FAQシステムとは?導入のメリットとシステムの比較ポイントを解説
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- FAQシステムとは、ユーザーからの「よくある質問」と回答をまとめるシステムである
- FAQシステムを導入することで、問い合わせ業務の効率化や顧客満足度向上に期待できる
- FAQシステムには導入形態や種類が複数あり、目的や予算に合わせて選ぶ
FAQシステムとは、エンドユーザーからの「よくある質問」とその回答を作成し蓄積したものをWebページやアプリ内で検索できる機能です。この記事では、FAQシステムの機能やメリット・デメリットを踏まえ、選び方など導入前に抑えておきたいポイントを解説します。
FAQシステムとは
FAQシステムとは、ユーザーからの「よくある質問」とその回答を作成し蓄積したものを、Webページやアプリ内でユーザーが自ら検索し、必要な答えを引き出せるようにするツールを指します。
FAQシステムを導入することで、従業員やオペレーターによる顧客応対の時間や負担を削減することができます。また、ユーザーも電話で問い合わせすることなく自己解決ができるので、企業に対する顧客満足度向上にも繋がります。
FAQシステムにおいては、ユーザーが「よくある質問」のカテゴリーから目的の回答を探す方法や検索ウィンドウにキーワードを入力する方法、AI知能を活用した自然文字による検索方法などがあります。
また、FAQシステムは顧客などの外部向けだけではなく、社内向けやコールセンター向けなどさまざまな利用場面に活用できます。この記事では、FAQシステムの機能やメリット・デメリットについても解説していきます。
対応者 | 設置方法 |
---|---|
外部向け | ・企業や製品サービスのWebページに「よくある質問」として設置する。 ・スマホアプリなどアプリ内に「ヘルプ・FAQ」として設置する。 |
コールセンター向け | ・オペレーターが顧客応対のために参照する「マニュアル」として設置する。 |
社内バックオフィス向け | ・総務や経理、情報システム部門など従業員や取引先からの質問に回答する「FAQ」として設置する。 |
チャットボットとの違い
チャットボットとは、文字による会話を指す「チャット」と「ロボット」を組み合わせた言葉で、人工知能を活用した自動会話プログラムのことです。
ユーザーが表示されたフォームに知りたい内容を問いかけると、AIが自動的に返信を行います。企業のWebページや販促用の特設サイトにアクセスした際に、ポップアップで「チャットボットでお問い合わせください」などの表示を目にしたことがあるのではないでしょうか。これがよくあるチャットボットと言われるものです。
FAQシステムの機能にチャットボットが搭載されていることもありますが、大きな違いとしては扱う業務の範囲が挙げられます。FAQシステムはユーザーからの質問に答えることが目的ですが、チャットボットはWeb接客など問い合わせ以外の業務でも使われます。
FAQシステムの機能
FAQシステムは、ユーザーからの「よくある質問」にその回答を作成し、蓄積したものをユーザー自ら検索することで自己解決できる便利な機能ですが、その利用方法は用途によってさまざまです。
FAQシステムではどのようなことができるのか、企業にとってどのような変化があるのか、システムの主な機能について解説していきます。
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FAQシステムの機能
【利用者側が活用できる機能】
利用者となる顧客が活用できるFAQシステムの代表的な機能として、企業が顧客向けに作成した「よくある質問」とその回答を検索する機能があります。詳しい内容を次で解説します。
よくある質問の検索機能
企業が用意した、製品やサービスに対する顧客からの「よくある質問」とその回答を顧客自ら検索する機能です。その検索機能には以下のような種類があります。
機能 | 内容 |
---|---|
カテゴリー検索機能 | カテゴリーから目的の回答を探す |
キーワード検索機能 | 検索ウィンドウにキーワードを入力する |
AI搭載機能 | 自然文を入力することでAIが自動検索する |
この検索機能は、顧客に限らず作成した企業側も含めたユーザー全員が使用できる基本的な機能と言えます。
【オペレーター側が活用できる機能】
コールセンターなど電話応対する業務において、オペレーターが対応時に回答の均一化を測るために参照するマニュアルとして活用する機能です。
顧客対応マニュアルや対応履歴を全オペレータで参照できる
カテゴリー検索やキーワード検索を使用し、回答マニュアルを瞬時に参照することができます。また、コールセンターシステムで顧客の購入履歴などを参照できるCRMシステムと連携し、電話応対の補助としてFAQシステムを活用することもできます。
たとえば、CRMシステムと連動すると顧客へ新たな製品の提案や先回りした回答が可能になるので、売上アップや顧客満足度向上に繋がる可能性があります。
【管理者側が活用できる機能】
バックオフィスや社内ヘルプデスクで従業員向けに情報を精査し共有することができます。また、FAQシステムで得たデータの管理・分析をし業務改善や営業計画に活かすことも可能です。
社内ヘルプデスク設立
情報システムや総務部・経理部など社内からの問い合わせが多い部門のヘルプデスクを設立し、従業員が自己解決する手助けを行えます。
問い合わせ件数の減少により本来の業務に充てる時間が確保でき、人手不足の解消や残業削減にも期待できます。
データの管理・分析・レポート
FAQシステムに寄せられる質問や要望を分析し管理することで、顧客ニーズや従業員の疑問点を把握することができます。特に顧客ニーズは商品改良や営業計画に活かすことができるので活用したい機能と言えます。
また、閲覧数などをベースにした分析もでき、利用者にとってわかりにくい点が明確になります。この分析をもとにWebページやアプリを改善することで、顧客満足度の向上が見込めます。
FAQシステムの導入形態
FAQシステムの導入形態は「クラウド型」と「オンプレ型」の2種類あります。コールセンターシステムなどすでに導入しているシステムがあれば、大元の導入方法に合わせますが、初めて導入する場合は選定が必要です。
クラウド型
クラウド型のFAQシステムは、インターネット上のサーバーを利用します。そのためログイン情報とアカウント登録があれば誰でも情報を閲覧でき、場所も選びません。また、比較的コストも低く導入できるのがメリットです。
しかし、サーバー上なので情報漏洩などセキュリティ面では注意が必要です。他には、ベンダーが管理しているサーバー上で構築されているのでカスタマイズ性が低いことがデメリットと言えます。
オンプレミス型
オンプレミス型のFAQシステムは、システム自体を自社サーバーに導入する形態です。自社で導入し管理するため、カスタマイズ性が高く情報漏洩などのセキュリティリスクが低い点がメリットと言えます。
その反面、オンプレミス型のデメリットとしては、導入までにサーバーの設置やソフトウェア・ライセンスの購入など初期費用に加え維持費など高額なコストが必要になる点があげられます。
FAQシステムの種類
現在のFAQシステムはカスタマーサポート機能一体型・ナレッジ共有・チャットボット特化型の3種類が主です。以下では、それぞれの機能を解説しています。
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FAQシステムの種類
カスタマーサポート機能一体型
顧客応対窓口やカスタマーサポート業務で必要となる「FAQ管理」に向いているのがこのタイプです。具体的には、ECサービスやSaaS(クラウドサービス)などのクラウド上での事業に活用されています。
- お問い合わせとその回答を記事化する機能
- マルチチャンネルのお問い合わせを一つの管理画面に集約する機能
- チャットサポート設置機能
- データの管理・分析・レポート機能
これらの機能を横断的に活用でき、顧客からの「質問」とその回答を蓄積することで、FAQページを更新します。カスタマーサポートに必要な業務を一元化し、作業負担を減らすことができるのがこの機能の特徴です。
ナレッジ共有型
ヘルプデスクや社内バックオフィスで必要になる、検索精度の高さを求められる業務に向いているのがこのタイプです。
さらに、AI機能を活用すれば、専門的な分野でも取扱説明書や製品カタログより詳細な顧客対応が可能になります。
チャットボット特化型
企業のホームページや、製品・サービスの特設サイトにチャットボットを設置しユーザーの質問に対して自己解決を促したり、アンケートなどの情報を収集したりするのに向いているのがこのタイプです。チャットボット型には以下の2種類あります。
人工知能型
ユーザーが利用する度に学習するため、使用期間が長ければ長いほど回答の精度が上がります。ユーザーごとの言葉遣いの違いによる揺らぎにも対応できますが、導入直後は学習が不十分なため、正しい回答ができているかの確認が必須です。
ルールベース型
シナリオ型とも呼ばれるルールベース型は、回答フローに従ってチャットボットが選択肢を提示し、ユーザーが項目を選ぶシステムです。人工知能と比較すると質問内容の範囲は狭くなります。
しかし、あらかじめ設定した回答しかできないため、誤った回答をするといった心配がありません。FAQ程度の内容であれば膨大な時間を要さずに設定でき、スムーズに実装できるのが利点です。
FAQシステムのメリット
FAQシステムを導入することで得られるメリットは多数あります。システム導入による企業への顧客満足度向上や従業員の負担軽減などが期待できます。
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FAQシステムのメリット
問い合わせを減らして業務を効率化
企業の窓口には、電話やメールといった問い合わせが多く、その問い合わせの内容もさまざまです。窓口を兼任している担当者は、問い合わせの度に業務を中断しなければなりません。
また、コールセンターでもオペレーターの人数に対して問い合わせ数が多ければ一人に対する負担は大きくなります。FAQシステムを導入すれば、顧客が自ら答えを検索し自己解決してくれるので、問い合わせ数も減少します。
FAQシステムを導入すれば、顧客が自ら答えを検索し自己解決してくれるので問い合わせ数も減少します。また、コールセンターでもオペレーターの人数に対して問い合わせ数が多ければ一人に対する負担は大きくなります。
FAQシステムの導入により窓口への問い合わせ数が削減されれば、窓口担当やオペレーターの負担が削減され業務が効率化されます。業務が効率化されて職場環境が改善されると、従業員の満足度も向上し長期定着化に繋がってくれるでしょう。
顧客満足度の向上
窓口担当やオペレーター数が限られている場合は、顧客の電話がなかなか繋がらずストレスや会社への不信感を抱かれてしまう恐れがあります。
FAQシステムを導入すれば、顧客が自ら早期的に問題解決ができます。また、コールセンターの営業時間にかかわらず、顧客の都合のいい時間に問い合わせすることができるため顧客満足度の向上に繋がります。
また、コールセンターでFAQシステムを導入し、オペレーター側でもFAQマニュアルを作成することでオペレーターの知識度に左右されずに求められた回答ができます。スムーズに回答が出せることで、オペレーターの応対品質の向上も期待できます。
分析機能によるユーザーニーズの把握
FAQシステムには、顧客から寄せられる質問を蓄積し分析・レポートにしてくれる機能があります。「よくある質問」を蓄積することで、ニーズの高い質問の回答が用意できるので、顧客がFAQを参照しても求める回答が得られないケースを防ぐことができます。
また、チャットボット機能と連携するなど、顧客からのよくある質問を蓄積・分析することでユーザーニーズの把握が可能になります。ユーザーニーズの把握は外部発注することもあるほど顧客定着化や商品改良など営業利益に直結します。
以上のことからFAQシステムを上手に活用すれば、顧客の「よくある質問」に回答するだけではなく、製品やサービス、企業そのものの利益を最大限に発揮できると言えます。
属人化防止
社内FAQシステムの導入により、経験の差による属人化が防げます。経験や知識による能力差が小さくなり、リーダーや先輩社員の負担が減ります。また、ベテラン社員の退職による業務質の低下対策にもなります。
管轄外の業務に関してもFAQで確認ができるため、別部署に質問し回答を待つという手間と時間がカットできます。FAQシステムの導入による業務質の維持や、部署間のやり取りの減少による業務効率化は大きなメリットと言えるでしょう。
リモートワークに対応できる
業務に関する社内向けFAQは、リモートワークで非常に役立ちます。業務で発生しやすい疑問や問題などをFAQにまとめておくことで、リモートワーク時に自身で調べて迅速に解決できます。
職種や内容によっては居住地を問わずに求人募集をかけることも可能になり、採用活動の幅が広がるといったメリットもあります。
FAQシステム導入のデメリット
前述の通り、FAQシステムには多数のメリットがありますが、一方で導入の仕方によってはデメリットが発生する可能性もあります。システムを導入する際には、以下の事項に注意しなければいけません。
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利用者 | カスタマーサポート担当者 | 経営者 |
---|---|---|
・疑問点の解消に繋がらない可能性がある | ・定期的な更新が必要になる | ・システム導入にはコストがかかる |
・セキュリティリスクがある |
【利用者】疑問点の解消に繋がならい可能性がある
FAQシステムに搭載されている情報量が少ないと、顧客が求める質問の回答がなく結局はカスタマーサポートセンターなどに問い合わせが来ることになり、オペレーターの負担が削減されません。
また、FAQページを用意しても内容が分かりにくいと、顧客の混乱をまねき逆に問い合わせが増えてしまう可能性も考えられます。
【カスタマーサポート担当者】定期的な更新が必要になる
顧客からの質問や新しいニーズに応えるため、FAQシステムには定期的な更新が必要です。更新作業を疎かにしてしまうと、顧客のニーズに応えられず顧客満足度は高くならないでしょう。
なお、更新作業は定期的に効率よく行う必要があるため、専門部署で更新作業を行い、カスタマーサポート担当者がチェックするなど体制を整えておくのがおすすめです。
【経営者】システム導入にはコストがかかる
費用対効果の観点も重要です。FAQシステムを導入するには、導入費や維持費など多くのコストがかかります。得られるメリットに対しコストがかかりすぎる場合は、導入自体を再検討するか、別のシステムを選択肢に入れる必要があります。
コストとメリットが不釣り合いなシステムの導入は、早々に使用をやめるといった無駄なコストになりやすいです。無駄なコストを生まないためには、自社の導入目的や必要な機能をはっきりとさせてからコストシュミレーションを行い、長期的な予算を算出しましょう。
【経営者】セキュリティリスクがある
FAQシステムでは、顧客情報や会社データを取り扱うため、セキュリティリスクが伴います。特にクラウド型のシステムでは、インターネットを介してデータを扱うため、不正アクセスやサイバー攻撃などに注意が必要です。
また、オンプレミス型だとしてもセキュリティ対策をどのように行えるか確認します。経営者は、ヒューマンエラーによる情報漏洩対策などあらゆる観点からセキュリティ対策を行う必要があると言えます。
FAQシステムを比較する際のポイント
FAQシステムを導入するにあたって、さまざまなシステムのタイプがあるため、何を基準に選ぶべきか迷うこともあるでしょう。ここでは、FAQシステムを選定する際に着目すべきポイントを解説します。
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FAQシステムのメリット
導入形態は目的に合っているか
FAQシステムを導入する目的に合わせて、導入形態や費用対効果を検討しましょう。導入形態には、クラウド型とオンプレミス型の2種類があり、利便性・カスタマイズ性・コストに差が生じます。
クラウド型は、インターネット上のサーバーにソフトウェアを設置するだけで利用できるため、時間やコストが比較的かからずに導入できます。一方、オンプレミス型は自社でサーバーを用意しソフトウェアをインストールする形態なため、時間と費用がかかってしまいますが、カスタマイズ性の幅は広く柔軟なシステム運用が行えます。
それぞれのメリット・デメリットを把握し、自社の導入目的に合ったシステムを選定しましょう。
必要な機能はあるか
FAQシステムはシステムごとにさまざまな機能がありますが、自社に合った検索機能が搭載されたシステムを選定しなければいけません。
たとえば、カスタマーサポート機能一体型かナレッジ共有型か、質問の内容などデータ収集を行いレポート管理が行える柔軟な機能が必要かといった点を検討します。重要視する点を明確にしてシステムを選定しましょう。
ユーザーが使いやすいか
ユーザーが使いやすいシステムであるかは、最も重要なポイントです。たとえ必要な機能が備わっていても、画面の見やすさや操作の仕方が難しければ問い合わせ件数の減少に繋がらないからです。
サービスによっては無料トライアルなどが用意されている場合もあるので、ターゲットユーザーのペルソナを把握し、使いやすいシステムかテストしてみるのもおすすめです。
運用サポートは手厚いか
提供元のサポート体制が充実しているシステムを選べば、安心して導入することができます。どのようなサポートを受けられるのかもシステム選びの段階でチェックしておきましょう。
特に、導入形態によってはクラウド型の更新頻度やオンプレミス型の複雑なシステムのヘルプデスクなど、必要なサポート内容も変わってきます。それぞれのシステムを上手に活用するためにも、サポートが充実しているシステムを選びましょう。
まとめ
FAQシステムは、ユーザーからの「よくある質問」を蓄積し回答を用意することで、ユーザーが自己解決してくれる便利なシステムです。窓口担当者やオペレーターの業務を削減し、負担を軽減することが可能です。
ただし、FAQシステムの機能には種類や導入形態の違いがあるので、導入目的に合った選定が必要です。また、システムを導入した際には定期的な更新が必要になるため、FAQシステムの専用部署や運用体制を整えスムーズに活用する準備をしましょう。
FAQシステムの導入を検討する際には、この記事を参考に利用するシステムの選定や準備を行い、業務の効率化や顧客満足度向上といったシステムのメリットを実感できる環境作りをおすすめします。
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