eラーニングの市場規模とは|将来展望・最新の動向についても解説

Check!

  • eラーニングのBtoB市場規模は高まっているが、BtoC市場では前年割れしている
  • 今後もBtoB市場は需要を維持するが、BtoC市場は減少すると予測されている
  • ChatGPTの登場以来、生成AIを活用したeラーニングの開発・提供が進んでいる

オンラインで場所や時間を問わず学習できるeラーニングは、企業の社員研修や教育機関での活用が進んでいます。この記事では、2023年度のeラーニングの市場規模や今後の展望、最新の動向などについて、市場調査のデータをもとに解説します。

目次

開く

閉じる

  1. eラーニングの市場規模とは
  2. eラーニングの市場規模の将来展望
  3. eラーニング市場の最新動向
  4. eラーニングの市場規模が拡大している背景
  5. eラーニングが活用されているシーン
  6. まとめ

eラーニングの市場規模とは

eラーニングは、インターネットを活用したオンライン学習法です。ユーザーは、スマートフォンなどからコンテンツ(教材)にアクセスし、自主的に学習を進めます。

eラーニングは学習者がそれぞれのペースに合わせて勉強でき、主催者側にとっても対面講習の準備の手間を減らせることから、利便性が高く、企業の社員教育や教育機関の講習にも活用されています。

本記事では、eラーニングの市場規模や拡大している背景、活用されているシーンなどについて解説します。

eラーニングとは?機能やメリット・デメリット、選び方を解説

eラーニングとは、パソコンやタブレット、スマートフォンを使ってインターネットを利用して学ぶ学習形態です。本記事では、eラーニングをよく知らない方のために、eラーニングのメリット・デメリットやeラーニングシステムの機能、選び方を解説しています。

\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/

eラーニングの市場規模とは

  1. BtoB市場
  2. BtoC市場

BtoB市場

2020年度におけるBtoB市場規模は862億5,000万円、そして2023年度は1,140億円が見込まれており、拡大傾向にあります。その背景として、2020年度以降のコロナウイルスの世界的流行により、企業内の対面講習が制限されたことが挙げられます。

また、企業のDX化やリスキリングへの対応が急がれており、これらの学習に対する需要が高まっている点も、法人向けのBtoB市場規模の拡大を後押ししています。

参考:eラーニング市場に関する調査を実施(2024年)|矢野経済研究所

BtoC市場

2020年度におけるBtoC市場規模は2,055億円、2023年度は2,550億円の見込みです。2022年度は2,650億円と前年度割れしていますが、堅調に推移しているといえるでしょう。

個人向けのBtoC市場規模の拡大の理由としても、2020年度以降のコロナウイルスの流行拡大が挙げられます。

また、それに伴ってリモート学習が急速に広まったことにより、予備校や学習塾において映像授業や通信教育サービスが拡充され、結果としてBtoC市場規模の拡大につながっています。

参考:eラーニング市場に関する調査を実施(2024年)|矢野経済研究所

eラーニングの市場規模の将来展望

eラーニングの市場規模は、BtoB市場・BtoB市場ともにさらなる拡大が予測されています。ここでは、eラーニングの市場規模の将来展望について解説します。

\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/

eラーニングの市場規模の将来展望

  1. BtoB市場
  2. BtoC市場

BtoB市場

2024年度におけるBtoB市場規模は、1,173億円5,000万円が予測されています。その理由として、企業のDX化やリスキリングの需要は今後さらに高まり、その学習手段としてeラーニングの導入が進むことが挙げられます。

一方で、市場の成長とともに飽和も進むことから、前年度に比べて成長率は鈍化するという予測です。つまり、BtoB市場規模の将来は、今後もゆるやかながら順調に推移していくと展望されています。

参考:eラーニング市場に関する調査を実施(2024年)|矢野経済研究所

BtoC市場

2024年度におけるBtoC市場規模は、2,520億円の予測です。2023年度でも前年度割れしていることから、今後はゆるやかな市場規模の縮小が見込まれています。

その原因として、少子化などを背景にした予備校・学習塾での学習サービスにおける、学習者数の伸び悩みが考えられます。

一方で、キャリアアップのための資格取得が重視される風潮や、海外出張・海外旅行に向けた語学習得のために、オンライン教育サービスは今後も一定の需要が見込まれると考えられています。

そのため、BtoC市場規模は減少基調ではあるものの、今度も一定の水準で推移するというのが将来的な展望です。

参考:eラーニング市場に関する調査を実施(2024年)|矢野経済研究所

eラーニング市場の最新動向

最新のeラーニング市場においては、生成AIを活用した「自動学習」が注目されています。AIが受講者ごとの学習ペースや習熟度に合わせて、パーソナライズされたコンテンツを提供することで、一人ひとりの学習効果を最大化できるのがメリットです。

例えば、従来の社内研修向けのeラーニングは、受講者全員で一律の教材を利用するのが一般的でした。そのため、受講者同士で理解度にばらつきが出やすく、個別のフォローに大きなコストがかかる点も課題です。

その点、AIを活用した自動学習であれば、コンピューターが学習者の進捗を一元管理し、適切な教材を自動で提示するため、管理者のフォローの手間を減らしながら、受講者全員に一定水準の習熟度を期待できます。

このような利便性の高さから、近年は生成AIを活用したeラーニングのシェアが高まっており、今後は自動学習のeラーニング市場規模のさらなる拡大が見込まれます。

eラーニングの市場規模が拡大している背景

eラーニングの市場規模が拡大している背景として、ビジネス市場や働き方へのめまぐるしい変化に対し、素早い対応が求められていることなどが挙げられます。ここでは、eラーニングの市場規模が拡大している背景について解説します。

\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/

スピーディーな学習が必要なため

eラーニングでは時間・場所にとらわれない学習ができ、受講者は、通勤や休憩中などを活用しながら、自分の都合で学べます。さらに、既存のコンテンツを利用すれば教材準備にも時間がかからないため、一斉研修に比べて短期間での学習が可能です。

近年は消費者の価値観が多様化しており、企業が生き残るには、複雑化するビジネス市場への迅速かつ柔軟な対応が求められます。社員一人ひとりが素早く新しい知識を身に付ける必要があることから、スピーディーに学習できるeラーニングの需要が拡大しています。

働き方が多様化しているため

働き方の多様化も、eラーニング市場規模の拡大の理由の1つです。正規雇用者の減少や、リモートワークや短時間勤務などの普及により、従来のように、日程を合わせて実施する集合型研修が難しくなっています。

その点、eラーニングは時間や場所を問わず、手持ちのスマートフォンなどを使って学習可能です。さまざまな雇用形態の従業員を抱える企業でも、効率的な社員教育を行えるとして、幅広い企業での導入が進んでいます。

グローバル化が進んでいるため

ビジネスのグローバル化に伴い、海外に拠点を展開する企業や、外国人の従業員を雇用する企業が増えており、日本語による一斉研修の実施が難しくなっています。

しかし、多言語対応のeラーニングであれば、従業員がそれぞれの言語で学習でき、どの拠点であっても同じ品質の教育を提供できます。このような企業のグローバル化にも柔軟に対応できることから、eラーニングの需要が高まっています。

コストを削減できるため

従来の集合型研修では、会議室のレンタル費用や資料の印刷代、交通費などの金銭的コストに加え、資料の配布・会場までの移動などの時間的コストもかかります。また、リアルタイムで受講できない受講者に追加研修を実施する場合は、その分の費用も軽視できません。

その点、eラーニングであれば会場費用がかからず、資料はシステムへのアップロードだけで済みます。また、eラーニングは講義を録画して配信することもでき、当日不参加だった人へのフォローも低コストで行えます。

集合型研修にかかっていたコストを大幅に削減しつつ、学習者の利便性も高められることから、eラーニングへの切り替えを進める企業が増えています。

eラーニングが活用されているシーン

eラーニングは学校での学習や社内研修・人材育成など、さまざまなシーンで活用されています。ここでは、eラーニングが活用されているシーンを解説します。

\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/

学校での学習

eラーニングは、小学校・中学校・高校・大学・予備校などの学校で、生徒が学習するのに活用されています。感染症の流行や災害時で通常の通学が難しい場合でも、自宅にいながら授業を受けることができます。

また、集合型の授業では生徒への対応が手薄になりがちですが、eラーニングを組み合わせることで、一人ひとりの苦手分野をきめ細やかにフォローできます。教師の個別対応の手間を省きつつ、クラス内で学習への理解度に大きな差が出るのを防ぐことができます。

授業・講義だけでなく、委員会活動や課外活動にeラーニングシステムを活用するケースも増えています。

社内研修・人材育成

eラーニングシステムは、研修資料を一度アップロードすれば、何度でも再利用でき、情報更新も比較的簡単です。そのため内定者研修やコンプライアンス研修、スキルアップ研修など、繰り返し実施する社内研修・人材育成への活用が進んでいます。

企業視点では、研修資料の準備にかかる金銭的・時間的コストを最小限に抑えつつ、学習テスト結果を一元管理することで、内定者や従業員ごとの習熟度・特性の可視化が容易になり、最適な人材配置にもつなげられます。

また、従業員側にとっても、集合型研修に参加するためのスケジュール調整や、研修会場への移動といった負担を削減でき、職場満足度が向上しやすいメリットがあります。

社内コミュニケーション

eラーニングによっては、テスト・アンケートの共有や回収、自動採点、採点結果の一元管理が可能です。これらの機能性を活かし、社内コミュニケーション目的での利用も進んでいます。

従業員を対象にした一斉テストや一斉アンケートをeラーニングシステム上で実施すれば、従来に比べて、配布から採点までの時間が大幅に短縮されるため、人事労務部門の負担軽減につながります。

アンケート用紙の紛失や回収漏れなどの心配もなくなり、フォローが必要な従業員の把握も容易です。このように、eラーニングは効率的な社内コミュニケーションや情報伝達のツールとしても活用できます。

コンテンツ販売

自社に蓄積された知識や研修プログラムコンテンツ化して、eラーニングシステム上で有償販売するケースも増えています。

例えば、情報セキュリティやコンプライアンスのような一般研修に加えて、資格取得に必要な知識、ニッチな分野での専門スキルの共有などにも有効です。自社の収益増大やブランディング強化を目的として、実施する企業が増えています。

まとめ

2023年度におけるeラーニング市場規模は、BtoB市場において1,140億円BtoC市場において2,550億円が見込まれています。また、2024年度以降においても成長率の鈍化や減少基調は見られるものの、堅調な推移が維持される予測です。

特に、AIを活用した自動学習の需要が高まっており、今後のeラーニング市場の動向を大きく左右するでしょう。

eラーニングの活用により、スピーディーかつ低コストな学習が可能になり、企業の社内研修や人材育成の負担を軽減しつつ、受講者にとっても満足度の高い教育に期待できます。

Share

top