会計ソフトのバックアップは必要?バックアップ方法や注意点も解説
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- 予期せぬデータ消失に備えて、会計ソフトもバックアップを取っておくことが必要
- バックアップを取る方法として、ローカル・クラウド・外部記録媒体への保存がある
- バックアップは定期的に行い、データ復元の方法も事前に確認しておく
万が一のデータ消失に備えて、会計ソフトもバックアップを取っておくことが必要です。クラウド型ソフトであっても、サーバー上でのデータ保存期間は決まっているため定期的なバックアップが推奨されます。この記事では会計ソフトのバックアップの方法や注意点を詳しく解説します。
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会計ソフトのバックアップが必要な理由
会計ソフトを利用している場合でも、データのバックアップは必要です。特にインストール型の会計ソフトは、予期せぬ事態でデータが消える恐れがあるため、バックアップは必ず取っておきましょう。
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会計ソフトのバックアップが必要な理由
予期せぬデータ消失の可能性があるため
会計ソフトのバックアップを取るべき最大の理由は、予期せぬデータの消失に備えるためです。データの消失といえば、誤操作によるデータの消去・上書きを思い浮かべがちですが、次のような事態でも起こり得ます。
- 災害(地震・火事・水害)で事業所の端末やサーバが破壊された
- デバイスに物理的な衝撃(落下・水没など)があり、保存領域が破損した
- 移行時にエラーでデータが消えた
- 外部からのサイバー攻撃によるデータの破損・流出
- コンピュータウイルスの汚染によるデータの破損・流出
電子データは思わぬ形で失われることが少なくありません。予期できないデータの消失に備えて、日頃からバックアップはこまめに取っておく必要があります。
過去のデータをすぐに見直せるため
データのバックアップは、データの修正にも必要になります。たとえば記帳の途中で、入力ミスや仕訳ミスに気づいたときでも、過去のデータを見直せば、「どこで」間違えたのかを即座に特定できます。
間違いが起こった時点から修正を始めれば良いため、落ち着いて作業を進められるでしょう。一方、どこで間違ったのか曖昧なまま修正を始めると、さらなる間違いを重ねたり、正しいデータまで消したりする恐れがあります。
どのように会計処理を行ってきたかという足跡を残すためにも、過去データのバックアップは大切です。
会社の信用に関わるため
会社への信用のためにも会計データのバックアップは必要です。データ管理ができていないとは、すなわち危機管理ができていないということです。危機管理ができていない企業は、当然ながら社会的に信用されません。
また、消失データに顧客情報が含まれており、かつ自力で復旧できない場合は、先方から再び同じデータを送ってもらう必要が出てきます。つまり先方に余計な手間をかけることになるのです。
さらにデータの消失によって取引・商談などの業務がストップすれば、やはり先方には迷惑がかかります。迷惑の度合いが大きいほど、取引先や顧客からの信用は大きく下がるでしょう。社会的な信用を保つためにも、会計データのバックアップは大切です。
クラウド型会計ソフトのリスク
クラウド型会計ソフトとは、インターネットにアクセスして利用する会計ソフトウェアです。データはクラウド上のサーバに自動的に保存されるため、インストール型ソフトのような別途バックアップは不要のように思われがちです。
しかし、クラウド型会計ソフトでもデータのバックアップは必要です。クラウド型会計ソフトのバックアップを取るべき理由をご紹介します。
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クラウド型会計ソフトの場合
ベンダーに障害が起こることもある
クラウド型会計ソフトの場合、ベンダーのシステム障害や臨時メンテナンスによって、クラウドサーバに保存されたデータが消失・破損する可能性があります。そしてベンダーの責任で消失したデータが補償されるかどうかは、契約内容次第となります。
よってクラウド型会計ソフトを利用する場合でも、データは自社で責任を持ってバックアップを取っておくのがベストです。
データ保存期間が決まっている
クラウド型会計ソフトの場合、クラウドサーバに保管されたデータは、保管日から一定期間が経つと消失または上書きされます。データの保管期間はソフトやベンダーによって異なるため、事前に確認しておきましょう。
なお、会計関連の書類は7〜10年の保管が義務づけられています。クラウドサーバーで保管されたデータがこの法定期間よりも短いスパンで消える場合、たとえ故意にデータを消したわけでなくとも、ペナルティの対象になり得ます。
無用なペナルティを避けるためにも、法定期間内は会計データを確実に残せるよう、自社でバックアップを取っておくことが大切です。
誤ってデータを消してしまうこともある
クラウドサーバに登録したデータを、データ取扱者が誤って消したり、上書きしたりする恐れがあります。基本的にクラウドサーバに保管されるのは最新データのみで、消去・上書きされたデータの復元はできません。
誤操作によるデータの消失に備えて、日頃からバックアップを取っておくことが望ましいです。
会計ソフトのバックアップを取る方法
会計ソフトのバックアップを取るには、ローカル・クラウド・外部記録媒体を利用する方法があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解し、自社にとって最適なバックアップ方法を選択しましょう。
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会計ソフトのバックアップを取る方法
ローカルに保存
ローカルとは、ネットワークを経由せず、個人のパソコンのみで操作できる環境を指します。具体的には、次のようなものがローカルに該当します。
- PC内蔵のハードディスクドライブ
- Word・Excelなどの各種テキストエディタ
- PDF化
インターネットを使わないという点では、紙媒体への印刷・手書きでもローカルでのバックアップに当たります。
メリット | ・アクセスが通信環境に左右されない ・外部のサーバを経由しないため情報漏洩のリスクが低い |
デメリット | ・データが属人化しやすい ・デバイス本体の故障・破損でデータ消失の恐れがある ・サイバー攻撃・ウイルス感染のリスクがある ・保存できる容量に限界がある |
クラウドに保存
ベンダーがインターネット上に用意したサーバーにデータを保存する方法です。たとえば次のようなサービスがあります。
- Googleドライブ
- OneDrive
- Dropbox
クラウドに保存する場合のメリットとデメリットには次のようなものがあります。
メリット | ・通信環境さえあれば、時間・場所にとらわれずにサーバにアクセスできる ・デバイス本体が故障・破損してもデータを守れる ・データ容量が不足しても、追加料金で増やせる ・セキュリティ・アップデートはベンダーに一任できる |
デメリット | ・通信環境がなければ利用できない ・アクセスが通信環境やシステム障害に左右される ・大容量データの処理は遅い ・インターネット上に情報が流出するリスクがある |
USBメモリなどの外部記録媒体に保存
外部記録媒体にデータを保存するのも良い方法です。外部記録媒体とは、次のようなパソコン周辺機器を指します。
- USBメモリ
- メモリーカード
- CD-ROM
- 外付けハードディスク
外部記録媒体は、デバイスや会計ソフトとの相性の良し悪しがあります。自社が採用しているデバイス・会計ソフトで使用できるものを選びましょう。また、次のようなメリット・デメリットもあらかじめ理解しておきましょう。
メリット | ・デバイス本体が故障・破損してもデータを守れる ・デバイスの種類が多彩で、好みのものを選べる ・適切に使用すればコンピューターウイルスの感染リスクは低い |
デメリット | ・紛失のリスクがある ・外部に持ち出される恐れがある ・落下などの物理的な衝撃で破損する ・経年劣化する ・保存できる容量に限界がある |
会計ソフトのバックアップの範囲
会計ソフトのバックアップ範囲には、フルバックアップ・差分バックアップ・増分バックアップの3種類があります。バックアップ範囲は会計ソフトによって異なりますが、主流なのはフルバックアップです。
フルバックアップのメリットは、必要なときにデータを迅速に復元できる点です。たとえばデータが消失した場合は、直近のバックアップを読み込むことで最新データを復元できます。また、データが1カ所に集約されているため、復旧時間も比較的短いです。
一方、デメリットとしては、保存先のデータ容量を多く消費する点があります。毎回フルバックアップをする場合は、ある程度の空き容量を確保しておきましょう。
種類 | 範囲 |
---|---|
フルバックアップ | 対象の全データを保存 |
差分バックアップ | 初回のフルバックアップ後に変更・追加されたデータのみを保存 |
増分バックアップ | 前回のバックアップ後に変更・追加されたデータのみを保存 |
会計ソフトのバックアップを取る際の注意点
バックアップはただ取ればよいものではなく、頻度・期間・トラブル時の対応などをあらかじめ決めておくことが大切です。会計データを適切に保管するためにも、バックアップを取る際は次の4つのポイントに注意しましょう。
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会計ソフトのバックアップを取る際の注意点
こまめに実施する
会計データのバックアップはこまめに取っておきましょう。データの消失・破損はいつ起こるか分からないためです。ベストなのは、会計ソフトの使用終了時に毎回バックアップを取る方法です。
たとえ1日に複数回会計ソフトを利用する場合でも、必ず毎回バックアップを取りましょう。毎回のバックアップを習慣づけることで、データを確実に守れるだけでなく、バックアップの取り忘れも防げます。
保存期間を決めておく
毎回バックアップを取るとデータが膨大になり、ストレージに収まりきれなくなります。会計データは10年の保管が原則ですが、容量の問題で実際には難しいというケースは少なくありません。
対策としては、ストレージ容量を増やす・重複データを削除するなどの方法があります。バックアップシステムの中には、重複データを自動で消去する重複削除機能を備えたものもあります。
古いデータをどう扱うかは企業によって異なります。保存期間・保存方法については社内で話し合い、ルール化しておきましょう。
消えたときの復元方法も確認しておく
データの復元方法は会計ソフトによって異なります。万が一データが消失した場合でも迅速に復旧できるよう、データの復元方法はあらかじめ確認しておきましょう。
「3・2・1バックアップルール」を適用する
より確実にデータを保管したい場合は、「3・2・1バックアップルール」の適用がおすすめです。
【3】データは3箇所に保存 (本来のデータ+2つ以上のバックアップデータ)
【2】データ保存先は異なる2種類以上(ローカル・外部記録媒体・クラウド)
【1】広範囲の災害に備えて、バックアップのうち必ず1つは遠隔地で保存する
3・2・1ルールとは、簡潔にいえばデータの全滅を防ぐためのルールです。データを分散して保存しておくことで、思わぬアクシデントに見舞われても、データが残る確率が高くなります。
まとめ
会計ソフトを使う場合でも、予期せぬデータの消失・過去データの参照・会社としての信頼維持のために、データのバックアップは必ず行いましょう。たとえクラウドサーバ上にデータを保存するクラウド型会計ソフトでも、同様です。
会計ソフトのバックアップには、ローカル保存・クラウド保存・外部記録媒体での保存の3つの方法があります。複数の保存方法を併用することで、データの全滅のリスクを下げられます。
確実なデータ保管のためには、バックアップは会計ソフトの利用ごとに行うのがベストです。ただしデータ容量が大きくなりやすいため、古いデータの取り扱い方はあらかじめ社内でルール化しておきましょう。
会計データは機密性の高い情報です。自社で責任をもって、確実にデータを残せるようなバックアップ方法を考案・実践しましょう。
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