電子帳票とは?普及が進む背景やメリットをわかりやすく解説

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  • 電子帳票とは、帳簿・見積書・発注書・請求書などの書類を電子化したもの
  • 電子帳簿保存法の改正やDXの推進などにより、多くの企業で導入が進んでいる
  • 電子帳票は、業務効率化やコスト削減、ペーパーレス化の促進などに貢献する

電子帳票とは、帳簿・見積書・発注書・請求書などの書類を電子化したものです。電子帳簿保存法の改正やDXの推進などにより、多くの企業で電子帳票の導入が進んでいます。この記事では、電子帳票が注目されている背景や導入によるメリットなどを詳しく解説します。

目次

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  1. 電子帳票とは
  2. 電子帳票の普及が進んでいる背景
  3. 紙の帳票の問題点
  4. 電子帳票のメリット
  5. 電子帳票の導入には電子帳票システムがおすすめ
  6. まとめ

電子帳票とは

電子帳票とは、電子データ化した帳票のことです。帳票は帳簿および伝票の総称であり、取引記録に関する書類や国税関係書類などが該当します。電子帳票は従来の紙の帳票類に比べ、管理や保管のコストを抑えられることから、注目を集めています。

企業で使用する帳簿としては、現金出納帳・固定資産台帳・仕訳帳などが挙げられます。また、請求書・見積書・納品書などの伝票類も帳票に含まれます。電子帳票には紙の帳票と同等の保存期間が設けられており、保存に関するさまざまな要件を満たす必要があります。

電子帳票の普及が進んでいる背景

1998年に電子帳簿保存法が施行されて以来、環境の変化に伴い複数回の改定が行われてきました。また、働き方の多様化に伴い、紙の帳票類による管理では不便が生じるケースも増えてきました。

さらに、DXの推進やインボイス制度の開始などさまざまな背景が後押しとなり、近年では急速に電子帳票の普及が拡大しています。ここでは、これらの背景について詳しく解説していきます。

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電子帳簿保存法の改正

電子帳簿保存法は1998年に施行された法律で、正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿の保存方法等の特例に関する法律」といいます。電子化された国税関係帳簿の保存に関するルールが定められており、電子帳簿の普及拡大を目的とした法律です。

書類のデジタル化が拡大する中、数回の改正が行われ、2022年1月の改正では電子データによってやり取りを行った書類は、原則として電子データのまま保管することが義務付けられました。

この改正により、従来必要だった事前承認や保存方法などの要件が大幅に緩和され、電子帳簿導入のハードルが低くなりました。

参考:電子帳簿保存法の概要|国税庁

DXの推進

DXとはデジタルトランスフォーメーションを略した言葉で、デジタル技術を利用した変革を意味します。ビジネスにおいては、デジタル技術の活用による業務の効率化や業務プロセスの改善などが該当します。

DX実現の一環として書類のペーパーレス化やデジタル化に取り組む企業が増えており、電子帳票の導入にも注目が集まっています。

働き方改革の影響

働き方改革とは、労働者が個々の事情に合わせた働き方を選択できる環境を目指すための取り組みです。高齢化により働き手が減少する日本においては、個々の事情に合わせた働き方を選択させることで、労働者が長く働ける環境づくりが期待されています。

働き方改革の一環としてさまざまな法改正が行われており、労働時間の上限規制などが定められています。また、民間での取り組みとして、フレックスタイムやテレワークの導入などが進められています。

従来の紙の帳票では原本への押印やファイリングなどの作業が必要であり、オフィスへ出向かなければなりませんでした。

一方、電子帳簿の場合はインターネット環境があればファイルの閲覧やデータの作成が可能なため、テレワークを導入するために電子帳票へと切り替えを進める企業が増加しています。

参考:「働き方改革」の実現に向けて|厚生労働省

インボイス制度の開始

インボイス制度とは、複数の税率における正確な税額や税率の把握を目的とした法律です。インボイス制度の開始によって適格請求書の発行が義務付けられ、請求書の様式変更や申告業務への対応が必要になります。

これらの対応に伴い、売り手・買い手の双方にさまざまな事務的負担が発生します。各種書類作成システムではこれらの両方に対応できるものもあり、インボイス制度の開始をきっかけに電子帳票を導入する企業の増加が見込まれます。

参考:インボイス制度の概要|国税庁

紙の帳票の問題点

従来の紙の帳票は、作成や管理におけるさまざまな問題点がありました。代表的なものとしては、作成コストや時間的な効率に加え、紛失のリスクなどが挙げられます。ここでは、これらの問題点について詳しく解説します。

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コストがかかる

紙の帳票を作成する際には、印刷用紙はもちろん、以下のような多くのコストが発生します。

  1. 印刷用紙
  2. プリンターインク・トナー
  3. 封筒
  4. 宛名ラベル
  5. 郵送代
  6. 収入印紙

また、帳票は作成時だけでなく、管理・保管するための費用もかかります。管理・保管にかかるコストは主に以下の3つです。

  1. 保管スペース
  2. ファイル
  3. キャビネット

紙の書類を保管する場合、インデックスを付与して日付順に並べるなどの作業が発生します。また、必要に応じてファイルの背見出しの修正やラベリングなども必要な上に、社内に保管スペースを用意できない場合、倉庫などを借りなければなりません。

さらに、書類ごとに定められた保存期間を経過した際は、古い書類を処分するためのコストも発生します。これらの作業には多くの時間を要するため、人的なコストもかかります。

作成・承認に時間がかかる

紙の帳票を作成する場合、印刷した原本に押印を行うのが一般的です。押印の権限は一部の担当者にのみ認められているケースが多く、担当者が不在の場合は押印を得るまでに時間がかかってしまいます

また、承認を得るために複数の担当者を経由しなければならない場合には、回覧に数日を要することもあります。さらに、内容の修正が発生した際は、原本へ手書きで二重線による訂正の書き込みを行い、訂正のための押印が必要になります。

これらの作業は時間効率が悪く、必要な日数を見越して前倒しで作成を行うなどの対応が必要です。担当者が長期不在の場合は代理での押印や郵送によるやり取りなども発生し、人的・時間的なコストが多くかかってしまいます。

検索・活用に手間がかかる

紙の帳票を検索する際、必要な情報をピンポイントで取り出すことができず、過去のファイルから探し出す作業が必要になります。日付順に並べて保管を行なっていたとしても、データの検索に比べると多くの時間が必要になります。

また、紙で作成された帳票はデータ化されていないため、帳票の内容を分析などに活用する際は新たにデータを入力しなければなりません。

改ざん・紛失のリスクが高い

紙の帳簿は物理的な原本が存在するため、改ざんや書き換えが比較的容易です。また、帳簿や印鑑の悪用に関するリスクもあり、不正な閲覧や盗難に対する管理体制の整備が必要でした。

また、紙の帳簿は人の手によって保管が行われるため、紛失や破損が起こりやすく、災害時などには社内の重要書類が大量に失われるリスクも抱えています。

電子帳票のメリット

電子帳票の導入により、作成や発行にかかる工数を削減できます。また、ペーパーレス化の促進やテレワークへの対応も可能です。

さらに、セキュリティ強化やデータ分析への活用など、紙の帳票では得られなかったメリットもあります。ここでは、電子帳票の導入におけるこれらのメリットについて、詳しく解説していきます。

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コストの削減が可能

帳票を電子化することで、コストの削減が可能になります。紙の帳票作成には印刷用紙だけでなく、インクにもコストがかかります。

また、請求書や発注書などを先方に送る際に必要な封筒代も不要になります。封入作業自体が不要になるため、人件費の削減にもつながります。

さらに、電子化すれば帳票を手で作成・印刷する手間が省けます。手動での押印も不要となり、回覧や承認にも時間がかからず、社内全体の生産性向上に繋がります。

業務の効率化が図れる

電子帳票の導入により、業務の効率化に期待ができます。電子化された帳票はオンライン上で共有・閲覧できるため、承認手続きをスムーズに行えます。また、印刷する手間が解消され、他システムと連携すれば、データ入力も自動化できます。

特定の帳票を探す際も検索によってすぐに見つけ出せるため、帳票にまつわるさまざまな業務が効率化され、別の業務に充てる時間を確保できるようになります。

ペーパーレス化を促進できる

帳票の電子化は、ペーパーレス化を促進してくれます。ペーパーレスはDXの推進に貢献するだけでなく、環境問題への取り組みとしても認知されています。

そのため、ペーパーレス化の促進により企業イメージの向上に期待ができます。また、ペーパーレス化が進むことで、帳票を保管する物理的スペースが不要になる点もメリットです。

セキュリティを強化できる

紙の書類は第三者による原本への書き込みや押印による改ざんが可能でしたが、電子帳票では操作ログの記録やタイムスタンプの付与により、不正な閲覧や改ざんのリスクを大幅に軽減できます。

また、対応可能なシステムを利用すれば、アクセス権限の設定によってアクセス可能な担当者を制限でき、機密情報の漏洩を防止する効果も得られます。

テレワークに対応できる

従来の紙の帳票では、印刷や押印などを行うためにオフィスへの出勤が必要でした。一方で、電子帳票の多くはオンライン環境があればオフィス以外の場所からでも帳票の作成や閲覧が可能です。

電子帳票の作成に使用するシステムにもよりますが、クラウドシステムを利用するタイプのものなら自宅からでも帳票データにアクセスできます。これにより、テレワークでも帳票の作成や管理に対応できます。

また、作成した帳票の共有もオンライン上で完結できるため、原本を郵送する作業が発生しません。承認のための閲覧なども容易に行えるため、テレワークでもスムーズに業務を遂行できます。

配送時間をカットできる

請求書や発注書などの先方に送るものを電子帳票にすることで、配送時間をなくすことができます。紙の帳票を先方に送る場合、最短でも1日程度配送に時間がかかります。距離や天候によっては、1週間程度かかることもあります。

電子帳票であれば、メールなどですぐに送ることができます。また、配送トラブルによる紛失のリスク回避もできる点も、電子帳票のメリットです。

データ分析・活用が容易になる

電子データによって保存された帳票は自動的にデジタルデータとして保存されるため、手入力によるデータ化の必要がありません。検索によって必要なデータを抽出できるので、データ分析への活用も容易になります。

帳票類に含まれるデータは財務状況や経営戦略の分析に有効であり、さまざまな場面で活用できます。データはリアルタイムで取得できるため、最新の情報に基づいた迅速な意思決定に繋がります。

電子帳票の導入には電子帳票システムがおすすめ

電子帳票を導入する場合は、電子帳票システムの利用がおすすめです。電子帳票システムの多くは帳票の作成・管理・配信などの機能を備えていますが、システムによってそれぞれ特徴が異なります。

電子帳票システムの帳票作成機能では、自社に合わせたレイアウトや必要なデータを自動作成することができます。

また、管理機能によって電子帳簿保存法に対応した形で帳票類の管理を行えます。さらに、作成した帳票を配信する自動配信機能によって正確かつ迅速なやり取りが実現します。

電子帳票システムとは?機能や選び方、メリット・デメリットを解説

電子帳票システムとは、請求書や注文書などの帳票の作成や送付を電子化して管理できるシステムです。電子帳簿保存法の浸透などにより広く普及しています。本記事では、電子帳票システムをよく知らない方のために、機能やメリット・デメリット、選び方を解説しています。

電子帳票システムを導入する際の注意点

電子帳票の導入にあたって電子帳票システムは非常に便利ですが、適切な製品を選び、運用体制を整える必要があります。導入する際には、以下の注意点を把握しておきましょう。

JIIMA認証が付与されているものを選ぶ

電子帳票システムは、JIIMA認証が付与されているものがおすすめです。JIIMA認証とは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会が実施している、電子帳簿保存法に関する認証制度です。

電子帳簿保存法の要件を満たしていると判断されたソフトウェアには、製品パッケージや紹介ページにJIIMA認証のロゴを表示できます。

電子帳票を導入するにあたって、電子帳簿保存法への対応は欠かせません。JIIMA認証が付与されているシステムであれば、電子帳簿保存法にスムーズに対応できるため安心して利用できます。

参考:JIIMA認証制度|JIIMA 公式サイト

従業員への教育が必要

電子帳票システムによりあらゆる帳票類が電子化されれば、社内の業務フローにも大きな変更が生じます。特に紙での管理に慣れている従業員は抵抗を示すこともあるため、注意が必要です。

システム導入の際には、使い方を教えるのはもちろん、導入メリットを周知する必要があります。電子帳票システムによってどのように業務が効率化され、従業員の負担はどの程度軽減されるのかなどを、事前に説明しましょう。

また、早くシステムを定着させるには、操作性の良い製品を選ぶことも重要です。可能であれば無料トライアルを活用し、使用感を確認してから導入するのがおすすめです。

まとめ

電子帳票とは、従来の紙の帳票を電子的なデータに変換したものです。近年では、電子帳簿保存法の改正やDXの推進によって、電子帳票を導入する企業が増加しています。

電子帳票の導入によってテレワークでも帳票の作成や管理が可能になるため、働き方改革への対策としても注目を集めています。また、インボイス制度の開始に伴い、帳票の記載内容やフォーマットに自動対応できるシステムの導入が推奨されます。

電子帳票の導入により、印刷や郵送にかかるコストを大幅に削減できます。また、紙の帳票の作成で発生していた承認や押印にかかる時間を短縮でき、関連業務全体の効率化が期待できます。

電子帳票を導入する際は、各種法令に自動対応できる電子帳票システムの利用がおすすめです。セキュリティ対策やデータ分析の機能にも注目し、自社に合ったものを選びましょう。

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