会計ソフト費用の勘定科目は?経費計上時の注意点も分かりやすく解説

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  • 会計ソフト費用の勘定科目は、クラウド型とインストール型で異なる
  • クラウド型は導入の初期費用も含め「通信費」で経費計上するのが一般的
  • 勘定科目に明確なルールはないが、一度決めた後は変更せず使い続ける必要がある

会計ソフト購入時の勘定科目は、クラウド型とインストール型で異なります。クラウド型は導入時の初期費用も含め「通信費」で経費計上するのが一般的です。この記事では会計ソフトの勘定科目の例や経費計上する際の注意点などを解説します。

目次

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  1. 会計ソフト費用の勘定科目とは
  2. クラウド会計ソフトの利用料は「通信費」で経費計上する
  3. インストール型会計ソフトは「消耗品費」で計上する
  4. 会計ソフトの勘定科目に関するその他の注意点
  5. まとめ
  6. 更なる業務の効率化に!関連サービス記事

会計ソフト費用の勘定科目とは

会計ソフトを導入した際に発生する費用の勘定科目はどのように決めれば良いのでしょうか。ここでは、まず勘定科目について基本的な概要を解説します。

勘定科目に決まったルールはない

会計ソフトの購入費や利用費は、経費として計上できますが、クラウド型とインストール型といったソフトの種類や、購入金額によって勘定科目が異なります。

勘定科目は、法律で明確に決められている訳ではありません。企業独自で設定することや、新たに勘定科目を作ることも可能です。

但し、一度決めたルールは、そのまま継続するという原則はあります。決定したルールを何度も変更すると、不正行為が行われているのではないか、という不信感を税務官に抱かせてしまう可能性があるため、注意が必要です。

そもそも勘定科目とは

勘定科目とは簿記の科目のことで、取引の内容を分類するための項目です。大きく分けて5つのグループに分かれ、決算に必要な貸借対照表・損益計算書に反映されます。

【勘定科目の5つのグループ】

  1. 資産:企業が保有する財産。現金、売掛金、建物、土地など。
  2. 負債:企業が保有する財産で放棄または引き渡す義務のあるもの。買掛金、借入金など。
  3. 純資産:資産と負債の差額。資本金、新株予約券など。
  4. 収益:事業による収入。売上、受取利息など。
  5. 費用:事業で発生した経費。仕入れ、給料など。

5つのグループは、更に細かく勘定項目として分けられ、取引内容に応じて仕訳します。例えば、出張にかかった新幹線代・航空券代・宿泊費・出張手当は、旅費交通費に仕訳され、従業員の通勤費や取引先への移動費は、交通費に仕訳されます。

この他、事務所や店舗・駐車場などを借りて支払う賃料は地代家賃、自社の製品やサービスを宣伝するために使用した経費は、広告宣伝費に仕訳されます。

クラウド会計ソフトの利用料は「通信費」で経費計上する

勘定科目の通信費は、切手代・電話代・宅配便・インターネット関連などの費用を指します。クラウドサービス(クラウドソフト)の導入費用や利用料は、一般的に勘定科目を通信費で計上します。これは、ソフト購入というより、インターネット通信費と考えられるためです。

クラウド利用料は、銀行口座から引き落とされた日を日付に計上します。月額ならば毎月、年間使用料や年会費なら1年に一度計上します。通信費は多種類あるため、概要欄に会計ソフトの記載をすると管理しやすいです。

高額の支払いであっても、通信費の勘定項目を使用することに変わりはありません。また、無形固定資産ともなりません。

<クラウド型会計ソフトの費用の仕訳例>

日付借方貸方摘要
7月10日通信費:2,000普通貯金:2,000会計ソフトウェア利用料

インストール型会計ソフトは「消耗品費」で計上する

勘定科目の消耗品費は、文房具・トイレットペーパー・蛍光灯など、使用可能期間が一年未満の資材にかかる費用のことです。また、購入金額が10万円未満のものが対象となります。

インストール型会計ソフト購入時のライセンス料の勘定科目は、10万円未満ならば消耗品費で計上します。現金で購入した際は購入日、銀行口座からの引き落としならば、引き落とし日を日付に計上します。

購入時の消費税については税込経理と税抜経理があり、その他の処理方法と同様に計上します。

日付借方貸方摘要
7月10日消耗品費:95,000現金:95,000会計ソフトウェア購入

10万円以上の場合

10万円以上の会計ソフトの場合は、無形固定資産税となります。固定資産税は企業の資産となるため、購入時だけでなく年度末に減価償却の計上も必要です。

まずは、購入時に勘定科目をソフトウェアとし、貸方を現金・普通貯金などとして計上します。次に、決算最終日に減価償却の計算をして記帳します。それぞれの手順の詳細を以下で解説します。

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無形固定資産として計上する

会計ソフトウェアを購入した際に、その金額を無形固定資産「ソフトウェア」として計上します。以下は、300,000万円の会計ソフトを購入した例です。

日付借方貸方摘要
7月10日ソフトウェア:300,000現金:300,000会計ソフトウェア購入

年度末に減価償却額を記帳する

国税庁により、ソフトウェアの耐用年数は「複写して販売するための原本」または「研究開発用」は3年、その他のものは5年と決められています。

会計ソフトは、その他のものに当てはまるので、耐用年数5年で計算します。減価償却額は、300,000円(取得対価)×0.2(定額法における償却率)=60,000(減価償却費)となります。

注意点は、固定資産の金額が60,000円減ることになるので、勘定科目のソフトウェアを、貸方に記載しなければなりません。

日付借方貸方摘要
3月31日減価償却費:60,000ソフトウェア:60,000会計ソフトウェアの減価償却

少額減価償却資産の特例を適用した場合

少額減価償却資産の特例とは、取得対価30万円以下の減価償却資産を購入した際に、下記を初めとした要件を満たした中小企業に適用できます。年度末に減価償却の処理も必要なく、購入時の計上のみとなります。

  1. 従業員の数が500人以下(令和2年3月31日までの取得などについては、1,000人以下)
  2. 資本金もしくは出資金が1億円以下
  3. 確定申告時に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書の提出

詳しくは、国税庁のホームページにありますが、これらの一定要件を満たしている中小企業は、勘定科目を消耗品費として、全額を経費計上できます。但し、特例が適用されるのは、年間の取得価額の合計金額300万円までです。

日付借方貸方摘要
7月10日消耗品費:250,000普通貯金:250,000会計ソフトウェア購入

参考:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁

一括償却資産として計上した場合

一括償却資産の損金算入の特例とは、取得対価10万円以上20万円以下の減価償却資産を購入した際に適応できます。

ソフトウェアにおける通常の減価償却期間は5年ですが、一括償却資産では3年となるので、経費にできるタイミングが早く、資金繰りの対策へと繋がります。

また、償却資産税の対象とならないため、節税対策にもなります。一括償却資産の仕訳は、購入時に勘定項目を一括償却資産として計上します。更に、年度末に減価償却費を計上します。

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会計ソフトの購入費を一括償却資産として仕訳する

会計ソフト代が150,000万円だった場合を例として仕訳を説明します。借方の勘定科目は「一括償却資産」となります。

日付借方貸方摘要
7月10日一括償却資産:150,000普通貯金:150,000会計ソフトウェア購入

年度末に一括償却資産として損金算入する

決算最終日に計上する減価償却費は、3年の償却率0.334を使います。上記の場合なら、150,000(取得対価)×0.334(3年の償却率)=50,100(減価償却費)となり、固定資産額を減らします。

日付借方貸方摘要
3月31日減価償却費:50,100一括償却資産:50,100会計ソフトウェアの減価償却

会計ソフトの勘定科目に関するその他の注意点

会計ソフトの勘定科目には、いくつかの注意点があります。矛盾点などがあると、税務調査で指摘される可能性があります。注意すべき点を紹介するので参考にして下さい。

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サポート費用は「支払手数料」「諸会費」が一般的

クラウド型の会計ソフトを利用する際、サポートを受ける費用も仕訳が必要です。この時の勘定科目にも決まりはありませんが、注意が必要です。

一般的には、借方の勘定科目を諸会費・支払手数料、貸方の勘定科目を現金・普通貯金として計上します。また、月額の料金にサポート費が含まれている場合は、通信費として利用している料金と一緒に記載します。

インストール型では、購入時にセットとして、サポート費を支払うことがありますが、この場合は、消耗品費・ソフトウェアの勘定科目に含めて計上します。

バージョンアップ費用は内容によって扱いが変わる

会計ソフトを継続して利用していると、バージョンアップの必要性が出てくることもあります。その際に費用が発生した場合は、以下のような勘定科目が使われます。

  1. 修繕費:機能の改善や効用維持など
  2. 資本的支出:機能の追加や向上など(ソフトウェアの価値を向上させる)
  3. 資産の新規取得(固定資産):仕様を大幅に変更するなど

ただし、クラウド会計ソフトでは、月額、または年額の料金と同じく通信費や支払手数料などを使用できます。また、月額・年額利用料にバージョンアップ費用が含まれる場合も通常通り仕訳できます。

会計ソフトをバージョンアップする際の勘定科目は?除却の注意点も解説

会計ソフトをバージョンアップする際の費用は、その内容によっても勘定科目に違いが出るため、経費処理に迷ってしまう経理担当者も多いでしょう。本記事では、会計ソフトをバージョンアップする際の勘定科目やソフトをアップグレードした後の除却の際の注意点も解説します。

一度決めた科目を継続して使う

前述したとおり、勘定科目に明確なルールはありません。しかし、継続性のルールがあるので、初年度に通信費と設定したのなら、翌年以降も別の勘定科目に変更せずに、通信費としなければなりません。

同様にサポート費も、利用料に含めて計上する、または含めずに別の勘定科目を設定するなどの計上方法を継続しましょう。

作成した決算書は、税務署や銀行に見せることがあるため、第三者が見て分かり易くしなければなりません。また、自社の経営状態を把握するためにも、継続性のルールは必須と言えます。

まとめ

会計ソフト購入・利用時の勘定科目は、クラウド型とインストール型で違います。一般的に、クラウド型の場合は消耗品費、インストール型の場合は通品費の勘定項目を使います。

インストール型の場合は、10万円以上ならば無形固定資産とする必要があるため、年度末に減価償却の処理が必要です。一定の条件を満たせば、少額減価償却資産の特例や、一括償却資産として計上することもできます。

会計ソフトの勘定科目には、明確なルールはありません。しかし、継続性の原則があり、一度設定した処理方法を継続する必要があります。この記事を参考にして、適切な勘定科目を選びましょう。

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