会計ソフトをバージョンアップする際の勘定科目は?除却の注意点も解説
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- 会計ソフトをバージョンアップする費用の勘定科目は、基本的に3種類である
- バージョンアップするかアップグレードするかで勘定科目が異なる
- ソフトをアップグレードした後に除却する場合は、本当に処理するか検討する必要がある
会計ソフトをバージョンアップする際の費用は、その内容によっても勘定科目に違いが出るため、経費処理に迷ってしまう経理担当者も多いでしょう。本記事では、会計ソフトをバージョンアップする際の勘定科目やソフトをアップグレードした後の除却の際の注意点も解説します。
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会計ソフトのバージョンアップにかかる費用の勘定科目
会計ソフトをバージョンアップした際にかかる費用の勘定科目は、基本的に「修繕費」「資本的支出」「資産の新規取得」の3種類に分類されます。適切な仕訳ができるように、更新料などがそれぞれどのような内容が該当するのかについて解説します。
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修繕費
会計ソフトのバージョンアップが、プログラムの機能上の障害の除去、もしくは現状の効用の維持等に該当する場合は、修繕費として一括で経費に計上します。
一つの修理や改良の費用が20万円未満の場合、または3年以内の期間を周期とし修理・改良が行われる場合に修繕費とすることが可能です。
また、区分不明なものについては、60万円未満または固定資産の前期末取得価額の10%以下の場合とされています。
資本的支出
プログラムの修正が、新たな機能の追加、または機能の向上等に該当する場合は、資本的支出として資産計上する必要があります。
バージョンアップによって、使用期間が延長したり資産価値が増加したりするため、減価償却を行い、税制上定められた年数で期間按分しなければなりません。
一つの修正や改良の費用が20万円以上の場合、または区分不明なものについて、法人が継続して支出した金額の30%相当額と、固定資産の前期末取得価額の10%相当額のいずれか少ない金額を修繕費、残額を資本的支出とすることが可能です。
資産の新規取得
製品の設計を初めからやり直したり著しい改良が行われたりなど、大幅なバージョンアップに該当する場合は、資産の新規取得として計上します。
この場合、原則として取得価額が10万円未満(法人は30万円未満)であれば必要経費となり、それ以上は固定資産として取り扱わなければなりません。
会計ソフトのバージョンアップの内容
会計ソフトのバージョンアップは、大きく分けて、更新時のバージョンアップとアップグレードのためのバージョンアップの2種類です。それぞれバージョンアップがどのような目的で行われ、どの勘定科目に該当するのかについて解説します。
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会計ソフトのバージョンアップの内容
更新等のバージョンアップ
バグの修正や消費税率の変更など、外部的要因により対応しなければならないような更新時のバージョンアップは、修繕費として一括で経費に計上します。
このようなマイナーバージョンアップであっても、費用が20万円以上の場合には、資本的支出として計上しなければなりません。
アップグレードのためのバージョンアップ
今までになかった新しい機能が追加されたり、操作性が向上したりなどのアップグレードのためのバージョンアップは、会計ソフトの価値を高めるため、資本的支出として資産計上します。
資本的支出と資産の新規取得かの判断は難しい場合もありますが、アップグレードのためのバージョンアップパッケージを導入した際に、単独で機能する場合には、資産の新規取得としての計上が必要です。
バージョンアップ費用が月額料金に含まれている場合
クラウド型の会計ソフトでは、基本的にソフトの運用・保守利用などが月額料金に含まれているので、バージョンアップ費用も同様に月額料金の一部とされることがあります。
その場合、バージョンアップ費用を別で処理する必要はなく、月額料金としてそれまでと同様の勘定科目で処理できます。クラウド型サービスの月額料金は、一般的には「通信費」として扱われます。
会計ソフト購入時の勘定科目は、クラウド型とインストール型で異なります。クラウド型は導入の初期費用も含め「通信費」で経費計上するのが一般的です。この記事では会計ソフトの勘定科目の例や経費計上する際の注意点などを解説します。
会計ソフトアップグレード後の旧版の除却について
会計ソフトのアップグレード後に、旧版をアンインストールした場合は除却することが可能です。除却とは、事業での使用を中止し、帳簿から取り除く処理のことをいいます。
固定資産は耐用年数が過ぎ、減価償却が終わると資産価値がなくなりますが、残存価額は残り税金も発生するのです。
そのため、会計ソフトの除去が行えれば、未償却残高の部分の除却損として損益に算入できます。これにより、経費が増えるため、節税に繋げることが可能です。
アンインストールしなくても除却処理が可能な場合もある
法人税法基本通達7-7-2の2により、ソフトウェアをアンインストールしていなくても除去することは可能です。ただし、今まで利用していた会計ソフトを、今後事業用に供しないことが明らかな事実がある場合に限られます。
例えば、利用していた会計ソフトによるデータ処理の対象の業務が廃止された場合、また、ハードウェアオペレーティングシステムが変更し、ほかの会計ソフトを利用することになった場合などです。
これにより、従来の会計ソフトの帳簿価額を、事実が生じた日の属する事業年度の損金に算入できます。
ただし、ソフトウェアは目に見えるものではないがゆえに、通達で例示されているような証憑が必要となるため、社内で慎重な検討を行うことが大切です。
参考:基本通達・法人税法 第7節 第1款 除却損失等の損金算入|国税庁
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まとめ
会計ソフトのバージョンアップにかかる費用は、修繕費、資本的支出、資産取得などの3種類の勘定科目に分類されます。バージョンアップの種類やかかった金額によって、会計処理も異なるため、適切な仕訳を行うことが大切です。
バージョンアップ後に旧版のアンインストールを行った場合、またはアンインストールしていなくても今後事業に供しないことが明らかな事実がある場合は、除却することができます。社内で適切な規定を設けて管理運用すれば、節税に繋げることもできるでしょう。
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