会計ソフトを乗り換えるタイミング|乗り換え時の注意点も解説

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  • 個人事業主から法人化する際などに、会計ソフトを切り替える必要がある
  • 会計ソフトを乗り換える際は、乗り換え前のデータや貸借対照表が必要である
  • 会計ソフトを乗り換える際は、乗り換え前のソフトとの互換性を確認する必要がある

事業規模が拡大した際や、個人事業主から法人化した際などは、会計ソフトの切り替えが必要になることがあります。本記事では、会計ソフトを乗り換えるタイミング、手順や用意するもの、さらに注意点や確認事項についても分かりやすく解説します。

目次

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  1. 会計ソフトを乗り換えるタイミング
  2. 会計ソフトを乗り換える手順
  3. 会計ソフトを乗り換える際の注意点
  4. 事業に合った会計ソフトに乗り換える
  5. まとめ

会計ソフトを乗り換えるタイミング

ビジネスの成長や変化、古いシステムの制約など、会計ソフトを乗り換えるタイミングはさまざまです。ここではまず、会計ソフトを乗り換えるタイミングには、どのようなケースがあるかを解説します。

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個人事業主から法人化する時

個人用と法人用の会計ソフトでは、企業形態や税制に応じて内容が異なります。法人化に伴い、財務諸表の要件や作成する書類が変わります。また、個人用ソフトでは対応できなかった法人税や法人向けの税務処理が必要になることもあります。

法人化により業務規模が拡大し、より複雑な経理が求められるため、専用の法人向け会計ソフトに移行することで、スムーズな会計処理と税務対応が可能となります。適切なタイミングでの乗り換えは、会計業務の効率化や正確な情報管理につながります。

事業規模を変更する時

法人化しなくても、事業規模が拡大し課税事業主になった場合は、会計処理の複雑さや取引件数が増える可能性が高くなります。これにより、より高度な会計機能が必要になることがあります。

例えば、取引先の増加に伴い売掛金や買掛金の管理が煩雑になったり、従業員の給与計算や経費精算などの人事給与管理機能が必要になるかもしれません。また、課税事業主になると消費税処理が課せられ、税務申告書の作成や税金計算に対応したツールが必要になります。

このような場合、従来の会計ソフトでは対応が難しい場合があるので、より機能豊富で拡張性のある会計ソフトに乗り換えることで、経理業務の効率化や正確なデータ管理を実現できます

法改正のタイミング

法改正や税金引き上げなどの会計基準の変更がある場合、会計ソフトのアップデートや乗り換えを検討する必要があります。古いソフトウェアでは新しい基準に対応できず、正確なデータ処理や税務申告が難しくなる場合があります。

アップデートで対応できる場合もありますが、古いソフトがサポート終了していることも考えられます。そのため、最新の基準に適合した機能を持つ、新しい会計ソフトに乗り換えることが適切です。

また、乗り換えにより業務効率化やデータの正確性が向上し、経営の意思決定や予算管理がより効果的に行えることも期待できます。法改正に対応するためには、新しいソフトウェアの導入を検討し、事前にスムーズな移行計画を立てることが重要です。

必要な機能やサポート内容が変更した時

業務の成長や変化に伴い、新しい機能やサポートが必要になることがあります。例えば、事業規模が拡大して取引件数が増えた場合、より高度な取引データの管理や分析が必要になるかもしれません。

また、クラウド型の会計ソフトが普及している現在では、リアルタイムでのデータ共有や外出先からのアクセスが求められることもあります。

これらの変化に対応するために、既存の会計ソフトが不十分であったり、より高度な機能が必要となる場合があります。その際は、新しい機能やサポートを提供するソフトウェアに乗り換えることで、より効率的かつスムーズな経理業務を実現できます

ただし、乗り換えには慎重な準備が必要であり、担当者とよく相談し、経営の目標に合ったソフトウェアを選定することが重要です。

使用しているソフトが使いづらいと感じた時

操作性が低く、入力が煩雑だったり、データの管理が複雑で時間がかかったりすると、経理業務の効率が低下しヒューマンエラーが発生する恐れがあります。また、顧問税理士とのデータ共有がスムーズでないと、情報の把握や相談が難しくなります

乗り換える際には、新しいソフトの操作性やデータ共有機能を重視し、これらの課題を解決するために適切な会計ソフトを選択すると良いでしょう。使いやすく効率的なソフトは経理業務の品質向上につながり、顧問税理士との連携も円滑化します。

会計ソフトを乗り換える手順

会計ソフトを乗り換える際は、しっかりと準備をしておきましょう。ここでは、会計ソフトを乗り換える手順について解説します。以下の手順を参考にして、スムーズに会計ソフトの乗り換えを行いましょう。

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1. 事前準備をする

まずは、事前に準備することについて解説します。会計ソフトを乗り換える際には、事前の準備が欠かせません。具体的には以下のような準備が必要となります。

乗り換え前の会計ソフトのデータ

乗り換え前の会計ソフトのデータを準備しておきましょう。乗り換え前のデータは、新しい会計ソフトで正確な経理データを引き継ぐために不可欠です。データの移行により、過去の取引や仕訳伝票、財務諸表などが綿密に再現され、正確な経営判断や税務申告が行えます。

適切なデータの移行により、乗り換え後の会計ソフトでスムーズな業務を行い、正確な経理管理を実現できます。

乗り換える会計ソフト

新しい会計ソフトを選定し、利用登録を済ませておきましょう。また、既存の会計ソフトからのデータ移行を検討する場合は、データのエクスポートやバックアップを行い、必要な情報を整理しておくことがスムーズな乗り換えのポイントです

前期の残高試算表

乗り換えの際には、前期の残高試算表を準備しておきましょう。乗り換え先の会計ソフトにデータをインポートできない場合があるため、前期の残高試算表は、手動で入力する必要が生じるかもしれません。

手動で入力する際にも前期の残高試算表があれば、移行前のデータに誤りがなくなります。データの整合性を保つためにも、前期の残高試算表が必要となります。

当期の開始残高が分かる貸借対照表

残高試算表と同様に、乗り換える会計ソフトに貸借対照表を直接インポートできない場合があります。この場合も、開始残高を手動で入力する必要が生じる可能性があります。開始残高は、当期の会計処理を行う上で基本となるデータであり、重要です

2. データを移行する

次にデータを移行します。乗り換える前の会計ソフトからデータをインポートできる場合とできない場合で業務が異なるため、それぞれ解説します。

データをインポートする場合

会計ソフトを乗り換えてデータをインポートする手順は以下のようになります。

  1. 乗り換え前の会計ソフトのデータをエクスポートして保存する
  2. 新しい会計ソフトを起動し、データインポート機能を選択する。
  3. インポート対象のデータファイルを指定し、インポートを開始する。
  4. インポートが完了したら、データの整合性を確認する。

インポートできる内容は会計ソフトによって異なりますが、一般的には仕訳データやマスタデータ(取引先、勘定科目など)を移行できます。ただし、すべてのデータが完全にインポートできるわけではないため、インポート後にデータの整合性を確認しましょう。

データをインポートできない場合

データを新しいソフトにインポートできない場合は、古いソフトのデータを手動で新しいソフトに入力する必要があります。具体的には、取引履歴や仕訳、売上や経費の記録、および開始残高の設定が手入力で行われます。

勘定科目や補助科目の設定や固定資産の登録も必要になる場合もあります。手入力は手間がかかることもありますが、正確なデータを入力して新しいソフトでの会計処理をスムーズに始めるために重要な作業です。

3. 設定やデータが適切であるか確認する

インポートしたデータが正しく反映されているか確認しましょう。特に自動で入力される勘定科目や取引先などの設定をよく確認しましょう。

最初の設定を間違ってしまうと、誤ったデータで毎月計算されてしまいます。あとから気が付くことは難しいので、最初の段階で慎重に確認することが大切です。

4.過去のデータの管理方法を決定する

過去のデータをシステムごと残すか、過去のデータを移行して過去のシステムごと削除するか、あるいは過去のデータを移行しないという手段もあります。

過去のデータを移行することで過去のデータと比較したり、分析することができます。また、データの管理を一括することでセキュリティ面でも安心して利用することができます。

会計ソフトを乗り換える際の注意点

会計ソフトを乗り換える際には、いくつかの注意点を把握しておくことが大切です。これらの注意点を理解し、慎重に計画を立てることで、スムーズな乗り換えが可能となります。以下は、会計ソフトを乗り換える際の注意点について解説します。

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新しいソフトに乗り換える目的やメリットを明確にする

会計ソフトを乗り換える際は、新しいソフトに乗り換える目的や得られるメリットを明確にしましょう。例えば、業務効率化、正確なデータ管理、統合性向上などが具体的な目的となります。

乗り換えによるメリットとして、作業効率が向上し、時間や手間を節約できることが挙げられます。また、データの正確性が高まり、意思決定に信頼性が生まれます。担当税理士との連携も重要です。

税理士に乗り換えの意図や目的を説明し、最適なソフトウェアの選定やデータ移行のアドバイスを受けることで、スムーズな移行が可能になります。税務申告などの正確性と効率性を確保しつつ、新しいソフトウェアの導入を成功させるために重要なプロセスです。

乗り換えによるメリットを最大限に活かすためにも、事前に計画を立てて準備することが大切です。

乗り換えるソフトとの互換性を確認する

現在使用しているソフトウェアのデータを、新しいソフトウェアにスムーズに移行するためには、データのフォーマットや取り込み方法に互換性があるかどうかを、事前に確認することが必要です

データ移行が円滑に行われない場合、正確な会計データの移行が難しくなり、業務に影響を及ぼす可能性があります。したがって、互換性の確認は乗り換え時に必要な重要な作業であり、事前に慎重に検討することが大切です。

乗り換え時のサポート体制を確認する

新しいソフトウェアに移行する際には、操作や設定に不慣れな場合があり、問題や疑問点が生じることが考えられます。その際に、提供されるサポートが充実しているかどうかが重要です。

十分なサポート体制があれば、問題が発生した際に、迅速かつ適切な対応が得られます。逆に、サポートが不十分だと、問題解決に時間がかかったり、業務に支障をきたす可能性があります。

サポート体制を確認する際には、サポートの提供時間や方法(電話、メール、チャットなど)、料金体系などを確認しましょう。十分なサポート体制が整っているソフトを選択することで、乗り換え時のトラブルを最小限に抑え、スムーズな移行が可能となります。

乗り換え方法を事前に確認する

会計ソフトウェアは、製品によってデータの形式やインポート手順などが異なる場合があります。乗り換えの手順や移行できるデータの範囲を把握しておくことで、移行作業のスケジュールや準備がスムーズに進みます。

事前に乗り換え方法を確認し、必要なデータや設定を整理しておくことで、データの損失や移行作業の遅延を防ぎ、スムーズな会計ソフトの乗り換えを実現できます。

乗り換える会計ソフトがデバイスに対応しているか確認する

近年、クラウド型の会計ソフトウェアが増えており、PC、タブレット、スマホなどさまざまなデバイスからアクセスできるようになっています。各デバイスに対応している会計ソフトウェアを選ぶことで、オフィス内や外出先でも柔軟にデータ入力や確認ができます

複数のデバイスに対応しているかどうかは、会計ソフトウェアの利便性や効率性に大きく影響を与える要素です。そのため、自社の業務スタイルに合ったデバイスで利用できるソフトウェアを選択し、効果的な会計作業を実現するために重要なポイントとなります。

事業に合った会計ソフトに乗り換える

会計ソフトを選ぶ際には、自社の事業規模やニーズに合った最適なソフトを選ぶことが重要です。事業規模や業種に応じて必要な機能や規模は異なるので、無駄な機能を持つ高額なソフトや機能が不足しているソフトには注意しましょう。

近年では、クラウド型の会計ソフトが主流となっており、多くの企業が乗り換えを検討しています。クラウド型の会計ソフトは、オンラインで利用可能であり、データのバックアップやセキュリティ対策がクラウドベースで行われるため安心です。

乗り換えの際には、クラウド型の会計ソフトを検討することでコスト削減や効率化が期待できます。事業の拡大や変化にも柔軟に対応できるため、将来にわたって持続的に利用できるツールとしておすすめです。

まとめ

会計ソフトを乗り換えるタイミングは、事業規模の変化や法改正、新しい機能の必要性などが考えられます。無料期間やトライアル期間を活用して機能や使い勝手を試すことが重要です。

乗り換え手順は、乗り換え目的を明確にし、データをインポートするか手入力するかを検討しましょう。担当税理士との連携も大切で、アドバイスを受けながらスムーズに移行します。

注意点として、目的を明確にすることが重要で、新しいソフトがデバイスに対応しているか確認しましょう。互換性があるか、必要な機能やサポート体制を考慮することも必要です。また、データの移行が円滑に行えるか、乗り換えるソフトの操作性も検討しましょう。

近年、クラウド型の会計ソフトが主流であり、柔軟性やセキュリティが向上しています。乗り換えは重要な決断ですが、効率化や正確性を実現し、事業運営の改善に繋がる重要なステップとなります。

目的を明確にし、担当税理士と連携してスムーズな移行を実現しましょう。最適なソフトで事業運営を強化しましょう。

会計ソフトの乗り換えは事業の成長や法改正などで必要になる重要なステップです。タイミングを見極め、担当税理士と連携してスムーズな移行を実現しましょう。

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