会計ソフトを使った記帳のメリット|必要性・やり方・注意点を解説

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  • 自分で記帳を行う場合は、会計ソフトの利用がおすすめ
  • 会計ソフトを使うと仕訳や入力のミスを減らせ、経理の初心者でも簡単に記帳できる
  • 会計ソフトを使用する場合、領収書の汚れや破損には気を付ける

記帳は、取引内容やお金の流れを明確化でき、経営状況を把握するのにも大切なものになります。そして、会計ソフトを使用すると、記帳が効率化します。本記事では、記帳の目的や必要性、会計ソフトでの記帳がおすすめな理由・やり方・注意点を解説します。

目次

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  1. 記帳の目的と必要性
  2. 記帳の方法
  3. 会計ソフトでの記帳がおすすめな理由
  4. 会計ソフトでの記帳のやり方
  5. 会計ソフトを使った記帳のコツ・注意点
  6. 初めて会計ソフトを使用する場合
  7. まとめ

記帳の目的と必要性

記帳とは、帳簿に必要事項を記載することです。事業においては、事業として行った取引の内容を帳簿に記載することを記帳と呼びます。

記帳の主な目的は正しい納税額を算出・申告することです。納税金額の算出にはまず事業としての所得金額を確定する必要があり、そのためには事業で発生した収入・支出の内訳を適切に管理しなければなりません。その管理のために行うのが記帳です。

なお、記帳には複式簿記を使ったやり方・単式簿記を使ったやり方の2種類があります。青色申告をする場合、記帳は複式簿記で行う必要があります。

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複式簿記の特徴

複式簿記は1つの取引を「原因」「結果」に分けて、複数の科目で記帳する方法です。いわゆる「仕訳」が必要な簿記でもあります。正確な会計記録を残したい場合・青色申告をする場合は、複式簿記での記帳が必要です。

複式簿記での記帳の際は、必ず左側に「借方」、右側「貸方」を記載します。「借方」につけるのは、事業の資産が増える場合です。反対に事業の資産が減る場合は「貸方」につけます。また、それぞれには適切な勘定科目を当てはめます。

たとえば10万円の現金売上があった場合、記帳は次のように行います。

○月○日 借方/現金300,000円 / 貸方/売上300,000円

現金売上=事業の資産の増加であるため、この取引は借方につけます。この場合、借方が「結果」となるため、その「原因」は貸方として右側に記載します。なお、それぞれの勘定科目は「現金」「売上」となります。

複式簿記の勘定科目は、性質に応じて資産・負債・純資産・収益・費用の5グループに分類されています。また、複式簿記をつける際は、取引の内容を集計した「貸借対照表」と「損益計算書」の2種の書類を作成します。

単式簿記の特徴

単式簿記は1つの取引を1つの科目で記帳する方法です。複式簿記に比べると簡略的であるため、さほど経理の知識がない方でも取り組みやすいでしょう。なお、家計簿や預金通帳なども単式簿記に当たります。

単式簿記に記帳すべき項目は、日付・項目・詳細・入金額・支出額・残高の5つです。この順番で記帳するのが一般的です。

記帳の方法

記帳は自分で行うほか、代行サービスや税理士に依頼する方法もあります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社に適した方法を選択しましょう。

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自分で記帳する

最もオーソドックスな方法が、自力での記帳です。たとえば個人事業主で取引内容が複雑でない場合は、自力で対応できることが多いです。

自力での記帳の最大のメリットは、金銭的なコストがかからない点です。基本的に必要なのは自分の労力と時間だけであり、コストを最小限に抑えたい方にはおすすめの方法です。

デメリットは、複雑な取引内容でも自力で対応しなければならない点が挙げられます。取引先内容が複雑になれば、記帳の内容も複雑化します。ある程度の経理の知識がなければ太刀打ちできないでしょう。

記帳代行サービスに依頼する

記帳代行サービスは、名称の通り、記帳を代わりに行ってくれるサービスです。業者に領収書・請求書控え・通帳コピーなどの必要書類を郵送すると、仕訳・会計ソフトへの入力を行ってくれます。試算表・総勘定元帳などの作成まで請け負う業者も多くいます。

記帳代行サービスのメリットは、複式簿記の作成を委託できる点です。ほとんどの業者は青色申告に必要な書類の作成に対応しています。記帳が苦手な方・記帳ミスの心配がある方にとっては、大きなメリットといえるでしょう。

また、帳簿付けに手間と時間を割かなくてよいため、本業に集中できる点もメリットです。とにかく記帳にかかる手間を減らしたいという方は、記帳代行サービスの利用を検討しても良いでしょう。

デメリットは金銭的コスト(依頼料)がかかる点です。必要書類を渡してから帳簿が完成するまでには、ある程度の時間がかかる点にも留意しましょう。また、記帳代行サービスは税理士ほど専門的な知識は有しておらず、サービスの質は業者によってバラツキがあります。

記帳代行サービスを依頼する際は、メリットとデメリットを十分に比較検討することが大切です。

記帳代行の相場

記帳代行サービスの費用相場は、ひと月あたり100件程度の仕訳で月額1万円程度です。200件なら月額2万円、300件なら3万円…と、仕訳件数が多くなるほど月額料金は高くなります。なお、具体的な料金設定は業者によって異なります。

税理士に依頼する

記帳は税理士に依頼する方法もあります。税理士に依頼する場合は、記帳に加え、税金について相談できたり、会計処理のサポートを受けたりできることが多いです。税理士によっては事業の見直し・アドバイスも行っています。

税理士に記帳を依頼するメリットは、なんといってもお金のプロに任せられるという点です。税務調査や税務申告に対応してくれる税理士も多く、いざという時でも安心して頼れる点は、大きなメリットといえるでしょう。

デメリットは、金銭的コスト(依頼料)が高い点です。税理士は専門的なフォローを行うため、記帳代行サービスに比べても依頼料も高額な傾向があります。依頼する場合は、得られるメリットと支払うべきコストを十分に比較する必要があります。

税理士の相場

税理士に記帳代行を依頼する場合の費用相場は、個人事業主・法人によって異なります。

  1. 個人事業主:月額約3万円~
  2. 法人:月額約4万円~

上記の料金には、記帳料のほか、顧問料・基本手数料などが含まれます。記帳料だけであれば、おおむね1件の仕訳につき50円~100円が相場です。ただし料金は地域・税理士事務所の規模によっても変動するため、依頼前に必ず確認してください。

会計ソフトでの記帳がおすすめな理由

記帳は自力で行うのが最もコストがかかりません。しかし一から自力で記帳するのは何かと手間がかかるため、会計ソフトの利用がおすすめです。なお、会計ソフトとは、会計業務全般をフォローしてくれるソフトウェアです。

ここからは会計ソフトでの記帳がおすすめな理由についてご紹介していきます。

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記帳作業を簡素化・効率化できる

会計ソフトは、取引の内容を入力すれば、そのデータをもとに自動で仕訳を行ってくれます。つまり記帳作業をある程度自動化できるため、会計処理業務を大幅に効率化できます。

現金出納帳・総勘定元帳・損益計算書・決算書などの各種帳簿や書類を自動出力できる点もメリットです。

仕訳ミスを減らせる

会計ソフトにはAIの自動仕訳機能が搭載されたものも多く、この機能を使うことで仕訳を自動化できます。手動での仕訳には仕訳ミスといった人為的ミスのリスクがありますが、会計ソフトを使えばそのリスクを減らせます。

自動仕訳機能により正しい記帳が可能になるため、事業の内容を正しく把握できるほか、税務調査などの無用なトラブルも少なくなるでしょう。なお、AIによる自動仕訳機能は全ての会計ソフトに実装されているものではありません。

自動仕訳機能を利用したい場合は、必ず実装されている会計ソフトを選びましょう。

入力ミスを減らせる

従来の会計処理では、領収証やレシートのデータ・クレジットカード明細・銀行口座明細などのデータは手動での転記が必要でした。手動での転記は時間・手間がかかるだけでなく、入力ミスなどの人為的ミスのリスクが潜んでいます。

一方、会計ソフトの中には、領収証をスキャンするだけでデータを取り込めるものや、クレジットカード・銀行口座の明細を自動取得できるものもあります。これらを利用すれば、手動での金額や項目の入力は必要ありません。

つまり手動での処理に比べて業務効率を改善できるほか、入力ミスのリスクも低減できます。手動での正確な記帳に不安がある方は、会計ソフトの利用がおすすめです。

なお、領収証やレシートの自動読み取り機能・クレジットカードや銀行口座の明細取得機能が実装されているのは一部の会計ソフトのみです。購入前に、希望の機能が実装されているか必ず確認してください。

経理初心者でも記帳できる

会計ソフトでは、データの読み取り・仕訳・各種帳簿の作成をある程度自動化できます。そのため、経理経験の少ない方でもスムーズな記帳が可能です。経理担当者の質に左右されずに会計処理を進めたい場合は、会計ソフトの利用がおすすめです。

会計ソフトでの記帳のやり方

会計ソフトでの記帳のやり方は、基本的にソフトに従って必要項目を入力するだけです。入力項目はソフトによって異なりますが、日付・取引の内容・金額の入力が一般的です。あとの仕訳・計算などは、入力したデータをもとに会計ソフトが自動で行います。

会計ソフトを使った記帳のコツ・注意点

会計ソフトの中には、領収証やレシートをスキャンまたは専用アプリで撮影するだけで、データを読み取れるものがあります。テキストを自動で読み取る機能は「OCR」と呼ばれています。

OCR機能搭載の会計ソフトを使えば、手動での入力を省けるため、会計処理を効率化できるほか、入力ミスなどの人為的ミスを防止できます。ただし、OCRでの領収証やレシートの読み取りには注意すべき点もあります。

読み取りを誤ると正しい記帳ができなくなるため、自動読み取り機能を使う場合は次の2点に注意してください。

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会計ソフトを使った記帳のコツ・注意点

  1. 手書きの領収書は読み取れない
  2. 領収書の汚れや破損に気を付ける

手書きの領収書は読み取れない

会計ソフトのOCR機能では、手書きの領収書の読み取りは難しいです。たとえ読み取れたとしても、内容が誤っている可能性が高いため、最後は必ず目視でチェックしてください。

二度手間を避けたい場合は、最初から手動で入力するのが良いでしょう。

領収書の汚れや破損に気を付ける

OCR機能では、汚れ・破損がある領収証は正確に読み取れません。たとえばインクにじみ・水濡れ・破れている・シワがある領収証が該当します。この場合も、領収証の内容を手動で入力するのがおすすめです。

初めて会計ソフトを使用する場合

初めて会計ソフトを利用する方は、まずお試し版の利用がおすすめです。いざ会計ソフトを購入して使い始めたものの、予想外に使い勝手が悪い・操作しにくいというケースは非常に多いためです。

操作しづらいソフトをずっと使い続けるのは、ストレスが溜まります。また、せっかく購入したのに結局使わなくなったとなれば、購入費用が無駄になってしまいます。

こういったリスクを避けるには、まずお試しして、実際の使用感を確かめてみるのがベストです。たとえば無料版の会計ソフトや、有料版ソフトの無料トライアルを活用してみましょう。

以下の記事では、おすすめの無料で利用できる会計ソフトを紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

おすすめの無料の会計ソフト5選|法人と個人事業主の違いを解説

無料の会計ソフトは、機能や使用人数に制限があるものの、規模の小さい企業や個人事業主には十分なケースもあります。本記事では、無料の会計ソフトの種類や、おすすめなケースの他、無料の会計ソフトを選ぶときのポイント・注意点を解説します。

まとめ

記帳は納税に必要な会計処理で、単式簿記と複式簿記の2種類があります。青法人や色申告をする個人事業主は、やり方が複雑な複式簿記での記帳が求められます。

記帳のやり方は、自力・記帳代行サービスへの依頼・税理士への依頼の3パターンがあり、コストを抑えたい方は自力での記帳がおすすめです。コストを支払ってでも記帳の手間を軽減したい・確実な記帳を行いたい方は、代行サービスや税理士を選択しましょう。

なお、会計ソフトを使えば、経理経験のない方でも自力での記帳が可能です。必要項目を入力するだけで自動的に仕訳してくれるため、会計処理を大幅に簡略化できるでしょう。人の手を介さないため、入力ミス・仕訳ミスなどが起きにくい点もメリットです。

会計ソフトの中には、領収証やレシートをスキャンするだけでデータを自動読み取りできるものもあります。便利な機能が搭載された会計ソフトを活用し、会計処理を効率化しましょう。

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