サーバー監視ツールとは|機能やメリット・デメリット、選び方を解説

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  • サーバー監視ツールは、サーバーの稼働状況を監視し、運用体制を効率的に構築する
  • サーバー監視ツールを導入すると、サーバー管理の負担軽減とセキュリティ対策になる
  • サーバー監視ツールを選ぶ際は、外部連携や設定のしやすさを確認する必要がある

サーバー監視ツールは、サーバーの状況を監視し、外部からの攻撃を防ぎながらビジネスを安定稼働させることを目的としています。本記事では、サーバー監視ツールの特徴や主な機能、導入するメリット・デメリット、無料版・有料版ツールを選ぶ際の比較ポイントなども解説します。

目次

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  1. サーバー監視ツールとは
  2. サーバー監視ツールの必要性
  3. サーバー監視ツールの主な機能
  4. サーバー監視ツールの監視方法
  5. サーバー監視ツールの有料版と無料版の違い
  6. サーバ監視ツールを導入するメリット
  7. サーバ監視ツールを導入するデメリット
  8. サーバ監視ツールの選び方・比較ポイント
  9. まとめ

サーバー監視ツールとは

サーバー監視ツールとは、サーバーの稼働状況をチェックするためのツールです。定期的に状態をチェックし、異常が認められた場合は管理者に通知して影響を最小限にとどめるための対処を行うことができます。

サーバーはアプリケーション、OS、ミドルウェア、ハードウェアなどの要素で構成されています。通常、これらの要素ごとに稼働状況を把握しなければなりませんが、サーバー監視ツールを利用することでシステムを自動で監視し、サーバーダウンなどの障害から大事なサーバーを守ることができます。

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サーバー監視ツールとは

  1. サーバ監視の目的
  2. システム監視との違い

サーバ監視の目的

サーバー監視の目的は、文字通りサーバーの稼働状況を把握することです。サーバーはコンピュータのサービス提供の中核ともいえるシステムであるため、障害が発生することで様々な不利益につながることが懸念されます。

例えば、ECサイトに障害が生じた場合は、顧客が商品を購入できずに売上の低下につながります。また、公式Webサイトの場合は、自社に関心のある見込み客を逃がすことにつながる可能性もあります。

このように、サーバー障害に気が付かず、放置されたままでサイトが運用され続けると、企業の信用度が低下してしまうため、事態を防ぐためにサーバー監視が必要とされます。

サーバー監視には、正常に稼働しているかチェックする正常監視と、問題が発生した際に速やかに管理者に通知する異常監視があります。

システム監視との違い

システム監視は、監視対象がシステム全般であるため、サーバー監視と比較して幅広くなります。システム監視には、ハードウェア・ソフトウェア、アプリケーション、ネットワーク、そしてサーバーも対象に含まれています。

よって、システム監視はシステムに関わる全てのことを監視することに対し、サーバー監視はその中の一部であるサーバーに特化して監視を行います。

サーバー監視ツールの必要性

サーバー監視ツールは、サーバーを常に安定して稼働させるために必要とされます。その理由として、サーバーは、自社の休業日や営業時間外に関わらず24時間365日稼働し、安定したサービスを提供するためには、それに応じた監視が求められるためです。

また、サーバー監視の際は、OSやアプリケーションなど、必要な要素ごとに監視を行わなければなりません。

それが、サーバー監視ツールを使用することで、営業時間を問わない監視や、要素ごとの細やか且つ正確な監視など、従業員の負担となる業務の効率化ができます。

サーバー監視ツールの主な機能

サーバー監視ツールには、エラーを検知するための様々な監視機能が備わっています。ここでは、サーバー監視ツールの主な機能を解説します。

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死活監視機能

死活監視機能は、サーバーが停止(死活)していないか監視を行う機能です。pingコマンドを利用して、サーバーからの応答を確認することで、死活監視が可能です。

その他、クラウドタイプのツールが普及したことで、インターネット経由でサーバーの死活を監視できるツールもあります。その場合は、httpプロトコルを使用することになります。

パフォーマンス監視機能

パフォーマンス監視機能は、サーバーの基幹となるCPUやディスク、メモリの使用率を監視する機能です。これらの使用率が高い場合、サーバーの処理の性能が低下する可能性があるため、サーバーの台数を増やしたりスペックを上げたりなどの処理が行われます。

CPUやメモリなどの使用率は、サーバーの処理速度や通信速度に大きく影響するため、サーバー管理には必要不可欠な機能と言えます。

プロセス監視機能

プロセス監視機能は、サーバー上で行われているプロセスやサービスを監視できる機能です。プロセスごとに監視するため、各プロセスのリソースの使用状況を特定できます。

この機能を活用することで、サーバーが正常に稼働しているにも関わらず、プロセスやサービスが正常に動作しない場合、何らかの問題が発生していることを特定し、原因の解明ができます。

ハードウェア監視機能

ハードウェア監視機能は、サーバーを構成する機器を監視する機能です。機器に不具合が発生してサーバーに影響がないか、などをチェックします。

センサーを使用してバッテリーやファン、OS機器など、サーバーに関わる機械の温度や電圧を監視し、正常に稼働しているかの確認が可能です。

ログ監視機能

ログ監視機能は、サーバー上の動作履歴をログとして取得・分析し、監視する機能です。サーバーを構成する要素ごとにいつ・誰が・何を行ったのかをログに残せるため、エラーが発生した際の原因を特定し、根本的な問題の解決につなげることができます。

また、不正アクセスや悪意を持ったユーザーの侵入があるかどうかも特定が可能です。それによりセキュリティ対策を強化できるため、セキュリティ事故の未然防止につなげることもできます。

サーバー監視ツールの監視方法

サーバー監視ツールは、エージェントと呼ばれるソフトウェアのインストールの必要の有無によって、エージェント型とエージェントレス型に監視方法が分類されます。ここでは、それぞれの監視方法を解説します。

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サーバー監視ツールの監視方法

  1. エージェント型
  2. エージェントレス型

エージェント型

エージェント型は、エージェントをインストールするタイプの監視方法です。サーバー内部でエージェントが動作することで、監視ツールとエージェント間で通信を行い、サーバー内部のログやプロセスを、詳細且つ性格に把握できるメリットがあります。

一方、初期導入や更新作業には手間がかかるため、監視対象が増えると管理者に負担がかかることがデメリットです。また、近年はセキュリティ面などの関係でエージェントのインストールが認められないこともあります。

エージェントレス型

エージェントレス型は、エージェントのインストールが不要のタイプです。通信プロトコルを利用できるようにするための通信設定を行い、必要な監視項目を選択して利用を開始します。

初期費用が大幅に抑えられたり、更新作業に手間がかからない点はメリットとして大きく、監視対象への負荷も少ないため、動作検証もスムーズに行うことができます。

しかし、USBの使用を禁止したり、不正ソフトを厳格に検知したい場合は、外部からの侵入に強いエージェント型の方が、セキュリティ面では勝ります。

また、現在では、クラウド上でより強度なセキュリティを実現するエージェントレス型も登場しているため、導入の際にはしっかりと比較検討する必要があります。

サーバー監視ツールの有料版と無料版の違い

サーバー監視ツールには、有料版と無料版のものがあります。ここでは、サーバー監視ツールの有料版と無料版の違いを解説します。

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サーバー監視ツールの有料版と無料版の違い

  1. 無料版のメリット・デメリット
  2. 有料版のメリット・デメリット

無料版のメリット・デメリット

無料版のサーバー監視ツールは、社内に専門知識を持つ人員がいれば、柔軟で精度の高い監視設定ができるメリットがあります。無料版はOSS(オープンソース)とも呼ばれ、利用に必要なソースコードが自由に配布されているため、ライセンスのコストも不要です。

ただ、サーバーの構築や設定、運用のためには自社に専門知識のある人材が必要であることにより、定期的なメンテナンス作業と人件費が掛かる点はデメリットにもなります。

また、導入してからメンテナンスやアップデートを怠ることで、セキュリティ面でのリスクが高まったり、適切な監視ができなくなったりするなどの問題が発生することもあります。フリー版だから、という点だけで導入することは危険と言えるでしょう。

有料版のメリット・デメリット

有料版では、専門知識を比較的必要とせず、導入・運用に手間がかからないメリットがあります。それは、ベンダーによって運用のサポートを受けたり、導入・運用にかかる作業が自動化できるためです。

作業が簡略化できることで管理者の負担が減り、専門知識が不要なことで操作できる人員が限られることもないため、属人化の防止にもつながります。

一方、無料版と比べてコストが掛かるため、慎重に選んでツールを導入する必要があります。失敗しないためにも、自社の予算を考えながら、必要な機能を備えた費用対効果の高いツールを選ぶことが大切です。

サーバ監視ツールを導入するメリット

サーバー監視ツールを導入することで利便性が高まり、様々なメリットを得られます。ここでは、サーバー監視ツールを導入するメリットを解説します。

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サーバ管理の負担が軽減される

サーバー監視ツールの導入により、サーバー管理の負担が軽減されるメリットがあります。サーバーは24時間365日稼働を続けており、常に監視が必要です。また、アプリケーションやOSなどの監視対象が広いと、それだけ多くの管理業務が発生します。

これらの作業をエンジニアが行うと、負担が大きくなり、人為的なミスが発生しやすくなります。それが、サーバー監視ツールによりあらゆる監視作業を自動化することで、サーバーに張り付いて監視する必要がなくなり、他の業務に時間を割くことが可能です。

また、人為的なミスの未然防止や業務を効率化することで、業務全体の生産性向上につながります。

障害検知とリカバリを素早く行える

サーバー監視ツールでは、障害検知とリカバリを素早く行い、大きなトラブルを未然に防げることも大きなメリットです。障害検知やリカバリが遅れた場合、サーバーがダウンして全ての業務が行えなくなる可能性があります。

そうなると、業務の遅延や機会損失はもちろん、取引先や顧客に迷惑をかけることになるでしょう。会社の信用性にもつながるため、サーバーダウンの原因となる障害には早急な対応が求められます。

しかし、サーバー監視ツールの利用によって、障害の発生が認められた場合は即座に通知されるため、エンジニアが速やかに初期対応してサーバーダウンを防ぐことができます。また、ツールによっては再通知や音声通知にも対応しているものもあります。

サイバーセキュリティ対策になる

サーバー監視ツールでは、サイバーセキュリティ対策ができるメリットがあります。ログ監視機能による分析を通して、アクセスしたユーザーを詳細に特定できるためです。

サイバー攻撃や不正アクセスは、マルウェア感染によるWebサイトの情報改ざんや機密情報の漏洩、情報資産の抜き取りなど様々な被害につながるリスクがあります。

セキュリティ対策が行われていないと、顧客や取引先に迷惑をかけるだけでなく、自社の信頼性を失うことになるでしょう。よって、サーバー監視ツールを利用することで、外部からの攻撃を監視する度に対策を立て、セキュリティの強化に活かすこともできます。

サーバ監視ツールを導入するデメリット

サーバー監視ツールにはいくつかデメリットもあります。まず、ツールを導入することでサーバーに負荷がかかることです。監視対象を増やすと、それだけ負荷も大きくなります。負荷が大きいと、サーバー処理の遅延で業務に支障が出ることが懸念されます。

サーバーの負担過多となり、メールやWebサイトの処理が遅くなると、従業員や利用顧客がストレスに感じることもあるでしょう。そのため、やみくもに監視対象を増やすことはせず、バランスを考えながら監視対象を決める必要があります。

また、監視対象が増えるとそれだけかかるコストも増えます。よって、人為的な作業でカバーできる箇所を含めて検討し、予想以上のコストや無駄なコストを支払うことに注意しなければいけません。

サーバ監視ツールの選び方・比較ポイント

サーバー監視ツールには様々な特徴の製品があるため、製品を比較して自社に合ったものを選ぶことが大切です。ここでは、サーバー監視ツールの選び方や比較のポイントを解説します。

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サーバーの監視対象の範囲を確認する

サーバー監視ツールを選ぶ際は、監視対象の範囲の確認が必要です。それは、自社の監視したいサーバーを全体的に監視し、一元管理できることが求められるためです。また、サーバーが「クラウド型」か「オンプレミス型」か、という点でも確認が必要です。

自社の所有するサーバーの特性を把握し、最適なツールを選ぶ必要があります。監視対象は業務における重要度の高いものを優先するため、優先度の高いものが範囲に含まれるか確認しましょう。

監視項目の取得範囲を確認する

監視項目はサーバー監視ツールによって違うため、自社のニーズを満たす取得範囲かどうか確認することが大切です。

死活監視やログ監視などの基本機能に加え、Webサーバーやデータベースのような特定のサービスも監視項目として取得できると、1つのツールで一括して必要なサーバーの監視ができます。

サーバー監視で監視対象にしたい項目を明確にし、稼働状況の取得範囲に含まれているかのチェックが必要です。

OSSか有料版か検討する

無料でサーバー監視ツールを利用できるOSS(オープンソースソフトウェア)か、有料版かのどちらを利用するかも検討が必要です。

自社に専門知識を持つ人員が在籍している場合は、OSSがカスタマイズ性に優れて自社に合ったツールを構築しやすくなります。ただし、メンテナンスやアップデートは全て自社で行うため、管理業務が属人化しがちな点に注意が必要です。

対して有料版は導入や運用、メンテナンスが自動化でき、ベンダーのサポートを受けられる点で、誰でも利用しやすいメリットがあります。基本は有料であるため、監視対象を増やしすぎてコストが予想を上回らないように注意する必要があります。

外部連携ができるか確認する

サーバー監視ツールは、外部連携ができるかどうかも比較のポイントです。アラートのための通知やレポートを社内で共有をする場合は、外部のツールと連携して活用することが多いためです。

さらに、ビジネスチャットツールやデータを可視化するツールなど、自社の既存システムや今後導入を検討しているシステムがある場合、それらとの相性を見極めたうえでツールを決める必要があります。

設定や運用のしやすさを確認する

サーバー監視ツールは設定や運用がしやすいものを選ぶ必要があります。サーバー監視ツールを導入・運用する際は、初期設定やアラートの設定、分析結果の表示方法など、様々な操作や画面の識別が必要になります。

操作が複雑なツールは、使いこなせなかったり慣れるまで時間がかかったりなど、逆に管理担当者の負担になることが懸念されます。その場合は、高度な操作技術を持っていなくても、直感的に操作しやすいツールや見やすい画面のものが安心です。

定期的に利用することを踏まえ、それぞれのプロセスに工数がかからず操作が簡単なものを選びましょう。

通知手段を確認する

サーバー監視ツールを導入する際は、通知手段にも着目しましょう。サーバーの異常には即座に対応することが非常に重要です。近年では、メール通知やSNMPトラップの送信などが主流ですが、電話連絡やSMS、ビジネスチャットツールでの通知も増えています。

サーバーの監視は、サーバーの問題に速やかに対応するため行われるものです。トラブルや障害が発生しても、通知に気がつかなければ意味がありません。管理担当者がすぐに気がつける通知方法を選ぶことが、サーバー監視ツールを選ぶ際に必要不可欠です。

まとめ

サーバー監視ツールは、サーバーの稼働状況をチェックするためのツールです。常時監視が必要なサーバーは、サーバーダウンの発生を防ぐために、ツールを使うことで監視を自動化して、管理担当者の業務負担を軽減することができます。

また、ログ監視機能によってサイバー攻撃や不正アクセスを特定できるため、セキュリティ対策も強化できることがメリットとして挙げられます。一方、サーバー監視にはサーバー自身に負荷がかかり、様々な処理作業に時間を要することも懸念されます。

監視対象には優先順位をつけて、バランスを考えながら監視対象に合ったツールを選ぶことが大切です。なお、サーバー監視により発覚した障害は速やかな対処が必要なため、気がつきやすい通知手段も外せないポイントです。

今回解説した内容をもとに、適切なサーバー監視ツールを見極め、自社の安全性や生産性を向上させましょう。

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