在庫管理システムとは?機能一覧や種類、メリット・デメリット解説
Check!
- 在庫管理システムとは、在庫情報や在庫管理に関するデータを管理できるシステムである
- 在庫管理システムの導入で、人為的ミスの軽減や作業効率化に期待できる
- 在庫管理システム導入の際は、導入目的の明確化や自社の業務に合っているか確認が必要
在庫管理システムとは、在庫情報や棚卸しなどの在庫管理に関するデータの管理ができるシステムです。本記事では、在庫管理システムをよく知らない・導入を検討している方に向けて、在庫管理システムのメリット・デメリットや選び方、さらにWebで自作できるのかを解説します。
おすすめ記事
目次
開く
閉じる
開く
閉じる
在庫管理システムとは
在庫管理システムとは、在庫情報や棚卸しなどの在庫管理に関するデータの管理ができるシステムのことです。
入出荷データや商品の賞味期限などの在庫情報をデータで一元管理することで、在庫の余剰・不足や人為的ミスを防ぐ効果に期待できます。上手に活用することで、作業効率化やコスト削減に繋げられる便利なシステムです。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
在庫管理システムと基幹システムの違い
基幹システムとは、販売や会計、在庫管理などの業務を効率化できるシステムです。しかし、基幹システムにおける在庫管理はシステムの一部です。
大まかな管理しかできなかったり、売上や仕入れなどと連動して、在庫数が自動的に増減される「帳簿在庫」管理として機能したりといったものが多いです。在庫管理専用として運用したいなら、在庫管理システムがおすすめです。
エクセルで行う在庫管理の課題
在庫管理はエクセルや紙などで手動で行う企業も多い業務ですが、転記ミスや桁数の入力ミスなどのヒューマンエラーは起こってしまうものです。製品の数が多ければ多いほど作業の負担は増すため、その分人為的ミスが発生する可能性は高くなります。
また、在庫管理担当者が複数人いると、担当者によって管理の品質に差が出やすい課題もあります。在庫管理をデータ化して管理することで、人為的ミスの削減・防止や品質のばらつきを軽減できます。
小規模企業にも在庫管理システム導入はおすすめ
在庫管理は複雑なため、管理方法を誤ると在庫の余剰や不足が生じて、適切な管理ができなくなります。需要以上の在庫を抱えると、経営の圧迫にも繋がってしまうでしょう。
以前は在庫管理システムの導入には多額のコストがかかりましたが、最近では小規模企業でも導入しやすい価格のシステムも登場しています。ぜひ本記事を参考に導入を検討してみてください。
在庫管理システムの種類
在庫管理システムは大きく3つの種類に分けられます。それぞれメリット・デメリットを確認して自社に合うものを選びましょう。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
種類 | 特徴 |
---|---|
パッケージ型の在庫管理システム | ・PCにインストールするソフトウェア ・1つのPCのみで管理可能 ・手間やコストがかからず小規模企業におすすめ |
オンプレミス型の在庫管理システム | ・自社のサーバーにシステムを構築 ・最適な機能をカスタマイズできる ・初期費用、維持費用がかかる |
クラウド型の在庫管理システム | ・インターネット上に構築されたシステムを利用 ・障害発生時はシステム提供者が対応 ・手間やコストがかからず小規模企業にもおすすめ |
パッケージ型の在庫管理システム
パッケージ型は、ソフトウェアを購入してPCにインストールする在庫管理システムです。比較的低価格なものが多いため、小規模企業におすすめです。ただし、複数のPCでは管理できないため注意しましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
・手間やコストを抑えられる | ・1つのPCでのみ管理できることが多い |
・ネットワーク環境が整っていなくても使用可能 | ・スマホやタブレットで使用できない |
・自社内で完結するため情報が漏れるリスクが低い | ・定期的にアップデートが必要 |
オンプレミス型の在庫管理システム
オンプレミス型は、自社のサーバーにシステムを構築する在庫管理システムです。導入コストはかかりますが、自社にとって最適な機能をカスタマイズでき、既存のシステムとの連携もしやすいです。
メリット | デメリット |
---|---|
・自由にカスタマイズできる | ・初期費用、維持費用がかかる |
・既存のシステムと連携しやすい | ・障害は自社で対応しなければならない |
・サーバーへの接続が早い |
クラウド型の在庫管理システム
クラウド型は、インターネット上に構築されたシステムを利用する在庫管理システムです。クラウド型のサービスを利用している企業は多く、カスタマイズ性は低めですがコストや手間を抑えたい中小企業にもおすすめです。
メリット | デメリット |
---|---|
・導入費用、維持費用を抑えられる | ・カスタマイズ性が低め |
・導入の手間がかからない | ・既存のシステムに連携できない場合がある |
・障害発生時はサービス提供会社が対応 |
在庫管理システムの機能一覧
在庫管理システムにはさまざまな機能があり、イメージを掴みにくい方もいるでしょう。ここでは、在庫管理システムではどのようなことが行えて、従来の作業をどのように変えられるのか解説します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
機能 | 主な内容 |
---|---|
在庫一覧 | ・製品、保管場所ごとに在庫数を管理 ・製品のデータ確認や在庫数の検索 |
入庫・出庫の管理 | ・入庫、出庫する製品の在庫を記録・検品サポート ・製品情報のラベルを自動発行 |
検品 | ・伝票と実際の製品の品目、数量の確認 |
返品管理 | ・返品された製品の入出庫履歴、在庫データを修正 |
セット品管理 | ・現在の在庫数でいくつ製品を製造できるか把握できる |
棚卸し | ・データと実際の在庫数に差異がないか確認 ・一斉、循環、一部の棚卸しなどに対応 |
在庫分析 | ・過去と現在のデータから分析 |
データ抽出 | ・在庫管理内から必要なデータを抽出 |
マスター管理 | ・顧客、社員、製品などのマスターデータを統合管理 |
在庫一覧
在庫一覧機能では、製品や材料ごと、あるいは保管場所ごとに現在の在庫数を管理できます。ピッキングや出庫したい製品のデータ確認や、特定の保管場所の在庫数の検索もできます。検索機能を活用すれば、時間をかけずに在庫の確認ができる便利なシステムです。
入庫・出庫の管理
在庫管理システムでは、入庫・出庫する製品や材料などの在庫の記録や、入荷予定・入荷後の製品の検品、出荷する製品の検品をサポートする機能があります。
品番や数量など製品を保管するための情報が登録されたバーコードラベルを自動で発行でき、専用の端末で読み取ることで在庫の動きを把握できます。
検品
検品とは、入出荷時に伝票と実際の製品の品目や数量に間違いがないか確認する作業です。担当者が手動で行うと時間がかかってしまったり、ミスが起きてしまったりする可能性が非常に高く、作業効率も悪いと言えます。
在庫管理システムの検品機能では、主に専用端末で商品のバーコードを読み取ることで品目と数量を確認します。担当者はバーコードで読み取るだけなので、作業時間の短縮や人為的ミスを防ぐことができます。
返品管理
返品管理機能では、一度出荷した製品が返品されたときに、入出庫履歴や在庫数のデータを修正できます。
返品処理は手動でも行えますが、担当者によって対応が異なったり、操作が複雑だったりする場合もあります。返品管理機能を用いれば、簡単な操作でデータを修正でき、人為的ミスを減らすことも可能です。
セット品管理
セット品管理機能では、製品をセット単位で管理できます。あらかじめ製品と部品の情報を登録しておくことで、現在抱えている在庫でどれくらいの製品を製造できるかを把握できます。さらに、製造・出荷できる数だけでなく、製品に必要な部品の数もわかります。
この機能を活用すれば、いくつ部品を仕入れればいいのかや、在庫が不足するタイミングも予測できるので便利です。
棚卸し
棚卸し機能では、データと実際の在庫の数量に間違いがないか確認できます。検品と同様、専用端末でラベルを読み取ることで、自動的に数量が正しいかを判断してくれます。一斉棚卸し、循環棚卸し、一部だけの棚卸しといったさまざまな棚卸し作業に活用できます。
在庫分析
在庫分析機能では、過去の入出荷データや現在の在庫データをもとにさまざまな分析を行えます。たとえば売れ行きの良い製品や隠れた売れ筋製品、反対にあまり売れていない製品をグラフなどで把握できます。
また、一定期間内に在庫がどの程度入れ替わったかを示す在庫回転率などの分析ができるので、次回の仕入れ時期やその数を予測することも可能です。在庫の余剰・不足を避けられ、無駄なコストや販売機会の損失防止にも繋がります。
データ抽出
データ抽出機能では、在庫管理システム内のデータから必要なデータの抽出ができます。在庫分析機能で分析したデータも的確に抽出でき、社内資料として他ソフトのデータとして使用したいときや、在庫管理を見直したいときにも便利です。
マスター管理
マスター管理機能では、顧客や社員、製品などのマスターデータを統合管理できます。主に在庫区分や製品の保管場所、取引先やシステムを利用する担当者の情報などをまとめることができ、在庫管理の効率向上にも繋がります。
在庫管理システムのメリット
在庫管理システムを導入することで、在庫管理業務の負担が軽くなるなどの効果に期待できます。ここでは、在庫管理システムを上手に活用することで得られるメリットを解説します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
在庫管理システムのメリット
人為的ミスを軽減・防止できる
在庫管理は、商品の数が多ければ多いほど担当者の負担が大きくなります。さらに、手動で行うことで人為的ミスが発生しやすくなります。特に小規模企業だと、経営に影響が出ることもあるでしょう。
在庫管理システムを導入することで、膨大な情報の読み取りや修正を自動化できます。これにより人為的ミスの軽減、防止ができます。また、担当者の作業量も軽くすることができます。
在庫状況を可視化・最適化できる
在庫管理システムを導入することで、製品の在庫の数をリアルタイムで管理・把握ができます。在庫状況の可視化により、在庫の余剰・不足を防止し適切な在庫数を保つことが可能です。
また、複数担当者がいると、業務経験の長さなどから作業方法が異なったり、在庫管理の品質にばらつきが出てしまったりといった課題もありました。しかし、システムを導入すれば、経験の長さや知識量に関係なく、誰でも同じ効率・品質での作業が可能になります。
人件費の削減ができる
在庫管理システムを導入することで、紙やエクセルなどと比べて作業時間が短縮でき、業務負担が軽くなります。そのため、在庫管理のためにアルバイトを雇うなどの必要がなくなり、人件費削減に繋がります。
キャッシュフローを改善できる
在庫管理システムを導入して、適切に在庫を管理することで在庫の余剰を防止できます。無駄なコストを抑えて資金流出を防げるため、企業内のキャッシュフローの改善にも繋げられます。
在庫管理システムのデメリット
在庫管理システムには、メリットだけでなく以下のようなデメリットもあります。デメリットも把握した上でシステムを導入するか検討しましょう。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
在庫管理システムのデメリット
慣れるまでに時間がかかる
在庫管理システムの導入で作業をデジタル化しても、紙やエクセルなどのアナログ作業からスムーズに移行できるわけではありません。最初は作業に慣れず、ミスや問題が発生する可能性もあるでしょう。
導入担当者がシステムについてしっかり理解し、業務担当者に対して研修を行う必要があります。システムの運用マニュアルを作成しておけば、運用開始後のミスや問題発生を軽減することもできるでしょう。
システム障害のリスクがある
大規模な停電や災害などにより、電源やネットワークに障害が発生すると、在庫管理システムが使用できなくなる恐れがあります。また、ハッキングやウイルスといったサイバー攻撃などで、意図的にシステム障害を起こされるリスクもゼロではありません。
災害によるシステム障害における対策として、クラウド環境の導入がおすすめです。クラウド上にデータを保管しておくことで、データセンターやサーバーに問題がない限り大事な情報を保護できます。
また、サイバー攻撃は、セキュリティの弱点を狙ってきます。セキュリティ上の欠陥であるシステムの脆弱性を診断することで、セキュリティリスクの把握が可能です。脆弱性を知っておくと、どのような対策が適切かも考えられるでしょう。
在庫管理システムを選ぶポイント
ここでは在庫管理システムを選ぶ際のポイントを解説します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
在庫管理システムを選ぶ際のポイント
導入の目的をはっきりさせておく
在庫管理システムを導入する際は、その目的をはっきりさせておきましょう。目的が明確ではないままシステムを導入してしまうと、かえって現場を混乱させてしまったり、機能を持て余してしまったりする恐れがあります。
まずは、自社の在庫管理現場の現状や課題を把握して、どんな機能があれば問題を解決できるか把握しましょう。
コストを確認
在庫管理システムは、利用したい機能の数や種類によって費用が異なります。導入・維持費用と、システムを導入することでどれくらいの利益を見込めるかなどを比較しておくことをおすすめします。
クラウドやパッケージ型の在庫管理システムは、導入時の手間やコストがかからないため、中小企業にもおすすめです。ただし、コスト面だけで選ばず、サポート体制やセキュリティ面も必ず確認しておきましょう。
システムの操作性を確認
在庫管理システムを導入する際は、システムの操作性と検品方法もチェックしておきましょう。複数の担当者がいる場合は、入力や操作が簡単だと研修後の業務で全体的なミスも少なくなるでしょう。
在庫管理システムの操作性を確認する方法
クラウドやパッケージ型の在庫管理システムは、トライアル版を試すことで実際の操作性を確認できます。ユーザーインターフェースや画面遷移、データ入力などを試してみましょう。また、既にシステムを利用している企業のレビューを参照することも有効な手段です。
オンプレミス型で導入する際は、リリース前に必ずテストを実施して、社員からのフィードバックをもらいましょう。一部の社員に使用してもらい、スムーズに操作できるか、操作上の不明点なども確認します。改善点を洗い出し、安定した運用を目指しましょう。
自社の業務・管理したい在庫に合っているか
企業が管理する在庫は幅広く、形状や保管場所も異なります。自社の業務や管理したい在庫には合っていないシステムを選んでしまうと、誤った保管条件で製品の品質を低下させてしまう恐れがあります。必ず自社の在庫とシステムが合っているか確認しましょう。
自社の業務に合ったシステムが見つからない場合は、自由に機能をカスタマイズできるシステムの検討もおすすめです。
既存システムと連携できるか
既存システムと連携できる在庫管理システムなら、正確に生産数や在庫数を引き継げて二重入力の手間がかかりません。在庫管理システムのデータはさまざまな分析にも利用できるため、上手に活用するためにも他のシステムと連携できるか確認しておきましょう。
在庫管理システムと既存システムの連携例
在庫管理システムは、商品の生産・販売に関わる他のシステムと連携することで、業務プロセスをスムーズに進められるようになります。以下に他システムとの連携例をまとめました。
連携するシステムの種類 | 使用例 |
---|---|
受注管理システムとの連携 | 受注情報を受け取り、在庫数を調整する |
販売管理システムとの連携 | 売上データと在庫情報をリアルタイムで共有し、発注や在庫調整を行う |
生産管理システムとの連携 | 生産計画に基づいて、必要な部品や材料の在庫を管理する |
物流管理システムとの連携 | 在庫の移動や在庫状況をリアルタイムで把握する |
サポート体制・セキュリティ面が充実しているか
在庫管理システムを導入して慣れないうちは、ミスやトラブル、疑問点が多発する可能性があります。システムの提供会社がどれくらいトラブルや疑問点に対応してくれるのか、対応時間は何時までかを確認しておきましょう。
また、在庫管理に関するデータは経営面でも大事な情報です。情報が漏洩しないように、セキュリティ対策の内容は必ずチェックしましょう。
在庫管理システムはWebで自作できる?
在庫管理システムの導入には、少なからずコストがかかります。できればコストを抑えるために自作したいと考えている方もいるでしょう。在庫管理システムは、Webの開発ツールで自作できます。
ここでは、Webで管理したい企業向けに、自作可能な在庫管理システムの種類を紹介します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
自作可能な在庫管理システムの種類
エクセルやAccessで作成できる
在庫管理システムはエクセルやAccessで自作できます。どちらもWeb上にさまざまなテンプレートが配布されており、在庫管理用のテンプレートも見つけることができます。関数やマクロを使用して自社用にカスタマイズすることも可能です。
また、テンプレートを使用せずに一から作成することもできます。VBAなどを扱うスキルを求められるため難易度が高くなり、時間もかかりますが、システムを開発するよりは容易に思い通りの在庫管理システムを作成できます。
しかし、データの整合性が取りづらかったり、作った本人しか詳しい使い方がわからず属人化してしまったりといった課題もあります。また、手動で行うため入力ミスなどが起こる可能性も否めません。
プログラミングやノーコードツールで作成できる
Webアプリ開発などでよく使用されるPHPやPythonなどのプログラミング言語を用いれば、自社に合った在庫管理システムの作成が可能です。在庫管理システムをWebアプリとして開発できれば、複数の事業所で同じシステムを利用できるメリットが生まれます。
しかし、プログラミングの知識に長けた人材を確保したり、外注する必要が出てきたりなど、人材・費用コスト面での懸念があります。
なるべくコストを抑えて在庫管理システムを導入するなら、クラウド型やパッケージ型の在庫管理システムがおすすめです。複数人で使用したい場合は、月額料金型のクラウド型在庫管理システムを検討してみましょう。
まとめ
在庫管理システムは、入出庫や返品、検品、棚卸しなど在庫に関する情報を一元管理できるシステムです。在庫数が増えれば増えるほど担当者の負担が大きい在庫管理ですが、システムを導入することで、作業時間の短縮やコスト削減に繋がります。
しかし、導入目的がはっきりしていないと、機能を持て余してしまう可能性もあります。システムを上手に活用するために、まずは自社の現状や課題を把握しておきましょう。また既存のシステムと連携できると、データの二重入力の手間もかかりません。
在庫管理システムの導入を検討する際は、この記事を参考に利用するシステムの選定や準備を行い、効率化やコスト削減といったシステムのメリットを実感できるような環境を整えておきましょう。
この記事に興味を持った方におすすめ