eラーニングと通信教育は何が違う?違いやメリットを解説|オンライン研修との使い分けで学習効率をアップ
Check!
- eラーニング導入で現代の企業研修・学習の悩みを解消できる
- eラーニングなら、通信教育では難しい個々の学習状況を把握可能
- eラーニングシステム選びでは教材・対象人数・機能への着目が重要
時代の変化に伴い学習環境も進化し、学習方法の主流は通信教育からeラーニングとなりました。本記事では、通信教育からeラーニングへと変化した歴史を学び、それぞれの違いやメリット・デメリットを解説。時代に合った学習方法を取り入れることで、個人のスキルアップだけでなく、企業研修・学習のコスト削減や効率化が図れます。
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目次
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eラーニングの始め方
感染症の拡大や働き方に関する考えの推移に伴い、変化した「学び」のスタイルにも対応するため、自社の研修形式やスキルアップに適応したeラーニングシステムの選定が求められます。
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eラーニングシステムとは
eラーニングシステムとは、インターネットを用いて学習や研修を行えるシステムのことです。パソコンやスマートフォンなどの端末を利用し、オンライン環境下で学習や研修を行います。
企業におけるeラーニングシステムの代表的な利用例として、社内研修が挙げられます。新入社員に対して行われる新人研修に加え、ビジネスマナー研修やコンプライアンス研修など、さまざまな場面でeラーニングシステムが活用されています。
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eラーニングとは、パソコンやタブレット、スマートフォンを使ってインターネットを利用して学ぶ学習形態です。本記事では、eラーニングをよく知らない方のために、eラーニングのメリット・デメリットやeラーニングシステムの機能、選び方を解説しています。
eラーニングシステムを構成する2つの要素
eラーニングシステムは「学習管理システム(LMS)」と「学習教材」の2つの要素で構成されています。2つの主な機能について、簡単に解説していきます。
学習管理システム(LMS)
LMSは、eラーニングを実施するためのプラットフォームであり、受講者・仕様教材の広報管理や受講状況、学習の成果を一括で管理できます。「学習管理システム」「eラーニングシステム」「教育管理システム」などと呼ばれ、一般的にはGoogle ChromeやMicrosoft EdgeをはじめとするWebブラウザを利用します。
下記のように、eラーニングを幅広く運用するための機能が搭載されています。
受講者向けの機能 | ・システムログイン ・コースや成績などコンテンツの閲覧 ・インプット・アウトプット学習機能 ・テスト・レポート機能 ・質問機能 |
管理者向けの機能 | ・受講者登録・管理機能 ・履修登録機能 |
指導機能 | ・受講履歴閲覧機能 ・レポート管理機能 ・質問管理機能 |
教材管理機能 | ・コースの作成・編集 ・学習素材割り当て機能 |
学習教材
eラーニングの教材には写真や文章、動画、問題集など様々なコンテンツがあります。教材の質は受講者の満足度や学習効果を左右するため、eラーニングの重要な要素です。
- 資料配布型
- アニメーション型
- 動画配信型
- VRやゲームなど体感型
上記のようなさまざまな形式が用いられ、近年では教材を作成する機能が備わったLMSも登場しています。
eラーニングと通信教育の違い
eラーニングと通信教育の最も大きな違いは、教材が紙か電子かです。そもそもeラーニングとは、インターネットを通じた学習法です。パソコンやスマートフォンを使い、インターネット上で提供されている教材(コンテンツ)で学習を進めます。
近年では会社の研修・スキルアップなど幅広い学習の場に普及し、多くの企業がeラーニングを導入しています。
対して通信教育とは、指定された紙の教材(教科書・ワークなど)を使って学習する方法で、主に自己啓発的な学習で活用されています。課題(ワーク・テストなど)は郵送で主催元に送付し、添削されたものが郵送で手元に戻ってきます。
従来の自宅学習は紙教材を使った通信教育が主流でしたが、インターネットが普及した現代では、より利便性の高いeラーニングが主流になっています。
eラーニングとオンライン研修の違い
インターネットを通じた教育には、eラーニングのほかにオンライン研修もあります。両者はよく似ていますが、リアルタイムかどうかという点が異なります。
オンライン研修とは、講師による研修をリアルタイムで配信するものです。対してeラーニングでは、録画された研修を配信・視聴するスタイルが一般的です。
また、オンライン研修とeラーニングでは、目的にもやや違いがみられます。オンライン研修が主に知識の定着を目的とするのに対し、eラーニングは知識の共有・インプットのために行われます。
オンライン研修はリアルタイムの研修であり、マイクとカメラをつなげば不明点や疑問点をその場で講師に質問できます。インプットとアウトプットの両方が可能であるため、知識の定着を進めたい場合に適しています。
一方、eラーニングは録画コンテンツを視聴するものが多く、講師への質問はできません。インプットのみの学習となるため、定着よりも知識の共有に適しています。
通信教育からeラーニングに進化した歴史
自宅学習が従来の通信環境からeラーニングに進化する過程には、さまざまなターニングポイントがありました。eラーニングへの理解を深めるためにも、その歴史についてもある程度知識を持っておきましょう。
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通信教育からeラーニングに進化した3つの歴史
CD-ROM搭載PCの普及
前述の通り、従来の通信教育は紙の教材を利用していました。しかし1990年代の終わり頃にCD-ROM搭載PCが誕生したことにより、教材にCD/DVD-ROMを利用した通信教育が誕生しました。これが通信教育の電子化、eラーニングの始まりといえます。
講師の講義を録音・録画で受講でき、中には教科書をパソコン上で閲覧できるものもあります。従来の紙面のみで行っていた講義に比べ、「ライブ感」のある教育が可能となり、大幅な学習効果の向上がみられました。
インターネットのブロードバンド化
インターネットのブロードバンド化に伴い、eラーニングの進化もスピードアップします。ブロードバンド化とは、簡潔にいえば通信回線の高速化です。インターネットのブロードバンド化により、大容量データの送受信が可能となりました。
たとえば従来はCD/DVD-ROMで行っていたコンテンツ視聴をインターネット上で行えるようになったほか、課題の提出もインターネット経由となりました。また、提出した課題の採点もオンラインで行え、その場ですぐに点数や習熟度が判明します。
加えて従来のような教材や課題の郵送の手間もなくなり、学習の利便性がより高まりました。
スマホ・タブレットの普及
スマートフォンやタブレットといったスマート端末の普及も、eラーニングの発展に深い関係があります。それまでeラーニングはパソコンでしか行えず、学習はパソコンがある場所でしか行えませんでした。
しかしスマート端末の登場により、パソコンと同クオリティの映像・音声・データを持つコンテンツを、場所に制限されず利用できるようになりました。
たとえば、従来は自宅でしか視聴できなかったコンテンツが、通勤や通学のすきま時間を利用して視聴できるように変化しました。より手軽さが増したことからeラーニングの利用者が急増し、現代のような盛況ぶりを見せています。
eラーニングシステムのメリット
eラーニングを導入することで得られるメリットは主に3つの視点に分類されます。ここでは、eラーニングシステムのメリットについて、管理者・受講者それぞれの目線から詳しく解説します。
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【管理者・受講者】教育の質が均一になる
eラーニングは、受講者全員に同じ内容・質の学習教材を提供できるため、教育の質が均一になるメリットがあります。例えば対面型の講座の場合、同じ教材を使用しても講師によって教え方が異なり、教育の質にバラつきが出ることが考えられます。
講座内容はシステム上で管理できるため、常に教材がアップデートしやすく、質の高いコンテンツを提供し続けられることも大きなメリットです。
また、受講生は内容を理解するまで繰り返し学ぶことができます。自分のペースで学習を進められるため、各々が理解度に応じて学び、公平な教育が可能です。
【管理者】学習の進捗状況やフィードバックを一元管理できる
eラーニングは、受講者の学習状況やテスト結果をシステム上で簡単に管理できます。そのため、誤ってテスト結果や課題を紛失するという心配はありません。
また、データの手入力が不要なため、手間が省ける上に誤入力やフィードバックの対象者を間違えるといったミスの防止にもつながります。システム上の結果がそのまま反映されることで、信頼度も上がります。
eラーニングのテスト結果やアンケートを集計・分析したデータをもとに、教育ノウハウの蓄積や教育施策の改善ができることも期待されています。eラーニングは教育だけではなく、組織力の向上につながることは大きなメリットです。
【管理者】手間やコストを削減できる
eラーニングは集合研修に比べ、コストや手間が抑えられるメリットがあります。集合研修の場合、運営費や外部講師の派遣や研修生の交通費の負担など、準備にコストが掛かります。場所を選ばないeラーニングは、様々な面でのコストカットにつながります。
また、対面型である場合、受講者の管理や学習履歴の集計などの業務が発生しますが、eラーニングはシステム上で一括で行うことが可能です。社員の業務を負担できるため、非常に画期的と言えます。
【管理者】素早い情報共有が可能
eラーニングで使用する教材は、システム上のアップデートにより簡単に追加や修正ができるため、素早く情報共有できるメリットがあります。社内マニュアルの変更の変更が生じた場合でも、システムを通じて早い段階で学習させることができます。
社内での情報情報伝達力が上がり、スピード感が出ることで組織全体の生産性の向上も見込めます。
【受講者】職場や自宅で自分のペースで学習できる
eラーニングはスマートフォンなどを利用することで、場所や時間を選ばずに自分のペースで学習できるメリットがあります。不規則な勤務で対面型の講座を受けられない方や、忙しい方でも学習する機会を増やせます。
また、スマホやタブレットで学習できる手軽さから、通勤の移動時間や待ち時間を有効活用できます。学習することがより身近になるため、社員の学習意欲の向上にもつながります。
【受講者】学習の質が向上する
eラーニングは、動画コンテンツの配信やシステムの特徴により、学習の質が向上するメリットがあります。ここでは、学習の質が向上する理由を詳しく解説します。
音声と映像で理解度が深まる
eラーニングでは、動画コンテンツなどを活用することで、紙媒体の教材に比べ理解度が深まります。音声と映像で訴えることにより、テキストや図形より受け取れる情報が多く、細かい表現を伝達しやすいです。
例えば、レジ打ちのような動作を伴う研修をマニュアル化する場合、紙媒体では「テキストを読み、写真でイメージする」という方法で覚えます。映像で動作をそのまま表現すれば、実際の現場をイメージしやすく早期の定着化が図れます。
管理側としても、テキストで分かりやすい表現を考えながら資料を作るより、映像と音声を利用することで業務の簡略化にもつながります。
何度も復習を行える
eラーニングは各々の理解度に合わせて何度も復習ができるため、学習の質が上がります。集合研修は一度きりの受講のため、時間が過ぎると終わったり、再度教えてもらうことが難しかったりします。
そのため、一度受講しても正しく理解できていないことや、浅い知識のまま終わってしまうことも多いです。eラーニングの場合は同じ内容を繰り返して学習できるため、知識の定着度が上がりやすいメリットがあります。
また、繰り返し学ぶことで新たな気づきの発見や、理解度の深化につながることも注目されるべき点です。
【受講者】手軽で継続しやすい
eラーニングは、インターネット環境があれば簡単に学習できるため、継続しやすいメリットがあります。外出する気分にならない時や忙しくて時間を取れない時でも、自宅でPCや移動時間のスマホですぐに学べることで、継続が容易になります。
また、集合研修のように現場に赴く必要がないため、本来移動するために使っていた時間を他の学習に時間を当てることもできます。学習を効率よく行えるため、受講生にとって「学ぶこと」のハードルが低く、ポジティブな印象になることもメリットです。
eラーニングシステムのデメリット
eラーニングシステムの導入には大きなメリットがある一方で、デメリットもいくつか存在します。デメリットに関してもメリット同様に、管理者・受講者の目線に分けて詳しく解説します。
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【管理者・受講者】その場で質疑応答ができない
eラーニングは、ライブ配信を除いてリアルタイムの学習ではないため、その場で疑問を解決できないデメリットがあります。理解が不十分なままでは、不安に感じる受講生も出てくるでしょう。
受講生から問い合わせを受けることの多い内容の把握や、受講生が疑問に感じやすい点の想定はできます。「よくある質問コーナー」のようにコンテンツを作成しておくと、ある程度の問題解決に役立ちます。
質疑応答のために、専用の掲示板やチャットを設置しておくことも方法の1つです。管理者が稼働している時間帯であれば、速やかな対応ができます。分からないことがあれば、まずは確認する場所を設けておくことで、受講生の不満解消にもつながります。
【管理者・受講者】受講者同士の交流が減る
eラーニングは個人で学習するシステムのため、受講者同士が直接関わることはありません。そのため、集合研修でできるような受講者同士の交流ができないというデメリットがあります。孤立しての学習が、モチベーションの低下につながることも考えられます。
最近では掲示板やブログ、SNSなどオンラインでのコミュニケーションツールを組み合わせて、交流を活性化する手法も用いられています。
学習のモチベーションを保つために、時には受講者同士の交流が必要です。オンラインならではのコミュニケーションツールを使用して、デメリットを解消しましょう。
【管理者・受講者】講義を行うための環境が必要
eラーニングで講義を行うためには、インターネット環境と視聴する端末が必要です。受講環境を整えるためには、システムの導入や関連機器の調達などに、コストや時間がかかるデメリットがあります。
会社用の業務端末を導入している場合は、業務端末を通してeラーニングを実施できるよう整備することができます。しかし、受講のしやすさを鑑みると、PCをはじめとしたマルチデバイスに対応させることが求められます。
受講者側は、インターネット環境が整っていないと受講が難しくなります。インターネット環境を求めて移動が発生する場合、講座の内容によっては集合研修のほうがメリットが大きいこともあります。
導入までにかかる時間やコストを想定し、あらかじめ計画することで予想とのギャップを埋めましょう。
【管理者】eラーニング教材の制作にコストや手間がかかる
eラーニングは配信する学習教材を作る必要があるため、コストが掛かります。分かりやすく充実したコンテンツにするためには、作成技術も求められ、それなりに手間がかかります。
一度作成すれば何度も繰り返し使用が可能ですが、コンテンツ内容によってはまめに改正が必要です。例えば、コンプライアンスや法令に関わることは、法改正により随時更新が必要であり、eラーニングでは逆に手間がかかる可能性もあります。
eラーニングで配信する学習教材は、自社の社員規模や運用に割ける人員を加味して、内容ごとに運用方法を検討しましょう。
【受講者】モチベーション維持が難しい
eラーニングは好きなタイミングで学習できる魅力がありますが、逆を言えばモチベーションを保つことが難しくなるデメリットがあります。
集合研修とは違い、進め方が各々のペースに任されることになります。自ら学習意欲を持って取り掛からなければならないため、やる気が起きないと受講しないままドロップアウトにつながることもあります。
管理者は、受講者が交流できる機会を作るなど、モチベーションを維持するための対策方法を考えることが必要です。また、受講を促すための通知表示や期限の周知も、学習意欲を促す効果があります。
【受講者】実技の習得が難しい
eラーニングは学習コンテンツを視聴するため、映像や音声によるイメージはできますが、実技の習得は難しいことがデメリットの1つです。道具などを用いた実技の習得は、口頭で説明することが難しいです。
特に高度な知識が必要なことや取り扱いに注意を要する操作は、eラーニングのみでは不十分と言えます。eラーニングを使用するにしても、場合によってはコンテンツだけでは学べない部分の補完教育が必要です。
集合研修の前の自己学習や、実技研修と組み合わせて一環の研修内容にするなど、eラーニングを上手く活用することもできます。eラーニングで学んだことは、現場で説明する必要がなくなるため、研修にかかる時間を減らすことも可能です。
eラーニングはただ学習させるだけではなく、内容に合わせて柔軟に使いこなすことが求められます。
通信教育のメリット
従来の通信教育には、eラーニングと形態が異なっているからこそのメリットがあります。eラーニングと比較しながら、また自社・自身の学習スタイルにも置き換えながら理解を深めましょう。
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通信教育のメリット
学習が形に残る
通信教育では紙媒体の教材を用いるため、学習が形に残る点がメリットです。たとえば、テキストの書き込み・マーカーといった足跡が残せるため、後から見直しをしたいときにも便利です。学習の達成感を得やすい点も、紙媒体の教材ならではの魅力でしょう。
記述式でアウトプットできる
通信教育では、課題やレポートは記述式で取り組みます。インプットした情報を自分の言葉で整理・系統立ててアウトプットできるため、知識の定着を促せます。
見るだけでなく実際に問題を解く、書くといったアウトプットは理解を深めます。見るだけの学習は手軽ではあるものの、知識の定着にはやや向かないため、通信教育の記述式である点は身になる学習が期待できます。
学習環境の設備が簡単
通信教育は、どのような学習環境でも行える点がメリットです。基本的に教材やノートを広げる場所さえあれば学習を進められ、eラーニングのようにパソコンの設置・通信環境の確保といった手間やコストはかかりません。
eラーニングの学習環境整備に必要なコストと比較すると非常に安価な点も、通信教育の大きなメリットといえます。
通信教育のデメリット
通信教育には、学習状況の把握が難しく、タイムラグが発生するといったデメリットも存在します。それぞれの内容を解説します。
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通信教育のデメリット
個人の学習状況を把握しづらい
通信教育では、主催者が各受講者の学習状況を把握しづらいという課題があります。基本的に受講者の状況が知れるのは、提出されてきた課題を受け取ったときのみです。
課題は科目を一定程度履修する度に発生し、主催元や講師は課題を受け取ることで「この受講者はこの科目まで学習が進んでいる」と推測できます。定期的に課題が提出される場合は問題ありませんが、提出が途絶える・遅くなると、今の学習状況を知ることはできません。
計画的に研修や教育を進めたい場合、各受講者の状況をリアルタイムで把握できないことは大きなデメリットとなります。
タイムラグが発生する
通信教育は、課題を郵送で提出・添削されたものが郵送されるため、提出から結果がわかるまでに一定程度のタイムラグが発生します。
学習スピードにも多少なりとも影響を及ぼすため、学習へのモチベーション低下を招きかねません。また、課題の提出や返却ごとに郵送代がかかる点もデメリットです。
管理者側がeラーニング実施のために用意するもの
eラーニングを実施する管理者は、提供・管理するためのプラットフォームや学習教材などの準備が必要です。ここでは、管理者としてeラーニングを実施するために必要なものを詳しく解説します。
学習管理システム(LMS)
LMSは、eラーニングを実施するためのプラットフォームであり、受講者・仕様教材の広報管理や受講状況、学習の成果を一括で管理できます。受講者がアクセスし、ログインしてして学習することが多いです。
LMSは「学習管理システム」や「eラーニングシステム」、「教育管理システム」などと呼ばれ、一般的にはGoogle ChromeやMicrosoft Edge、SafariなどのWebブラウザを利用します。
eラーニングにはSCORMと呼ばれる世界規格があり、eラーニングを共通化するための標準規格が定められています。使用しているLMSと学習教材に互換性がない場合、eラーニングの利用ができないなど弊害が生じることがあります。
SCORMは学習教材とLMSとの通信を統一化し、運用性を高める役割を果たします。そのため、SCORMの規格を満たすLSMシステムを選ぶことで、eラーニングの運用の幅が広がります。
教材・学習材
eラーニングの教材には写真や文章、動画、問題集など様々なコンテンツがあります。教材の質は受講者の満足度や学習効果を左右するため、eラーニングの重要な要素です。
学習教材は編集用のソフトで各自が作成したものをLMSに登録し、コンテンツとして提供する方法が主流でしたが、近年は教材を作成する機能が備わったLMSもあります。
メンターや学習支援体制
eラーニングは学習教材任せにせず、学習者に助言する学習支援者(メンター)・アドバイザーや、質問に回答するチューターを配置する学習支援体制も大切です。学習を進める中で、理解できない箇所や教材自体の不備があることも考えられます。
学習者のモチベーションを保つためにも、eラーニングの足りない部分をカバーできる人材の配置が必要です。
受講者はデジタルデバイスの準備が必要
受講者はスマートフォン・PC・タブレットなどのデジタルデバイスがあれば、いつでもeラーニングを始められます。OSや機器によっては、eラーニングシステムをはじめとする提供教材に対応していない場合もあるため、受講前に確認しましょう。
eラーニングシステムの選び方
eラーニングシステム選びを失敗しないための重要な比較ポイントを4点紹介します。より詳しく知りたい方は、「【もっと詳しく】eラーニングシステムの選び方」をご覧ください。
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教材の種類で選ぶ
eラーニングシステムには多くの商品が展開されていますが、システムによって利用できる教材の種類はさまざまです。自社で作成した教材を使用したい場合や、職種に応じた専門的な教材を使用したい場合など、用途に合わせて選びましょう。
自社にとって効果の高いeラーニングシステムを導入するためには、ポイントを押さえて検討することが必要です。以下に、教材を選ぶ上での3つの重要ポイントを挙げています。
教材作成の方法
教材の作成方法にはいくつか種類があり、自社でオリジナルの教材を制作するか、ベンダーあるいは他者が提供する教材を使用するかによってシステムとの相性が変わってきます。
自社で作成する場合、参加者に伝えたい内容をピンポイントで押さえた教材を作れます。また、研修に適した教材があらかじめ揃っている会社では、費用的なコストが抑えられるというメリットもあります。
一方で、外部から提供された教材を使用する場合は、内容のチェックや選別などの作業が必要になります。研修内容を指定し外部へ制作を委託する場合はコストがかかるため、費用的な問題も考慮した上で、自社が使用する教材に適合したシステムを選びましょう。
教材の内容
eラーニングシステムが提供している教材は、サービスによって職種や専門領域が異なります。また、特徴や内容によって汎用型と専門分野特化型に分類できます。
汎用型のeラーニングシステムでは、マナー研修・ハラスメント研修・コンプライアンス研修など、多くの企業で一般的に利用される汎用的な教材が多く揃うという特徴があります。基礎的な内容の研修から取り組みたい企業に適していると言えるでしょう。
一方で、専門分野特化型は、ITやセキュリティ技術などの専門的な分野に特化した教材を展開しています。社員教育に専門領域の教材を取り入れていきたい企業に向いており、基礎的な研修を終了した後のステップアップにもおすすめです。
コンテンツの種類
eラーニングシステムで使用するコンテンツには、テキスト・音声・動画などの種類があります。近年では動画によるコンテンツが主流になっていますが、システムによって対応できるコンテンツの種類が異なる場合があるため、注意が必要です。
自社の研修で使用した紙の資料やPDFをアップロードするものや、講師が実際の講義を行う動画タイプのものなど、使用したいコンテンツの種類に合わせたシステムを選びましょう。
対象人数で選ぶ
eラーニングシステムの中には、同時に受講できる人数の上限が定められているものがあります。従来の研修講座に比べると多人数に対応可能な場合が多いですが、企業の規模によっては不足する場合があります。
一般的に、対応可能な人数が多いものは費用が高額になる傾向があります。研修内容によっても参加状況は変わってくるため、実際の利用者数を確認し、人数に合わせた無駄のないプランを選ぶのがおすすめです。
機能で選ぶ
eラーニングシステムには、オンラインの環境があれば場所を選ばず学習を進められるというメリットがあります。一方で、システムの機能性が学習効率に影響を及ぼす場合もあります。学習を進めやすいシステムを導入するために、以下のポイントに注目しましょう。
テスト・アンケート機能
eラーニングでは受講者の反応がわかりにくく、学習内容の定着度の把握が難しいです。ただ研修を実施するだけではなく、効果を定着しやすくするためにテスト機能やアンケート機能を利用するのがおすすめです。
テスト機能では、学習コンテンツの最後に学習内容に関するテストを設問できます。回答によって受講者本人は自分の理解度を把握でき、管理者側は研修効果のフィードバックを得られるというメリットがあります。
また、受講後にアンケートを回収する機能を搭載しているシステムも存在します。参加者本人が自分の言葉で学習内容を振り返ることによって、アウトプットによる知識の定着が見込めます。
コミュニケーション機能
eラーニングによる学習は独学に近い状態になるため、モチベーションの維持が難しいと言われてます。また、行き詰まった時や質問したい時なども1人で解決しなければならず、学習が停滞してしまうこともあります。
受講者同士や受講者と管理者がやりとりできる環境を整えたい場合は、コミュニケーション機能を備えたeラーニングシステムが適しています。コミュニケーションの方法には掲示板・チャット・問い合わせ・FAQなどの種類があり、用途に合わせて選べます。
また、コミュニケーション機能の1つである進捗管理機能では、進捗状況が遅れている受講者をアラート通知し、管理者側から個別にアプローチすることもできます。これによって質疑応答が活発化し、全体的な理解度の向上に繋がります。
外国語対応
外国人従業員がいる場合は、使用言語に対応しているシステムを選びましょう。英語や中国語など一部の外国語にだけ対応可能なものやグローバル企業向けのものなどがあるので、自社に在籍する従業員に合ったものを選ぶことが重要です。
日本人従業員だけが学習できる環境は、平等な労働環境とは言えません。外国人従業員が在籍している企業は、全従業員が平等に学習できるよう外国語対応は必須機能です。
提供形態で選ぶ
eラーニングシステムの提供形態には、オンプレミス型とクラウド型があります。自社のサーバー上にシステムを構築するオンプレミス型に対し、クラウド型ではインターネットによってクラウド上へのアクセスを行うことでサービスを利用します。
オンプレミス型のメリットは、自社にとって必要な機能を柔軟に設定できるカスタマイズ性の高さです。一方で、オリジナルな機能を備えたシステムを構築するため、費用が高額になります。
クラウド型のシステムはインターネット環境とデバイスがあればすぐに利用できる手軽さが魅力です。また、導入コストを安く抑えられる点もメリットの1つです。ただし、既存のシステムを利用するため、機能の拡張性や柔軟性はやや劣ります。
eラーニングシステムの導入方法
以上で、eラーニングシステムの選び方についての着目すべきポイントなどについて解説しましたが、実際に、eラーニングシステムの導入が決定した際の手順や注意点について、具体的に解説します。
1. 自社の課題・学習目的を洗い出す
eラーニングシステム選びでは、自社が必要とする教材・機能が備わっているかが重要な比較ポイントですが、「何のための学習なのか」「自社が必要とする機能とは一体何か」を明確にするために、まずは学習や研修における課題の洗い出しを行います。
課題を洗い出すことで、教材の優先度やシステム導入で実現したいこと、つまり導入の目的が見えてきます。欲しい教材・機能に優先順位をつけてシステムの比較を行いましょう。
2. サービスを比較検討する
eラーニングシステムによって教材やプランの内容、機能、料金体系、価格、連携できるサービスなどが異なります。そこで、自社のeラーニングシステムを導入する目的をもとに、最適なeラーニングシステムを選びましょう。
導入するサービスを比較検討する際には運用のシミュレーションを行うことが効果的です。初期費用やランニングコストを見積るとともに、費用対効果を見極めましょう。
3. テスト運用で導入を判断する
eラーニングシステムは、無料トライアルを利用してテスト運用を行うのがベストです。テスト運用を行うことで、操作性などを実際に体験することができ、システム選定の判断がつきやすくなります。
また、機能面など自社の欲しい要素が備わっているかどうか、操作画面はシンプルなものか、実際に教材を作成してみるのも良いでしょう。実際にテスト運用してからシステムを導入すれば、失敗が少なくなります。
eラーニングシステムを導入する際の注意点
eラーニングシステムを導入する前に、注意点も必ず確認しましょう。注意点も含めてeラーニングシステムを選ぶことでトラブルを回避できるでしょう。
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eラーニングシステムを導入する際の注意点
導入目的を明確にする
システム導入の効果を最大限に引き出すためには、導入目的を明確にしておきましょう。自社の現状の課題を把握し、導入によって得たい効果を洗い出すことで、本当に必要な機能を絞り込めます。
得たい効果や目的を定めておくことでイメージが具体的になり、導入後のミスマッチを防止できます。また、無駄な機能を備えたシステムを選んでしまうリスクも回避でき、適切な費用対効果が得やすくなります。
モチベーション維持の工夫ができるか確認
eラーニングシステムでは参加者一人ひとりが個人で学習を進めるため、集団での学習に比べてモチベーションの維持が難しくなります。モチベーションが低下すると学習を継続できなくなる場合もあるため、サポートできる機能を備えたシステムを選びましょう。
クイズ作成機能を備えたものなら、学習内容をクイズ形式で出題し、楽しみながら知識の定着を促進することができます。また、学習の進捗状況を把握し、受講者に合わせた適切な教材を設定することも効果的です。
個人での学習は相対的な評価がわかりにくく、達成感や充実感を得られにくいという弱点がありますが、これらの機能によってモチベーション維持の工夫を取り入れましょう。
実技学習の場を別途用意する
eラーニングは動画などを視聴して学習するため、資格取得などの知識を増やすといった学習には向いていますが、実技技能の取得には不向きです。動画で技術を見ることはできますが、見るだけでは技術を磨くことはできません。
そのため、医療現場や介護などの技術が求められる場合は、実習など実技学習の場を別で用意する必要があります。リアルタイムで進行する集合研修やオンライン研修との組み合わせも効果的です。
準備期間やコストを確認
eラーニングシステムの課金方式には、従量課金制と定額制の2種類があります。アカウント数や利用人数に応じて金額が変動する従量課金性に対し、定額制は人数に関わらず金額が一定です。
一般的に利用者が少ない場合は従量課金制が有利になるケースが多いです。一方で、人数の多い大企業では定額制が割安になる場合があります。同じ課金制度でも細かいルールや金額が異なるため、自社の利用状況に合わせて適切なコストのものを選びましょう。
また、eラーニングシステムは、提供形態や教材の内容に応じて準備期間が異なります。教材を自社で作成するか外注を行うかにもよりますが、課題の把握・システムや使用教材の選定・管理体制の構築などを考慮し、導入までの期間を見積もっておきましょう。
【もっと詳しく】eラーニングシステムの選び方
eラーニングシステム選びでは上記以外にも、以下のような比較ポイントがあります。自社のニーズを把握し、最適なシステムを選びましょう。
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eラーニングシステムの選び方:その他のポイント
カスタマイズ性で選ぶ
社内教育で使用される教材には、内容のブラッシュアップやカリキュラム設定の見直しなどが頻繁に発生します。必要なタイミングで教材の修正や入れ替えができることは、eラーニングシステムを利用する上で必須の機能と言えます。
システムによっては、カスタマイズの内容に応じてコストが発生するものや修正や追加に多くの手間を要するものがあります。コンテンツのカスタマイズ機能がどれくらいの柔軟性を備えているかを事前に確認しておくことで、余分な手間やコストの増加を防止できます。
対応端末で選ぶ
スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末はパソコンに比べて持ち運びしやすく、どこでも利用できるというメリットがあります。利用者に合わせた快適な学習環境を提供するためには、モバイル端末への対応機能が欠かせません。
モバイル端末に対応したシステムなら、利用者が都合のよいタイミングで学習を進めやすくなります。操作性が悪いとモチベーションの低下にも繋がりかねないため、モバイル端末に対応可能なものを選びましょう。
セキュリティ対策で選ぶ
eラーニングはインターネットによってコンテンツを提供するため、一定のセキュリティリスクを抱えています。第三者による不正アクセスが行われると情報の漏えいや盗用などに繋がるため、セキュリティ対策が万全かどうかを十分に確認しましょう。
セキュリティに関する機能は、使用者の認証機能やIPアドレスによるアクセス制限機能などの有無で確認ができます。また、SSLによるデータの暗号化が行われているか・ISMSを取得しているかどうかも1つの基準となります。
まとめ
紙の教材や課題を郵送でやりとりしていた通信教育に代わり、現代ではコンテンツの配信・視聴や課題の提出・添削をすべてインターネット上で行えるeラーニングが主流になっています。
eラーニングは資料準備や会場確保にかかる費用・手間を削減できるほか、各受講者の学習状況を一目で把握できる点も、従来の通信教育にはないメリットです。一方、導入の際は環境整備などにコストがかかるため、導入支援があるシステムの利用がおすすめです。
eラーニングは、主にLMS・学習教材・学習の支援者の有無を基準に選定することが大切です。自社に適したeラーニングシステムを導入し、従業員の自主学習を促すことで、より効果的に優秀な人材の育成を進めましょう。
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