいといわれています。レガシー化したシステムは、古い技術を利用しているシステムが多く、新しい技術やデバイスに対応できないケースが少なくありません。
その結果、現行システムの問題を見つけにくい状態となります。それらに対応するためにさまざまな修正を変更を行えば、他のシステムなどと連携しにくかったり、使いにくくなったりとブラックボックス化するケースがあります。
システムトラブルや情報漏えいが起きやすい
レガシーシステムは、トラブルや情報漏洩などが起きやすいという問題を抱えています。先述したようにブラックボックス化したレガシーシステムは問題点が見つけにくいため、大きなトラブルに発展する可能性が高いです。
情報漏洩が起きれば企業としての信用を失い、炎上によって利益が大幅に低下する可能性もあるため、レガシーシステムが抱える問題は非常に大きいと言えます。
運用や保守が難しい
レガシーシステムは、運用や保守が難しいのも問題点です。なぜなら、レガシーシステムの保守や運用費が高騰しており、保守・運用に十分なコストや人材を割けないためです。
老朽化が進んでいるレガシーシステムは、不具合が発生する回数も多くなるため、運用にかかるコストは増え続けていくことが予想されます。
また、レガシーシステムの中には、COBOLという言語を使用して構築されたシステムがあります。しかし、現代ではオープン化が進んでおり、COBOLが使用された開発・運用に対応できる若者は少ないのが現状です。
そのため、レガシーシステムを運用できる人材が限られているため、人材の雇用維持や新規採用などにもコストがかかってしまいます。
データを一元管理できない
レガシーシステムの場合、会計管理システム・在庫管理システム・販売管理システムなど、各部門の基幹システムが別々の提供形態で導入され、統合されていない状態で動作しているケースも多いです。
各システムは自社にとって有益なものでも、DX化においてはデータのリアルタイムな一元化が重視されるため、このままではDX化を実現できない恐れがあります。その場合、データを共通のプラットフォームに集約させて一元化する仕組みが必要です。
しかし、レガシーシステムはシステム自体の老朽化や度重なる修正によるシステムの複雑化、システム構築に関わったエンジニアの高齢化などの理由により、データの一元化に対応させられないケースも多く、その場合、システム自体の入れ替えが必要となります。
SAPの保守サービス終了
SAPシステムとは、ドイツに本社を置くSAP社が開発・提供するERPパッケージのことです。世界トップクラスシェアのSAPシステムの保守期間が2027年で終了するため、SAPシステムを利用する企業はシステム変更の対応を迫られています。
これを「SAP2027年問題」と呼んでおり、「SAP S/4HANA」への移行、「SAP ERP6.0」の継続利用、その他のシステムの移行などに対応しなければいけません。継続利用も可能ですが、保守期間が終了するため、セキュリティ面に懸念が残ります。
2025年の崖問題に対応できない
「2025年の崖」は、経済産業省のDXレポートで提示されています。前述してきたようなレガシーシステムの課題を解決できなかった場合、レガシーシステムの存在が企業のDX化を妨げるだけでなく、デジタル競争の敗者となる恐れがあることを懸念する問題です。
レガシーシステムの存在による企業の経済的損失が、2025年以降最大で年間12兆円にのぼるとも想定されていることから、「2025年の崖」と呼ばれています。企業はこの問題を正しく理解し、早急かつ適切な対策を講じることが求められます。
参考:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~|経済産業省
DX化を進めるための基幹システムの要件
DX化を進めるためには、リアルタイムなデータ処理やクラウドとの連携などの要件を押さえていることが大切です。以下でそれぞれの要件についてやメリットについて解説します。
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DX化を進めるための基幹システムの要件
リアルタイムなデータ処理
DX化を進めるためには、リアルタイムなデータ処理が可能な基幹システムが必要です。多くの情報をリアルタイムでデータ処理することで、即時に情報を分析し、問題点を洗い出したりマーケティングに活用したりすることが可能になります。
レガシーシステムは、月次・週次・日次などでプログラムの実行が行われているシステムも多く、現代に対応しきれていないのが問題です。この問題に対応していくためには、数秒~数分単位で、リアルタイムなデータ処理が行えるシステムを選ぶ必要があります。
クラウドとの連携
DX化に対応していくためには、クラウドとの連携が求められます。クラウドシステムは、従来のオンプレミスよりも他システムやサービスの連携をスピーディーに行うことが可能です。
また、クラウドシステムは、オンプレミスに比べて管理コストや運用負担を軽減できるのもメリットです。システムの再構築などもベンダーが行うため、常に最新の状況で外部との共有なども手軽にできるようになります。
ビッグデータの活用
ビッグデータとは、巨大で複雑なデータの集合を表します。基幹システムはあらゆる情報を収集・保管・共有・解析しており、それらを活用することで、顧客行動やフィードバックなどより細かな情報を分析できるようになります。
DXを推進していくには、ビックデータを活用できる基幹システムを選び、アイデアを生み出す行動が必要です。基幹システムによってビッグデータを活用し、新たな商品やサービス・ビジネスモデルなどを構築することが、新しい付加価値の創出に繋がります。
DXを推進するための方法
2025年の崖問題に対応し、DXを推進するためには、基幹システムの再構築やクラウドERPの導入をすることをおすすめします。ここからは、それぞれの概要やメリットについて解説します。
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DXを推進するための方法
基幹システムの再構築
DXを推進させるには、基幹システムの再構築を行う必要があります。基幹システムの再構築によって、データが一元管理できるようになり、業務の効率化やシステムの複雑化、ブラックボックス化から回避・脱却できます。
基幹システム再構築には、再構築の目的を明確にすることが大切です。例えばDX化実現のために、「現行のシステムでは業務改革が困難であり、その対処法として基幹システム再構築を行う」という目的を全社で共有する必要があります。
また、現行システムの課題を洗い出し、その課題に対応できるシステムを構築することも重要なポイントです。新しいシステムを導入するだけでは、本来の問題を改善できず、新しい技術に移行しただけで再構築に失敗する可能性もあります。
再構築作業と並行しながら、導入指導や教育なども行い、新システムが素早く浸透するように促すことも必要です。
基幹システムを再構築するには
自社にシステム開発経験のある人材がいれば自社内で再構築できますが、経験が乏しい場合はシステムのクオリティが下がってしまいます。また、運用保守の人員を再構築に回す場合、現行システムの運用保守の人手が減ります。
運用保守の人手が不足することで、安定したシステム利用ができなくなる可能性があります。自社内での再構築が難しい場合は、外注するのがおすすめです。
クラウドERPの導入
速やかにDX化を推進させるには、クラウド型ERPの導入もおすすめです。クラウド型ERPとは、クラウド上で製造・物流・調達・販売・在庫などのさまざまな情報を一元管理できるシステムです。
クラウドEPRでは、企業全体のリアルタイムの情報が把握でき、経営戦略や意思決定などにスピーディーに活かせるようになります。また、サーバー等の準備などの手間もなく、比較的低コストかつ短期間で導入できるのもメリットです。
最近では、クラウドシステムの利便性の高さから、DX化を目的にクラウドERPを導入する企業が増えています。他システムの連携もスムーズで、運用・保守などの業務もベンダー側での対応となるため、運用・保守にかかるコストの削減にも繋がります。
次世代の基幹システムには何が求められる?
DX化を推進させるにあたって、次世代の基幹システムに求められる要素として以下のような項目があげられます。
項目 | 評価のポイント |
---|---|
接続容易性 | 多様なシステム・サービスとの連携や接続が容易 |
プロセスの可視性 | 業務を一気通貫で把握でき問題点を把握できる |
AI可用性 | AIの活用により業務の効率化につなげる |
適用性 | 必要なデータを適したタイミングで利用できる |
まとめ
DXとは、IT技術を用いてレガシーシステムから脱却・ビジネスモデルの改変を行うことを指します。カスタマイズが繰り返されたことによって複雑化・ブラックボックス化したシステムは多くの問題を抱えています。
DXを推進する際は、本記事の基幹システムを導入する際の要件や、DXを推進するための方法などを参考に、問題解決や業務効率化といったシステムのメリットを実感できる環境作りを行いましょう。
DX・2025年の崖問題に対応するには、システムの再構築やクラウドERPの導入がおすすめです。本記事の問題点などを参考に、レガシーシステムの問題に向き合い、変化する現代に対応できるシステムを構築しましょう。
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