BPMツールとは?メリット・デメリット、機能や比較ポイントを解説
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- BPMツールとは、業務プロセスの可視化・自動化により、業務の効率化を行うシステム
- BPMツールの導入で、業務プロセスの課題・改善点の発見、業務の属人化防止に繋がる
- BPMツール導入の際は、コストの費用対効果や従業員が使いやすいかなどを確認する
BPMツールとは、業務プロセスの可視化・自動化により、業務の効率化や改善をサポートするツールです。組織内の申請などを一元管理するワークフローシステムとは異なります。本記事では、BPMツールの機能や選び方、メリット・デメリットを比較ポイントと合わせて解説します。
BPMツールとは?
BPMとは、「Business Process Management(業務プロセス)」の略称で、製造や販売に関わる一連の業務プロセスを指します。その業務プロセスを細分化し、それぞれのプロセスで何をすれば最終的に最大の利益が得られるのかを監視するのがBPMツールです。
具体的には、製造業ならば工場、販売業であれば店舗で、「誰が」「どの業務を」「どのように対処するのか」について業務ごとに分けて検討します。ライン作業の工場やチェーン展開を行う店舗にとっては、再現性が高い業務を定着させるのに効果的なツールと言えます。
BPMとは
BPMは、製造や販売の各業務や業務をこなすための仕組みを分析して整理をやり直すことで、プロセスの改善・最適化を目指す取り組みを指します。ここで規定するプロセスとは、営業・出荷・販売などの利益を獲得するために行われる一連の業務のことです。
BPMの導入により、経営面では正確で効率的な業務フローの実現、会社の体質強化としては現場主体で業務課題を意識した組織力を強化するのに期待が持てます。
また、BPMはPDCA(Plan・Do・Check・Action)の反復をベースにしており、各プロセスで行わなければならない行動や思考が異なってきます。
BPMの重要性
BPMによって業務の効率化を図ると、今まで気付かずに繰り返されてきた非効率な業務を見つけ出せたり、特定の責任者・管理者しか知り得なかった業務内容を、可視化したりすることができます。さらに、それらの作業を適材適所に割り当てることが可能です。
通常、競合他社における相手の業務内容というのは、一番把握しづらい部分です。そこに焦点を当て、外部環境に適応しながら業務プロセスの改善を行えると、より一層競合他社との差別化をすることができます。つまり、BPMは企業利益を上げるためにも重要です。
BPMツールとワークフローシステムの違い
BPMとよく間違われるものとして、ワークフローシステムがあります。BPMツールは「組織内の製造や販売などの各プロセスの業務」を効率化するシステム、ワークフローシステムは「組織内の申請・承認・決裁のフロー」の一元管理を行うためのシステムです。
つまり、システムとしての定義や目的が違い、ワークフローシステムは、BPMの機能から一部分だけを抽出したものだと言えます。大きく分類すると、BPMツールに搭載されているシミュレーション機能が、ワークフローシステムには搭載されていません。
しかし、次のタスク処理者にフローを渡す「ワークフロー機能」・処理内容に応じたフォームを作成できる「フォーム作成機能」・ほかのシステムのデータをそのまま反映できる「データ連携機能」の3つは共通する機能です。
BPMツールの機能
業務プロセスの可視化や改善を支援するBPMツールには、ワークフローシステムと同様にワークフロー機能やフォーム作成機能が搭載されています。中でも「モデリング機能・シミュレーション機能・モニタリング機能」の3つがメインの機能となります。
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機能 | 主な内容 |
---|---|
モデリング機能 | ビジネスプロセスを可視化する |
シミュレーション機能 | ビジネスプロセスの動作を予測する |
モニタリング機能 | ビジネスプロセスを監視する |
モデリング機能
モデリング機能とは、業務プロセスの可視化を行い、見直しするための機能です。まず、現状の業務プロセスを特定のルールに従って、フローチャートに反映させます。
フローチャートで業務全体の流れを改めて見直してみると、意外にも無駄な作業や重複している作業が見つかる場合があります。改善すべき問題点が見つかったら、どのように効率化するかを検討したうえで、フローチャートを訂正し、業務に反映させましょう。
また、業務の見直し・フローチャートの訂正だけでなく、業務プロセスを再構築して、一から新たな設計をすることも可能です。
シミュレーション機能
シミュレーション機能とは、従来のワークフローから変更・見直しされた業務プロセスにトラブルが発生しないかを予測する機能です。モデリング機能では効率化が実現されたように見えても、実行してみると想定していなかった影響が出る場合があります。
そんな実務への影響・トラブルを防止するために、シミュレーション機能を駆使して事前にチェックを行いましょう。また、モデリング機能による業務プロセスの改善により、どのように効率化が図られるかを検証することも可能です。
モニタリング機能
モニタリング機能とは、業務プロセスの最適化を検証する機能です。改善された業務プロセスを遂行した際に、そのプロセスによる業務への影響などを操作履歴の解析によって監視します。
また、改善された業務プロセスの実行により、思い通りの効果を得られているかをモニタリングする意図も含まれています。モニタリングして思い通りの結果にならなかった場合は、改めてモデリングから再試行し、改善を重ねていきましょう。
このように、3種類のBPMツールの機能を活用し、PDCAサイクルを回していきます。
BPMツールのメリット
BPMツールのメリットは、業務に関する課題のスピーディーな発見や解決・迅速な意思決定・業務におけるプロセスの平均化や急速な変更に対して、柔軟な対応ができる点です。このように、BPMツールの導入は、あらゆる業務内容の改善に役立ちます。
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BPMツールのメリット
業務プロセスの課題発見
企業の中で事業拡張や部署統括が行われると、業務プロセスは一段と複雑になり、全体の流れや進捗状況を把握するのが困難になります。業務プロセスの把握ができなければ、問題点や無駄な業務の検証もできません。
そこで、BPMツールによって業務を可視化することで、全体の流れや進捗状況を把握でき、業務の効率化や課題・改善点の発見ができます。これにより、業務配分を見直したり、デジタルツールを採用したりと、本質的に課題を解決するための対応ができます。
業務の属人化を防ぐ
BPMツールにより、組織の人員・設備・ノウハウを把握することで、リソースの最適化・業務の標準化ができます。標準化されることで、特定の人員に仕事が集中する業務の属人化が解消されます。
これにより、誰でも同じようなクオリティで業務が遂行できるようになり、新入社員の受け入れや引き継ぎもスムーズに行うことができます。また、業務品質・サービス品質の安定で、長期的には顧客満足度の向上にも期待できます。
スケジュール管理の効率化
業務の遅れやリスケジュールが慢性化しているような場合、その直接原因として、現場の進捗状況が正しく管理されておらず、業務がどれくらい進展しているのか把握出来ていない点が挙げられます。
しかし、進捗状況が何時でも可視化されるようになれば、それぞれのプロセスにかかる時間を具体的に把握することができるようになり、直前でのスケジュール変更などにも容易に対応できます。
また、余裕を持ってスケジュール調整をしたり、担当者のタスク配分の見直しをしたりすることで、無理のないスケジュールを実現することが可能です。
部門間の連携強化
組織としての連携力をより向上させるには、現場の生の声をきちんと吸い上げたうえで、業務の効率化を進める必要があります。実際の声を反映しないと、偏った業務負担が発生する組織となる恐れがあります。
そこで、BPMツールにより業務プロセスを客観的に把握ができることで、どこの部門にどれ位の負荷がかかっているか確認でき、部署間の連携状況も把握しやすくなります。その結果、業務配分を見直したり別の部門に任せたりして、組織の連携力を向上できます。
BPMツールのデメリット
BPMツールを導入する最大のデメリットは、従業員の負担が大きいことです。BPMツールを業務に導入するには、従業員に協力を依頼する必要があります。そのため、現場で仕事をする従業員の状況を配慮したうえで、導入すべきか否かを見極めましょう。
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BPMツールのデメリット
導入準備に手間がかかる
BPMツールを導入するためには、現状の業務プロセスを可視化する必要があるため、担当する従業員の負担が増えてしまいます。仮に、従業員1人での対応が困難であれば、人員を増やす対策もできるでしょう。
しかし、その分導入準備における人員を割く必要があり、導入の段階から手間が増えてしまいます。なお、BPMツール導入による課題解決や業務プロセスの標準化など、得られる恩恵と比較すると、このデメリットは許容範囲内であるとも考えられます。
従業員への教育が必要
BPMツールを実施するためには、自社のITを管轄している部署だけが、BPMツールを掌握していれば良いといったわけではありません。可視化した後に業務を行うのは、実際にツールを扱う現場の従業員です。
ツールの導入後、慣れないうちはトラブルが起きたり、どう使いこなせばいいのか現場の従業員が理解できなかったりすることがあります。よって、従業員にもBPMツールの導入やBPMを行う目的をきちんと説明し、使い方の教育が必要です。
現場での混乱を防止するためにも、運用前にはしっかりと従業員への教育が必要である点がデメリットとなるでしょう。
継続的な改善が必要
企業の組織的な課題や改善するポイントは、次から次へと出現するものであるため、一度の改善でBPMツールが不要になるといったことはありません。
モニタリング機能などをうまく活用して、継続的な問題解決に取り組み、より優れた成果を目標にして対策を遂行しましょう。また、BPMはPDCAの手順で継続的に課題改善に取り組む必要があります。
BPMツールの比較ポイント
BPMツールは、自社の業務プロセスを監視・分析し、効率化が目指せるシステムです。しかし、自社に最適なBPMツールをどうやって選べばよいのか迷うこともあるでしょう。そこで、BPMツールの選び方について詳しく解説します。
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BPMツールの比較ポイント
ランニングコスト・費用対効果を確認
BPMツールは業務を監視するシステムであり、収益を向上させる直接的な効果はありません。また、ビジネスプロセスの監視、問題点の発見や改善するためのスタッフも必要なため、人件費や運用費といったランニングコストも発生します。
そのため、導入によってどのくらいの費用対効果が見込めるか確認したうえで、自社が決める基準と照らし合わせながら、妥当な予算を決めてツールを選びましょう。
ツールに業務プロセスが合わせやすいか
自社の業務プロセスにBPMツールを合わせようとしても、「うまく合致しない」「カスタマイズするのに高額な費用がかかる」といったケースが多いです。また、必要な機能を搭載したBPMツールを導入するために、従来の業務プロセスの変更を伴う場合もあります。
BPMツールは、提供元の会社が推奨する使い方に合わせることでより効率良く活用できるため、自社の業務プロセスがツール上で管理できるか・業務プロセスは合わせやすいかを考えて導入を検討しましょう。
多くの従業員が使いやすいか
BPMツールは使い勝手も重要です。BPMツールによる業務プロセスの改善は、自社のビジネスに重大な影響を及ぼすため、正確で迅速にシステムの改善を行えるBPMツールが必要です。
技術のレベルが高いエンジニアだけでなく、できるだけ多くの従業員が扱えるようなBPMツールを選ぶことが重要です。BPMツールによっては、現状の業務フローを分析し、プログラミングの必要がないシステムを構築できるモデルも存在します。
無料トライアルでテスト運用してみる
BPMツールは、導入後に現場の従業員が使いこなせずに失敗した、といった例も少なくありません。そのため、導入前に社内で扱えるかしっかりと検証を行うことも重要です。
提供されているBPMツールの中には、無料トライアル期間を設けているサービスもあります。できる限り、自社に合っているか・従業員が使いこなしやすいか、実際に導入してみないと分からないことを、無料トライアルを利用してテスト運用してみましょう。
まとめ
BPMツールの概要と機能・メリット・デメリットを解説しました。業務プロセスをPDCAに分解し、改善すべきポイントを検証できるBPMツールは、環境の変化に対応して柔軟に業務プロセスを変更・改善できるのがメリットです。
しかし、業務プロセスの改善は時間がかかるのが常であり、即座に成果が出ないケースも多いため、根気強くPDCAを反復するのが前提です。また、導入準備に手間がかかる・従業員への教育が必要・継続的な改善が必要などのデメリットもあります。
BPMツールを選ぶ際は、導入におけるトータルコストを確認し、ツールに自社の業務プロセスが合わせやすいか・使いやすいかを重点に置いて比較検討しましょう。
その際は、無料トライアルでテスト運用してみるなど、導入時のイメージができるサービスを上手に活用しながら、業務プロセスの改善に励みましょう。
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