電子契約ができない契約書類とは|できない理由や関連する法律を解説

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  • 書面での契約が必須である契約があるため、全ての契約書を電子化できるわけではない
  • 契約書の電子化の流れに乗るためには、電子化に関わる法律を理解しておく必要がある
  • 電子契約を導入する際は、電子契約システムがおすすめである

近年、ペーパーレス化の促進や業務の効率化に伴って、契約書の電子化の流れが広がっていますが、すべての契約書類が電子契約できるわけではありません。本記事では、電子契約できない契約例や、電子契約できない理由を解説する他、電子契約に関する法律についても紹介します。

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目次

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  1. 契約書をすべて電子化できるわけではない
  2. 電子契約ができない契約書類
  3. 電子契約ができない理由
  4. 契約書の電子化の流れに対応するために
  5. まとめ

契約書をすべて電子化できるわけではない

近年、ペーパーレス化の促進や業務の効率化に伴って、契約書の電子化への流れが広がっています。契約書を電子化することで、印紙税納付が不要になる、郵送などにかかるコスト削減事務作業の効率化や、検索しやすいなどさまざまなメリットがあります。

電子化を促進するさまざまな法改正が行われていますが、契約書のすべてが電子化できるわけではありません。ここでは、電子契約できない契約例や、電子契約できない理由を解説する他、電子契約に関する法律についても紹介します。

電子契約ができない契約書類

現在、企業間で取り交わす契約書のほとんどにおいて電子契約が可能ですが、一部に電子契約できない契約書類も存在します。現行で電子契約できない契約には「事業用定期借地契約」「企業担保権の設定又は変更を目的とする契約」「任意後見契約書」があります。

これらの契約は、公正証書による契約を締結することが法律で定められています。公正証書は、公証人の立会いのもと作成が義務付けられていることから、現行では紙での契約が必要です。

参考:借地借家法|e-Gov法令検索

参考:企業担保法|法令リード

参考:任意後見契約に関する法律|e-Gov法令検索

スキャナ保存ができない書類

電子契約に大きく関わる電子帳簿保存法の中にスキャナ保存制度があります。スキャナ保存制度によると紙の領収書・請求書などは、その書類自体を保存する代わりに、スマホやスキャナで読み取った電子データを保存することができます。

しかし、国税関係書類のうち、棚卸表、貸借対照表及び損益計算書などの計算、整理又は決算関係書類は、スキャナ保存の対象外となっています。スキャナ保存を行うためには様々な要件があるので注意が必要です。

参考:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】

参考:はじめませんか、書類のスキャナ保存

相手方の事前承諾が必要な電子契約もある

また、電子契約自体は可能でも、相手方からの事前承諾が必要な電子契約もあります。代表的なものとして「建設工事の請負契約書」があげられます。

建設工事は、一般的に契約金額が高額で、契約期間も長くなります。契約者間の紛争を防止するという観点からも、電子契約を結ぶ前には「電子契約の締結を合意する契約・協定」などをあらかじめ取り交わしておくことが、法律上定められています。

電子契約ができない理由

電子契約ができない主な理由には「公正証書化する義務」があることと「消費者トラブル防止」の2つがあります。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

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電子契約ができない2つの理由

  1. 公正証書化する義務
  2. 消費者トラブル防止

公正証書化する義務

公正証書とは、法律の専門職に従事している人から選ばれた公証人が作成する公文書のことをいいます。公正証書は法律上、書面での作成が定められているため電子契約ができません。

公正証書化する義務がある契約として「事業用定期借地契約」「任意後見契約書」「企業担保権の設定又は変更を目的とする契約」があります。

以前は「特定商取引(訪問販売等)の契約等書面」についても電子契約ができませんでしたが、2023年6月の法改正で、消費者から事前承諾を取ることを前提に、電子契約が可能になりました。

消費者トラブル防止

電子契約ができない契約には「消費者保護」の観点から、書面での契約書の作成が必要なものがあり、投資信託契約などがそれに該当します。

また「不動産契約における重要事項説明書」の説明を受ける際など、当初は電子契約する予定であっても、契約者の意向が変わった、または電子契約が閲覧できないなどのトラブルが発生して改善の見込みがない場合も、書面での契約への切り替えが求められます。

消費者トラブルを防止するために、たとえ電子契約の手続きを進めている途中でも相手方から電子化を拒否したい申し出があれば、書面での契約へ切り替えることが義務付けられています。

契約書の電子化の流れに対応するために

契約書の電子化の流れに対応するためには「電子契約に関わる主な法律」「電子契約システム」について理解・把握しておくとよいでしょう。ここから、それぞれについて詳しく解説していきます。

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契約書の電子化の流れに対応する2つのポイント

  1. 電子契約に関わる主な法律
  2. 電子契約システム

電子契約に関わる主な法律

電子契約に関わる主な法律には「電子帳簿保存法」「電子署名法」「e-文書法」があります。ここから、それぞれの法律が持つ特徴・目的・役割について見ていきましょう。

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法は、国税関係書類を紙から電子データへ変更して保存・提出するときの基準や要件を規定する法律です。

主な目的は、デジタル化・ペーパーレス化を推進して業務の効率化と、リモートワークなど新しい働き方へ対応できる体制へ整えていくことです。

電子契約において電子帳簿保存法が持つ役割は、紙から電子データへ変換した契約内容の正当性と法的効力があることを証明することにあります。

参考:電子帳簿保存法関係|国税庁

電子署名法

電子署名法の正式名称は「電子署名及び認証業務に関する法律」といい、今まで書面で行われてきた署名を、電子署名で行うときの法的効力について定めた法律です。

主な目的として、署名した人が契約書作成に関わっていることの本人性の証明と、書類の非改ざん性の証明をすることがあげられます。

電子契約において電子署名法が持つ役割は、「電子契約の署名が本人が行ったものであれば、契約は成立したものとする」という法的な効力を持たせることにあります。

参考:電子署名及び認証業務に関する法律|e-Gov法令検索

e-文書法

e-文書法は、国税関係書類だけではなく、もう少し広い範囲の建築・人事・医療関連の法定保存文書も対象となります。紙から電子データへ変更・保存する際の法的な効力を証明するという点では、先述の法律と同じです。

主な目的・役割として、電子契約の「見読性」「完全性」「検索性」を確保することで、改ざんや消去があったかの証明するためと、はっきりと読み取れる状態で、必要なデータをすぐに提供できるかがあげられます。

参考:民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律|e-Gov法令検索

電子契約システム

電子契約システムとは、紙の契約書に署名・捺印をする代わりに、電子契約書へ電子署名・タイムスタンプを付与して、インターネット上で契約に必要な手続きが行えるシステムのことです。

契約書の原本はクラウド上やサーバーに保管され、すべて電子データのやり取りで完結するので、従来紙で行っていた契約書作成の工程がなくなり、業務の効率化につながります。

電子契約システムは、契約書のデジタル化・ペーパーレス化を促進でき、本人性・非改ざん性の証明が可能で契約期限に沿った管理が容易にできるようになります。電子契約を導入する際には、電子契約システムの導入を検討することがおすすめです。

電子契約システムとは?仕組みやメリット・デメリットを解説

電子契約システムとは、企業などが契約時に交わす署名や押印等の書類でのやり取りを電子上で行うことができるシステムです。この記事では、電子契約システムの仕組みや、メリット・デメリット、選び方や導入する際の注意点などを解説します。

まとめ

契約書の電子化は、印紙税納付が不要になる、郵送などにかかるコスト削減事務作業の効率化や、検索しやすいなどさまざまなメリットがあります。

しかし、中には電子化できない契約もあり、契約書の電子化について理解するには「電子契約に関わる主な法律」「電子契約システム」について知っておくとよいでしょう。電子契約に関わる主な法律には「電子帳簿保存法」「電子署名法」「e-文書法」があります。

電子契約システムは、契約書のデジタル化・ペーパーレス化を促進でき、本人性・非改ざん性の証明が可能で契約期限に沿った管理が容易にできるようになります。電子契約を導入する際には、電子契約システムの導入を検討することがおすすめです。

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