エクセルで予算管理をする方法|管理表の作り方・課題を解説

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  • エクセルで予算管理する際の予算の立て方には、トップダウン式とボトムアップ式がある
  • エクセルで予算管理を行う場合は、予実管理表を作成してから行う
  • 予算管理を効率的に行うなら、予算管理システムの導入がおすすめである

予算管理は、予算と実績を比較分析することで、今後の課題を明確にする企業にとって重要な業務です。予実管理は日常的に使用しているエクセルでも行えます。本記事では、予算管理をエクセルで行う際のポイントや、予実管理表の作り方などについて詳しく解説します。

目次

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  1. エクセルで費用を抑えて予算管理をする
  2. エクセルで予算管理をする方法
  3. エクセルでの予実管理のポイント
  4. エクセルで予算管理をする際の課題
  5. 効率的な予算管理に予算管理システムがおすすめな理由
  6. まとめ

エクセルで費用を抑えて予算管理をする

予算管理は、社内全体で目標を共有する際や業務の目標を明確にするために必要な業務です。売上やコストなどの数値を適切に予算管理を行うことで、会社が抱える問題などを洗い出すことができ、利益の追求が可能になります。

予算管理にはさまざまな方法がありますが、エクセルで管理することも可能です。普段からエクセルを利用している企業であれば、無料で予算管理を始めることができるため、費用を抑えて予算管理を行えます

エクセルで予算管理をする方法

エクセルで予算管理を行う際は、無料のテンプレートを用いる方法もありますが、ここでは管理表を自作する場合の基本的な管理方法について解説します。

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予算編成をする

エクセルで予算管理を行う方法には、トップダウン方式とボトムアップ方式の2種類の方式があります。それぞれ予算編成の手順が異なるため、企業規模などに適したものを選びましょう。

トップダウン方式

トップダウン方式は、経営陣や管理部門が利益目標・予算を決定し、各部門ごとに伝えて遂行させる方式です。予算編成を迅速に行えるのが特徴で、スピード感を持って経営計画を建てることができます。

しかし、経営陣などが予算を決定するため、現場の状況に適した予算を立てにくいのがデメリットです。比較的従業員の意見をまとめやすいスタートアップ企業や、小規模企業で採用されています。

ボトムアップ方式

ボトムアップ方式は、各部門ごとに予算を決定し、最終的に管理部門などで統合して利益目標を出す方式です。現場の現状に合った予算が設定でき、より実行性が高くなる予算を設定できます。

ボトムアップ方式は、部門数が多く社内事業の把握が困難な大企業などで採用されています。ただし、現場が予算を設定するため、過剰な予算要求が発生したり、新規事業などへの予算配分が適切に行われなかったりする可能性が高いです。

さらに、管理部門が最終確認を行うなど、個別の予算案の集約・再調整に関して管理者の負担が大きくなることも考えられます。

予実管理表を作成する

予実管理とは、企業の予算と実績を管理することを表します。予算と実績を比較・分析することで、目標の数値に対してどれだけ達成できているのかを判断することができます。そのため、予算管理においても予実管理は非常に重要な項目です。

エクセルで予実管理を行う際は、予実管理表を使用します。予実管理表は、1ヶ月・3ヶ月・半年・1年間ごとなど、企業によって管理のタイミングが違います。以下は、エクセルの予実管理表を作る際の手順です。

  1. A列(縦列)に売上高・経費・利益などの必要な項目を入力
  2. 2行目に予算や実績などの項目を入力
  3. 各セルに計算式や数値を入力する
  4. 各プロジェクトや部門ごとにシートを作る

当月の予実と1年間の累計が1シートで把握できるようにすると、予算と実績の差異がより見やすくなります。

実績との比較・分析をして予算修正を行う

エクセルで作成した予実管理表の予算と実績を比較・分析し、必要に応じて予算修正が必要です。予算修正作業は、差異が発生する原因を特定するために行われ、乖離が大きくなる前に対策を取ることができます

例えば、残業代などの人件費が予算より大きければ、各部門に還元して、残業が多くならないような対策を講じることが大切です。反対に予算よりも利益が大きければ、さらに事業を拡大するなど経営戦略に役立てることも可能です。

このように、予実管理は企業の目標到達に向けた重要な管理業務となるため、エクセルなどで予実管理表を作成して適正な管理を行うことが重要です。

エクセルでの予実管理のポイント

エクセルの予実管理は手入力が基本となるため、管理のしやすさを意識したり、エクセルの機能を活用したりするのがおすすめです。ここでは、エクセルで予実管理を行う際のポイントについて解説します。

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予算を明確に設定する

エクセルで予算管理をする場合は、損益計算書にマッチする形で予算を設定しましょう。予算を明確に設定すれば、予実差異の分析・調査の際に情報を整理しやすくなります。

商品・部門ごとに差異の発生を確認できれば、より具体的な対策が可能です。また、予算数値を決定する際は、部門ごとの調査や事業の傾向を先読みし、適切な予算を立てましょう。

管理のしやすさを意識する

エクセルの予算管理表は手入力になるため、管理のしやすさを意識することが重要です。例えば、複雑なフォームを避けることで、入力ミスや転記ミスを減らし、見やすい予実管理表を作成できます

また、予算の入力時は適切な予算設定であるかも確認しましょう。前年度の予算をそのまま転記したり、ゆとりがある予算を入れたりしても企業経営には役立ちません。修正工数が増えるほど誤入力などのリスクがあるため、注意が必要です。

定期的にPDCAを回す

エクセルで予実管理する際は、定期的にPDCAを回すことを意識しましょう。予算編成・事業遂行・予実分析・予実改善の順に、定期的にPDCAサイクルを回すことで、企業活動の安定や業務改善に役立ちます

月次決算などのタイミングで、設定した予算と結果の比較を行います。エクセルの予実管理表においては、予算編成や実績を見やすい表にすることで、数字を比較・分析しやすくなります。

大きな差異が発生している場合は、その要因を探って改善につなげる流れとなります。エクセルで予実管理表を作成する際は、PDCAサイクルを意識して見やすい表を作成しましょう。

エクセルの機能を活用する

エクセルで予実管理する際は、エクセルの機能を活用しましょう。グラフやチャート機能で数値を可視化できれば、予算編成や予実分析などがしやすくなります。予実差異や予算比など自動計算できる部分は、セル内に数式を入れておきましょう。

また、エクセルの操作を自動化するマクロ機能を使うことで、エクセルの操作を自動化することも可能です。適切なマクロを組むことができれば、面倒な計算や転記が必要なくなるため、作業時間の削減につなげられます。

エクセルで予算管理をする際の課題

エクセルでの予算管理は業務負担が大きく、ミスが発生しやすいなどの課題があります。エクセルの予算管理での課題点を改善するために、近年では予算管理システムの導入をする企業が増えています。ここでは、エクセルでの予実管理の課題を解説します。

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ミスが発生しやすい

エクセルは手入力での作業が多いため、予算の集計に手間がかかるだけでなく、入力ミスなどが発生しやすいです。転記する際も手入力となるため、桁間違えや入力忘れが起きやすいのが課題です。

また、複数人で共有する際は、列・行・関数などが誤って改変されることもあり、正確性が懸念されます。大量のデータを扱うほど、1つのミスが重大な影響を及ぼす可能性があります。

担当者の作業負担が大きい

組織体制の変更や勘定科目の追加などがあった場合は、エクセルのフォーマットも更新しなければなりません。この更新作業は関数の見直しなども必要なため、担当者に対する大きな作業負担となります。

組織体制や勘定科目の変更がある度にフォーマットの更新が必要となるため、変更の頻度が高い企業では、担当者の負担増加がコア業務に支障をきたす場合もあります。

セキュリティリスクにつながる

エクセルにはパスワード保護機能がありますが、強固な暗号化は施されておらず、第三者が容易にファイルを開けてしまうようなセキュリティリスクを抱えています。企業の予算は重要な機密情報となるため、誤送信や紛失によっても情報漏洩につながるリスクがあります。

また、エクセルはファイル単位での細かなアクセス権限管理が困難です。部署やプロジェクトごとに閲覧・編集権限を設定したい場合、専用の予算管理ツールと比べると柔軟性の低さが課題となります。

共同作業における非効率性

エクセルを使った予算管理では、複数人でのリアルタイムな共同作業がしづらいです。例えば、1つのエクセルファイルに対して、2人が同時に異なるセルの編集を行うと、最後に保存した方の変更が反映され、もう一方の変更が消えてしまう可能性があります。

さらに、同一名かつバージョン違いのファイルが混在することで、管理が煩雑化しやすいのも課題です。エクセルは履歴追跡の機能も弱いため、予算案の変更理由や誰が編集・修正を加えたのかが後から判断しづらく、原因追及にも時間を要します。

効率的な予算管理に予算管理システムがおすすめな理由

効率的な予算管理には、予算管理システムの導入がおすすめです。予算管理システムとは、予算編成・事業遂行・予実分析・予実改善などの活動を効率的に行うためのシステムです。

予算管理システムを利用すれば、予算の集計が効率化できたり、部門ごとの予算を集約して管理できたりするため、よりスピーディーに経営計画に役立てることが可能になります。

予算管理システムは、エクセルでの予算管理の課題点を払拭でき、高い精度で予算分析できるのがメリットです。

最近ではエクセルの操作感を失わないように利用画面がエクセルのようになっているシステムや、従来の既存システムからのデータ抽出や変換などにも対応しているシステムも多く、手軽に移行しやすいのもポイントです。

おすすめの予算管理システム6選|選び方や注意点を詳しく解説

予算管理システムとは、企業の予算編成や管理、分析を行えるシステムのことを言います。予算管理システムを導入したくても数が多くてどれを選べば良いか迷う企業もあるでしょう。本記事では、おすすめの予算管理システムやシステムを選ぶ際のポイントなどを解説しています。

まとめ

予算管理は、社内で目標を共有する際や業務の目標を明確にするために重要な業務です。エクセルで予算管理を行う際は、トップダウン式とボトムトップ式の2種類あり、企業規模に合わせた方式を選ぶ必要があります。

また、エクセルで予算管理を行う際は、管理のしやすさを意識したりエクセルの機能を活用したりして、適切に予実管理を行うことが大切です。

ただし、エクセルでの予算管理は、入力ミスや業務負担が大きいなどの課題点も多いため、作業負担の軽減や業務効率化を図るには、予算管理システムの導入をおすすめします。

本記事の予算管理をエクセルで行う際のポイントや、予実管理表の作り方などを参考に予算管理を適切に行い、業務効率化といったメリットを実感できる環境作りを行いましょう。

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