基幹システムの導入の進め方|導入時の注意点や費用・業務フローについてわかりやすく解説

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  • 基幹システムの導入を行う際は、導入チームの選定や要件定義が重要になる
  • 基幹システム導入の際は、セキュリティの見直しや従業員への説明・研修を行う
  • 基幹システムは、クラウド型とオンプレミス型によってかかるコストが異なる

基幹システムとは、販売管理や生産管理など、企業経営の核となる業務の効率化が期待できるシステムのことを言います。本記事では、基幹システムの導入を検討している方のために、基幹システムの導入の進め方・業務フローや導入時の注意点、提供形態ごとの導入費用についてわかりやすく解説しています。

目次

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  1. 基幹システムとは
  2. 基幹システム導入の進め方
  3. 基幹システムを導入する際の注意点
  4. 基幹システムにかかる導入費用
  5. まとめ

基幹システムとは

基幹システムとは、企業の主要な業務の効率化を図るシステムです。主に会計・人事・生産管理・販売管理などの核となる業務機能を効率化します。

基幹システム同士の連携により、一度の入力作業で複数のシステムに反映させることができますが、基本的には特定の業務を効率化させるために作成されています。

基幹システムとは?ERPとの違いやメリットなどをわかりやすく解説

基幹システムとは、販売管理・在庫管理・会計など、企業の基幹となる業務を効率化するためのシステムのことです。基幹システムの導入は、業務の効率化や標準化に繋がります。本記事では、基幹システムのメリットや選び方についてご紹介。ERP・業務システムとの違いやクラウド化についてもわかりやすく解説するので、是非参考にしてください。

基幹システムの種類

基幹システムは、目的や業務内容に応じてさまざまな種類に分けられます。企業にとって重要な業務を効率化する基幹システムの代表的なものを、以下の表にまとめました。システムごとに特定の業務を効率化するための機能が備わっていることがわかります。

基幹システムの種類内容
販売管理システム在庫管理・売上記録などの機能がある。商品の在庫状況をリアルタイムで追跡し、商品の売上や収益を記録する。
生産管理システム品質管理・生産データ分析などの機能がある。生産にかかるコストを計算し、生産データや効率性の指標を分析する。
人事管理システム従業員管理・教育管理などの機能がある。基本情報や職歴などの従業員データを管理し、従業員のスキルアップや研修活動の成果を管理する。
会計管理システム帳簿管理・給与計算などの機能がある。取引データを入力し、勘定科目ごとの仕訳帳や元帳を管理する。

ERPとの違い

基幹システムとよく混同されやすい「ERP(Enterprise Resource Planning=企業資源計画)」とは、企業の資源要素(ヒト・モノ・カネ・情報)を管理して活用するための考え方を指します。

この考え方をシステム化したものがERPシステムであり、一般的にはこのシステム自体をERPと呼びます。

基幹システムとERPはどちらも企業の基幹業務を効率化するためのものですが、基幹システムが特定の業務効率に特化しているのに対し、ERPは基幹システムを含むあらゆる企業内のデータを一元管理します。

ERPは異なる部署や業務におけるデータの連携が可能であるため、情報はリアルタイムに反映され、経営陣の意思決定が迅速になります。

基幹システムとERPの違いとは?企業の動向や導入方法もわかりやすく解説

基幹システムとERPは混同されがちですが、目的やカバーしている業務範囲が異なります。基幹システムが独立したシステムを指すのに対し、ERPはあらゆるシステムを一元管理できるものを指します。この記事では、基幹システムとERPの違いやメリットなどをわかりやすく解説します。

業務システムとの違い

業務システムとは、その名の通り業務に使用するシステムのことです。基本的には基幹システムやERP、情報システム等を含めた業務に使用するシステムの総称や、部門ごとに使用するシステムの総称が業務システムとされています。

しかし、会社やクライアントによっては定義が異なる場合もあるため、重要な説明の場合は齟齬がないよう定義を確認しましょう。詳しくは以下でも解説しています。

基幹システムと業務システムの違いとは|選ぶ際のポイントも解説

基幹システムと業務システムは、どちらも企業の業務を効率化してくれる主要システムですが、それぞれの目的や役割には違いがあります。本記事では、基幹システムと業務システムの違いやシステムを選ぶ際のポイント、ERPについてもわかりやすく解説します。

情報系システムとの違い

情報系システムは業務を便利にするために利用するものの、基幹業務には関連しないシステムのことです。具体的には、文書の管理システムやチャットツール・スケジュール管理のシステムなどが情報系システムにあたります。

基幹システムが停止すると基幹業務も停止し重大な影響が出てしまいますが、情報系システムが停止してもほかのシステムや方法を利用して業務を続けられるのが特徴です。

基幹系システムと情報系システムの違いとは│ERP導入についてもわかりやすく解説

基幹系システムと情報系システムはどちらも企業の業務を効率化させるシステムですが、目的やカバーしている業務範囲が異なります。この記事では基幹系システムと情報系システムの違いやそれぞれの具体例、運用の際に気を付けたいポイントをわかりやすく解説します。基幹系・情報系を一元管理できるERPについても紹介するので是非参考にしてください。

基幹システムを導入するメリット

基幹システムを導入することで、これまで手作業で行なっていた業務を自動化させることができるため、人的ミスや計算ミスがなくなり、データをより正確かつ効率的に一元管理できます。

例えば、基幹システムの種類には「販売管理システム」があり、それには在庫管理・受注管理・売上管理などがあり、さらに細分化すると、売上管理には売上入力・売上集計・売上データ出力などの業務ごとに項目が分けられ、複雑な管理を明瞭化します。

一度の入力作業でこういった複数データへの反映が可能であるため、データの入力や管理方法が標準化され、業務の属人化を防ぎます。

また、企業経営において、業務実績をすぐに確認できるため経営状況を把握しやすくなり、経営の改善や戦略の意思決定に大きく貢献します。経営の可視化は企業が生き残るためにも不可欠な要素です。

基幹システム導入の進め方

基幹システムの導入は、企業の重要な業務の効率化を実現するための効果的な手段です。以下に基幹システムの導入の進め方を解説します。

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導入チームを選定

基幹システムの導入は、企業全体の業務に大きな影響を及ぼすため、システム導入プロジェクトを立ち上げましょう。それに伴い、プロジェクトリーダーや関連部門、IT部門の担当者など、適切な人材の選定が必要になります。

適切なプロジェクトリーダーを選定することで、各部門の業務プロセスやニーズを正確に理解し、プロジェクトの目標を明確に設定し、計画から実施・運用までを効果的に進めることができます。

リーダーシップ・コミュニケーション能力・業務知識・技術スキルなど、それぞれの担当者が求められる役割に適した能力を持つ人材を選び、プロジェクトの円滑な進行と企業の業務改善・効率化の実現を支援しましょう。

導入目的や課題の整理

システム導入によるメリットを十分に得るためには、導入目的の明確化や自社の課題を整理することが重要です。業務プロセスの改善や顧客サービス向上など、何を達成したいのかを具体的に考えましょう。

明確な目標設定・課題の整理をすることができなければ、プロジェクトが方向性を失う可能性があります。

要件定義

基幹システム導入において、自社の業務フローと業務内容から、どのような機能が必要かや帳票の形式などの要件を事前に明確にすることは、効果的な業務改善とシステムの運用において非常に重要です。

まず、帳票の形式や表示内容を明確にすることで、システムが出力する情報の一貫性と正確性を保てます。各部門や関係者間で統一された帳票が利用されるため、情報の混乱や誤解を防ぐことが可能です。

また、業務フローと要件を的確にマッピングすることにより、どの部分でシステムの支援が最も必要かが明確になります。これにより、業務プロセスの最適化や効率化のために必要な機能を導入することができます。

システムを選定

基幹システム導入の際は、導入目的や要件の定義が完了した後、システムの選定を行います。業界内で有名なベンダーや導入実績の多いシステムを調査し、選択肢を絞りましょう。

選択肢を絞れたら、自社の要件に適合するかどうかを評価します。導入候補のベンダーには、導入に関する提案書の提出を依頼します。

提案書には、システムの提供機能・カスタマイズの可否・価格・導入計画などの情報が記載されているため、複数のベンダーから提案書を取得し、内容を比較検討しましょう。

提案書の内容を基に、各ベンダーの提案が自社の要件に合致しているか、コスト効率や実現可能かどうかを精査し、最適なシステムを選びましょう。

システムを構築

基幹システムの導入が完了した後は、まず要件定義を基にシステムの設計を行い、必要な機能やプロセスを開発します。この過程では、関連部門やユーザーとの連携を重視し、進捗を確認しながら進めていきましょう。

また、基幹システムと業務内容との整合性を保つためには、定例会議が非常に重要です。業務部門やユーザーとシステム開発・導入チームとの定期的な会議を通じて、システムの進捗状況や仕様変更、課題などを共有し合いましょう。

このコミュニケーションを通じて、業務内容とシステムの間に生じるギャップを早期に検出し、適切な対応を行うことができます。

各種テスト

テストはシステムの品質を保つために必ず実施しましょう。単体テストや結合テストなど、各種テストを実行することは、システムを効果的に運用するために極めて重要です。

単体テストでは、システムの各モジュールを個別にテストし、バグの早期発見や、あるモジュールでの変更が他の部分に与える影響を確認します。

一方、結合テストでは、システム全体の動作を確認し、異なるモジュール間での連携や統合が適切に行われているかを検証します。

単体テストと結合テストは、システムの品質向上と安定した運用に向けて欠かせないステップです。これらのテストを適切に実施することで、バグやエラーの早期発見、システム全体の一貫性の確保、運用中のトラブル軽減などが実現できます。

運用開始・効果検証

基幹システムの導入目的は、業務効率化や品質向上などさまざまです。運用開始後、これらの目的が達成されているかどうかを定期的に検証し評価しましょう。

達成できていない場合、問題点の特定が必要です。システムの運用中に生じるトラブルや課題を洗い出し、その背後にある原因を分析しましょう。効果的な改善策を見つけて問題の解決を図ることができます。

基幹システムを導入する際の注意点

基幹システムを導入する際には、注意しておきたいポイントがいくつかあります。ここからは、基幹システム導入時の注意点を解説します。

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クラウド型とオンプレミス型の違いを確認

基幹システムには、クラウド型とオンプレミス型の2つの導入形態が存在します。これらの違いを理解することは、システム導入の際に極めて重要です。

どちらのタイプにもそれぞれのメリットとデメリットがあるため、違いを十分に把握し、自社のニーズに最も適したタイプを選択しましょう。

クラウド型

クラウド型基幹システムは、インターネットを通じて提供されるシステムです。一般的に、月額や年額の費用を支払って利用するケースが多いです。クラウド型のシステムでは、ハードウェアやインフラの導入は不要なため、初期投資を抑えて導入することが可能です。

近年、この基幹システムのクラウド化に対する関心が高まっています。これは、クラウド型基幹システムが柔軟性やスケーラビリティを提供する一方で、メンテナンスの効率化や新しい機能の導入が容易であるという利点があるからです。

ただし、クラウド型システムはベンダーがアップデートやシステム管理、セキュリティを担うため、セキュリティリスクを感じる企業も存在します。システム保守を自社で行う手間はありませんが、セキュリティを重要視する企業にとっては懸念点となっています。

オンプレミス型

オンプレミス型の基幹システムは、企業内部のサーバーやインフラにシステムを構築・導入するタイプのシステムです。導入時に買い切るタイプで、導入後は自社で運用・管理を行います。

オンプレミス型は、長期的な運用を考えるとコスト面で優位性が見込めることがあります。また、システム全体が企業内で保持されるため、データのセキュリティや管理を自社で行える利点があり、セキュリティが重要な業界や情報を扱う企業にとっては魅力的です。

一方で、オンプレミス型のシステムは自社でメンテナンスやアップデートを行う必要があります。これには専門的な知識とリソースが必要であり、障害対応や新機能の導入に関して運用負担が生じる可能性があります。

業務プロセスの改善を行う

基幹システムを導入するにあたり、業務プロセスの改善が必要になります。手作業で行っていた業務が自動化されることもあるため、今まで手が回らなかった業務を日常業務に組み込むことも可能です。

システムの導入は業務プロセスに影響を与えるため、システムに合わせて業務プロセスを改善し、業務の効率化を図りましょう。

セキュリティの見直しを行う

基幹システムは、社内外のあらゆる情報を扱うシステムのため、セキュリティ対策が必要です。システムによっては機密情報や顧客情報を含むため、脆弱なセキュリティでは情報漏えいのリスクがあります。

セキュリティ対策が施されているシステムを選定することはもちろん、従来のセキュリティ対策に問題がないかを確認し、システム導入による新たなルールの設定も行いましょう。

従業員からの理解を得る

基幹システムの導入により業務に変更が生じる可能性があるため、従業員への適切な周知とサポートが不可欠です。変更に対する理解と適応を促進するために、以下の手段を検討しましょう。

まず、基幹システムの導入に関する説明会を従業員に対して開催することがおすすめです。この説明会を通じて、導入に伴う変更点や新しい業務プロセスを詳しく説明することで、従業員も変更に対して理解を深められます。

また、導入後の業務プロセスやシステムの利用方法については、わかりやすいマニュアルを作成することが大切です。簡潔かつ具体的な内容で、従業員が迷わずに情報を得られるよう工夫しましょう。

期間に余裕を持って導入する

基幹システムの導入は数時間で完了するような容易なものではないため、導入には時間を要します。カスタマイズの有無や企業規模にもよりますが、一般的には数か月かかります。長い場合は、1年以上かかることも少なくありません。

そのため、基幹システムをすぐにでも運用開始したい場合は、カスタマイズを諦めたりといった妥協が必要になります。自社に適した基幹システムを導入したいのであれば、数か月、もしくは1年以上の期間を設けた導入スケジュールを立てましょう。

自社の業界に特化しているか確認

基幹システムは、会計管理システムや在庫管理システムといった種類が多いだけでなく、特定の業界に特化したものもあります。小売業や金融業、アパレルや自治体などに特化したシステムもあり、汎用的なシステムよりも業界ならではな部分にも対応しています。

たとえば、飲食店に金融業に特化したシステムを導入しても、導入によるメリットは得にくいです。導入効果を十分に得るためには、自社の業界とマッチしたシステムか、汎用的なものを選ぶ必要があります。

基幹システムにかかる導入費用

基幹システムの導入には、クラウド型やオンプレミス型などのシステムタイプ、そして企業の規模によって異なるさまざまな費用が発生します。導入費用の具体的な額は多様なため、以下で一般的な費用を比較してみましょう。

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クラウド型の基幹システムの導入費用

基幹システムのクラウド型の費用は、基本的に月額または年額でユーザーライセンス費が発生します。ユーザーライセンス費は、システムにアクセスするユーザー数や同時接続ユーザー数によって決まります。

ベンダーや提供されるサービスによって異なりますが、一般的な基本ライセンス費・ユーザーライセンス費・導入サポート費の目安を以下の表にまとめました。

ただし、これらの費用はあくまで一般的な参考値であり、ベンダーやシステムによって異なります。

項目費用相場
基本ライセンス費1万円~100万円
ユーザーライセンス費1000円~数万円
導入サポート費10万~数千万円

オンプレミス型の基幹システムの導入費用

オンプレミス型の基幹システムの場合、サーバー・ネットワーク機器・ストレージなどのハードウェアの購入費用が発生します。これには必要な性能や容量に応じて、数百万円から数千万円以上までの幅広い費用が含まれます。

基幹システムのオンプレミス型の費用は、企業やシステムの規模、要件によって異なりますが、一般的な基本ハードウェア費・ソフトライセンス費・導入サポート費・カスタマイズ費の目安を以下にまとめました。

ただし、これらの費用はあくまで一般的な参考値であり、具体的なシステムやプロジェクトによって大きく異なります。

項目費用相場
ソフトウェアライセンス費10万円~数百万円
ハードウェア費100万円~数千万円
導入サポート費100万円~数千万円
カスタマイズ費100万円~数百万円

まとめ

基幹システムは、企業の中核業務を支え、業務プロセスの効率化を実現するためのシステムです。販売管理・生産管理・人事管理・会計管理など、企業にとって重要な業務で活用されています。

基幹システムの導入には、クラウド型とオンプレミス型の2つの導入形態があります。クラウド型は柔軟な運用とスケーラビリティを提供し、オンプレミス型はセキュリティとカスタマイズ性を強調しています。

基幹システムの導入には、さまざまな費用が発生します。企業の規模や業務ニーズによって費用が大きく異なるため、費用の詳細な検討と適切な予算計画が肝要です。

企業の成長と競争力強化に向けて、基幹システムは欠かせない存在です。導入に際しては、目的の明確化と要件定義・適切な導入方法の選択・テストとセキュリティの強化・従業員へのサポートなど、総合的な計画を実行して、システムを最大限活かしましょう。

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