PC管理ツールとは?メリットやPC管理を怠るリスクを解説
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- PC管理が不適切だと、ライセンス違反による社会的な信用性低下のリスクがある
- PC管理ツールとは、企業のPCやサーバーなどのIT資産を一元管理できるものである
- PC管理ツールの導入で、ハードウェア修理などのコスト削減やコンプラ強化に繋がる
PC管理を怠ると、ライセンス違反による罰則やサイバー攻撃を受けるリスクがあります。PC管理を適切に行うなら、企業のパソコンやサーバーなどのIT資産を一元管理できるPC管理ツールの導入が有効です。本記事では、PC管理ツールの機能やメリットを解説しています。
目次
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PC管理とは
PC管理とは、企業内にあるすべてのPC関連機器を一元管理することです。サーバーから情報を受け取るクライアントPCを管理することから、クライアントPC管理とも呼ばれています。最近では数多くのパソコンを取り扱う企業が多く、企業にとって必須の管理事項です。
しかし、現代のPC管理は、ソフトウェア情報・ライセンス情報・セキュリティ状況の把握など数多くの役割を担っています。そのため、各企業でPC管理ツールの導入が進み、PC管理業務の効率化とともに、企業の危機管理も行っています。
PC管理が求められる背景
PC管理の必要性が重大化したのは、1995年のWindows95販売以降のことです。PCの小型化・低価格化とともに各企業が大量のPCを導入したことで、その管理が必要となりました。さらに利用するソフトウェアも増え、効率的なPC管理が喫緊の課題となったのです。
PC管理の始めはPC資産の管理だけで十分でした。しかし、ソフトウェアの異なるバージョンの混在による業務の停滞や企業へのサイバー攻撃の激化などにより、セキュリティ強化・コンプライアンス順守など、PC管理の役割は拡大してきました。
今では、クライアント型のシステム導入も進み、PCばかりでなくタブレットやスマートフォンでもシステム運用ができる時代です。このような背景から、より安全で効率的なPC管理ができる、PC管理ツールが注目されています。
PC管理における課題
中小企業に共通する課題として、人手不足によりPC管理を行う人材が限られてしまうことが挙げられます。現在、国内でIT技術者の人材が不足しているため、PC管理のために十分な人員を配置するのが困難な状況と言えます。
また、情報システム担当者の業務範囲が広く、限られた担当者には大きな負荷がかかってしまいます。結果として、PC管理を適切に行う余裕がなくなってしまうケースが多くあります。
PC管理を適切にできていない場合のリスク
適切なPC管理は企業を守ってくれます。ここでは、PC管理がしっかりできていないときに起こりやすい、代表的な3つのリスクについて解説します。
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PC管理を適切にできていない場合のリスク
PCやソフトウェアへの過剰投資
必要以上のパソコンやソフトウェアの購入は、企業にとって無駄なコストになってしまうため、パソコンの数やソフトの更新時期をしっかりと管理しておく必要があります。
無駄なコストの抽出には、ハードウェアやソフトウェアの利用状況と、現在のライセンス契約などの把握が必要です。
利用頻度の少ないパソコンや利用していないライセンスがあるのに、新たに購入するといったコストの無駄遣いは、PC管理をしっかりすることで防げます。
ライセンス違反によるペナルティや信用性の低下
ソフトウェアを使用する際には、ソフトウェアライセンス契約が必要になります。そこには、ソフトウェアを使用する条件が記されています。違反した場合には著作権法や民事の訴訟に発展する場合もあります。
そうなると、企業の経済的損失以外に、社会的信用も失いかねません。民事では民法が準用され、損害賠償責任が問われます。
また、著作権法違反は刑事罰で、企業・団体などには3億円以下の罰金、代表者や従業員には10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金が課せられます。企業として絶対に犯してはならないコンプライアンスです。
セキュリティリスク
企業内のパソコンへのサイバー攻撃の手法は常に巧妙化しており、企業はそれに応じた対策を講じなければなりません。OSをはじめ、ソフトメーカーではそれに対抗するために、バージョンアップやパッチの提供などでソフトの機弱性を補っています。
そのため、それぞれの企業は、社内のパソコンすべてにバージョンアップやパッチを適用しなくてはなりません。中には、自動更新されないソフトもあるので注意が必要です。
また、不正アクセスによる情報漏えいはもちろん、PCの社外持ち出しによる情報漏えい・紛失・盗難のリスクもあります。企業内のPC持ち出しルールの徹底や、紛失した際の早期対応としてPCの追跡などができる体制の構築も大切と言えます。
自社でPC管理を行う方法
自社でPC管理を行う方法として、ExcelやPC管理ツールを用いた管理方法が挙げられます。ここでは、Excel・PC管理ツールを使ったPC管理のそれぞれのメリットやデメリットを解説します。
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自社でPC管理を行う方法
ExcelでPC管理台帳を作成
ExcelでPC管理台帳を作成して、PC管理を行うことができます。Excelはユーザーも多く、PC管理のための情報も豊富なため、Excelに精通している人であれば、自分の会社仕様でPC管理台帳を作成するのも比較的容易です。
しかし、管理台数が増えデータサイズが大きくなると、動作の遅延が目立ち、ファイル破損の危険性が高くなります。また、手入力のため入力ミスや入力漏れが出やすいことに加え、ほかのシステムと連携を図る場合もデータ移行などの手間がかかるのもデメリットです。
PC管理ツールの導入
パソコンの台数が増えてくると、IT資産の管理に膨大な時間を割くことになります。そこで、最近では専用のPC管理ツールを導入して、台帳の作成やソフトの更新・ライセンス管理などを自動化して業務の効率化を図る企業が増えています。
PC管理ツールとは
PC管理ツールとは、企業で使用するパソコンやサーバー・スマートフォンなどのIT資産を、一元的に管理するためのツールのことです。それぞれのIT資産の管理・監視・運用を自動化することで、システム管理者の負荷を軽減し、管理作業の効率化を図れます。
また、自社に導入されているほかのシステムと連携が図れるPC管理ツールを導入することにより、PC管理以外の目的を持つ業務の効率化や安定的な運用にもつながります。
PC管理ツールの管理対象と機能
PC管理ツールの基本的な管理対象には、IT資産・インベントリ・ライセンスがあります。ここでは、3つの管理対象の主な機能について解説します。
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IT資産
IT資産とは、企業が保有するサーバー・パソコン・タブレット・スマートフォン・ストレージ機器・プリンター・ネットワーク機器・各種ソフトウェアなどのことです。そのIT資産の管理機能はPC管理の基本機能で、どの管理ツールも搭載しています。
管理する事項は、台数・ソフトウェアライセンス・使用状況・保守履歴など多岐にわたります。IT資産の管理がしっかりできると、ハードの交換や修理・ソフトウェアライセンスの更新などが容易になり、コスト削減や効率的な資産活用ができます。
インベントリ
インベントリでは、ネットワーク上のIT資産の情報を管理します。管理項目は、製品名・CPU・ディスク容量・メモリ容量などのスペック情報や、OSバージョン・インストール済みソフトウェア・IPアドレス・使用者などで、より細かな情報を1台ごとに管理します。
多くのツールは、ネットワーク上で資産の自動検出ができるディスカバリ機能を持ち、自動で検出できない部分を手入力します。インベントリ管理の徹底は、IT資産運用の効率化によるコスト削減やセキュリティの強化などに効果的です。
ライセンス
ライセンスとは、特定のソフトウェアを使用できる権利のことを言います。使用しているソフトウェアの種類・量や、ソフト導入時期が違う場合などは、ライセンス管理に大きな手間がかかります。
しかし、PC管理ツールではライセンス数・割り当て状況・有効期限・重複利用などのライセンス情報を収集できます。ライセンス管理がしっかりできれば、使用されていないソフトのライセンス料などの無駄なコストの削減をしたり、ライセンス違反を防いだりできます。
PC管理ツールを導入するメリット
Excelなどの表計算ソフトに比べ、ツールを使ったPC管理には多くのメリットがあります。ここでは、PC管理ツールを導入する4つの大きなメリットを解説します。
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PC管理ツールを導入するメリット
コストの削減
PC管理ツールにより、PC管理業務にかかる時間と労力が軽減され、残業代をはじめとする業務コストの削減が可能になります。また、ハードウェアをしっかり管理することでパソコンが長持ちし、修理や買い替えなどの費用が抑えられます。
さらに、使われていないソフトウェアなどの更新や買い替えを検討することで、余計なライセンス料や購入費の削減にもつながります。
情報システム部門の負荷軽減
PC管理ツールでは、PC資産のさまざまな情報が蓄積されています。ネットワーク上にあるPC管理ツールであれば自動収集できる項目が多くあり、手入力よりはるかに早い情報入力が可能です。
また、ソフトウェアのアップデートやセキュリティパッチの適用など、情報システム部門で実施していた業務などをPC管理ツールが担うことで、情報システム部門ばかりでなく各部署の業務負担の軽減にもつながります。
セキュリティ対策
インベントリ機能でネットワーク上のデバイスやソフトウェアの各種情報を取得・管理しているので、脆弱性のあるOSやソフトウェアを早く見つけ出し、適切な対応が可能です。
また、サイバー攻撃など不正なアクセスの検知ができるPC管理ツールもあります。さらに、盗難・紛失・第三者の不正利用に備えるのもセキュリティ対策の一つです。
PC管理ツールでは、ネットワーク上にある特定のデバイスを遠隔ロックする機能や、ログイン失敗回数の上限設定・ログイン履歴の監視などのさまざまな機能で、強固なセキュリティ対策が施せます。
コンプライアンス強化
ソフトウェアのライセンス契約違反や不正なコピーは、民事・刑事の両方で損害賠償や罰則の対象になり、企業の社会的信用を損なうことがあります。そのようなことにならないように、契約情報と実態との照合は大変重要な業務です。
PC管理ツールでは、それらに関する情報が電子データとして整理・蓄積され、さまざまな形での抽出が可能です。また、ライセンス契約とソフトウェアの照合・不正なインストールや削除・コピーの管理などを常に監視し、コンプライアンスの強化が図れます。
PC管理ツールを導入するデメリット
導入のデメリットの一つは導入コストがかかることです。導入形態には自社にサーバーを置くオンプレミス型と、提供会社のサーバーを利用するクラウド型があります。今の主流は導入コストが抑えられるクラウド型ですが、月ごとの使用料が必要になります。
そして、管理担当者はIT資産に関する知識が必要なため、操作方法とともに研修が必要になります。また、PC管理ツールを使うことのメリットやデメリットを従業員に周知するとともに、コンプライアンス意識を向上させることが大切です。
PC管理ツールの導入がおすすめな企業
PC管理ツールの導入は、効率的な運用とセキュリティ強化を目指す企業に適しています。特に、以下のような企業におすすめです。
- 大規模企業
- 成長中の企業
- セキュリティ重視の企業
多数のパソコンやサーバーを運用している大企業は、PC管理ツールを導入することでハードウェアの監視、アップデート、トラブルシューティングを効率化できます。
また、急速に成長している企業は、PC管理ツールを導入してスケーラビリティを向上させることで、運用の一貫性を保つことが可能です。セキュリティが重要な企業においては、PC管理ツールを活用してセキュリティポリシーの遵守や脆弱性の管理を行えます。
PC管理ツールの導入が有効な企業規模とは
具体的には、50台以上のパソコンを保有している場合、手動での管理が難しくなるため、PC管理ツールの導入が効果的です。さらに、社内にツールの運用を担当できる人材がいる場合は、大幅な業務効率化が見込めます。
逆に、中小企業で保有するパソコンの数がそこまで多くない場合、導入による費用対効果は期待できない可能性があります。
中小企業向けのツールから、数万台ものパソコンを管理できる大規模企業向けのツールまでさまざまな種類があるため、自社の事業規模に合ったものを選択することも重要です。
PC管理ツールの選び方
PC管理ツールには多くの提供会社があり、それぞれに特徴があります。その中から、自社に適したツールを導入することで、PC管理ツールを最大限活用できるようになります。ここでは、PC管理ツールを選択するための大切な5つのポイントを解説します。
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導入目的を明確にしておく
PC管理ツールを有効に利用するためには、何のためにPC管理ツールが必要なのかなど、PC管理ツール導入の目的を明確にしておく必要があります。目的が不明瞭な導入は、導入効果が薄くなり、費用対効果が見込めません。
導入目的は企業によってさまざまです。たとえば、セキュリティ対策の強化を目的とするなら、パソコン操作ログ機能や外部メディアの利用制限など、情報漏えい対策機能を搭載したPC管理ツールがおすすめです。
また、無駄なIT投資の防止を目的とするなら、IT資産の可視化機能の優れたものを選びます。このように、導入目的を明確にしておくことにより、自社に合ったツールを選ぶことができます。
必要な機能が搭載されているか
PC管理ツール導入の目的が明確になったら、その目的を達成できる機能を搭載したツールを選択します。その場合、複数の目的の順位づけをして予算の範囲内で付け加えていくのがおすすめです。多機能なものほどコストがかかる傾向にあります。
PC管理ツールの中には、既に搭載されている基本機能の他に、企業のニーズに合った機能をオプションで追加できるものもあります。また、ほかのシステムと連携できるかも確認しておくと良いでしょう。
自社のOSやデバイスに合っているか
企業が導入しているPCのOSは、Windows・MacOS・Unix・Linuxなどさまざまです。自社で利用しているOSを把握し、そのOSに対応したPC管理ソフトの導入が必要です。特に、複数のOSが混在している環境の企業では注意が必要です。
また、タブレットやスマートフォンと連携できるツールも増えています。iOSやAndroidなどのOSに対応しているかも確認しましょう。
セキュリティ機能は十分か
セキュリティ対策の強化度合いは提供会社によって異なり、しっかりとした確認が必要です。セキュリティ対策には、ログ管理・ウイルス対策・セキュリティパッチ管理・暗号化・Web利用制限・操作制限・不正アクセス自動検知などさまざまな種類のものがあります。
企業のセキュリティポリシーに合わせて、どのセキュリティ対策が必要かを考えての導入が重要です。セキュリティが弱いソフトの導入は、情報漏えいやウイルス感染などの可能性が高まり、企業の正常な業務活動を妨げ、大きな損失を与える恐れがあります。
サポート体制が整っているか
PC管理ツールを導入した後、疑問が生じた際や、トラブル発生時に迅速な対応をしてくれるサポートがあるかを確認することも重要なポイントです。
サポートの有無だけでなく、電話やチャット、メールなどの具体的なサポートの方法や、対応可能な曜日や時間帯なども確認しておくことをおすすめします。
まとめ
PC管理ツールは、企業内のすべてのパソコンや周辺機器・ソフトなどを一元管理します。IT資産の管理・監視・運用を自動化することにより、不正アクセスの検知などセキュリティ対策も強化できます。
PC管理ツールでは、契約したソフトウェアのライセンス管理も可能で、社会的信用を失うライセンス違反の防止にも役立ちます。
また、しっかりとしたPC管理は、無駄なハードやソフトの購入防止でコスト削減も可能にします。PC管理ツールは多くのメリットを持つ費用対効果が期待できるツールです。
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