Web接客とは?メリットや注意点、ツールの選び方も解説
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- Web接客とは、Webサイト上でユーザー1人1人に対して行う接客のこと
- Web接客ツールには、ポップアップ型・チャット型・ハイブリッド型の3種類がある
- Web接客ツールを活用することで、業務効率化やコスト削減にもつながる
Web接客とは、Webサイト上でユーザー1人1人に対して行う接客のことです。Web接客を行うことで、実店舗と同じようなユーザーエクスペリエンスを実現できます。この記事では、Web接客・Web接客ツールの概要やメリット、注意点、ツールの選び方などを解説します。
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Web接客とは
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Web接客とは、Webサイト上での顧客体験を高めるためにユーザー1人1人に対して行う接客のことです。Web接客はマーケティングや営業、カスタマーサポートなど、Webサイト上で行われるユーザーとのさまざまなやりとりにおいて実践されています。
Web接客が必要とされる背景
Web接客が重要視されるようになった背景には、オンラインで購買活動を行う消費者の増加とそれに伴うオンライン市場の発展があります。Amazonや楽天といったECサイトの急速な発展はその代表例です。
しかし、オンライン市場では対面での接客のようなきめ細やかなサービスを提供するのが難しく、サイト運営者とユーザーとの間にギャップが生まれやすいことが課題でした。今までのデジタルマーケティングでも「集客」は重要視されていましたが、それを購買活動に最大限つなげる施策が足らなかったのです。
そこで登場したのが「Web接客ツール」です。異なったニーズを持つユーザーに個別で適切な案内や提案を行う「One to Oneマーケティング」をオンラインでも実現することで、ユーザーのサイト上での行動を促進することができます。
個別にコミュニケーションがとれるだけでなく、近年ではアパレルショップでのバーチャル試着など最新ツールが次々と登場しており、まさに対面での接客と同じ顧客体験を提供できるようになっています。
Web接客の活用事例
Web接客はさまざまな業界で導入されています。その一例をご紹介します。
【BtoC】
- アパレルショップなどのECサイトで商品選びのサポートや割引の案内をする
- 求人サイトや物件サイトなどの情報サイトで会員登録を促す
- コールセンターや問い合わせ対応の業務をWeb接客ツールを使って行う
【BtoB】
- 顧客情報にもとづいてそれぞれに合わせた提案をする
- 役立つ情報やクーポンなどをポップアップで表示し潜在顧客の獲得を図る
この他にも、カートに商品が入っているユーザーに在庫状況を知らせたり、購入フォームや申し込みフォームとしてWeb接客ツールを活用したりと、業種や業態によって多くの活用方法があります。
Web接客ツールとは
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Web接客を行うために用いられるのが「Web接客ツール」です。既存のWebサイトにプラスする形で導入できるため、大規模なWebサイト改修などは必要なく、ツールの設定を行えばすぐに使い始めることができます。
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Web接客ツールの3つのポイント
MAツールとの違い
Web接客ツールと混同されやすいMA(マーケティングオートメーション)ツールですが、対象とする業務範囲や機能が異なります。
MAツールはメール配信や顧客行動の把握・分析といった顧客管理機能が搭載されたマーケティング自動化ツールで、顧客との関係を構築し、さらに関係を深めていくために使われます。
一方でWeb接客ツールは、ポップアップ機能やチャット機能といったWebサイト上にいるユーザーに働きかける機能を持ち、接客による顧客満足度の向上やCVR(コンバージョン率)アップなどを図ります。
それぞれ役割が異なるMAツールとWeb接客ツールですが、中にはお互いの機能の一部を搭載している場合もあります。
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MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、マーケティング活動を可視化し自動化できるツールを指します。本記事では、マーケティングに伴う作業を効率化してくれるMAの主な機能やシステム導入によるメリット・デメリット、導入の際に選ぶポイントを解説します。
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Web接客とMAの違い|使い分け方・組み合わせのポイントを解説
Web接客ツールとMAツールはどちらもオンライン上でユーザーとコミュニケーションを図るものですが、それぞれが持つ役割や期待できる効果が大きく異なります。本記事では、Web接客ツールとMAツールの違いと使い分け方、組み合わせる場合の考え方を解説します。
Web接客ツールの種類
Web接客ツールは大きく分けて以下の3種類に分類されます。それぞれの特徴について解説していきます。
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種類 | 特徴 |
---|---|
ポップアップ型 | ・条件に応じて画面上にポップを表示・視認性が高くマーケティング効果がある・導入工数やコストが比較的低い |
チャット型 | ・テキストでユーザーと会話をする・カスタマーサポートの効果がある・オペレーター型 or チャットボット型 |
ハイブリッド型 | ・ポップアップ型とチャット型を使い分け・機能は豊富だが費用が比較的高い |
ポップアップ型
広告やクーポン、キャンペーン情報などを画面上にポップアップで自動表示させるタイプです。「誰に」「いつ」「何を」「どのように」表示させるのか条件を設定することができます。
- 対象ページを開いた
- 一定時間以上Webページに滞在している
- 特定の箇所までページをスクロールした
- 一定期間内に複数回訪問した
このように条件付けを行うことで、ユーザーに伝えたい情報をパーソナライズすることができます。条件に合致すると画面上にポップが現れるので視認性が高く、タイミングを見計らった「声掛け」の効果で営業・マーケティングの役割を果たします。
ポップアップ型のWeb接客では購入や成約につながるアクションを促すことができ、CVRの向上が見込めます。また、チャット型に比べて導入工数やコストを抑えられる点も魅力です。
ただし、適切な訴求を実現するためには表示させるタイミングや場所、ポップアップの大きさや内容など、事前の設定に工夫が必要です。
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Web接客に役立つポップアップツールとは|効果・注意点・選び方を解説
ポップアップは、タイミングよく広告やクーポンを提示でき、顧客のサイトの離脱防止やCVRの向上に効果的です。本記事では、ポップアップの目的・効果や、使用する際の注意点の他、ポップアップ型のWeb接客ツールの選び方を解説します。
チャット型
テキストメッセージによるやりとりでユーザーと対話をするタイプです。チャット型では問い合わせを必要とするユーザー自らがチャットに参加し、疑問や不安を解消するためにサイト側とコミュニケーションをとります。
チャット型ツールはWebサイトを利用するユーザーからの問い合わせに対応し、解決策を示すというカスタマーサポートの役割を果たします。電話やメールよりも気軽に利用できるだけでなく、素早い対応でユーザーのストレスを軽減し顧客満足度を上げる効果があります。
チャットウィンドウは画面右下などページ内に埋め込む場合と、ポップアップ型と同様に条件に応じて画面上に表示させる場合があります。どちらもページ閲覧の邪魔にならないように配置することが大切です。
実際のチャットではオペレーターが直接ユーザーとやりとりをするか、チャットボットと呼ばれる自動応答で対応することができます。直接やりとりをした方がきめ細やかなサービスを提供できますが、人件費の面ではチャットボットの方が安いなど一長一短です。
ただ、オペレーターを配置する場合でも業務効率化の観点からチャットボットと組み合わせることが多いです。チャットボットはさらに以下の2種類に分けることができます。
種類 | 概要 |
---|---|
シナリオ型 | ・あらかじめ選択肢と解答を用意する ・ユーザーに選択肢を選ばせることで回答へと導く |
AI型 | ・ユーザーが入力した内容をAIが解析し、データベースの中から適切な回答を選び取る ・対話データをAIに学習させることで、精度を上げられる |
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Web接客では、実店舗と同じように、サイトに訪れた顧客に対して接客を行うことで顧客満足度の向上に期待ができます。本記事では、Web接客の際に必要なシナリオについて、目的や作成ポイント、作成手順を解説する他、定番のシナリオも紹介します。
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Web接客ツールには、AIによる機能を搭載したものもあります。AI搭載のWeb接客ツールを上手に活用することで、さらなる顧客満足度向上やコンバージョン率向上に繋がります。本記事では、AIを搭載したおすすめのWeb接客ツールやその選び方を詳しく解説しています。
ハイブリッド型
ハイブリッド型はポップアップ機能とチャット機能を兼ね備えており、目的に応じて2つを使い分けることが可能です。たとえば、ホーム画面ではポップアップでお得な情報をアピール、商品ページに移動したらチャットでサポートといった使い分けができます。
ポップアップ型とチャット型、両方の機能とメリットを享受できて便利ですが、機能が豊富な分費用も高くなる傾向があります。
Web接客ツールの機能
製品によって搭載されている機能は異なりますが、Web接客ツールには主に以下のような機能が見られます。
【ユーザーに提供する機能】
- ポップアップ機能またはチャット機能:Web上で接客を行う
- プッシュ通知機能:アプリやWebサイトからの情報をユーザーに知らせる
- フィードバック機能:ユーザーの声を集めるためにアンケートや投票を行う
【運営者のための機能】
- 顧客管理機能:顧客の年齢や性別といった属性や購買履歴などを収集・管理する
- 顧客データ収集・分析機能:アクセス履歴やWeb上での行動履歴を収集・分析する
- 効果検証・テスト機能:施策実行によるCVRの推移を検証・ABテストの実施
このような機能があることで、Webサイトのユーザビリティの向上やオンラインにおけるユーザーへのアプローチ方法の改善、成果を期待できる最適な施策を練り上げることができます。
Web接客ツールで解決できる課題
Web接客ツールを導入し効果的に活用することで、従来のWebサイト運営では解決が難しかった次のような課題の克服が可能です。
- サイト閲覧数は多いのにCVRが低い
- 注目してほしい情報やコンテンツを見てもらえない
- 直帰率や離脱率が高い
- カートでの離脱(カゴ落ち)率が高い
特に、商品数やカテゴリなどの情報量が多いWebサイトでは動線が複雑でわかりにくいことがあり、上記のような課題を抱えているケースが多いです。
Web接客ツールを使って「ユーザーが使いやすいサイト」を実現できれば、伝えたい情報を正しく伝えられ、ユーザーの興味・関心を効果的に集めてコンバージョンにつなげることができます。
Web接客のメリット
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これまでの内容を踏まえ、改めてWeb接客のメリットについて解説していきます。次のような企業側のメリットが得られることは、ユーザーにとってのメリットを生み出すことにもつながります。
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Web接客ツールの4つのメリット
顧客満足度の向上
今までオンラインで行うのが難しかった1対1の接客が可能となることで、顧客ごとのニーズに合ったやりとりができます。
ユーザーの疑問への素早い対応や、必要な情報の入手や最適な選択をスムーズに行うサポートによる快適なサイト利用を提供することは、CX(顧客体験)と顧客満足度の向上につながります。
さらに、質の高い接客はユーザーをまた利用したいという気持ちにさせます。リピート客を獲得できればサイト運営の安定性が増し、ブランドの価値も高まります。
離脱防止とCVR改善
それぞれのユーザーに必要な情報を提示や、購入を促すようなアプローチをし、Webサイトからの直帰・離脱防止とCVR改善を目指すことができます。購買意欲を高め、ユーザー1人当たりの平均単価の向上にも期待できるでしょう。
Web接客を行えば、「サイトの使い方がよくわからない」「どのように商品・サービスを選べばよいのかわからない」「聞きたいことがあるけれどわざわざ問い合わせるのは面倒くさい」といった悩みを抱えるユーザーに安心してサイトを利用してもらうことができます。
こうしたサポートは商品・サービス選びの段階だけでなく、すでにカートに商品を入れている、あるいはサービスを契約しているユーザーにも効果があります。クーポンや在庫状況の通知、疑問の解消によって、購入の後押しや解約の防止にもつながります。
業務効率化とコスト削減
Web接客ツールを使ってカスタマーサポートの一部を自動化することで、業務負担が大きく人件費もかかりがちな、問い合わせ対応などの業務の効率化・コスト削減が可能となります。
オペレーター型のチャットを使う場合でも、定型文を用意することでオペレーターの負担をある程度軽減でき、リモートワークにも対応可能です。また、BtoB企業の営業活動でも、Webサイト上で収集した情報をもとに行うことで、質・効率ともにアップします。
データをもとにした業務改善
Web接客ツールを使えば、ユーザーの性別や年齢、職業といった顧客情報からサイト上での行動履歴まで、さまざまなデータを取得することができます。
これらのデータをもとに、Webサイトや接客アクションの改善、効果的なマーケティング戦略の策定といった施策を行うことができます。たとえコンバージョンが得られなかったとしても、アクセス履歴や問い合わせ内容はデータとして残ります。
そのため、どのような情報が必要とされているのか、どのような商品やサービスが求められているのかなど総合的な顧客ニーズの把握ができ、Webサイトの改善だけでなく商品開発などにも役立ちます。
Web接客のデメリットと注意点
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以上のようにWeb接客には多くのメリットがありますが、ツールを導入しただけで効果が得られるわけではありません。ツールの効果を最大限発揮させるためには、導入前の準備や運営体制の構築が必要です。
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Web接客のデメリットと注意点
人的コストや事前教育が必要
まず、Web接客ツールを導入・運用するためには担当者の配置が必要です。担当者を中心に、ツールの選定や社内体制の見直しなどの準備を行います。本格的な運用を始める前に従業員への周知・教育を行うことも重要です。
また、Web接客は一度導入したら終わりではなく、その効果を高めていくためにPDCAサイクルを回す体制を整えておかなければなりません。こうしたサポート体制を社内に設置する手間と人的コストも考慮しておきましょう。
情報を正確に伝えにくい
Web接客はパソコンやスマートフォンの画面越しでのやり取りとなるため、商品情報を正確に伝えるのが対面接客よりも難しいです。嗅覚・味覚・触覚を直接伝えられないため、言葉で表現するしかありません。担当者の表現力だけでなく、顧客自身の感じ方にも左右されます。
また、視覚や聴覚は比較的伝えやすいですが、実物との若干のズレが生じます。色味は画面の性能に、音質は使用しているスピーカーの性能に依存します。購入した顧客が思っていたものと違ったと感じないように正確に伝えるには、工夫が必要です。
顧客の通信環境に左右される
Web接客は、自社だけでなく顧客側の通信環境も考慮しなければなりません。遅延が発生すればスムーズなやり取りができず、商品のアピールが不十分なまま終わってしまうかもしれません。
安定した通信環境確保のために、Wi-Fi環境下でWeb接客を行えるよう事前にお願いをしておきましょう。使用するツールによっては専用アプリの使用が必要な場合も、事前にインストールを済ませるようお知らせする必要があります。
Web接客を成功させるためには
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Web接客の導入で効果を得るためにまず大切なのは、顧客目線で接客を組み立てることです。ユーザーから見て不快感や煩わしさを覚えるような接客方法は避けましょう。実際に自社のサイトをユーザー目線で回遊してみて、どのようなアプローチを行うべきか考えるのがおすすめです。
また、他社サイトでの成功事例を参考にするのもおすすめです。自社と同じ業界での成功事例は、多くのヒントを与えてくれるでしょう。ユーザーへのアプローチ方法だけでなく、社内の運用体制についても導入事例から学ぶことができます。
なお、Web接客ツールの選定も重要なポイントです。ツールの選び方については下記で詳しく解説します。
Web接客ツールの選び方
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オンライン市場の発展によるWeb接客への注目度の高さから、近年多くのWeb接客ツールが登場しています。製品数が多いため、どのツールを選ぶべきかわからないという方も多いでしょう。ここでは、Web接客ツールを選ぶ際のポイントを解説します。
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Web接客ツールの選び方は4つ
導入目的を明確にしておく
ツールによって搭載されている機能や強みが異なるので、まずは自社の導入目的を明確にしておくことが重要です。例えば、BtoCにおけるCVRアップを狙うのか、BtoBにおけるリード獲得強化を狙うのかでは、必要となる機能が変わってきます。
自社サービスや製品の利用・購買を促進したいという気持ちはどの企業にも共通してありますが、より粒度を高めて必要なデータの内容や改善指標を明確にすることで、必要な機能がわかり、ツールの比較もしやすくなります。
自社の運用体制に合ったツールを選ぶ
Web接客ツールは、自社サイトの運用体制にマッチしたものを選びましょう。インターネットを介して利用できるクラウド型が良いのか、自社サーバーで管理するオンプレミス型が良いのかなども1つのポイントです。
また、自社の従業員で実際に運用していけるか確認することも重要です。マニュアルの充実度、操作のしやすさなど、ツールを利用する従業員目線で検討していきます。実際に導入した時のことをイメージしながら選定を行いましょう。
費用対効果をシミュレーションする
Web接客ツールの導入には費用もかかります。導入しても効果が得られないとなると費用ばかりがかさんでしまうので、事前に費用対効果のシミュレーションをしておきましょう。
Web接客ツールの費用は、前述したクラウド型かオンプレミス型かでも変わってきます。クラウド型は初期費用を抑えられる一方、月額などのランニングコストが発生します。オンプレミス型では、初期費用は大きくなりますがランニングコストはそれほどかかりません。
また、基本料金だけでなくカスタマイズ費用やサポート費用も、ツールによって差があります。まずは無料プランやトライアルを利用して、十分な効果が得られるか、カスタマイズや導入サポートが必要か確認するのがおすすめです。
ベンダーのサポート体制を確認する
ツール導入時だけでなく、運用中にトラブルや疑問点・不明点が発生した場合に備えて、ベンダーのサポート体制が整っているツールを選ぶと安心です。
サポートには費用が発生するのか、どの程度のサポートをしてくれるのか、電話・メールなどの対応方法や対応時間なども確認しましょう。中にはコンサル的なサポートをしてくれる場合もあり、特に初めてツールを導入する企業におすすめです。
まとめ
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近年、オンライン市場の発展に伴ってインターネット広告費も増加しており、オンラインでモノやサービスをいかに売るかが重要視される中、Web接客ツールも企業からの注目を集めています。
オンラインの情報が増え続ける一方で、オンライン市場では「ご案内」「手助け」がまだまだ足りていない状況です。Web接客ツールはこのような課題を解決するために有効なツールです。
この記事を参考に、自社に合ったWeb接客ツールを導入して他社との差別化を図り、業務効率化と利益向上に繋げていきましょう。
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