業務フロー図(ワークフロー図)の書き方|わかりやすいルールとコツ

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  • 業務フロー図とは、作業や業務のプロセス・手順を可視化するための図である
  • 業務フロー図により、業務の標準化や他部門間でも業務の把握がしやすくなる
  • 業務フロー図を書く際は、開始・終了や条件分岐の明確化、適切な粒度で書くことが重要

業務フロー図とは、作業や業務のプロセスを可視化するための図のことです。図を作成することで、業務の共有や課題発見にも役立ちます。業務フロー図は、見る人がわかりやすいように書くことが重要です。本記事では、業務フロー図の書き方やわかりやすく書くコツを解説しています。

目次

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  1. 業務フロー図とは
  2. 業務フロー図の書き方ルール
  3. 基本的なフローチャート記号
  4. 業務フロー図を書くポイント
  5. わかりやすい業務フロー図を書くコツ
  6. まとめ

業務フロー図とは

業務フロー図とは、業務内容や処理方法を、標準化された図形・記号を使って視覚的に分かりやすくした図表で、ワークフロー図・フローチャートとも言われています。


業務の現場や、担当者ごとに時系列に沿って作成された図表のため、誰が担当者なのかを関係者全員が理解できます。よって、担当者とは違う部署や、外注先などとのコミュニケーションを高めるために役立ちます。

シンプルに図表化された業務フロー図は、現在では行政、金融、病院などあらゆる業界で使われています。また、大学生の授業登録手順など、初めての人には分かりにくい手順を解説する時にも便利です。

業務フローとは

業務フローとは、仕事のプロセスを分かりやすく可視化することです。業務には多くの部署や人が関わっているため、誰が見てもすぐに分かる業務フローの作成が必要です。

業務フローによって、次にする仕事、現在の業務に関する進捗状況が分かるため、効率的に業務を行えます。また、全ての現場の人が仕事の全体像を把握できるため、今後の業務内容に反映するのに役立ちます。

何より、業務フローは誰でも見やすく・分かりやすくする作成することが一番であるため、無駄がなくシンプルな構造であることが求められます。

業務フロー図を書く目的・メリット

業務フロー図を書くメリットは、業務を可視化し、チーム全体で情報を共有できる点です。口頭や文章のみでは、現在どんな状況下にあるのか、どの仕事を誰が担っているのかなどが分かりにくいですが、それらをフロー図にすることで状況の把握がしやすくなります。

業務フロー図を書くことで、正しい業務の流れを理解し、例外的な流れも把握することができます。こういった、スケジュールに遅れが出た場合にも問題点が分かりやすいなど、業務上の課題を見つけ出し、その課題解決に向けた業務の遂行を目的とします。

そして、新しく業務に加わった人でも、業務内容をすぐに理解できるため、説明時間が短縮されるというメリットもあります。また、業務の全体像が見渡せるため、不要なプロセスを取り除き、変更することもできます。その結果、業務の効率化を推進することができます。

業務フロー図の書き方ルール

業務フロー図を書く場合、まずは開始時と終了時を明確にします。時系列は縦でも横でもよく、縦系列では上から下、横系列では左から右へ流れるのが一般的です。

時系列と反対の軸は関係者にします。例えば、企業内の業務ならば部署、外注に委託する業務ならば会社名などを軸とします。このような組織を軸とする書き方を、水泳のレーンになぞらえて、スイムレーンと呼びます。
業務フロー図を書く際、フォントの大きさや字体が統一されていないと見にくくなるため、全てを統一させましょう。誰が見てもすぐに分かるように、複雑ではなくシンプルにすることが重要です。

基本的なフローチャート記号

業務フロー図を書く際に難しいルールは存在しませんが、フローチャート記号を利用した基本的な書き方があります。これらの記号を上手く活用しながら、業務フロー図を見やすく・わかりやすく作成しましょう。

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線・矢印

線・矢印は、業務の流れや処理の流れを表します。作業・処理が同時に進行する場合は線を使い、時系列によって変化する場合には矢印を使う、といったように状況によって使い分けます。

線と矢印はフロー図の順序を示すためによく使われますが、要素同士を斜めに繋げたり、頻繁に交差させたりすると全体的に見づらくなってしまうため、使い方・使用頻度には注意が必要です。

開始・終了

開始・終了は、角丸の四角形・楕円形の図形を使用し、業務フローの開始・終了位置を示します。別名「端子」とも呼ばれ、開始の端子内にはフロー開始のきっかけ、終了の端子内にはフローにおける結果や目標を記述します。

フローチャートのスタートとゴールに使用されることで、フローの状態を視覚的にわかりやすくします。

処理・プロセス

処理・プロセスは四角形の図形を使用し、処理における各プロセスの1つのステップを表します。フローチャート内では一番多く使われる記号であり、記号内にはどんな作業を行うか、単一性のある作業を記載します。

また、処理・プロセスの記号内に記載する内容が多ければ多いほど、フローチャート全体が見にくくなってしまうため、なるべくステップの内容を簡潔に記載し、全体的に見やすくする必要があります。

判断・条件分岐

判断・条件分岐はひし形の図形で表し、「ある・ない」「Yes・NO」などのルート分岐によって選択肢を広げる役割を持ちます。図形の中には判断に必要な分岐条件を記載し、線・矢印を併用して新たなルートを構築します。

また、図形1つで2つまたは3つの分岐を表し、分岐が4つ以上に分かれる場合には、図形を複数重ねることで表現することが可能です。

業務フロー図を書くポイント

実際に、業務フロー図を書く際のポイントを紹介します。業務フロー図を見て、誰しもが分かりやすいものでないと、優れた業務フロー図とは言えません。紹介するポイントを掴んで、シンプルで分かりやすい業務フロー図を作成しましょう

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業務フローを書く目的を明確にする

まずは、顧客観点なのか、企業観点なのかなど、提示する相手を明確にします。例えば、レストランの予約に関しての業務フロー図は、間違いなく予約することが目的ですが、レストラン側とお客様側とでは、業務フロー図に違いが生じます。

このように、何のために、誰のために作成するのかを明確にすると、記載するべき内容が見えてきます。また、現在利用している業務についてのフローなのか、理想とするフローなのかによっても書き方は違います。

業務に関わる担当者・部署を洗い出す

目的を明確にしたら、業務に関わる担当者、部署を洗い出します。ここは、業務フロー図の軸となるスイムレーンの部分であるため、外注先やベンダーなど全てを洗い出しましょう。

ただし、あまりにスイムレーンが多くなると複雑になるため、適宜調整する必要があります。また、開始時と終了時をどこにするかによって、関わる担当者・部署が変わるため、同時にスイムレーンも変わってきます。

よって、どの時点を開始とし、終了をどこにするのか明確化することも重要です。

業務の手順や作業の情報を収集する

洗い出した各部門の担当者にヒアリングし、手順や作業の情報を収集します。その際、ヒアリングには、事前に用意したヒアリングシートを使用すれば、部門によって偏りのない情報が得られます。

なお、できるだけ実際に担当者に業務を行ってもらいながらヒアリングすると、作業手順がよく分かり、重要なポイントを認識できます。また、合わせて担当者に改善点などもヒアリングできると、認識のズレやコミュニケーション不足の改善にも役立ちます。

業務フロー図に記載するタスクを決める

ヒアリングシートを基に、フロー図に記載するタスクを決めます。多くの担当者や業務に関する流れがある場合、同時にタスクの数も増えますが、必要なタスクを整理しながら決めていきます。

その際に必ず記載すべきタスクは、担当者や次の流れに移行する分岐点のタスクです。また、分岐した流れが合流するタスクがある場合は、必ずそこも記載しましょう。

なぜなら、フロー図を書く人にとって重要なタスクではなく、業務全体にとって重要なタスクを選ぶ必要があるからです。そのためには、フローを記載する人物が、漏れなく業務の流れを明確に理解しましょう。

正しい時系列に並べて線を繋ぐ

洗い出し、決定した各タスクを業務の流れに合わせて、スイムレーン毎に時系列で並べていきます。この際、タスクに最適な図形を使用し、矢印で繋いでいきます。

それぞれの担当者や部署で、分担して業務フロー図を書く場合は、使用する形式や記法を決めておきましょう。使用する図形が多すぎると、記号の意味を理解するのに時間が掛かってしまうため、今回紹介した4種類程度に絞ることがおすすめです。

また、矢印が時系列から逆行、交差すると見にくくなるため、正しい時系列に並べて線を繋ぐことを意識し、スイムレーンの順序・位置にも気をつけて、業務フロー図を作成しましょう。

わかりやすい業務フロー図を書くコツ

業務フロー図を書くポイントをおさらいしたら、わかりやすい業務フロー図を書くコツも把握しておきましょう。ここでは、業務フロー図の作成に失敗して「分かりにくくて役に立たない」とならないために、いくつかのポイントを紹介します。

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開始・終了は1つに絞る

まず、業務の開始・終了時間を明確に分かるようにしましょう。業務の始まりと終わりがはっきりしないと、全体の流れが把握できず、見た時に分かりにくくなってしまいます。

また、同様に開始と終了が複数あると、全体の流れが複雑になり、可視化できません開始が複数存在する場合には、新たに別の業務フロー図を作成しましょう。作成する際、定期的な作業なら、日時を開始時にすると分かりやすいためおすすめです。

接続線は交差させずに繋げる

線・矢印を使用した接続線は、プロセスや条件分岐を繋ぐ記号です。時系列で進む場合は、矢印を使うのが一般的であり、プロセスの流れに合わせて線と矢印を使い分けます。

業務フロー図では、接続線を不要な場所に繋げたり、交差したりしていると、全体が複雑になって時系列が分かりにくくなります。また、複雑に折り曲げた接続線も、分かりにくい・見にくい要因となります。

わかりやすい業務フロー図を目指すなら、どこから、どこへ作業が繋がっているのか、明確にわかるように接続線を繋げましょう。どうしても交差してしまうようなら、記号の配置など、業務フロー図全体を見直しましょう。

時系列順に適切な記号を用いる

業務フロー図の図形は、一般的に開始・終了時には「端子」と呼ばれる角丸を使用します。プロセスのタスクには「処理」と呼ばれる長方形を使い、ルートが分岐する場合は「分岐」と呼ばれる菱形を使います。

しかし、スイムレーン毎に記載されたタスクは、時系列がズレてしまうと、業務の順序を可視化できません。同時に作業する、どの業務を先に行うのかなど、図形に記載する内容にも注意しながら、見てすぐに分かるように明確に記載します。

また、業務フロー図に使われる図形の種類はたくさんありますが、使いすぎると煩雑になるため注意が必要です。

条件分岐を明確にする

条件分岐とは、「Yes」「No」などでルートが分岐するところで、菱形図形を使って表します。処理の記号を複数使って、意思決定を促すこともできますが、煩雑な業務フロー図となるため、基本的には「分岐」図形を使うのがおすすめです。

条件分岐は、作業が2つ以上に分岐し、矢印の数も増えるため複雑になります。よって、条件分岐の多用はおすすめできません。条件分岐が多い場合は3つに分岐させる、単純な手戻りの分岐なら思い切って削除するなど、シンプルかつ簡潔化を目指しましょう。

適切な粒度で書く

業務フロー図をわかりやすくするためには、どの程度細かく業務内容を書くのか、全体のバランスを考える必要があります。あまりに細かすぎるとタスクが膨大になり、羅列しただけのフロー図が完成してしまい、シンプルなフロー図とはなりません。

そのため、作成する業務フロー図に最も適した粒度は、フロー図を作り始める前の目的を見直すことで、どの程度が一番見やすいかを決められます。

また、一部分だけを細かい粒度にすると、業務に掛かる時間や内容など、全体の構造が分かりにくくなってしまいます。もし、そのように一部分だけ細かいプロセスが必要なら、サブプロセスを記載して対応しましょう。

1枚のシートに収まるように書く

業務フロー図は、全体像が分かるようになるべく1枚に収まるようにします。しかし、長くなってしまった場合やタスク量が多いと、1枚では複雑に見えてしまいます。

仮に、A3やB5サイズの大きな用紙に印刷が可能なら、視認性は良くなりますが、他の書類と合わせてA4サイズに印刷をしなければならないこともあります。その場合は、下に尖った接続図形を用いて対応します。

記号内に「別紙の〇〇ページ参照」などと記載し、別紙を設け、続く別作業に業務フローが繋がることを表記します。業務フロー図がどうしても1枚に収まらず、複雑な業務内容の記載を必要とする場合には、このような対策が効果的です。

まとめ

業務フロー図は、業務のプロセスを可視化し、業務に関わる全ての人がすぐに分かるように作成します。プロセスを図に表すことで、途中から業務に加わった人に対しても、文章での解説や口頭での説明よりも、見るだけで分かる内容が理想的です。

分かりやすい業務フロー図を作成するには、書く前の準備が必要です。まずは、何のために、誰に提示するのかを明確にします。次に、業務に関わる人・部署などを洗い出し、ヒアリングをします。そこから必要なタスクを絞り込み、時系列ごとに並べていきます。
実際に業務フロー図を書くときの注意点は、なるべく1枚に収まるようにすることです。開始・終了位置を1つずつに絞り、全体の流れを簡潔にします。また、接続線を交えたり、不要な場所に繋げたりせず、作業の流れがわかりやすい業務フロー図を作成しましょう。

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