受付システムとは?機能やメリット・デメリット、選び方を解説

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- 受付システムとは、来客対応や電話による取次業務などの受付業務を自動化できるシステムである
- 受付システムの導入で人件費削減や業務効率化につながり、受付をスムーズに行える
- 受付システム導入の際は、対応に用いるシステムや操作性を確認して検討する
受付システムとは、来客対応や電話による取次業務などの受付業務を自動化できるシステムです。テレワークの普及により、オフィスへの来客者が減ったことで導入している企業も増えています。本記事では、受付システムの機能やメリット・デメリット、選び方などを解説します。
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受付システムとは?

受付システムとは、従来まで受付担当の社員が担っていた来客対応や電話の取り次ぎを自動化できるシステムです。
iPadをはじめとしたタブレット端末、Pepper(ペッパーくん)のようなロボット対応の受付システムが代表的です。来客者が受付をした後、システムから直接担当者へ通知したり、入館証を発行したりできます。
受付業務を自動化・無人化できるため、人員と人件費の削減につながります。受付票の記入や取り次ぐ時間がないため、受付に時間がかからず、混雑していても来客を待たせずに済みます。
さらに、外国語にも対応しているシステムであれば、海外からの来客対応も困りません。対面なしでの受付によって感染症対策もでき、社員や会社のセキュリティ対策が可能です。
受付システムの導入が増えている背景
受付システムは、新型感染症の蔓延をきっかけに導入が進みました。人との接触を最低限にするためにテレワークが普及し、オフィスで直接対面して行う商談が大幅に減り、同時に受付業務へ人手を割く必要性まで激減しました。
しかし、受付を完全になくすことはできないため、受付での感染を防げる機械化・無人化が求められ、受付システムの導入が進みました。また、感染時に備えて接触日時を正確に把握する必要があり、来客情報を記録できるデジタル化・業務効率化の流れが加速しました。
受付システムの機能

受付業務に含まれる来客対応には、複数の役割があります。自社にはどのような機能が必要なのかを確認しておきましょう。ここでは、受付システムの機能について解説します。
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機能 | 主な内容 |
---|---|
来客予約・受付 | 事前に来訪日時を予約し、受付番号やQRコードを発行、 当日来訪時に受付する |
来客・社員データ登録 | 予約時や当日来訪時に来客者情報を登録し、 来訪回数・担当社員のデータなどと紐付けできる |
入退場記録 | 受付記録や入館証の発行で、誰がいつオフィスを入退場したかを 記録できる |
来客通知 | 受付システムを通して来訪したことを担当者に通知できる |
来客予約・受付
受付システムでは、事前の来客予約やタブレット端末での受付ができます。来客予約では、アポイントの日時を決めた時点で、来客情報・使う会議室・日時などを登録し、来客者に共有が可能です。来客者に通知すれば伝言ミスや漏れを防げます。
予約後に受付番号やQRコードが発行されるシステムもあり、来訪当日に受付システムに番号を入力したり、QRコードをかざしたりするだけで受付が済みます。来客の人数が多くても受付票を記入する手間がないため、来訪客を待たせずスムーズな受付が可能です。
来客・社員データ登録
セキュリティ対策、営業への活用、操作性向上のために、来客者情報や社員データの登録が可能です。事前に社員が来客者情報の入力を行う場合と、来訪者自身で入力するパターンがあります。
来客者情報が登録できれば、当日の受付がスムーズに済むだけでなく、社員データと来訪者情報の連携が可能です。それにより、何回来社したか、何人と面会を行ったかなど、営業に役立つデータを蓄積できます。
面会する前にアポイントの有り・無しの分類が可能なため、飛び込み営業の抑止にもつながります。さらに、社員データに顔写真を登録して表示すれば、受付システムで顔を合わせなくても企業の雰囲気が伝えられ、直感的に担当者を選択できます。
入退場記録
受付システムでは、誰が何時にオフィスに入退場したか、データに記録を残せます。新型感染症が蔓延した際は、感染者や接触した社員、接触した日時を正確に把握する際に役立ちました。
昨今では、感染症対策に加えて、セキュリティ対策としても役立てられています。受付をしなければゲートや扉を通過できない入館証発行タイプの受付システムは、部外者がオフィスに入るリスクを防げます。
受付システムでは受付が完了した時点でデータ管理されるため、入力作業なしで入退場の記録が可能です。
来客通知
従来の受付では、受付から担当者に内線電話で来客の通知をしていましたが、受付システムではシステムから直接来客の旨を通知してくれます。通知する方法は、メールやビジネスチャット、固定電話の内線、スマートフォンなどさまざまです。
受付システムに呼び出し機能があるため、受付の人員が不要になるだけでなく、来客の待機時間を減らせます。通知後、予約しておいた会議室に誘導してくれる機能もあるため、案内する人員と手間も削減できます。
受付システムのメリット

受付システムの導入により、業務効率化や受付時間の短縮など、いくつかのメリットが得られます。ここでは、受付システムのメリットについて解説します。
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受付システムのメリット
業務効率化が図れる
受付システムを導入すると、業務効率化に期待できます。従来の受付票に記入してもらう場合はデータ入力する必要があり、電話の取り次ぎにも時間がかかります。
しかし、受付システムはそれらすべての作業をシステム上で完結可能です。来客が受付端末を操作すると担当社員に直接通知され、来客情報や入退場データは自動で管理されます。
来客者情報は社員または来客自身に入力してもらい、予約と同時に会議室や担当社員も登録すればデータの一括管理が可能です。
受付時間の短縮ができる
受付システムを導入すれば、1人あたりの受付にかかる時間が短いため、来訪者が多くてもスムーズに対応できます。
従来の受付では、名刺を受け取るか、受付票に記入してもらって担当社員に来客の旨を電話で伝えていたため、受付票の記入や取り次ぎに時間がかかっていました。受付が1人で複数の来客に対応する場合は、さらに時間がかかります。
一方、受付システムの場合、来客情報を事前に入力して予約すれば、発行された受付番号やQRコードの読み込み、担当者選択で受付が完了します。
当日に来客情報を入力してもらう場合、入力には時間がかかりますが、システムから担当者に直接通知が行くため、取り次ぎに時間がかかりません。
コストの削減が可能
受付システムの導入により、人員にかかるコストの削減が可能です。作業の効率化とスムーズな受付が実現することで、受付担当の人件費と担当者の採用まで不要になります。
日頃からコスト削減に努めている企業にとっては、より大きな導入効果に期待できます。
セキュリティ対策を強化できる
受付システムを導入すれば、直接顔を合わせる前にシステム上で来訪目的の確認が可能です。これにより、アポイントがない人を避けつつ、セキュリティ対策を強化できます。
従来の受付では、アポイントあり・なしを聞かなければ、来訪目的の区別ができませんでした。そのため、どのような方でも対応する必要があり、必要以上にオフィスへ入り込めていたことから、セキュリティ面での課題も大きかったです。
しかし、受付システムは受付番号やQRコードを持った方しか受付できないようにでき、セキュリティゲートとの連携も可能です。不要な場所へ立ち入られる心配がなく、社員の安全対策や飛び込み営業への抑止にもつながります。
フリーアドレスに対応
受付システムを導入すれば、社員のスマートフォンやパソコンなどの個人端末に電話やチャットで来客が通知されるように設定できます。そして、フリーアドレスやレイアウト変更も柔軟に行えます。
従来は、固定電話の内線番号と座席位置が紐づいていたため、席を移動すると自分宛の電話に対応できず、他の社員が電話に出て担当者を探し、声をかける必要がありました。受付システムは、受付業務だけでなく従業員全員の業務効率化につながる点がメリットです。
予定の管理がしやすい
事前に受付システムに来訪予約を入れると、担当社員にリマインドされるため、予定の管理がしやすいです。自身でメモを取らずとも予定の管理ができ、来訪予定を忘れてしまうミスを防げます。
予定失念は準備が不十分な状態で来訪者と顔を合わせることになるため、企業としての印象を著しく損なう可能性があります。社員数に対して来訪客が多く管理が難しい企業にとって、大きなメリットといえるでしょう。
企業のイメージアップやブランディングに役立つ
受付システムは、来訪客やステークホルダーが来社して初めて接触するものであるため、先進的な技術を積極的に取り入れ、人件費や人員の削減、業務効率の向上など、常に企業価値を高めようとしている企業だとアピールできます。
また、デザイン性や機能面においては、自社のブランディングにもつながります。例えば、デザイン制作会社では、受付の端末の使いやすさやデザイン性で企業のイメージを表現できるでしょう。
IT系やAIを取り扱う企業であれば、操作性・業務効率化を推進できる最新技術によってイメージアップが図れます。
受付システムのデメリット

受付システムの導入を検討する場合、導入コストや社内の体制など、デメリットも把握しておく必要があります。ここでは、受付システムのデメリットを具体的に解説します。
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受付システムのデメリット
導入にコストがかかる
受付システムの導入には、システム自体の費用、来訪者が操作するタブレット端末やロボット、端末をつなげる配線の設置も必要なため、初期費用としてまとまった金額が必要です。月々のランニングコストもかかるため、現状と比較して検討しましょう。
さらに、予約や入退場管理などのデータを一括管理できるメリットがある反面、機能が多いほど費用が高額になります。そのため、費用を抑えたい場合は、どのような業務を効率化させたいのか、事前に検討するのがおすすめです。
システムによる受付を好まない人もいる
受付システムを導入する際は、取引先の特性や従業員のITスキルも考慮しながら検討しましょう。世代や業種によっては新たなシステムの導入に抵抗を感じ、タッチパネルの操作に慣れてない人がいる可能性もあります。
受付システムの操作についてわからないことがあった際、誰にも聞けないと企業に対して不信感を感じるかもしれません。また、来訪者の中には、受付担当者の対応に「おもてなし」を感じる方もいるでしょう。
「受付は企業の顔」ともいわれるように、受付システムは企業のイメージに大きく影響していることも多いです。来客にどう思われたいか、どのような人が操作するかを念頭において導入を検討しましょう。
システムトラブルが起きる可能性がある
システムは万能ではないため、急なトラブルが起きることもあります。万が一のトラブル時には来訪客対応に人員を割かなければならず、業務に支障をきたすことも想定しておくことが大切です。
業者による定期的なメンテナンスの有無やトラブルの対応フォローがあるかを確認し、トラブル時の対応について社内周知しておきましょう。
受付システムの比較ポイント

受付システムの導入を検討する際、自社に必要な機能やコスト、チェックイン方法などを確認しておくことが大事です。ここでは、受付システムの比較ポイントについて解説します。
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受付システムの比較ポイント
iPad・タブレット対応かロボット対応か
受付システムは企業のイメージアップやブランディングにつながるため、どのような機械が会社のイメージに合うか、長期的な活用を想定して使いやすいかを検討しましょう。
タブレット端末は、スマートフォンが普及しているため、比較的操作がしやすく狭いスペースでも設置できる点がメリットです。ロボットはタブレット端末に比べて設置スペースが必要ですが、珍しさから先進的なイメージを与えられるのがポイントです。
また、音声や顔の認識機能でロボットとコミュニケーションを取り、「おもてなし」を感じてもらえます。可能であれば実際に受付を体験し、受付での使いやすさや通知が来た際の対応の流れ、受付に置いて違和感がないかなどを確かめましょう。
自社に必要な機能・コストを確認
受付システムごとに基本プランやできることが異なるため、機能の追加や端末の購入など、初期費用がどれくらいかかるのか、複数社に見積もりを依頼して費用を比較するのがおすすめです。
多機能なものは便利ですが、その分コストもかかるため、コストを抑えたい場合はどの業務を効率化させたいのかを明確にしながら機能を選びましょう。なお、無料で利用できる場合もありますが、機能が制限されていることがほとんどです。
その他、受付システムは社員が通知を受ける端末やアプリケーションも必要です。新たなデバイスやアプリケーションの導入には追加コストがかかるため、すでに使用しているもので連携可能な受付システムを選ぶのがおすすめです。
チェックイン方法を確認
チェックインは、誰もいない受付で来客者が機械を操作する必要があるため、誰でもわかりやすく操作方法が簡単なものを選びましょう。可能であれば、実際に体験してからの判断がおすすめです。
受付システムのチェックイン方法には、内線番号や受付番号、QRコードを事前にメールに添付して送る方法があります。当日来社した際には、担当社員を検索することも可能です。
また、セキュリティゲートとの連携や、音声認識、顔認証の機能を加えたチェックイン方法も存在します。先進的な機能やセキュリティ対策など、どのような印象を来訪客に与えたいかも考慮しながら比較検討すると良いでしょう。
来客通知の受け取り方法を確認
受付システムを選ぶ際は、来客通知を受け取る方法を確認しましょう。受付システムの来客通知の受け取り方法には、メールや内線電話、ビジネスチャット、社用携帯、専用のアプリなどが挙げられます。
通知を受け取るために、新たな端末やシステムを導入すると費用が増してしまうため、費用を抑えたい場合は、既存のメール、Slack・Teamsをはじめとしたビジネスチャット、スマートフォンなどと連携できる受付システムを選ぶのがおすすめです。
使いやすいか
来客者に限らず、従業員にも受付システムのような機械操作に不慣れな人がいることが想定されます。そのため、直感的な操作ができ、従業員も予約や通知の受け取りがしやすいものを選びましょう。
システムの中には、音声ガイダンス機能付きや、事前に発行されたQRコードをかざすだけで受付ができるものもあります。従業員の業務効率も考慮して、スケジュール表のように予約管理ができ、予約完了と同時に来客者へ自動送信可能なものもおすすめです。
導入前に体験できる受付システムであれば、操作性を比較検討しましょう。
サポート体制・セキュリティ対策を確認
受付システムは、社員の名前や来客者の情報などの個人情報が含まれるため、セキュリティ対策も重要です。情報漏洩防止のため、個人情報の取り扱いや情報セキュリティについて必ず確認しましょう。
また、定期的なメンテナンスや突然のトラブル、疑問点の解消など、アフターフォローに関するサポート体制も大切な比較対象です。
受付が使えないと来客にも迷惑をかけてしまうため、エラーが出た際に通知機能があるのか、修理を依頼したらどれくらいで駆けつけてくれるのか、サポート受付時間や対応までの速さも確認しましょう。
受付システムを導入する際の注意点

受付システムは、単に導入すれば自動的に効果が出るのではなく、既存の業務フローなどとの適合性の確認、将来の拡張性への考慮が必要です。ここでは、受付システムを導入する際の注意点について解説します。
社内ルールや業務フローとの適合性を確認する
受付システムの選択では、自社の社内ルールや業務フローと適合しているかが重要です。例えば、来客受付の責任を総務部門が一括して担っている企業の場合、来客情報を総務が取りまとめて確認できるような仕組みが不可欠です。
一方、各部署が直接来客を迎える体制を取っている場合には、部署ごとに担当者へ迅速に通知が届く仕組みが必要になります。このように、同じ受付システムでも導入する企業の体制や文化によって、求められる役割が異なる点に注意しましょう。
将来の拡張性やカスタマイズ性を考慮する
受付システムは1度導入したら終わりではなく、企業の成長や働き方の変化に合わせて長期的に運用されるものです。そのため、現在の利用規模だけで判断するのではなく、将来にわたってどの程度拡張・カスタマイズが可能かを確認しておきましょう。
例えば、導入当初は本社だけ利用していても、数年後には複数の拠点で同じシステムの利用ニーズが増えるかもしれません。また、セキュリティゲートや入退室管理との連携、人事システム・クラウドサービスとの連携が必要となる可能性もあります。
長期的な活用を想定する場合、自社の長きにわたる方向性を踏まえつつ、柔軟に機能を追加できるシステムの選定がおすすめです。
受付システムは自作できる?

受付システムは、タブレット端末であれば自作可能です。しかし、十分な機能を持たせるには高い技術力が必要なため、利便性に加えて安全性まで求める場合には不向きです。
自作には、タブレット端末に表示させる画面の製作や、来客者情報・社員データを登録するデータベース、社員を呼び出す通知機能が必要です。また、予約機能や入退場を記録するには、さらに細かなシステム開発が求められます。
十分な機能がなければ業務効率化が実現せず、セキュリティ面でも不十分な可能性が高いです。トラブルが起これば来客者に迷惑がかかるため、基本的には受付システムの導入がおすすめです。
まとめ

受付システムは、iPadのようなタブレット端末や、Pepper(ペッパーくん)のようなロボットを配置して、受付業務を自動化・機械化するシステムです。来客者が操作して担当を呼び出すため、受付の人員とコスト削減につながり、業務効率化も実現できます。
ただし、導入にはコストがかかるため、必要な機能を厳選し、自社のイメージに合った使いやすい受付システムを選びましょう。
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