個人間取引における電子契約書|メリット・デメリット、作り方を解説

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  • 個人間取引では、商品・支払い・配送などに関わるトラブルが起こりやすい
  • 電子契約書を利用することで、契約の手続きを簡略化・効率化できる
  • 電子契約書の内容は、紙の契約書の内容と変わらないが、書名は電子署名で行う

インターネットの普及により、個人間の取引が増え、電子契約書のニーズも高まっています。本記事では、個人間取引における課題や、電子契約書を利用するメリット・デメリットを解説し、電子契約書の作り方・電子書名のやり方を紹介します。

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目次

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  1. 個人間取引とは
  2. 個人間取引における課題
  3. 個人契約書と法人契約書の違い
  4. 電子契約書とは
  5. 電子契約書のメリット
  6. 電子契約書のデメリット
  7. 電子契約書の作り方
  8. 無料の電子契約システムを利用する際の注意点
  9. まとめ

個人間取引とは

個人間取引とは、一般消費者同士がインターネット上でモノ・スペース・サービスなどの売買契約や決済を行うことで、「CtoC(Consumer To Consumer)」とも呼ばれます。

個人間取引として代表的なのは、公園や広場を利用して個人の所有物や作成物を売買する、いわゆる「フリーマーケット」「蚤の市」です。また、自宅のスペースの一部を宿泊施設として提供する「民泊」も個人間取引に当たります。

なお、ご自身では個人間取引のつもりでも、取引の内容や収益の大きさによっては個人事業主の事業と見なされることもあります。また1年の雑所得が20万以上になる場合は、個人間取引であっても確定申告が必要となるため、注意しましょう。

個人間取引は契約書なしで合意・決済に至る場合が多く、それだけにさまざまなトラブルが発生しやすくなっています。特にやり取りする金額が大きい場合は、電子契約などを利用し、契約書を交わすことが望ましいです。

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個人間取引における課題

個人間取引では、次のようなトラブルが目立ちます。

  1. 商品に関すること:手元に届いた商品の種類や状態が想定と異なる・偽物だった
  2. 支払いに関するトラブル:代金が支払われない
  3. 評価・口コミに関すること:不当に低い評価・悪い口コミを投稿される
  4. 配送に関すること:配送事故で商品が手元に届かない・代金を支払ったのに商品が発送されない

個人間取引では事業者を介さずに取引を行うため、相手が信頼できる売主・買主かどうかは自分で判断しなければなりません。万が一悪質な売主・買主にあたれば、偽物を掴まされた・代金が支払われないといったトラブルに陥ります。

個人間取引では、上記のようなトラブルに遭遇しても対応は自己責任となり、場合によっては泣き寝入りを強いられることもあります。また、個人間取引は基本的に消費者保護規定から外れるため、法的な救済措置もあまり期待できません。

ただし、法的拘束力のある契約書を交わしている場合は、トラブルが起こった際に契約内容に沿った法的措置も可能になります。個人間取引の多くは契約書なしで成立しますが、不利益な事態を避けるためにも、契約書の作成・締結が望ましいです。

個人契約書と法人契約書の違い

個人契約書と法人契約書の違いは特にありません。強いて挙げるならば、契約書を作成・締結したのが個人か法人か、という点が異なります。

また、法人契約書のみに適用される法律やルールも存在するものの、基本的には、個人契約書か法人契約書によって、契約内容・法的効力が変わることはありません。

トラブルの発生率が高い個人間取り引きは、あらかじめ個人契約書を交わしておくことで、トラブルの防止またはトラブル発生時のリスクの低減につながります。

電子契約書とは

電子契約書とは、電子データ化された契約書です。電子上で作成・締結した契約書のほか、紙の契約書をスキャンして電子データ化したものが含まれます。

従来、契約書を交わすには、パソコンで作成した契約書を印刷して押印し、先方に郵送していました。電子契約書は、コンピュータ上で作成した契約書にそのまま押印でき、かつ契約書はメール添付で先方に届けられるため、原本の印刷や郵送が必要ありません。

近年は契約業務の効率化・ペーパーレス化・契約書の保管スペースの省略などを目的に、電子契約を導入する企業も増えています。また、電子契約書システムを利用すれば手軽に契約書を作成・締結できるため、個人事業主や個人間取引での利用も増えつつあります。

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金銭消費貸借契約書も電子契約できる

金銭消費貸借契約書とは、金銭消費貸借契約の締結を示す書類です。なお、金銭消費貸借契約とは、消費貸借契約の中でも金銭のやりとりに特化した契約です。

消費貸借契約は民法587条に規定されており、「種類、品質および数量の同じ物を返す代わりに金銭、その他の物を受け取ることができるとする」ことを定めています。簡潔にいえば、借主から借りたモノと同等のモノまたはお金を返すためのルールです。

金銭消費貸借契約には、たとえば住宅ローンの他、個人間のお金の貸し借りが含まれます。金銭消費貸借契約書は従来、紙媒体での作成と署名・押印さらに収入印紙の貼付が必要ですが、両者が合意すれば電子契約も認められています。

電子契約書のメリット

電子契約書には、コストの削減・手続きの簡略化といったメリットがあります。電子契約書の導入を検討するためにも、それぞれの内容を理解しておきましょう。

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コストを削減できる

電子契約書では、紙媒体の契約書にかかっていた次のようなコストを削減できます。

  1. プリントアウト代
  2. インク代
  3. 郵送代
  4. (郵送用の)封筒代
  5. 収入印紙
  6. 契約書の保管スペース

手続きを簡略化・効率化できる

電子契約書は、紙の契約書に比べて、契約に関わる手続きを簡略化・効率化できます。従来の紙媒体での契約書の締結には、手動での契約書の作成・印刷・押印・郵送といった手間が必要でした。また、契約書を受け取った側も同様に手動で押印しなければなりません。

一方、電子契約書の場合は、パソコン上で作成した契約書にそのまま押印できるほか、ファイル化すればメールで送信できます。従来のような印刷や手動での押印・郵送は必要ありません。受け取る側も、押印はパソコン上で行えます。

また締結済みの契約書は電子データとしてコンピュータ上で保管できるため、従来のようなファイリング・整理・保管は不要になります。紙媒体の契約書の締結・管理と比べて工程数を大幅に省略できるため、個人事業主や一般消費者でも取り組みやすいでしょう。

電子契約書のデメリット

電子契約書にはデメリットもあります。電子契約書の導入の際は、あらかじめメリットとデメリットを十分に比較しましょう。

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相手の同意が必要になる

電子契約を結ぶには、原則として相手の同意が必要です。もし相手が紙媒体での契約を望んだ場合は、電子契約は結べません。たとえば、相手がITツールに慣れていない・電子契約の有効性を疑っている場合などは、電子契約を拒否される恐れがあります。

相手の同意を得るには、電子契約書の有効性・メリットを十分に説明することが大切です。あるいは、知名度の高い電子契約サービスを利用するのも良い方法です。

電子契約ができない契約がある

次のような種類の契約は、現状、電子契約が認められていません。

  1. 事業用定期借地契約
  2. 企業担保権の設定又は変更を目的とする契約
  3. 任意後見契約書
  4. 特定商取引(訪問販売等)の契約等書面

上記のような契約の締結には、紙媒体の公正証書が必要です。

電子契約書の作り方

電子契約書の作り方は、紙媒体の契約書とさほど大きな違いはありません。大まかな流れは次のようなものです。

【電子契約書の作り方】

  1. Wordなどを利用して契約書を作る
  2. 作成した契約書をPDF化する
  3. 電子署名を付与
  4. 3をメール等で先方と共有

電子契約書と紙の契約書で最も大きく異なるのは、3の「電子署名の付与」です。電子契約における電子署名の意義や付与の仕方について解説します。

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電子署名は必要か

電子契約に法的効力を持たせるには、電子署名が必要です。電子署名とは、電子文書に付与される署名です。紙媒体の契約書の「署名」「押印」にあたります。

電子署名は主に次の2つの目的で利用されます。

  1. 本人性:契約書の作成を本人が行ったことを示す
  2. 非改ざん性(確実性):契約書の内容が改変されていないことを示す

電子署名には、認証局が発行する本人確認データ(電子証明書)が付与されています。すなわち確実に本人が契約を締結したという証拠性を担保できます。

電子署名なしでも契約書を取り交わすことはできますが、法的効力が薄いため、なにかトラブルが起こった際にあまり役に立たない恐れがあります。

法的効力を持たせるには、電子契約書には必ず電子署名を付与しなければなりません。また、電子契約書は紙の契約書に比べて改ざんが容易であることから、非改ざん性も担保する必要があります。非改ざん性の担保には、「タイムスタンプ」が用いられます。

電子署名のやり方

電子署名のやり方は、電子文書の種類によって異なります。

  1. PDFファイル
  2. WordやExcel
  3. 電子契約システム

それぞれの電子契約のやり方をご紹介します。

PDFファイルに電子署名する

PDFファイルの電子署名のやり方をご紹介します。

  1. 「ツール」から「証明書」を選択
  2. 「電子署名」を選択
  3. 「証明済み文書として保存」の「OK」をクリック
  4. カーソルが十字になる
  5. 電子署名を行いたい場所をドラッグし、署名場所を作成
  6. デジタルIDを設定
  7. 「デジタルIDで署名」でIDを指定
  8. デジタルID設定に利用したパスワードを入力
  9. ファイルを保存

「5」のデジタルIDは任意で設定できますが、電子署名の信頼性を高めるために、できれば認証局にIDを発行してもらうのがおすすめです。

認証局でのID発行の際は、本人証明書類などの提出が必要です。発行までにはある程度時間がかかるため、前もって取得しておきましょう。

WordやExcel(エクセル)に電子署名する

WordやExcelへの電子署名の付与の仕方は次の通りです。なお、今回はWordのやり方をご紹介しますが、Excelでもほぼ同じ手順で行えます。

  1. Wordを起動し、電子署名を付与したいデータを表示
  2. 「ファイル」を選択し、ホーム画面を表示
  3. 「情報」→「文書の保護」→「デジタル署名の追加」を選択
  4. 「署名」ダイアログ ボックスで「契約の種類」を選択
  5. 必要項目を入力
  6. 「署名」を選択
  7. 確認メッセージの「OK」を選択

また、電子署名を付与した時点で編集はロックされます。改めて編集する場合は、情報バーの「編集する」を選択してください。

なお、電子署名付与後に文書を編集した場合、電子署名は削除されます。編集後に改めて電子署名を付与しましょう。

電子契約システムを利用する

電子契約書に電子署名を付与するには、電子契約サービスを利用する方法もあります。電子契約サービスとは、契約書の作成・締結までのすべてのプロセスをインターネット上で完結できるサービスです。

作成した電子文書を電子契約サービス経由で先方に送信すると、自動的に電子署名が付与されます。多くは契約書のテンプレートを用意しており、手動で一から契約書を作成する必要はありません。

同じく手動での電子署名の付与も不要のため、電子署名や電子契約の知識が少ない方でも、適切な手順で電子契約を締結できます。

電子契約サービスには、主に次の3種類があります。

  1. ローカル型電子署名(ローカル署名):署名鍵を自分で用意・管理する
  2. リモート型電子署名(リモート署名):自分で用意した署名鍵をサービス提供事業者に預け、インターネット上で管理してもらう
  3. クラウド型電子署名(クラウド署名):サービス提供事業者が用意した鍵をインターネット上で管理してもらう

近年の主流はクラウド署名です。電子署名に必要な環境整備はすべてサービス提供事業者が行うため、ユーザーの負担が少ないのが特徴です。

無料の電子契約システムを利用する際の注意点

電子契約サービスの中には無料で利用できるものもあります。コストをできる限り抑えたい場合は、無料のサービスを検討してみましょう。

ただし、無料の電子契約サービスには次のような注意点があります。

  1. 契約できる件数に制限がある
  2. 機能が簡素
  3. 利用期間に制限がある
  4. サポート体制やセキュリティ体制が十分でない

まとめ

個人間取引は気軽に行える一方、当事者同士のトラブルが起こりやすいのが難点です。トラブル発生時に相手に適切な対応を求めるためにも、契約書を交わしておきましょう。

電子契約書は従来の紙の契約書に比べて、作成・締結・管理の工程数が少なく、また紙代・インク代・保管スペースも削減できます。ただし締結には相手の同意が必要なほか、契約の種類によっては適用できない点に留意しておきましょう。

電子契約書の作り方は紙媒体の契約書とほぼ同様ですが、法的効力を持たせるには電子署名の付与が必要です。電子契約サービスを利用すれば、電子契約の知識がない方でも、適切な手順で電子署名の付与・契約の締結が行えます。

個人間取引でのトラブルに備えたい方は、電子契約サービスの利用を検討しましょう。

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