業務システムとは|メリットと基幹システム・ERPとの違いを解説

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  • 業務システムは、日々継続的に取り組まれる業務の効率化に貢献するシステムである
  • 業務システムを導入することで、コスト削減やデータの紛失リスク軽減ができる
  • 業務システムを導入するには、自社で開発する方法と、既製品を購入する方法がある

業務システムは、勤怠管理システムや営業支援システムなど、業務の効率化を目的としたシステムのことです。本記事では、基幹システムをはじめとする他のシステムとの違いについて触れながら、主な業務システムや導入のメリット、導入方法と導入時の注意点を解説します。

目次

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  1. 業務システムとは
  2. 業務システムの種類
  3. 業務システムを導入するメリット
  4. 業務システムを導入するデメリット
  5. 業務システムの導入方法
  6. 業務システムを導入する際の注意点
  7. まとめ

業務システムとは

業務システムとは、「業務支援システム」とも呼ばれる情報技術(IT)ツールであり、日々の繁忙な業務を効率的に遂行するために設計されています。業務プロセスの自動化や効率化・情報の共有・データの管理など、多岐にわたる作業をサポートします。

例えば、会計部門での会計管理システムや、出退勤の記録を便利に行う勤怠管理システム、店舗運営に必要な販売管理システム・在庫管理システムなどが挙げられます。

これらに加えて、業務システムは産業や組織の特性に応じて多彩な形態で展開されています。組織の業務効率化や情報管理の強化を目指す際には、適切な業務システムを選択して導入することが重要です。

基幹システムとの違い

基幹システムは、業務の根幹となる主要業務を効率化するための企業にとって欠かせないツールです。生産管理システム・購買管理システム・在庫管理システム・人事給与システムなどが基幹システムに該当します。

基幹システムは企業の業務の根幹を支え、円滑な運営に貢献します。業務システムは、文字通り業務に関連するシステム全般を指し、基幹システムはその中の一部です。

情報系システムとの違い

チャットツールや社内SNSなど、コミュニケーションを取るために使われるシステムを「情報系システム」といいます。システムが停止すると業務が停止してしまう基幹システムに対し、情報系システムは代替手段が多数存在します。

業務全般のシステムを指す業務システムの一部に情報系システムがある、という構造になっている点は、基幹システムと共通しています。

ERPとの違い

ERP(Enterprise Resource Planning)は、「企業資源計画」の略称であり、企業内の異なる部門や機能を1つのシステムで統合して管理できます。このシステムは、業務の全体的な統合を実現し、企業全体のプロセスを効率的に管理します。

つまり、ERPはより広範で総合的な統合を目指すシステムであり、業務システムは特定の業務プロセスの最適化を行うシステムです。

業務システムの種類

さまざまな業務プロセスを効率化し、企業の運営を支えるために、あらゆる業務システムが存在します。業務システムの導入においては、その種類と特徴を理解することが重要です。

以下に、主要な業務システムを一覧にまとめました。各システムごとの特徴や機能などを詳しく解説します。

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業務システム特徴
勤怠管理システム従業員の出退勤時間や勤務日数を自動的に記録し、効率的な給与計算や労働時間管理を実現するシステム
人事評価システム目標設定やフィードバックの記録、従業員の評価プロセスの効率化を支援し、公平な評価と人材育成を促進するシステム
販売管理システム商品の在庫管理や受注処理、売上分析などを効率的に行うためのシステム
営業支援システム(SFA)見込み客情報の管理、タスクスケジューリング、顧客コミュニケーションの追跡で営業活動を最適化するシステム
顧客管理システム(CRM)顧客情報を効率的に収集・管理し、顧客満足度向上を支援するシステム

勤怠管理システムとは

勤怠管理システムは、企業や組織が従業員の出勤や勤務時間、休暇などの勤怠情報を効率的かつ正確に管理するためのツールです。従業員が出勤・退勤を記録し、休暇申請や勤務表の作成がシステム上で行えます。

手作業による勤怠管理の手間やヒューマンエラーを削減し、正確な勤怠データの収集と処理が可能です。さらに、労働時間の合計や給与計算の基礎となるデータを自動化し、企業内の効率向上と労働環境の改善をサポートします。

勤怠管理システムとは?機能やメリット・デメリット、導入手順も解説

勤怠管理システムは、従業員の出退勤の時間や労働時間を適切に管理できるシステムです。給与計算など他システムとも連携でき、業務の効率化や不正打刻の防止にも役立ちます。本記事では、勤怠管理システムの機能やメリット・デメリット、選び方などを解説しています。

人事評価システムとは

人事評価システムは、企業内で従業員の業績や能力を客観的に評価し、適切な評価や報酬を提供するために使用されるシステムです。従業員の目標達成度や行動評価を基に、個々の業績や成長を評価します。

人事評価システムには、評価基準の設定・評価プロセスの管理・評価者と評価対象者のコミュニケーションの支援・評価結果の分析などの機能が搭載されています。

人事評価システムとは?機能やメリット・デメリット、選び方を解説

人事評価システムとは、人事評価業務に関するデータ管理や評価シートの作成を自動化できるシステムです。本記事では、人事評価システムをよく知らない方や導入を検討している方のために、人事評価システムの機能や選び方、メリット・デメリットを解説しています。

販売管理システムとは

販売管理システムは、企業や小売業者が商品やサービスの販売業務を効率的に管理するためのツールです。このシステムは、在庫管理、受注処理、売上記録、顧客情報、価格設定などの情報を統合管理することができ、スムーズな販売プロセスをサポートします。

従業員は商品の在庫状況や注文履歴をリアルタイムで確認できます。また、販売データの分析により売り上げのトレンドや需要予測が可能となります。

販売管理システムとは?主な機能やメリット・選ぶポイントを解説

受注・発注・入荷・出荷・売上・請求・入金など、内容が多岐にわたる販売業務を一元的に管理することができ、業務の効率化に最適なのが販売管理システムです。この記事では、販売管理システムの主な機能やメリット・デメリット、主な導入形態や選び方のポイントを解説します。

営業支援システム(SFA)とは

営業支援システム(SFA)は、営業活動を効率化し、営業チームの生産性を向上させるためのテクノロジーソリューションです。

営業支援システムは、顧客情報の管理・リードの追跡・見積もりの作成・契約管理・営業予測・タスク管理などが行え、営業活動の効率化と質の向上に役立ちます。

また、営業プロセスの透明性が高まり、リアルタイムの情報共有やモバイルアプリを通じたアクセスが可能です。これにより、チームのコラボレーションが強化され、迅速な意思決定が促進されます。

SFA(営業支援システム)とは?機能やメリット・デメリットと選び方を解説

SFA(営業支援システム)とは、営業メンバーの行動管理や商談の進捗状況を共有するツールを指します。本記事では、営業活動やマネジメントを効率化してくれるSFAの主な機能やシステム導入によるメリット・デメリット、導入の際に選ぶポイントを解説します。

顧客管理システム(CRM)とは

小売業だけでなく多くの業種で使用される顧客管理システム(CRM)は、顧客情報や取引履歴などを一元管理し、効果的な営業活動を支援します。

営業活動の効率化が主な目的の営業支援システムと似ていますが、顧客管理システムは顧客の興味関心などを管理・分析し、顧客と良好な関係を構築することを目的としています。

蓄積したデータを基に、どのような顧客にどういったアプローチが効果的なのかといった戦略を練る際も、活用できます。

CRMとは?初心者向けに導入のメリット・デメリットと機能を解説

CRMシステムとは、利益の最大化を目的に顧客との関係性を管理することを指します。この記事では、顧客関係管理やマネジメントを自動化・効率化してくれるCRMシステムの主な機能やシステム導入によるメリット・デメリット、導入の際に選ぶポイントを解説します。

業務システムを導入するメリット

業務システムを導入することは、企業にとって多くのメリットがあります。どのようなメリットをもたらすのか、ここからは、そのメリットに注目しご紹介します。

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業務を効率化できる

業務システムは、データ入力や繰り返しタスクの自動化によって作業時間を短縮し、ヒューマンエラーを削減する役割を果たします。それにより情報の正確性や整合性が向上します。

さらに、業務の進行状況やステータスが視覚的に表示されるため、管理者や関係者は全体像を容易に把握できるようになります。この透明性は意思決定プロセスの効率化に貢献し、組織全体の協力と効率を高める要因となります。

コストを削減できる

業務システムの導入により、いくつかのコスト削減が実現します。例えば、人的な手間が減少するため、従業員の作業時間や労力にかかるコストが削減されます。

また、紙や印刷物などの資材や書類の管理コストが軽減されます。業務システムを通じてデータや文書が電子的に管理されるため、ファイリングや保管の手間が不要となります。

オフィススペースを有効に使える

業務システムを導入することで、オフィススペースの有効活用が実現します。業務システムはオフィス内はもちろん、外出先や自宅からもアクセス可能です。そのため、在宅ワークにも柔軟に対応し、従業員のデスクや専用スペースへの依存度を低減します。

さらに、文書やデータが電子化されることで、ファイルや書類の保管スペースが不要となり、収納スペースを最小限に抑えられます

障害時に影響が限定される

複数の業務システムを導入していると、システムごとに障害やメンテナンスが発生した際、特定の業務は行えなくなりますが、他の業務は遂行できます。つまり、障害時の業務への影響が限定されるのがメリットです。

また、災害が発生した場合にも、さまざまな場所に点在する管理サーバーでデータ管理を行っていれば、業務システムに関わる損害を最小限に抑えることもできます。

データの正確な管理・紛失リスクの軽減になる

業務システムはデータの入力や更新を自動化するため、手作業による入力ミスが減少します。また、データの一元管理や履歴管理機能により、データの整合性と正確性を簡単に保つことができます。

さらに、データのバックアップや冗長化などのセキュリティ対策を提供し、データの紛失や破損リスクを軽減します。データはデジタル形式で保存されるため、紙の書類に比べて火災や水害などの自然災害によって紛失しにくくなります。

業務システムを導入するデメリット

業務システムの導入には数々のメリットが存在しますが、いくつかの潜在的なデメリットも考慮すべきです。ここでは、業務システムを導入するデメリットについて解説します。

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システム導入には時間がかかる

業務システム導入時には、自社のニーズに合わせてシステムをカスタマイズする必要性があります。自社のニーズに適していないシステムを導入しても効果は得にくいため、ニーズの把握は時間をかけて入念に行わなければなりません。

また、システムのカスタマイズや構築には、ある程度の時間がかかります。一般的には半年〜1年程度かかるといわれ、カスタマイズ不要のクラウド型のシステムだと素早く導入できますが、利用者の多い大企業はカスタマイズなしでも導入から数か月かかります。

研修やマニュアル準備などが必要

業務システムの中には、専門的な知識やスキルが必要なものもあるため、研修やマニュアルなどでのサポートが大切です。システムの使用方法はもちろん、使用するにあたって必要な知識やスキルを獲得するための研修を行いましょう。

システムを導入するだけでは、業務の効率化は実現しません。従業員が使いこなせて初めて導入によるメリットが得られるため、研修やマニュアル準備などを行い、不明点が発生した際の対応などのサポート体制も整えましょう。

障害やトラブルによるリスクがある

システムの動作に問題が生じると、それが業務に支障をきたすことが懸念されます。システムならではの課題に対処するためには、バックアップシステムの導入や定期的なメンテナンスが重要です。障害が発生した場合でも、迅速な復旧につなげられます。

ベンダーが管理をするクラウド型のシステムを導入する場合は、サポート体制を確認しましょう。サポートの受付時間が自社の業務時間とマッチしているかなども重要なポイントです。

業務システムの導入方法

業務プロセスの効率化や情報管理の向上を目指すには、適切な導入方法を選ぶことが重要です。ここでは、業務システムの導入方法について詳しく解説します。

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業務システムの導入方法

  1. 業務システム開発
  2. 業務システム購入

業務システム開発

自社で業務システムを開発する場合、自社の業務プロセスやニーズに合わせカスタマイズされたシステムを構築できます。外部製品では満たせない独自の要件にも対応できるのが強みです。

特に、業務プロセスが他社と大きく異なる場合や、特有の要件がある場合には、自社開発が適しています。自社独自の価値を最大限に引き出すため、綿密な計画と適切なリソース管理を行いましょう。

ただし、開発には相応の時間とリソースが必要であり、初期投資や開発コストが発生する点には留意しなければなりません。

業務システム購入

業務システムを購入することで、専門的な技術や知識がなくてもシステムを導入でき、自社での開発やカスタマイズに比べて初期投資の軽減が実現します。

ただし、特定の業務要件に完全に合わせるカスタマイズが難しい場合もあるため、購入の際は注意が必要です。また、業務システムには、主にパッケージ型クラウド型の2つのタイプがあります。

パッケージ型は買い切りで利用可能で、初期投資コストを抑えたい企業に適しています。一方、クラウド型業務システムは月額費用がかかりますが、企業規模に変更があった場合など必要に応じて柔軟に拡張できます。

どちらのタイプも、自社の要件や予算に合わせて検討し、最適な業務システムを選ぶことが大切です。メリットとデメリットを熟考し、効果的なシステム導入をしましょう。

パッケージ型

パッケージ型業務システムは、あらかじめ開発されたソフトウェアを購入して利用する形態です。開発にかかる人件費や時間が削減されるため、自社でシステムを開発するよりも低コストで導入できます。

短期間で導入できる手軽さがありますが、カスタマイズや競争力強化を考慮する際には注意が必要です。一般的なニーズに合わせて設計されているため、特定の企業独自の要件に完全に合わせるカスタマイズが難しいことがあります。

パッケージ型では、業務プロセスに適合させるための調整が限られるケースが多いです。

クラウド型

クラウド型業務システムは、月額や年額のサブスクリプションベースで提供されることが多く、高額な初期投資を回避できます。予算に合わせた導入が可能で、運用コストも見通しやすい特徴があります。

また、ベンダーが運用とメンテナンスを担当するため、専門知識がなくても導入が容易です。アップデートやセキュリティ対策もベンダーが行い、内部リソースの節約に貢献します。

ただし、クラウド型は利用料が発生します。長期間にわたって利用する場合、ライセンスの購入に比べて費用が高額になる可能性があります。また、オフライン環境での利用やデータのセキュリティに対する懸念も考慮しなければなりません。

業務システムを導入する際の注意点

業務システムを導入する際には、いくつかの重要な注意点に留意しましょう。各ポイントを意識しながら慎重に計画を進めることで、スムーズな導入と効果的な運用が実現できます。

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導入目的を明確にする

業務システムを導入する際には、導入目的を明確にすることが非常に重要です。なぜなら、導入目的が明確でない場合、システムの選定からカスタマイズ運用がうまく進まない可能性があるからです。

また、導入目的を明確にする中で、業務の遅延やヒューマンエラーが発生しやすい段階に気付くこともでき、その課題解決に有効なシステム選びが可能になります。そして、システムの導入が効果的であるかどうかを評価し、結果を最大限に活かすことができます。

業務フローを洗い出す

業務フローを洗い出し、システムがどの部分で活用されるかを正確に理解しましょう。業務の各ステップや関与する役割が明確になれば、必要な機能や連携がより具体化され、適切なシステムを選定・導入する基盤が整います。

また、業務フローを基にシステムの導入計画を立案することで、業務プロセスがどのように進行し、どの段階でどのデータが必要かが具体的に把握できます。この情報を基に、システムのどの部分を活用し、どの機能を組み込むかを計画的に考案可能です。

予算・費用対効果を考える

業務システムの導入にかかるコストと、それに対する効果をバランス良く考えることで、投資対効果を最大化できます。その際、システム導入によって得られる業務効率化や品質向上の効果を評価し、投資がどれだけのリターンをもたらすかを見極めることが重要です。

必要な機能が備わっているからといって予算オーバーなシステムを導入すると、システムの利用を途中で辞めることになりかねません。結果的に無駄なコストとなってしまうため、費用対効果だけでなく、長期間使用し続けられるかという視点も忘れないようにしましょう。

かかるコストを把握しておく

業務システムの購入には、パッケージ型とクラウド型それぞれに異なるコストが関わってきます。

まず、パッケージ型の場合、システムのライセンス購入や導入に伴う初期費用が発生します。さらに、独自の業務要件に合わせてカスタマイズが必要な場合があり、このカスタマイズには追加の開発コストがかかるでしょう。

一方、クラウド型の場合、システムの利用料金が月額または年額でかかります。利用料はシステムの利用期間や使用する機能に応じて異なり、ユーザー数の変動によってコストが変わることがあります。

長期的なメンテナンスも考慮する

パッケージ型とクラウド型どちらのシステムも、メンテナンスを考慮する必要があります。システムのバージョンアップや新機能の追加には、アップデートやアップグレードを適用しなければならず、これにはライセンス料や作業費用が含まれる場合があります。

したがって、購入時だけでなく、長期的なメンテナンスにかかるコストも考慮することが重要です。システムの安定性やセキュリティの維持、必要な機能の追加などを確保するためには、適切なコスト予算を用意し、長期的な視点で計画するようにしましょう。

まとめ

業務システムは、企業が行う重要な業務を効率的に自動化し、作業を効率化するだけでなく、正確な情報の入力や管理を支援する非常に便利なツールです。

現在、業務システムは多彩な機能を提供しています。導入目的を明確にし、自社に最適なタイプの業務システムを選ぶためには、いくつかの注意点を確認し、選択肢を比較することが重要です。

適切な計画と慎重な選択を通じて、業務システムを導入し、効率化と改善を実現しましょう。

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