ペーパーレス会議システムとは?主な機能やメリット・デメリット解説

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  • ペーパーレス会議システムは、紙の資料をデジタル化することで会議全体を円滑化する
  • データの管理・保管がしやすく、直前のデータ差し替えが可能な点などが大きなメリット
  • 導入前に社内全体へ必要性を浸透させることや、段階的なペーパーレス化の実施が重要

ペーパーレス会議システムは、紙の代わりにPCやタブレット端末の画面上で会議資料の閲覧ができ、業務効率化につながるシステムです。本記事では、ペーパーレス会議システムの主な機能や導入によるメリット・デメリット、システム選びの比較ポイントなどについて解説します。

目次

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  1. ペーパーレス会議システムとは
  2. ペーパーレス会議システムの主な機能
  3. ペーパーレス会議システム導入のメリット
  4. ペーパーレス会議システム導入のデメリット
  5. ペーパーレス会議を失敗させないためのポイント
  6. ペーパーレス会議システムを選ぶ際の比較ポイント
  7. まとめ

ペーパーレス会議システムとは

ペーパーレス会議システムとは、紙の資料を使わずにデジタル化された資料を用いて行う会議システムのことです。紙の代わりに、PCやタブレット端末を使って資料を閲覧しながら会議を行います。

従来は、会議の前にデータを紙に印刷し、一部ずつホチキス留めするなどの作業が必要でした。一方、ペーパーレス会議システムでは、紙を使用しないことにより印刷コストの削減が可能です。さらに、準備にかかる手間や時間が必要なく、業務の効率化にもつながります。

また、データを暗号化する機能が備わっている場合も多く、情報漏洩のリスクを低減するのもメリットの1つです。これらのことから、重要な資料を大量に扱う行政機関や自治体などでも、ペーパーレス会議システムの導入が進んでいます。

ペーパーレス会議システムの2つのタイプ

ペーパーレス会議システムには、搭載されている機能によって2つのタイプが存在します。「管理機能・セキュリティに特化したタイプ」と「オンライン会議に特化したタイプ」です。

どちらの特徴も把握した上で、システムの特性を理解していくと、効果的なシステムの運用が行えます。

管理機能・セキュリティに特化したタイプ

データ化された資料を用いて会議を行う際、資料をすぐに表示・検索できると時間効率を上げることができます。例えば、事前に会議に参加するメンバーに対してデータ共有を行っておけば、会議では資料を配る作業を減らすことができます。

そして、管理機能に特化したタイプのペーパーレス会議システムでは、会議中でも容易に資料の検索を行うことができます。また、セキュリティ面においても、パスワード設定や閲覧制限などによって十分なセキュリティ対策の強化を行うことが可能です。

オンライン会議に特化したタイプ

現代では、対面式のオフラインでの会議だけでなく、テレワークなどの推進によってオンライン会議も主流となっています。そのような中、オンライン会議に特化したタイプのペーパーレス会議システムでは、より会議を円滑に進めるための機能が充実しています。

例えば、画面共有機能によって、参加者が操作を行わずに資料の提供を行えたり、ビデオ通話機能を活用しながら、2画面表示によるオンライン会議を行うことができたりします。つまり、複数のシステムを同時に利用せず、利便性の向上・コスト削減にもつながります。

ペーパーレス会議システムの主な機能

ペーパーレス会議システムは、会議の資料の準備にかかる手間と時間を低減してくれるだけでなく、会議をスムーズに行うための機能が多く搭載されています。

例えば、会議の参加者への招集メールを送信し、出欠がひと目で把握できるため、参加者の管理がしやすいです。そして、会議で使う資料はフォルダ共有機能を使えば、一括で配布ができます。

また、閲覧や操作の権限を設定すれば、不正なアクセスを制限できるため、セキュリティ対策にもなり安心です。

機能名概要
会議参加機能・会議への招集メールや通知を送信する
・参加者の把握、管理ができる
資料配布機能・フォルダ共有機能により、資料やドキュメントを一括配布できる
・ファイル共有機能により、特定のグループの人が閲覧、ダウンロード、編集ができる
資料の閲覧・操作権限の設定機能・閲覧権限機能により、閲覧を特定の人物に設定できる
・操作権限機能により、不正アクセスを防止できる
資料の並列表示機能・並列表示機能により、ページをめくったり、スライドを切り替えたりなど、参加者全員の端末で同じ動きができる
・資料への書き込みが同時共有できる
個人メモ機能・本人だけが閲覧可能なメモを残せる
・ペンや消しゴム機能により、紙と同じようにメモできる
会議資料の保管機能・会議後に資料をデジタル保管できる
・不要の場合、一括削除ができる

ペーパーレス会議システム導入のメリット

さまざまな機能が搭載されているペーパーレス会議システムは、導入することでいくつかのメリットを得られます。ここからは、ペーパーレス会議システムを導入することで得られるメリットについて、具体的な例を挙げて紹介します。

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会議準備の業務負荷軽減

ペーパーレス会議システムは、事前に作成した共有フォルダに資料をアップロードできるため、紙に印刷する手間がかかりません。従来の紙媒体を中心とした方法では、紙に印刷した後にホチキスで閉じ、会議が始まる前に資料を配布するという手間がかかっていました。

しかし、ペーパーレス会議システムは、資料をデジタル化しているため、紙の資料を準備する手間や時間が必要なくなり、業務の負担軽減につながります。

会議進行のしやすさ

デジタル化された資料は、会議の前に配布することが可能なため、事前に会議の内容を把握できることにより、会議の進行がスムーズになります

そして、紙の資料は文字や図が小さく見づらいこともありますが、デジタル化されていれば、PCやタブレット端末の画面で簡単に拡大できるため、資料が見づらくなることもありません。

また、紙の資料を使った会議では、どの部分を説明しているのか、視覚的にわかりにくくなる場合が多いです。しかし、デジタル化された資料は、進行に合わせた資料の共有中に、PCやタブレット端末の画面でメモ書きもできるため、意思の疎通が図りやすくなります。

さらに、デジタル化は共有できる資料の幅広さも魅力です。具体的には、テキストファイルだけでなく、画像ファイルや動画ファイルなどの形式も共有できます。これにより、スライドのプレビューも可能になり、より高レベルなプレゼンテーションに期待できます。

セキュリティの強化

ペーパーレス会議システムで使う資料は、PCやタブレット端末を起動して閲覧します。そのため、パスワードやアクセス権限を設定し、閲覧や不正アクセスを制限することが可能です。

そのため、紙の資料には紛失や盗難などによる情報漏洩のリスクを伴いますが、デジタル化された資料はパスワードを知らない人が簡単に閲覧することはできません。

また、会議後は自動的にデータを削除する機能やデジタル端末にデータが残らない機能などもあり、情報漏洩のリスクを低減できます。

紙や印刷代などのコスト削減

会議の資料をすべてペーパーレス化することによって、紙に印刷するためにかかっていたコストを削減できます。

紙の資料では、紛失や盗難などによる情報漏洩のリスクを伴いますが、デジタル化された資料は、パスワードを知らない人や閲覧権限のない人が簡単に閲覧することはできません。

また、会議後に自動でデータを削除する機能や、デジタル端末にバックアップデータが残らない機能などもあり、情報漏洩のリスクを低減できます。

資料やデータの差し替えも可能

会議の資料をすべてペーパーレス化することによって、紙に印刷するためにかかっていたコストを削減できます。紙の資料は、用紙代や印刷機のインク代・トナー代、保管スペースや機密文書の廃棄代など、さまざまなコストがかかるのがデメリットです。

そのため、ペーパーレス化でこれらの費用が削減できるのは、企業にとって大きなメリットといえます。

遠隔地でも会議が可能

ペーパーレス会議システムは、オンライン上でデータ共有しているため、資料やデータの差し替えが簡単にできます。対して、紙の資料は、ミスがあった場合は再度印刷が必要になったり、手書きで修正したりといった、手間とコストがかかる点が不便です。

特定の場所に集まる必要がないことから、交通費にかかるコストを削減し、海外との会議も容易になります。また、リモートワークや出張中でも手軽に会議に参加することが可能です。

資料を管理&保管しやすい

デジタル化された資料は、データとして保管していれば、カテゴリー別に分類することができ、容易に管理がしやすいです。そのため、過去の資料が必要になった場合には、テキスト検索でデータが簡単に見つけられます。

さらに、紙の資料のように、ファイリングする手間や、必要な書類を探す時間を削減できるのも使いやすいポイントです。資料を保管するスペースも必要ないため、紙の資料よりも利便性が高いといえます。

また、紙の資料を繰り返し使用すると、変色や文字のかすれなどが起こり、文字が見にくくなることがあります。しかし、デジタル化されていれば、資料を繰り返し使用しても劣化する心配がありません。

ペーパーレス会議システム導入のデメリット

多くのメリットがあるペーパーレス会議システムですが、使い方によってはデメリットになる部分も存在します。ここからは、運用をスムーズに行うために、システム導入を検討する際に確認しておきたいことを解説します。

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紙と比較して一覧性に欠ける

PCやタブレット端末は、データを表示するディスプレイのサイズ・表示領域に制限があり、紙のように広げて見比べたり、複数ページを並べたりすることができません。

よって、必要な情報を閲覧するために他のファイルを開き直したり、該当の部分までスクロールしたりする必要があり、一覧性に欠けるというデメリットがあります。

その場合、大画面のディスプレイやプロジェクターを用意して、見やすくする工夫が必要になる場合もあるでしょう。

メモを取りづらい

ペーパーレス会議システムでは、デジタル化した資料が会議中のみ閲覧できるように設定されているケースがあります。

つまり、会議中に限定してPCやタブレット端末に共有されているため、参加者はその場でしか閲覧できず、投影資料に直接メモを取ることはできません。

ただし、会議中に限らない資料であれば、メモ機能を利用して自分で書き込むことが可能です。例えば、タッチパネルディスプレイを導入すれば、専用ペンや指を使って紙の資料のように書き込めます。

タブレット端末やツール操作などのITスキルが要求される

ペーパーレス会議システムを利用する際には、タブレット端末やツールの操作など、最低限のITスキルが要求されます。そのため、デジタル端末の扱いが不慣れな人は、ペーパーレス会議システムの導入に抵抗感を抱くかもしれません。

このように、利用者にスキル面での不安がある場合には、比較的操作が簡単なデジタル端末を選んだり、レベルに合わせた研修を行ったりなど、デジタル端末が苦手な人への配慮をする必要があります。

導入費用が必要

ペーパーレス会議システムは、初期費用や月額利用料金などのシステム運用費が必要です。さらに、会議に参加する人専用のデジタル端末がない場合は、その導入費用も必要となり、従来の対面会議にはなかったコストが発生します。

ただし、ファイル共有して資料の閲覧や編集、書き込みもできるため、紙の資料の準備にかかっていたコストについては大幅な削減が可能です。また、外部とのデータもペーパーレス化することで、交通費や接待費などの低減にもつながります。

ペーパーレス会議を失敗させないためのポイント

コスト削減やセキュリティの強化など、さまざまなメリットがあるペーパーレス会議ですが、思ったように進まないという課題を抱えるケースもあります。ここからは、ペーパーレス会議を失敗させないためのポイントを解説します。

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社内全体に必要性を理解してもらう

ペーパーレス会議を実施することによって、どのようなメリットがあるのか、どのような問題が解決できるのかなど、導入前には社内全体に必要性を理解してもらう必要があります。

例えば、紙の資料を作成する際の紙の使用量や印刷にかかるコスト、保管に必要なスペースなどを数値化すると、ペーパーレス化のメリットを共有しやすいです。これらを活用し、社員の業務効率化や作業の負担軽減について深く理解してもらいましょう。

段階的にペーパーレス化を導入する

ペーパーレス会議では、一気にデジタル化するのでなく、段階的にペーパーレス化していくことが大切です。仮に、従業員がシステムに慣れないうちに全てをペーパーレス化してしまうと、デジタル端末の操作やトラブルの対処に時間を取られてしまう可能性があります。

そのため、まずは参加人数が少ない会議や定例会議からペーパーレス化を試していきましょう。利用していく中で問題点を洗い出し、必要な点を改善していけば、大きな失敗をすることがなくスムーズに移行できます。

また、運用していく上でそれぞれが感じたメリットを共有して、徐々に広げていくことによって社内での理解度が高まるでしょう。

自社に合ったツールを選ぶ

ペーパーレス会議システムには、ツールによってさまざまな機能が搭載されているため、自社に合った機能を搭載したツールを選ぶ必要があります。

例えば、閲覧や管理に優れたタイプが必要な場合、デジタル化された資料の表示や検索などが素早くできるタイプがおすすめです。PDFへの自動変換が可能なものやファイルの一括ダウンロード機能が搭載されていれば、デジタル化された資料を共有しやすくなります。

また、会議の進行に優れたタイプを求めているなら、画面表示機能やホワイトボード機能などが搭載されたタイプが適しているでしょう。2画面表示で発表者の表情を見ながらもう一方で資料を閲覧し、ホワイトボードのようにその都度書き込みながら会議を進行できます。

このように、導入の目的を明確にして、必要な機能を洗い出すことによって、自社の要件を満たすツールが見つかりやすくなるでしょう。そして、必要に応じて機能を増やせるものであれば、導入後の利用目的の変化にも対応しやすくなります。

ペーパーレス会議システムを選ぶ際の比較ポイント

ペーパーレス会議システムは種類が多く、どのシステムを選べばよいか迷ってしまう場合も多いでしょう。ここでは、ペーパーレス会議システムを選ぶ際に注目すべきポイントを解説します。

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完全にペーパーレス化できるか

ペーパーレス会議システムを導入する際には、完全にペーパーレス化できるような機能を搭載したツールを選ぶ必要があります。例えば、資料に直接書き込んだりページを自由にめくれたりなど、紙と同じような使い勝手を実現する機能があると、利便性が高くなります。

対して、資料に書き込めないタイプのものは、自分でメモを取ったりプリントアウトしたりするケースも多くなり、使いづらさからペーパーレス化が浸透しにくくなります。

資料へのアクセスはしやすいか

ペーパーレス会議システムは、遠隔地からの参加も可能にするシステムです。そのため、社内外を問わず、ペーパーレス会議の参加者全員が資料へ簡単にアクセスできることが重要になります。

具体的には、資料を立ち上げるまでの時間が短く、開きたいページをすぐに開けるとストレスを感じずに利用しやすいです。

また、大量のファイルの中から目的の資料を数秒で探し出せたり、異体字や複数表記がある場合にも抽出できたりなど、検索機能が優れた製品もシステムの浸透につながりやすいです。

自社に適したシステムを導入すれば、リアルタイムな情報共有や素早い検索ができ、遠隔会議を行っても最新の情報にアクセスが可能になります。そして、リモートワーカーや海外との会議も容易になるでしょう。

誰でも直感的に使えるか

ペーパーレス化を進めるためには、ひと目でわかりやすいUIになっている、デジタル化された資料を簡単に操作できるなど、誰でも直感的に使えるシステムを導入する必要があります。

よって、導入前に無料プランを利用したり、チュートリアルを閲覧したり、実際の使用シーンを想定して製品の操作性を試すようにしましょう。中でも、無料期間が設定されているものは、その間に試したいことを終えられるように、テスト計画を立てておくと便利です。

会議資料を管理・共有しやすいか

ペーパーレス会議システムを導入する際には、会議資料の管理や共有のしやすさについても確認しておく必要があります。

その理由は、デジタル化された資料は、過去の資料と関連付けられていない場合、取り出せないケースがあるからです。この場合、会議中に過去の資料を参照したり比較したりできなくなってしまいます。

よって、会議の効率を上げるためにも、必要な資料をいつでも取り出せる製品を選ぶことが大切です。

Web会議システムと連携可能か

遠隔会議をする場合は、Web会議システムと連携できるかが重要なポイントです。特に、ペーパーレス会議システムは、資料をデジタル化して共有することをメインとしているため、Web会議システムと連携可能な製品が多くあります。

また、遠隔会議には、Web会議システムにペーパーレス機能が搭載されている製品もおすすめです。そして、Web会議を運営しやすくする要素が追加されたシステムや、複数人での書き込みやポインティングなどの操作が可能な製品もあります。

セキュリティは万全か

ペーパーレス会議システムを導入する際には、データの保管方法に加えて、データの暗号化方式やアクセス管理の機能も事前に確認する必要があります。

例えば、会議情報を暗号化してサーバーで一元管理するタイプなら、デジタル端末にデータを残さないため、資料の漏洩を防げます。

また、閲覧を特定の人に制限する閲覧権限機能や、社外からはアクセスできないようにするアクセス制限機能が搭載されていれば、セキュリティ面でも安全に利用できるでしょう。

拡張性は高いか

ペーパーレス会議システムを導入する際は、小規模な会議から始めて、段階的に規模を大きくしていくと失敗しにくいです。そのため、必要に応じて、機能を追加できる拡張性の高い製品を選ぶのがおすすめです。

また、同時にアクセスが可能な人数についても、システムによって上限が設定されている場合が多いため注意が必要です。導入してから条件が合わなかったとならないように、最終的にどの程度の規模で活用するかを、導入前から想定しておきましょう。

まとめ

ペーパーレス会議システムは、資料をデジタル化し、PCやタブレット端末などを使って閲覧できるようにしたシステムです。システムの活用によって、紙の資料を準備する手間やコストが削減でき、業務の効率化にもつながります。

さらに、資料の閲覧や操作権限などを設定することにより、外部からの不正なアクセスを制限できるため、セキュリティ対策の強化ができるのも重要なポイントです。

ただし、デジタル端末の操作に不慣れな人は不便さを感じてしまうケースがあるため、利用に関する研修を行ったり、システムの導入段階的にしたりなどの工夫が必要になります。

システム選定の際には、閲覧や管理に優れたタイプか、会議を進行しやすいタイプかなど、自社の目的に合ったタイプを選ぶことが大切です。無料プランが利用できる場合は、操作性を事前に確かめて、自社に適切な製品を導入しましょう。

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